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文献名1霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
文献名2第1篇 天空地平よみ(新仮名遣い)てんくうちへい
文献名3第7章 忍術使〔1111〕よみ(新仮名遣い)にんじゅつし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-12-11 12:20:50
あらすじ右守の手下・マンモスは、忍術を使って左守クーリンスの屋敷に忍び込んだ。そしてクーリンスの寝室をうかがい、鼠を放ってクーリンスが寝入っているかを確認した。隣の部屋で不寝番をしていたウヰルスは鼠に気づき、主人の寝室をうかがうと黒装束の男が現れ、主人に切りつけようとする。ウヰルスはやにわにふすまを開けて曲者をねじ伏せ、縛り上げてしまった。クーリンスはこの物音に驚いて目を覚ました。主従が曲者の顔を改めると、右守の近侍・マンモスであることが見て取れた。クーリンスとウヰルスに責められて、マンモスは右守の命令で左守を暗殺に来たことを明かし、命乞いをした。クーリンスはマンモスの縄を解き、右守に計画失敗を伝えて改心するようにと言い含めた。マンモスは九死に一生を得て闇にまぎれて逃げて行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月11日(旧09月23日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年6月15日 愛善世界社版96頁 八幡書店版第7輯 566頁 修補版 校定版100頁 普及版48頁 初版 ページ備考
OBC rm4107
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本文  大正壬戌の年  月日の駒もスクスクと
 十一年の晩秋の  十一月十一日に
 奇しき神代の物語  一千一百十一の
 節面白く述べ立つる  時刻も恰度十一時
 治まる神代を松村が  昨日に変る真澄空
 百年千年の礎と  万年筆を走らせて
 原稿用紙に打向ひ  身もたなしらに記しゆく
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 天つたひ行く星の影  きらめき渡り秋高く
 馬の嘶き勇ましき  御空に澄める瑞月が
 安全椅子に横たはり  神の教を四方の国
 百八十島の果までも  隈なく開き敷島の
 煙草の煙を吹かせつつ  現幽神の三界を
 超越したる物語  教の御子や世の中の
 青人草の魂柱  太しく立てむと述べ立つる
 此物語永久に  天地と共に極みなく
 神の御苑の花となり  果実となりて五六七神
 胎蔵したる五種の  味はひうまく調合し
 霊魂の餌とならしめよ。
    ○
 盤古神王奉戴し  ウラルの道を開きたる
 ウラルの彦やウラル姫  三五教の神人に
 醜の砦をやらはれて  千代の住家と構へたる
 世にも名高きアーニヤ  館をすてて常世国
 ロツキー山や常世城  現はれ出でて自在天
 大国彦を奉戴し  バラモン教を建設し
 盤古神王はどこへやら  押込めおきてバラモンの
 教を常世の国内に  開き居たりし折もあれ
 又もや神の戒めに  常世の国を逃げ出し
 埃及国に打渡り  豊葦原の中津国
 ソポタミヤの自凝の  島に渡りて自在天
 教を開く折もあれ  ウラルの道に仕へたる
 音彦、亀彦両人が  三五教に帰順して
 神の司となりすまし  大江の山や三岳山
 鬼ケ城へとかけ向ひ  言霊戦を開始して
 勢強く攻め来る  其神力に辟易し
 大国別に仕へたる  鬼雲彦の大棟梁
 鬼熊別と諸共に  空に塞がる黒雲に
 隠れて逃げゆく月の国  ハルナの都に居を構へ
 再びここにバラモンの  教を開きゐたりしが
 カルマタ国にウラル彦  ウラルの姫の初発に
 盤古神王を奉戴し  道を開きしウラル教
 ウラルの彦の系統と  名乗る常暗彦の司
 ウラルの残党呼び集め  其勢は日に月に
 盛りとなりてバラモンの  教の根底を覆へし
 今は危くなりにける  ウラルの彦やウラル姫
 初めに開きしウラル教  常世の国に逃げ行きて
 新たに開きしバラモン教  其源は一株の
 教主の教も主斎神  盤古神王自在天
 二つに分れし其結果  互に鎬を削りつつ
 憎み争ふぞ是非もなき。
 小亜細亜の神都エルサレムの都に近き黄金山下に埴安彦、埴安姫の神顕現して、三五教を開き給ひしより、八岐の大蛇や醜狐の邪神は、正神界の経綸に極力対抗せむと、常世彦、常世姫の子なるウラル彦、ウラル姫に憑依し、三五教の神柱国治立命に対抗せむと盤古神王塩長彦を担ぎ上げ、茲にウラル教を開設し、天下を攪乱しつつありしが、三五教の宣伝神の常住不断の舎身的活動に敵し得ず、ウラル山、コーカス山、アーニヤを棄てて常世の国に渡り、ロツキー山、常世城等にて今度は大自在天大国彦命及び大国別命を神柱とし、再びバラモン教を開設して、三五教を殲滅せむと計画し、エヂプトに渡り、イホの都に於て、バラモン教の基礎を漸く固むる折しも、又もや三五教の宣伝使に追つ立てられ、ソポタミヤに逃げ行きて、ここに再び基礎を確立し、勢漸く盛ならむとする時、神素盞嗚尊の遣はし給ふ宣伝使太玉命に神退ひに退はれ、当時の大教主兼大棟梁たる鬼雲彦は黒雲に乗じて自転倒島の中心地大江山に本拠を構へ、鬼熊別と共に大飛躍を試みむとする時、又もや三五教の宣伝使の言霊に畏縮して、フサの国を越え、やうやく月の国のハルナの都にバラモンの基礎を固め、鬼雲彦は大黒主と改名して印度七千余ケ国の刹帝利を大部分味方につけ、その威勢は日月の如く輝き渡りつつあつた。然るにウラル彦、ウラル姫の初発に開きたる盤古神王を主斎神とするウラル教の教徒は、四方八方より何時となく集まり来りて、ウラル彦の落胤なる常暗彦を推戴し、デカタン高原の東北方にあたるカルマタ国に、ウラル教の本城を構へ、本家分家の説を主張し、ウラル教は常暗彦の父ウラル彦の最初に開き給ひし教であり、バラモン教は常世国に於て、第二回目に開かれし教なれば、教祖は同神である。只主斎神が違つてゐるのみだ。ウラル教は如何してもバラモン教を従へねば神慮に叶はない。先づバラモン教を帰順せしめ、一団となつて神力を四方に発揮し、次いで三五教を殲滅せむものと、ウラル教の幹部は息まきつつあつたのである。
 茲にバラモン教の大黒主は此消息を耳にし、スワ一大事と鬼春別、大足別をして一方はウラル教へ、一方は三五教へ短兵急に攻め寄せしめ、バラモン教の障害を除き、天下を統一せむと計画をめぐらし、既にウラル教の本城へは大足別の部隊を差向け、三五教の中心地と聞えるたる斎苑の館へは鬼春別をして、数多の勇卒を率ゐ、進撃せしめたるは、前巻既に述ぶる通りである。
    ○
 秋の夜嵐吹き荒び、雨さへ交り、木の葉はバラバラと音して散り布く。左守の司クーリンスの高塀を越して忍び入る覆面頭巾の曲者があつた。これは右守の司に仕ふるマンモスといふ忍術の達人である。茲に忍術に就て一言述べておく必要があると思ふ。
 忍術とは変幻出没、肉身を自由自在に相手の前に煙の如く消滅し、巧に其踪跡をくらます魔術の様に考へてゐる人もある様だが、忍術なるものは決してそんな不可思議なものではない。忍術とは忍耐術の意味であつて、敵情を窺ふに際し、屋根裏に一週間でも十日でも飲まず食はずに、咳もせず、息を潜めて様子を考へたり、或は寒暑を問はず、目的の達するまで、仮令十日でも二十日でも水中に身を没し、鼻と目だけを水面に出して空気を吸ひ、顔の上に藻などを被つて、敵情を視察したり、或は広き泉水などを渡るにも波を立てないやうに、水音のせない様に活動し得る迄には、余程の習練を要するのである。又一夜の中に百里以上も高飛を徒歩でせなくてはならぬのである。其歩き方は左の肩を先にし、成るべく空気の当らない様にして道を突破し、蟹の如くに横に歩む時は、足音もせず、三四倍の道が歩めるのである。甲地にて宵の口に或目的を達し、其夜の中に百里も離れた乙地へ到着して納まり返つてゐるのが忍術の目的である。又忍術を使ふ者は、黒白青赤其他いろいろの布巾を懐にかくしおき、白壁の前に立つ時は白布を出して其身を隠し、黒き物の側に立寄る時は黒の布を以て身を蔽ひ、青き所では青き布を出して身を蔽ひ、人の目を誤魔化す事を以て忍術の奥義としてゐるのである。つまりカレオンがあたりの草木の色によつて変ずる如き活動をするのである。又上から下まで黒装束を着し、四五尺ばかりもある手拭を一筋持ち、之を頬被りにしたり、或は高い所から吊り降りる綱にも応用するのである。又一本の鎧透しといふ極めて丈夫な一尺ばかりの短刀を所持し、其短刀は無銘である。万一過つて遺失した時に、其主の分らない様との注意から無銘の刀を用ひ、又一切印の入つた持物は身につけないのである。そして其短刀には三間も四間もある長い丈夫な下げ緒をくくりつけ、塀などを越す時は、下げ緒の端に手頃の石又は分銅を括りつけ、庭木の枝などに、外からパツとふりかけ、綱を結びつけ、短刀を大地に立て、其上に片足をのせ、下げ緒を力として身を跳らし塀に飛上り、下げ緒をたぐつて短刀を手に入れ、又スルスルとほどける様にして木の枝から吊りおり、座敷に忍び入るのである。そして皮袋に二三合ばかりの水を入れておき、ソツと敷居に流し、戸をあける時、音をさせぬ様にして暗夜に忍び込み、敵情を視察するのが忍術使の職務であつた。そして敵の寝所に忍び入つた時は、頭の方から進みよるのである。万一足の方から進む際、敵が目をさまし、起上る途端に其姿を認めらるる事を恐るるからである。頭の方から進む時は、敵が驚いて起上るを、後から短刀にて切りつくるのに最も便宜なからである。又室内の様子をよく考へ、屏風の蔭とか、行灯の蔭とかに身を潜める事を努めるものである。そして其室に入る前に敵の熟睡せるや否やを瀬ぶみする為に、平常から飼ひならしておいた二匹の鼠を懐にかくし置き、先づ一匹を室内に放つて見る。鼠は変つた家に行つた時は、うろたへて座敷中をガタガタと騒ぎまはるものである。其鼠の音で目をさますやうではまだ熟睡してゐないのである。寝まぐれにシーツ シーツと相手が鼠を叱り、其儘グツと寝て了ふ。ソツと障子の穴から忍術使が覗くと、鼠は其顔を見て再び懐へ帰つて来る。今度は又念の為次の鼠を一間に投入れると、又もや鼠はうろたへて騒いで、ガサガサとかけ廻る。それでも気がつかずに眠つてゐたならば、最早忍術使は安心して其目的を達するのである。
 クーリンスはセーラン王に面会し、種々と右守の司のカールチンが陰謀に備ふべく、密議を凝らし、初夜頃漸く吾家に帰り、草疲れ果てて、グツと寝に就いてゐた。そこへ塀を乗り越え黒装束となつてやつて来たのがマンモスであつた。彼は型の如くクーリンスの寝室に忍び入り、鼠を放つて見た。第二回目に放つた鼠はうろたへて襖の破れ穴から隣の宿直役のウヰルスの間へ飛込んだ。ウヰルスはウツラ ウツラ眠つてゐたが、飛込んだ鼠が自分の顔を走つたので、フツと目をさまし、起出でて見れば合点の行かぬ鼠の行動、こりやキツト何者かが忍び入つたに相違ない……と、左守の司の寝室に耳をすまして窺つてゐた。そこへノツソリと黒装束で現はれた男、「ヤア」と一声、左守の司を頭の方から切りつけむとする。この声に驚き、矢庭に襖を押開け、夜具を抱いた儘、曲者を捩伏せ、短刀を奪ひ取り、直に後手に縛り上げて了つた。
 左守の司は此物音に起上り、
『ウヰルス、夜中にあわただしく何者であつたか』
と尋ぬれば、ウヰルスは声を震はせ息を喘ませながら、
『何物か、あなたの寝室に忍び入り、危害を加へむと致しました故、飛びかかつて短刀をもぎ取り、後手に縛り上げました。サア是からよく調べて見ませう』
『ヤア険呑な所だつた。よくマア助けてくれた』
と言ひながら、カンテラの火を掻き立て、曲者の顔をよくよくすかし見れば、右守の司の近侍を勤めるマンモスである。
ウヰルス『オヽ其方はマンモスではないか、大方カールチンに頼まれたのだらう。之には深き企みのある事ならむ、様子を逐一白状致せ』
 マンモスは恨めしげに歯を喰ひしばり、丸き目をギヨロリと剥いて、ウヰルスを睨みつけ、首を左右にふつて一言も答へない。ウヰルスは声を励まし、
『委細を白状すれば此儘助けてつかはす。さもなくば汝が命を取つて、イルナ城の災を除かねばならぬ。これでも返答いたさぬか、其方はカールチンに頼まれて、左守の司様を暗殺に来たのだらう』
『決して決してカールチンに頼まれたのではない。つい妙な夢を見て知らず知らずにここへ飛込んで来たのだ。別に何等の考へもないのだから、御無礼したのは許してくれ』
『馬鹿を申すな、其方は斯の如く忍術の装束を着け、一切万事の準備を致して来てゐる以上は、最早かくしても駄目だ。白状致さぬか』
といひながらマンモスの短刀を以て、胸のあたりを切りに擽つてみた。マンモスは可笑しさ痛さに笑ひ泣きしながら、
『アハヽヽヽ、イヒヽヽヽ、痛い痛い言ひます言ひますキツト言ひます、どうぞこらへて下さい』
『最早白状するに及ばぬ、証拠は歴然たるものだ。それよりもチツと擽ばかして、笑はしてやらうかい』
と又もや胸のあたりをクルリクルリとさいなむ。
『アハヽヽヽ、イヒヽヽヽ痛い痛いどうぞこらへて下さいませ。実の所は右守の司カールチンさまから頼まれました。左守の司は吾大望の邪魔を致す目の上の瘤だから、汝が得意の忍術にて甘く仕留め帰りなば、余がイルナの国王となつた時、其方を右守の司にしてやらうと仰有いましたので、つい欲にかられて悪い事とは知りながら、出世の元だと思ひ、忍び込みました。モウ今度はキツと心得ますから、どうぞお赦しを願ひます』
『旦那様、如何取計らひませうか』
左守『ウン、俺に任せ』
と云ひながらマンモスの顔をグツと睨みつけ、
『許し難き悪人なれども、今日は見のがしてくれる。一時も早く右守の司の館へ立帰り、クーリンスはビチビチ致して居る。其方も早く改心なさらぬと御身の災、目のあたりに迫つてゐますぞ。今の中に御改心をなされと、よつく伝へよ』
といひながら縛めの縄を解き放ちやれば、マンモスは九死一生の難関を遁れ、喜び勇み、足早に暗に紛れて、館の裏口より一目散に逃げてゆく。
(大正一一・一一・一一 旧九・二三 松村真澄録)
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