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文献名1霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
文献名2第1篇 仕組の縺糸よみ(新仮名遣い)しぐみのれんし
文献名3第1章 榛並樹〔1211〕よみ(新仮名遣い)はんなみき
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-03-08 17:43:51
あらすじ五三公の一行はお民、蠑螈別、お寅、魔我彦の走って行った後を追いかけ、ようやく一本橋を渡り二三町ばかり北進し、榛の樹の道の両方に立ち並ぶ木蔭までやってきた。お寅と魔我彦は互いにつまづいて重なり合い、唸っていた。五三公たちは二人をみつけてからかい、お寅と魔我彦はののしりあっている。万公とアクは、三五教の神力で逃げた二人が帰ってくるように祈ってやるから、ひとまず小北山へ帰ろうと連れて戻った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月25日 愛善世界社版7頁 八幡書店版第8輯 363頁 修補版 校定版7頁 普及版3頁 初版 ページ備考
OBC rm4601
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本文
 末遂に海となるべき山水も
  志ばし木の葉の下潜るなり。

 此世を造り固めたる  天地の御祖と現れませる
 国治立の大神の  世人を救ふ御教は
 天つ御空の青雲の  棚引くきはみ白雲の
 墜居向伏す其極み  平和の風は吹きすさみ
 仁慈の雨は降りしきる  天地四方の人草や
 草の片葉に至る迄  恵みの露を与へむと
 豊栄昇る日の御影  大空伝ふ月の影
 きらめく星の数多く  世人を導く宣伝使
 四方に遣はし三五の  教を天下に宣べ給ふ
 さはさりながら曲津霊の  神も同じく神の御子
 陰と陽との御水火より  現はれ出でしものなれば
 広き尊き皇神の  御目より之を見給へば
 宇内同胞神の御子  仁慈の心変るべき
 日はゆき月はひた走り  星移ろふに従ひて
 八岐大蛇や醜神の  彼方此方に現はれて
 軽生重死の教をば  四方に開くぞうたてけれ
 バラモン教やウラル教  ウラナイ教と各自に
 体主霊従の魂の  向ふ所に従ひて
 あらぬ教を拡充し  神の御子たる神人を
 惑はしゆくこそ忌々しけれ  高姫司の後をうけ
 北山村を立出でて  小北の山に立籠り
 支離滅裂の教理をば  道理を知らぬ愚者共に
 有難さうに説きつけて  漸う茲に神殿や
 教の射場を建並べ  蠑螈別を教主とし
 魔我彦、お寅に文助や  其外百の幹部たち
 神の御為世の為と  迷ひ切つたる心より
 一心不乱に妖言を  コケ徳利のドブドブと
 吐き出し世人の魂を  酔はせ濁らせ曇らせつ
 世界唯一の御教と  自ら信じ又迷ひ
 盲聾も同様に  身もたなしらに進み行く
 蠑螈別は曲神に  魂を破られ朝夕に
 神の出入の肉宮と  言ひつつ酒に酔ひくらひ
 呂律もまはらぬ舌の根で  数多の男女を根の国や
 底の国までおとしゆく  何にも知らぬ信徒は
 盲の手引と知らずして  自分も盲となりすまし
 尊き道と信じつつ  随喜の涙と諸共に
 暗黒界へ一心に  知らず知らずに堕ちて行く
 其惨状を救はむと  神の御言を畏みて
 三五教の宣伝使  治国別に仕へたる
 万公、五三公始めとし  バラモン教の信徒なる
 松彦、アク、タク、テク四人  神のまにまに河鹿川
 一本橋の袂にて  不思議の綱にまとはれつ
 小北の山の神殿に  登り来れば曲神は
 何とはなしに怖ぢ恐れ  次第々々に逃げ去りて
 蠑螈別や魔我彦や  お寅婆さまを飾りたる
 金箔忽ち剥脱し  思ひもよらぬ醜状を
 演出せしぞ可笑しけれ  蠑螈別は高姫を
 束の間も忘れ得ず  恋の焔に胸こがし
 欝を散ぜむ其為に  毒と知りつつ無理無体
 酒に紛らす果敢なさよ  箸とる事にまめやかな
 彼は又もや衣笠の  村より来るお民をば
 此上なきナイスと思ひつめ  お寅婆さまの目を忍び
 互に秋波の交換を  開始しゐたる折もあれ
 松彦さまや熊公が  突然ここに現はれて
 身の置所なきままに  お寅の隙を窺ひて
 命より大事と貯へし  金を懐中に托しこみ
 恋しきお民と手をとつて  暗に紛れて随徳寺
 あと白浪と消えてゆく  お寅婆さまは腹を立て
 髪ふり乱し阿修羅王が  荒れたる如き勢で
 言霊濁るひきがへる  ガアガア声を張上げて
 尻ひつからげ坂道を  おのれ蠑螈別の奴
 どこの何処に潜むとも  後つけねらひ素首を
 とつつかまへて泡吹かせ  思ふ存分鼻をねぢ
 恨を晴らさにやおくべきか  それについてもお民奴を
 許しておいちや身の破目と  金と恋とに村肝の
 心を紊しあとさきも  水音清き河鹿川
 一本橋を打ち渡り  野中の森に逃げて行く
 二人の後を追つかける  悪い時には悪いもの
 蠑螈別が逃げしなに  道の片方の木の幹に
 綱をしばりて追ひ来る  お寅婆さまの足さらへ
 こかして泡を吹かせむと  企みおいたる其罠に
 もろくもかかりステンドと  こけた拍子に鼻をうち
 ウンウンウンと唸りつつ  気絶したるぞ是非なけれ
 後に残りし松彦は  お寅婆さまや蠑螈別
 逃げ行く後を打眺め  五三公、万公其外の
 三人の男を遣はして  二人の後を追はしめぬ
 又魔我彦は恋慕ふ  お民の姿の消えしより
 仮令お民が天かけり  地下鉄道に打乗つて
 何処の果へかくるとも  探さにやおかぬと気をいらち
 鼻息荒くトントンと  これ亦後を追うてゆく
 かかる怪体な騒動を  無心の月は山の端に
 利鎌のやうな光なげ  遥に地上を瞰下して
 ニコニコ笑ひ眺めゐる  五三公、万公外三人
 松彦さまの命令で  これ亦尻をひんまくり
 三人の行衛を探さむと  一生懸命汗をかき
 矢を射る如く大地をば  ドンドンドンと威喝させ
 一本橋をギクギクと  弓張月に撓ませつ
 危く渡る大野原  野中の森を目当とし
 月の光を浴びながら  ゲラゲラゲラと笑ひつつ
 くり出し進むぞ可笑しけれ  あゝ惟神々々
 此面白き物語  洩らさず落さずまつぶさに
 述べさせ給へ惟神  月照彦の御前に
 畏み畏み願ぎまつる。
 五三公の一行はお民、蠑螈別、お寅、魔我彦の遁走した後を追つかけ、漸く一本橋を渡り二三町ばかり北進し、榛の樹の道の両方に立並ぶ樹蔭までやつて来た。ウンウンと怪しき声が聞えて来た。
万公『オイ御一同、どうやらお寅婆アさまが芋をいけてをるとみえて、ウンウンと気張つてゐるぢやないか。どうもウンの悪い婆アさまと見えるワイ。一寸ここらでウン動中止をやらうぢやないか』
アク『中下先生のお言葉に従つて、ここで一先づ停車する事にしよう。何だか榛のかげでシツカリ分らないが二人ゐるやうだ』
『そりや大方蠑螈別さまと此処にやつてゐるのだらう、そりや都合が好い、オイ、イヤもうし、ウラナイ教の教主様、立派な家がありながら、物好な、こんな所まで出て来て安眠するといふ事がありますか、サア起きたり起きたり』
と側に寄つてよく顔をのぞいて見れば魔我彦であつた。魔我彦はお寅婆アさまの倒れた体に躓いて、ここに足をひつかけ、ひつくり返り、膝をしたたか打つて痛さをこらへ、僅にウンウンと息をもらしてゐたのである。お寅婆アさまも一旦気絶してゐたが、魔我彦に踏まれてハツとして気がつき、めしやげた鼻を両手で押へ地上に倒れて居たので、魔我彦が側にこけてゐることには気がつかなかつたのである。
タク『ヤア、これはこれは互違ひの御夫婦だ。これ魔我彦さま、俺ぢやからよいが、蠑螈別さまの目についたら、それこそ大変に怒られますよ。お寅さまと枕を並べて、草の褥に星の夜着、余り物好にも程があるぢやないか、サア起きたり起きたり』
 魔我彦はお寅婆アさまをお民だと思ひつめ、一生懸命に裾を握つて、一方の手で膝を撫でて居つたが、お寅婆アさまと聞いて、稍落胆失望的の声をあげ、
『あゝあ、何だ、人違ひか、お民の奴、どこへ行きやがつた。大方蠑螈別と逐電しやがつたのだろ。何処までも追つかけて、とつつかまへねば俺の男が立たぬ。これお寅さま、お前は蠑螈別を、とつつかまへて、十分に鼻でも捻ぢて、お民の事を思ひ切らして下さい。さうすりや、お前もよし、私もよし、かたみ恨みもなし、こんな上分別はありませぬ』
と半泣声で膝の疵を撫でながら口説いてゐる。
お寅『エヽ残念やな、高姫にお民、たのつく奴は何処までも私に祟ると見える。仮令他国へ走るとも尋ね出して叩きつけ、沢山膏を取つてやらねば、ただでは済まされぬ。エヽ口惜しい』
万公『ハツハヽヽヽ、失恋党の秘密会議が開催されてゐるワイ。これお寅さま、みつともないぢやないか、チツトしつかりせぬかい、エヽー、何をソ泣いてゐるのだ。海千山千川千の下つ腹に毛のない所を御覧なさいと云ふ様なシタタカ者の癖に、さてもさても戸惑うたものだなア。蠑螈別一人が男ぢやあるまいし、何ならここにテクが一人、お前さまの事を大変に褒めてゐたから、一つ鞍替をしたらどうだい。河鹿川でサツパリ洗ひ張りと云ふ幕を開くのだな。さうすりや恋の執着もスツクリ晴れて、新しい立派な若い夫が持てると云ふものだ。なア、テク公、お前もお寅さまなら満足だらう』
テク『馬鹿にするない、太平洋で牛蒡洗つてる様な大きな代物は御免だ。一つ暴風が吹いて見よ、忽ち帆柱まで沈没の厄に遭ふからなア』
万公『イツヒツヒツヒ、これ魔我さま、チツトしつかりせぬかいな、何時だと思つてゐるのだい、物好に、こんな老朽船の後を追うて来るといふ事があるものか、サア小北山へ帰らうぢやないか』
魔我『アイタヽヽ、此魔我彦も男だ。トベラに焼酎をふいたやうな臭のするやうなお婆アさまを、何ぼ俺だつて追跡するものかい、俺はこんな梅干婆アさまは元より眼中にないのだ』
 お寅はめしやげた鼻で、妙な声を出しながら、
『コリヤ、魔我公、失礼な事申すと承知せぬぞ、どこが梅干だ、梅干といふのは皺苦茶婆の事だよ。まだ此通りデツプリと肉付のよい白浪婆アさま、元気盛りを、余り見下げるものぢやない。そんな失礼な事申すと、蠑螈別さまのやうに鼻を捻つてやろか』
魔我『エヽ滅相な、梅干……と云つたのは粋人と云つたのだ、梅位すいなものはないからな。さう悪取りして貰つちや、魔我彦もマガ悪くて困りますワイ』
お寅『お前の云ふ事に詐りがなければ、それでよい、ヤツパリわたしは粋人だらうがな、コラ魔我、そんな甘い事云つても、このお寅さまは駄目だから諦めたがよからうぞ』
タク『ウワツハツハツハ、自惚とカサケのない者はないと云ふ事だが、本当に妙チキ珍だ、イツヒヽヽ』
魔我『此お寅さまはエライものだよ、横根疳瘡骨うづきの関門をとほの昔に突破し、トベラ峠を打越え、屏風ケ岳を進行中だからなア、何せよ両屏風の豪傑だからな、ウツフツフフ、フツフ』
タク『両屏風つて何だい、妙な事を云ふぢやないか、家の中ぢやあるまいし、こんな所へ屏風持つて来て何にするのだい、こんな道の真中で屏風引きまはして結婚でもあるまいし』
魔我『ハツハヽヽヽ、余程世間見ずだな、貴様は未だおぼこいワイ、両屏風と云つたら両方の横根だ、片つ方の横根を片屏風と云ふのだ。そしてなア、お寅さまのやうに毎木毒で頭髪のうすくなつたのを、トヤといふのだ。此道にかけたら魔我さまもマガなスキがな研究してゐるから随分博士だよ』
万公『何時までもこんな所でグヅグヅしてゐても仕方がないぢやないか、兎も角、小北山まで帰らう、俺が神変不思議の神術で、お民や蠑螈別の足止めをしてやるから、安心せい』
アク『三五教の神力で足止めのみならず、小北山へ両人が帰つて来る様に神さまに願つて鎮魂をしてやるワ、サアお寅婆アさま、魔我さま、帰なう、小北山の狸も足を洗うて寝る時分だ、モウ子の刻だ。気の利いた化物も引込む時分だぞ。サア下腹に毛のない婆アさま、帰らう帰らう、偕老同穴だ。アツハツハツハ』
お寅『何、三五教の神力で蠑螈別とお民を返してやらうと云ふのかい。実際にそんな事が出来るとすれば、此お寅もこんなに骨を折る必要がない、あ、それなら一先づ帰る事にしよう。併しお民はモウ返していらないから、蠑螈別だけを此方へ引寄せて貰ひたいものだ。さうすりや、私も三五教にスツパリと帰順して了ひますワ』
万公『ハヽヽヽヽ、随分現金な婆アさまだな。モシ先生、どうでせう、蠑螈別を引戻す予算は成立してゐますかな』
五三『確かに成立してゐる、併しこれも婆アさまの心次第だ。ヤアお寅さま、帰なう帰なう』
お寅『何は兎もあれ、旅装束もせず、腹立紛れにまつ跣足でやつて来たのだから、旅をしようと云つても此儘ではいかない、一遍帰りませう。コレ魔我さま、お前は蠑螈別の後を追うて、お民の手を取りドツカの山奥へでも暫く隠れてゐなさい、モウ小北山へ帰る必要はないから……』
魔我『俺だつて、まつ跣足で、此通り帯取裸だ。一本橋を渡る時に履物をおとし、帯も褌も川の中へおち込んで了つた、懐中物もドコで落したか分らぬ、兎も角一遍帰らな何うする事も出来ない。私は私でウラナイ教の副教主といふ絶対権威を持つてゐるのだから、是非帰らなくてはならない、教主の出た後は副教主が教権を掌握するのは当然だ』
お寅『それなら仕方が無い。魔我さまもお帰りなさい』
万公『魔我さまが副教主で、之からは全権を握るのだから、さうするとヤツパリお寅さまは、蠑螈別に対する同様の待遇振を、魔我さまに対して捧ぐるのだな』
お寅『ヘン、阿呆らしい、玉が違ひますわいな、ホツホヽヽヽ』
 五三公、お寅外五人は、ヤツトの事で小北山の教主館まで帰つて来た。
(大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 松村真澄録)
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