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文献名1霊界物語 第64巻上 山河草木 卯の巻上
文献名2第5篇 山河異涯よみ(新仮名遣い)さんがいがい
文献名3第24章 妖蝕〔1653〕よみ(新仮名遣い)ようしょく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2017-11-26 00:18:41
あらすじ
主な人物虎嶋寅子、守宮別、曲彦、菖蒲のお花、ホテルのボーイ 舞台僧院ホテルのお寅の部屋 口述日1923(大正12)年07月13日(旧05月30日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年10月16日 愛善世界社版265頁 八幡書店版第11輯 476頁 修補版 校定版267頁 普及版62頁 初版 ページ備考
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本文  お寅外三人は漸くにしてカトリックの僧院ホテルの二階に宿泊する事となつた。折柄チンチンと鈴の音、けたたましく配達して来た新聞を一枚買つて守宮別は読んで見た。
『ヤアお寅さま、えらい事が出て居ますよ。救世主の再臨に先立つて日の出島からブラバーサがやつて来たと云ふ記事が見えて居ますわい。随分もてたものですわい。こりやグヅグヅしてゐると吾々は駄目ですよ』
『何?ブラバーサの事が出て居るのかい。大方女にでも相手になつて、しくじつた記事ででもなからうかな』
『何だか知りませぬが、伯爵の娘サロと云ふ絶世の美人とアリカンコロニーの牛耳を握つてるマリヤと云ふ女が橄欖山の上でブラバーサを引張凧にしてる記事ですわ』
『一ぺん読んで下さいな』
『読んでも英語で書いてあるのだからお前さまには分りますまい。バカに褒めて書いてあるからな。エーもう措きませうかい』
『分らいでもお前さまは、そこをうまく訳して、わし等の耳に分るやうに読むのだよ』
『エー、仕方がない。それでは訳して読みませう。面倒臭いな』
と云ひ乍ら新聞をお寅の前におき、
『エー、二号活字で見出しが「橄欖山上の聖劇」と書いてありますわい』
『聖劇と云ふのは何の事ぢやい?それを細こう説いて下さい』
『聖劇といつたら聖劇ぢやありませぬか。一旦日本語に訳して又日本語に訳さねばならぬと大変手間がとれますからな』
『ソンナ聖劇なんて……それは、英語でせう。日本言葉にソンナ言葉はない筈だ』
『エー、仕方がないな。お寅さま、聖劇と云ふのは結構な神さまのお芝居と云ふ事だよ』
『成程、さうすると此日の出神の生宮が橄欖山上に降つて来たと云ふ事ぢやな』
『マア黙つて聞いて下さい。エー、○月○日の夜、十二時頃橄欖山上に於て前代未聞の聖劇が演ぜられた、その登場役者と云ふのは基督の再臨に先だつて日の出島より派遣されたる神力無双の神人、ブラバーサと云ふ紳士、ルートバハーの宣伝使として聖地エルサレムに数十日以前に到着され、今はシオン山の麓に草庵を結び聖業を朝夕修行せるもの、又一人の男は基督教の有名なる宣伝使、ヤコブと云ふ眉目清秀の青年である。女は某伯爵の令嬢サロ姫の君にて、基督再臨を前知し、ヨルダン川の辺に建てるバハイ教のチヤーチに参詣し、バハーウラー聖師の教を受け居れる淑女である。又一人の女はアリカンコロニーの牛耳を執れるマリヤと云ふサロ姫に劣らぬ容色端麗なる美人である。此四人は日出島より救世主の降臨する事を前知し、深夜に期せずして、橄欖山(霊山会場の蓮華台)に現はれ、神政成就の大神業を修されたり。是等の二男二女は天下に先立つて基督の再臨を前知したる聖哲なれば、決してその言に詐りあるべしとも思はれず、品行極めて方正にして万人の模範となるべき人格者である。ブラバーサの云ふ所を綜合すれば基督の再臨も最早遠からずとの事なり、神縁深きエルサレムの市民は此四人の努力に感謝せざるべからず。実に稀代の神人と云ふべし。因に云ふ。ブラバーサは今やシオンの山麓に草庵を結び、神業に修行されつつあるは前記の如し。またサロ姫はバハイ教のバハーウラーの別室に著述に耽りつつあり。ヤコブは今や僧院ホテルに滞在中なり。マリヤはアリカンコロニーにあつて数多の信徒を教養しつつあり。基督再臨に就いて教を乞はむとするものは此四人の居所を訪ねらるべし』
と読み終り、
『お寅さま、何とブラバーサは偉い信用を受けたものぢやありませぬか。もう日の出神も斯うなつちや駄目ですよ』
『何、それが御仕組だよ。これからそのサロ、マリヤとやらを、うまく説き伏せ、ブラバーサの所在をつきとめて、ウーンと云ふ程往生さしておけば、ブラバーサが救世主は此お方ですと云へば、何もかも埒が明くのだよ。御神業と云ふものは凶を変じて吉となし、過を転じて福となし、敵を味方にするのが一厘の仕組だよ』
『さう、貴方の考へ通り、うまく行くでせうかな』
『行かいでかな。「成せば成る、成さねばならぬ世の中にならぬと思ふ人の愚さ」と云ふ古歌があるだらう。さあこれから千騎一騎の活動だ。時おくれては一大事だ。何は兎もあれ、アリカンコロニーとやらに行つて、そのマリヤに会ふて来やう。さうすればブラバーサの様子が大概分るだらう』
『日の出神さまなら、その位の事は尋ねなくても様子が分りさうなものですな』
『エー、やかましいわいな。又しても小理窟を云ふのかいな。サーサ、行きませう。ブラバーサに先にしてやられちや駄目ですよ』
 曲彦はそばより、
『これお寅さま、天からきまつた救世主なら、さう騒がなくても向かふから歓迎してくれますよ。此方から自家広告しても人が用ゐなければ駄目ですがな』
『コリヤ曲彦、そりや何を云ふのだい。今の世の中は自家広告が肝腎だよ。自分の事は自分で現はさねば、自分の事は誰も認めて呉れませぬよ。死んでから千年も万年も経つて認めて呉れても駄目だからな。これ、お花さま、お前もシツカリして下さらぬと、ここは戦場ですよ』
 かかる処へボーイが西洋料理を持つて来た。守宮別はボーイに「ビールを一打ばかり持つて来い」と命じた。暫くすると、沢山の皿やコツプや、ビールを先繰り持つて来る。守宮別は目を細うし乍ら、涎をくつてビールの喇叭飲みをやつて居る。お寅は今迄喰つた事のない西洋料理を見て顔をしかめ乍ら、先繰り先繰り喰つてしまひ、
『あゝ、バタ臭い、コンナ聖地に牛の乳を飲ましたり、牛肉を喰はしたりするから駄目だわい。もう今日限り、皆さま西洋料理を喰はぬ様にして下されや。宜しいかな。何だか気分が悪くなつて来ましたよ。人間は人間の喰ふもの、馬は馬の喰ふもの、猫は猫の喰ふ物ときまつてゐるのだ。馬や猫の喰ふものを人間が喰ふのはチツと無理だわい。まして日の出神の生宮にはこんなものは喰はれませぬわい。コレ、守宮別さま、もつと清潔な食物を次から持つて来る様に云つて下さい。今度はこれで宜いが、もう、こんな汚いものは喰ひませぬからな』
『ソンナ事云つたつて、ここではこれより喰ふ物がないのですよ。辛抱しなさい』
『あゝ仕方がない、ソンナラこれからサア皆さま、コロニーとかへ行きませう。さうして、ヤコブやマリヤに会ふて一つブラバーサの様子を聞きませう』
『ブラバーサはシオン山の麓にゐると書いてあるぢやありませぬか。ソンナ処に行かずに、直にブラバーサの処に行つては如何ですか』
『ハーテ分らぬ曲だな。なぜ日の出神の云ふ通りになさらぬのかい。サーサ、小荷物をここに預けて出掛ませう。これ守宮別さま、いい加減に飲んでおきなさい。また酔ひつぶれては肝腎の通弁が出来ませぬぢやありませぬか』
『ママ待つて下さい。このうまいビールを飲まずには行けませぬ。折角遠い所から来たのですから、ユツクリして明日又訪ねる事にしませう』
『エー仕方のない、ド倒しものだな。褌の川流れぢやないがくひにかかつたら、チツとも離れはせぬわ』
 守宮別はお寅の言葉を耳にもかけず、グイグイと喇叭飲みを初め、十二本のビールをスツカリ飲んで了ひ、又手を拍つてボーイを呼んだ。ボーイは慌だしく、段梯子を上つて来た。
『お客さま、何ぞ御用ですか』
 守宮別は英語で、
『ビール、もう一打もつて来い、初めはおいしかつたが、後ほどまづい奴を持つて来て、太い奴だ。もつとうまい奴を持つて来い』
『うまいのなら何程でもありますがチツと高価いですよ』
『高いと云つても知れたものだ。うまい奴を持つて来い。兵站部はお寅さまがついてゐるからな。滅多に逃げも隠れもせぬわい。あゝ酔うた酔うた早く持つて来い。おい曲彦、貴様もチツとやつたらどうだ。そんな貧相な顔してると誰も買手がなくて貧乏神と間違へられるぞ』
と酔ふてソロソロワヤ口をたたき初めける。
(大正一二・七・一三 旧五・三〇 北村隆光録)
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