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文献名1霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
文献名2第2篇 竜宮風景よみ(新仮名遣い)りゅうぐうふうけい
文献名3第9章 祝賀の宴(一)〔1990〕よみ(新仮名遣い)しゅくがのうたげ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグウロウ(ウロー) データ凡例 データ最終更新日2024-08-07 18:04:37
あらすじ竜宮島の王である大竜身彦の命が、国津神の娘・麗子姫を妃と定めて海原国のまつりごとを始めたことを寿ぎ、大海津見の神の娘・海津見姫の神はこのめでたい出来事を祝おうと、竜宮殿にやってきた。竜宮の従神たちは姫神の来訪を喜び、歓待の準備に着手していた。海津見姫の神がやってくると、歓待の準備がすっかり整っていることに驚き、竜の島根がすがすがしく、竜神族たちが生き生きとしていることを喜んだ。そこへ大竜身彦の命を先頭に、弟姫神、数多の供神たちが恭しく進み来て、海津見姫の神の前に最敬礼をした。大竜身彦の命と弟姫神は、歓迎の歌を歌った。艶男は弟姫神のそばに立ち、先だって鏡の湖のほとりで教えをいただいたことを謝し、海津見姫の神へ歓迎の歌を歌った。海津見姫の神は、竜神族たちの姿は、月日をかけて改まり、まことの人と生まれるべきこと、また国津神の御水火(みいき)によって人となることを歌った。そして、艶男と麗子に、国津神の生言霊を宣り上げるように促した。二人は七十五声の生言霊を幾度となく繰り返しながら、大竜殿の階段を悠々と上り、奥殿深く進み入った。海津見姫の神は上段の席につき、続いて大竜身彦の命と弟姫神が左右に着席した。女神たちは列を正し、数多の竜神、魚族まで集まり来て、今日の慶事を祝しつつ、珍味に舌鼓を打ち、踊り舞った。弟姫神の麗子は、島の繁栄を願う言霊歌を歌って、今日のよき日を祝した。海津見姫の神も祝歌を歌い、身体を全きものとするために、艶男の君を守り立てて、人種を生み増やせ、と歌った。続いて大竜身彦の命が祝歌を歌い、そして再び弟姫神が、竜宮の王となって神の世を造り固める身となった決意を歌った。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年07月17日(旧06月6日) 口述場所関東別院南風閣 筆録者谷前清子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年10月25日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 209頁 修補版 校定版169頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7909
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本文  竜宮島の王者たる大竜身彦の命は、水上山の麓なる国の御祖の神の愛娘、麗子姫を妃と定め大竜殿に海原国の政を始め給ふに就き、大海津見の神の娘海津見姫の神は、前代未聞の慶事を祝せむとして鏡の湖の水門を開き入り来り給ふと聞き、あらゆる従神等は右往左往、欣喜雀躍し、姫神を歓待せむとあらゆる準備に着手してゐる。大楼門の内外には金砂銀砂を新しく敷き詰め、杉桧の梢を伐り、御通行の道を青葉にかためて、準備をさをさおこたりなかりける。
 かかる所へ時うつりて、大海津見の神の娘海津見姫の神は、父の御使として現れ給ひ、歓迎の準備全く調へるに稍驚き給ひつつ、
『来て見れば竜の島根は清しけれ
  この島人の面かがやける

 塵一つかげを止めずこの庭に
  主の神の真心を知る

 千早振る神代をかけてためしなき
  この喜びをことほぎ奉らむ

 吾いゆく道の面は桧葉の
  青き莚に満たされにけり

 歩むさへ足音のなき青莚
  神の恵の露の色かも』

 かく歌はせ給ふ折もあれ、各自礼装を凝らし、大竜身彦の命を先頭に、弟姫の神あまたの御供の神等、粛々と列をつくりて姫神の前に進み来り、恭しく最敬礼を終り、先づ大竜身彦の命は、
『久方の御空ゆ降る麗子姫
  神の恵に妻となしたり

 願はくばこの有様をまつぶさに
  父大神に伝へ給はれ

 八千尋の湖の底より出でましし
  姫の命のつかれを思ふ

 今日よりはこの島ケ根も栄ゆべし
  艶男、麗子渡り来ませば』

 姫神はこれに答へて、
『天地の開けし時ゆためしなき
  慶事に会へる君ぞ尊き

 今日よりは弟姫神と親しみて
  海の食国護らせ給へ』

 弟姫神は拍手しながら歌ふ。
『掛巻くも畏き海津見姫神の
  いでまし吾は嬉しみ迎ふ

 惟神神の経綸の綱にひかれ
  吾この島に渡り来しはや

 吾目路にふるるものみな珍しく
  また新しきこれの島国よ

 力なき吾は是よりいかにして
  この島国をひらかむとぞ思ふ

 願はくば姫神力を添へよかし
  まだ年若き乙女の吾に

 夜はゆめ昼はうつつとこの島に
  吾は迷へり島の白波

 白波の打ち寄す島に吾ありて
  神の力にのみぞすがるも』

 艶男は弟姫神の側に立ちて歌ふ。
『今のさき高き教を蒙りし
  吾は艶男よわき男子よ

 ためしなき今日の喜び寿ぎて
  来ませる姫の心畏き

 とこしへにこの島ケ根に吾ありて
  国土ひらかむと思ひ定めし

 白砂をしきまはしたり清庭に
  姫を迎ふる今日ぞめでたき』

 海津見姫の神は之に答へて、
『千早振る神もうべなひ給ふべし
  この島ケ根の喜びごとを

 竜神や魚族たちも今日よりは
  身もたましひも安く過ぎなむ

 人間の形そなへし竜神も
  いまだ全き姿にあらず

 この姿月日けみして新たまり
  まことの人と生るる日近し

 国津神の御水火なければ竜神は
  如何で生れむ人の身体に

 何となく今日は清しき日なりけり
  湖の底ひも明らかにして

 父神にこの有様を詳細に
  語らばさぞや喜び給はむ

 人間の全き身にしあらざれば
  生言霊の力もおよばず

 艶男や麗子の君は国津神
  生言霊を宣らさせ給へ』

 ここに人体を全く備へたる艶男並びに麗子の弟姫神は、海津見姫の神の先頭に立ち、声も朗かに七十五声の生言霊を歌ふ。
『アオウエイ
 カコクケキ
 サソスセシ
 タトツテチ
 ナノヌネニ
 ハホフヘヒ
 マモム
 ヤヨユエイ
 ラロルレリ
 ワヲウヱヰ
 ガゴグゲギ
 ザゾズゼジ
 ダドヅデヂ
 バボブベビ
 パポプペピ
 一二三四五六七八九十
 百千万千万の神
 守らせ給へ』
と幾度となく繰返し繰返し、大竜殿の階段を悠々と上り、奥殿深く進み入る。
 海津見姫の神は設けの上段の席に着き給ひ、稍下つて大竜身彦の命、弟姫神は左右に侍り、其他の女神は次ぎ次ぎに列を正し、数多の竜神魚族まで集り来り、「ウロウウロウ」と今日の慶事を祝し合ひ、諸々の珍味佳肴に舌鼓を打ち、殿内もわるるばかりに踊り狂ひ舞ふ。
 麗子は群集の中央に立ち、言霊歌をうたふ。
『朝日輝く夕日は照らふ
 輝く星のかずかずも
 栄の色を示すなり
 七夕姫の天降りまして
 波の上に浮くこの島を
 花咲き実る天国と
 守らせ開かせ給ひつつ
 八千代の末に到るまで
 楽土浄土と守らひつ
 稚き国原まつぶさに
 開かせ給ふぞ尊けれ
 生命の清水真清水は
 貴の聖地に湧き出でて
 限り知られぬ喜びに
 満つるも楽し神の島
 この島ケ根は昔より
 黄金花咲く国ときく
 黄金の花や白銀の
 花散る後に瑠璃や硨磲
 珊瑚、瑪瑙の玉実る
 真珠や翡翠の蕾たわたわに
 揺るるも楽し神の島
 竜の都は今日よりは
 老と若きのけぢめなく
 いやますますに栄ゆかむ
 玉の緒の生命ますます長くして
 世は高砂の松のかげ
 鶴も来て鳴け雁も来よ
 山はみどりに栄えませ
 海もみどりにとこしへに
 百の魚族うみおほせ
 うら安国のうら安く
 栄えはてなき海原の
 国土とふ国土を引きよせて
 竜宮の島の誉をば
 いやとこしへにかがやかせ
 ああ惟神神の子の
 ここに現れ来し上は
 いやとこしへの春夏の
 花の盛りを見るならむ
 踊れよ踊れよ歌へよ歌へよ
 天地の柱のゆるぐまで
 舞へよ狂へよいつまでも
 一日二日はまだおろか
 七日七夜も引きつづき
 この喜びをとこしへに
 祝ひ歌へよ祝ひ歌へよ
 祝へよ歌へよ島の子よ』
 この音頭につれて数万の竜神魚族は、大竜殿の内外に満ちあふれ踊り狂ふ状、天地もゆるがむばかりの盛況なりき。
 海津見姫の神は次席より声さわやかに歌ふ。
『天晴れ国晴れ面白や
 この島ケ根に天地の
 恵の雨は降りにけり
 百の竜神魚族も
 今日の吉き日の吉き時を
 千代のかためと歌へかし
 歌ふもよろし舞ふもよし
 踊るもうべよ天地の
 開けし時ゆためしなき
 この喜びはこの島の
 外へはやらじと寿ぎ奉れ
 主の神の御霊に生りし島ながら
 顕津男の神来まさねば
 まだ浅ましき国津神の
 数にも入らぬ竜体の
 あはれはかなき有様も
 艶男の君、麗子の君は
 ここに渡らせ来ませしなり
 この島ケ根もうき立ちて
 まことの国となりぬべし
 八尋の殿は築かれて
 碧瓦赤壁美しけれど
 住むもろもろの身体は
 未だ全きを得ざるなり
 今日の慶事に相つぎて
 艶男の君を守り立てて
 国津神等人種を
 産めよ殖せよ
 天の真砂のかずのごと
 御空の星にくらぶべく
 産めよ殖せよとこしへに』
 斯く歌ひて元の座に着き給ふ。数多の竜神等はこの御歌に歓ぎ喜び、吾を忘れて舞ひ狂ふ。ここに大竜身彦の命はすつくと座を立ち、群集の中に進み出で、声も朗かに歌ふ。
『久方の空は晴れたり荒金の
 地は開けり天津日は
 射照り透らひ月読は
 この島ケ根を隈もなく
 恵の露を降しまし
 御空の星は真砂の如く
 各自にかがやきて
 今日のよろこび祝ふなり
 吹き来る風もやはらかに
 百津桂木のかげ清く
 小鳥は歌ひ蝶は舞ひ
 草葉にすだく虫の音も
 いやさやさやに聞ゆなり
 ああ天国は生れけり
 蓬莱島は現れぬ
 吾は今日よりこの島に
 神の御種を産み殖し
 住む竜神や諸々の
 家族親族を安らかに
 守り生かさむ惟神
 喜び勇めこの殿の
 内外に集ふ諸々よ
 歌へよ舞へよ踊れよ狂へ
 大地の底のぬけるまで』
と歌へば、百の竜神魚族等は、今日限りとばかり右往左往に舞ひ狂ふ。
 麗子姫は弟姫神の資格にて、姿勢正しく階上より歌ふ。
『葭原の国土の真秀良場水上の
 山の麓に現れませる
 国の御祖の大神の
 御子と生れて十七の
 春を迎へし吾なるぞ
 神の経綸の幸はひに
 吾は思はずこの島に
 渡らひ来り竜宮の
 王となりて神の世を
 造り固むる身となりぬ
 汝竜神よ魚族よ
 この島ケ根も今日よりは
 樛の木のいやつぎつぎに栄えつつ
 八千代の椿うどんげの
 花も時じく香るべし
 喜び勇め諸々よ』
と簡単に歌ひ終り、元の席に着く。
(昭和九・七・一七 旧六・六 於関東別院南風閣 谷前清子謹録)
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