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文献名1霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
文献名2第2篇 竜宮風景よみ(新仮名遣い)りゅうぐうふうけい
文献名3第10章 祝賀の宴(二)〔1991〕よみ(新仮名遣い)しゅくがのうたげ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ引き続いて、竜神の侍女神たちは、おのおの立って祝歌を歌い、麗子と艶男が竜の島根にやってきたことを称え喜んだ。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年07月17日(旧06月6日) 口述場所関東別院南風閣 筆録者林弥生 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年10月25日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 215頁 修補版 校定版191頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7910
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本文の文字数3205
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本文  ここに大竜殿の侍女神たる女神たちは、こもごも立ちて祝歌をうたふ。
 白萩の歌。
『永久に淋しき島根と思ひきや
  花咲き匂ふ御代は来れり

 伊吹山斜面に匂ふ白萩も
  今日は恵の露を浴び居り

 山風に吹きたたかれて悩みてし
  われ白萩も匂ひ初めたり

 竜神の群に加はるわれにして
  国津御神のやさ姿見し

 言霊の貴の功を悟りけり
  この島ケ根に光添ふれば』

 桔梗は歌ふ。
『桔梗の花も漸く咲き初めぬ
  国津御神の貴の伊吹に

 桔梗の花は淋しく匂ひつつ
  今日が日までも風にもまれし

 今日よりは伊吹山吹く風の音も
  いとさやさやに響き渡らむ

 紫の花をかざして島ケ根に
  君待つことの久しかりしよ

 開けゆく島の行末思ひつつ
  わが雄心はわきたちにけり

 そよと吹く風にもゆるる身ながらに
  今日は雄々しく心ときめく

 艶男の君の面ざし伏し拝み
  露の生命を惜しまじと思ふ

 島ケ根にわれは久しく生ひたちて
  今日の喜びにあふは嬉しき』

 山吹は歌ふ。
『竜神の島根に生ふる山吹の
  花は笑へり梢は踊れり

 山吹の黄色き花も喜びの
  宴の酒に面ほてりける

 清々し艶男の君の御姿は
  伊吹の山を出づる月かも

 竜宮の王と現れし弟姫神の
  貴の姿を見ればさやけし

 久方の天津国より降りたる
  女神と仰ぎ仕へまつらむ

 何となく心楽しくなりにけり
  麗子の君天降りましてゆ

 天津日はあざやかに照り百花は
  うららかに咲く島根となりぬ

 池の面にしだれて匂ふ山吹の
  花も真直に匂ふ今日かな

 水鏡見つつ思ふも山吹の
  花の姿も今日はさやけし

 打ち仰ぐ鏡の湖の水門あけて
  あはれ姫神現れましにけり

 姫神は湖の底よりあれませし
  今日のめでたき日がらに生くるも』

 撫子は歌ふ。
『竜神の永遠に住みてしこの島に
  若撫子のゑらぐ日は来ぬ

 撫子のか弱き身にも天地の
  恵みの露にうるほふ今日かな

 皇神の清き御手もて撫子の
  わが身嬉しき今日なりにけり

 永久に今日の喜び続けかしと
  撫子われは天に祈るも

 山風に吹きまくられてなやみてし
  撫子われは蘇りける

 魚族も勇み喜びこのにはに
  伊寄り集ひて祝ぎごと宣るも

 愛らしき魚族たちも撫子も
  今日は勇みてあぎとひ拝む』

 女郎花は歌ふ。
『女郎花ばかり住まへるこの島に
  男の子艶男渡り来ませり

 野に匂ふ女郎花なれど天津風
  吹きのよろしき今日は楽しも

 伊吹山尾根に麓に咲き匂ふ
  花も喜び歓ぐ今日かな

 天津風吹きのよろしき今日の日に
  心清しく祝ぎ言宣るも

 なよ草のわれにあれども彦神の
  水火のかかれば雄々しくならむ

 雄々しかる艶男の君の御姿
  見つつふるへり伊吹の裾野に

 花のかげうつして清き鏡湖の
  底より出でし姫神あはれ

 水上山館にいませし美し神
  尊き神は来りましけり

 水上の山に栄えし君と聞けば
  われ一入に懐かしきかも

 山風に吹きあふられてなよ草の
  花恥かしきわれなりにけり

 思はずも嬉しさ余りて恋心
  歌ひしわれは恥かしきかな』

 椿は歌ふ。
『百津桂処せきまで生ひたてる
  島根も今日よりひらけ初めたり

 桂木の椿の花も今日よりは
  紅まして永久に栄えむ

 紅の花咲く椿の梢まで
  恵みの露に輝く今日かな

 永久の御代の固めと大殿に
  祝ぎ言宣らす神はかしこし

 竜神も常世の春にあひ初めて
  開き初めたり心の花の香

 玉椿の八千代までもと祈るかな
  君の嫁ぎの華やかなるを

 足引の山より湖より現れましし
  神の御姿雄々しかりける

 八千代までと契る言葉の玉椿
  栄え果てなくおはしましませ

 この島に国津神たち渡りまして
  今日の喜びひらかせ給へり

 神津代の竜神たちも聞かざりし
  喜びごとを聞くは嬉しき

 雄々しくてやさしくいます弟姫の
  神にならひてわれも尽さむ』

 白菊は歌ふ。
『昔よりかかる例もしらぎくの
  花かむばしき御代となりぬる

 白菊の花にもまして床しかる
  国津神等のかをる島ケ根

 あでやかに匂へる花の君なれば
  竜神たちのゑらぐもうべなり

 うららかに笑み栄えたる花の君を
  慕ひまつりて百神集へり

 大竜身彦の喜び如何ばかり
  われはしら菊はかりかねつつ

 曲玉の池の真清水掬む朝に
  わが見染めてし艶男の君よ

 艶男の君のかむばせ伏し拝み
  白菊われは露にうるほふ

 水底に写り給ひし艶男の
  君の姿にあこがれしはや

 水清き泉に写りし君が面は
  白菊の艶も及ばざりしよ

 祝ぎ言を宣るべき蓆にたちながら
  恥かしきかも恋歌となりぬ

 湖原に浮べる島の清庭に
  清しき君を見染めてしかな』

 山菊は歌ふ。
『山菊の名を負ふわれは一入に
  水上の山の御子にあこがる

 今日の日の喜びなくば山菊も
  君にまみゆる幸はあらまじ

 麗子の姫の嫁ぎを寿ぐか
  天津日光はうららかに照るも

 昔より例もあらぬ喜びに
  あふぞ嬉しき山菊のわれ

 伊吹山尾根吹く風に靡きてし
  われは果敢なく露にくづれつ

 山風に吹きまくられしわが身なれど
  雄々しく清しく今日より生きむ』

 石竹は歌ふ。
『なよ草のわれは女神の身なれども
  花の心は雄々しかりける

 ありがたき御代は来れりなよ草の
  われにも恵みの露を賜へり

 竜神の島の道辺に生ひ茂る
  花のかげにも月日は照らふ

 月と日の恵みの露を浴びながら
  われははつかに花と匂へり

 今日よりは尊き神の出でましに
  竜の島根は栄えゆくらむ

 草の根にひそみてすだく虫の音も
  等しく清く今日は聞ゆる

 波の上に清く浮べるこの島を
  心安国と開く今日かも

 麗しき御子の出でまし寿ぎて
  今日の宴のにぎはひにける

 なよ草のわれも雄々しく勇ましく
  今日のよき日をうたふ楽しさ

 神々の歌の言葉にひかされて
  思はず知らず踊りけるかな

 山も野も大湖原も清らけく
  澄みきらひたる今日のよき日よ

 魚族も今日のよき日を寿ぎて
  湖の底より浮び出にけり

 大魚小魚波の面にあぎとひて
  御代の栄えを祝ふ今日かな

 竜神の数の限りを呼び集へ
  宴の蓆に招かす君はも

 一柱も洩れおつるなく大殿に
  伊寄り集ひて御代を寿ぐ』

 雛罌粟は歌ふ。
『雛罌粟の吾はか弱き女神なり
  いざたち舞はむ今日の宴に

 雛罌粟の花にも似たる弱きわれの
  心をたたす今日の喜び

 喜びは外へはやらじ雛罌粟の
  弱き力のあらむ限りは

 波たてど嵐は吹けど今日よりは
  何か怖れむ雛罌粟われは

 弟姫の神現れますと聞きしより
  今日のよき日を待ちわびにける

 艶男の君は来ませり弟姫の
  神輝けり竜の島根に』

 菖蒲は歌ふ。
『深霧に包まれあやめも分かぬ島も
  月日照らひて安国となりぬ

 汀辺に紫匂ふあやめ草も
  今日は恵みの露に親しむ

 潺々と流るる水に影写す
  あやめの花は咲き初めにけり

 時じくに匂ふあやめの紫も
  今日のよき日に色優るらむ

 果てしなき御代の幸はひ思ふより
  わが魂は飛びたちにけり』

 燕子花は歌ふ。
『水清き川辺に匂ふ燕子花
  捧げまつらむ今日のよき日に

 水清きこの島ケ根は永久に
  喜び満てよ幸あれよ

 海津見の姫の現れます今日こそは
  天地ひらく心地こそすれ

 天地の神の恵みの幸はひに
  今日は嬉しき宴にあふかな

 言霊の伊照り助くる国ながら
  今日始めての御声聞きたり

 万代の礎固く築きまして
  永久にましませ弟姫の神

 艶男の君の言霊轟きて
  湖の底までゆるぎ初めたり

 果てしなき神の恵みに抱かれて
  われは住みなむこの島ケ根に』

 桜木は歌ふ。
『桜木の花麗しく咲きぬべし
  言霊宣らす神のいませば

 山の端にうららに匂ふ桜木の
  花を手折りて君に捧げむ

 大竜身彦の御代をば寿ぎて
  朝陽にかをる山桜花

 夜嵐に果敢なく散らむ桜花も
  神の恵みに千代を保たむ

 名にし負ふ大和心の桜花
  かざりて君の御前を祝はむ』

 この外、竜神たちの百の祝ぎ歌数多あれども、余りくだくだしければ、はぶくこととはなしぬ。
(昭和九・七・一七 旧六・六 於関東別院南風閣 林弥生謹録)
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