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文献名1開祖伝
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名327 元伊勢お水の御用よみ(新仮名遣い)
著者愛善苑宣教部・編
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2017-11-25 15:48:12
ページ 目次メモ
OBC B100600c27
本文のヒット件数全 2 件/国=2
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本文  明治三十四年開祖様六十六才の旧三月八日、京都府加佐郡内宮の神境・五十鈴川の水上・元伊勢にお水の御用がありました。
「世界広しといえども、生粋の水晶のお水というのは、元伊勢の天の岩戸の産盥、産釜のお水より外にはないので、その水晶のお水を汲んで来ねばならぬ」
と云う意味のお筆先が旧三月一日に出たのです。
「艮の金神の指図でないと、この水は滅多に汲みには行けんのであるぞよ。この神が許しを出したらどこからも指一本さえるものもないぞよ」
と云う意味のお筆先もありました。極めて大切な御用なので、六日前に木下慶太郎氏が下調べに行き、
「この水は昔から汲取禁制のお水であって、万一禁を犯した場合は必ず大風になり、大洪水が出ると伝えられ、何人も触れることのできぬように、特に神官が見張りをして居るばかりでなく、上の方から見下したところでは小さい流れがあって二間ばかりの板を渡さねば行かれない」
ということまで確かめて帰って来ました。
 いよいよ当日になって、開祖様のほか聖師様、二代様を初めとして一行四十二名、菅笠、蓑、ござの扮装で、お水を汲み取るために青竹の一節の筒二本を携帯して出発されました。
 内宮の松代屋に着いて一行は打ち寛ぎ、まず森津由松氏に命じて様子を見にやられましたところ、日が暮れかけて、見張りの神官が家へ引き上げるのを見届けて、森津氏は早速報告に引き返して来ましたので、木下氏は用意の竹の筒二本を携えて大急ぎで岩戸へ駆けつけました。
 行って見ると六日前に調べに来たとき見て置いた小さな流れには、大きな朽木が流れ寄って横たわっておったので、これ幸いと渡って行きました。そして産盥と産釜の水を青竹の筒の中へ満たして首尾よく松代屋へ引き揚げました。開祖様は非常にお喜びになり、そして木下氏が大きな朽木の橋の出来ていたことを申し上げますと
「それは正しく竜神様である」
と云われました。
 翌日はお礼詣りに行かれ夕方五時内宮を出発して、夜通し徒歩にて帰られましたが、綾部へ帰るまで何の御用をして来たか知らぬ者さえ多かったそうです。
 汲んで来られた生粋の水晶のお水は一旦神様にお供えした後、そのお下がりを皆で少しづつ頂き、当時の大本の井戸と出口家元屋敷の角蔵氏の井戸と、四方源之助氏宅の井戸とへ五勺ほどを入れ、残りは丹後の沓島冠島の真中、すなわち竜宮海へ差せとの開祖様の云いつけでありました。
 このお水の御用ができた頃、大本で三つの火の不思議がありました。即ちお広前のランプが落ちて大事になるところをようやく消し止めたが、それから二、三分も経たぬ間に風呂場から火が出てこれもまた大事になるところを聖師様が見付けて大騒ぎになりようやく消し止めました。するとまたある役員の背中へランプが落ちて危ういところを消し止めました。
 わずか二三分の間に三つも火事沙汰が起こりましたので、聖師様は何かの御神慮のあることだろうとお考えになって居られますと、神がかりとなられまして深い御神慮を洩らされたということです。
 尚お水はその後出雲大社より迎えた清水を合せて、六月八日開祖様は三十五名の教え子を引き連れ、沓島にお渡りになって、釣鐘岩の絶頂に登り立たれ、眼下の海原目がけて注がれ、
「あゝ艮金神常立尊よ、仰ぎ願わくば太平洋のごとく広く、日本海のごとく深き御庇護を下したまいて、この清けき産水と美わしき真清水の、海洋を一周し雲となり雨となり、あるいは雪となり霰となって、あまねく五大州を潤し、天下の曲霊を掃蕩し、汚穢を洗滌し、天を地上に建設し、黄金世界を現出せしめたまえ」
という意味の御祈願を、満腔の熱誠をこめてせられました。そして、
「この水が三年経てば世界中へ回るから、そしたら世界が動き出す。そして大本へだんだん神のお役に立つ因縁のある人が集って来る」
と云われました。
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