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文献名1霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
文献名2第1篇 向日山嵐よみ(新仮名遣い)むこうやまあらし
文献名3第6章 歌の徳〔970〕よみ(新仮名遣い)うたのとく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-24 11:11:43
あらすじ黒姫は元気よく、双方の和解を祝す宣伝歌を歌い、一同魂を磨くよう神の道を奨励した。一方徳公は、直前まで三公がお愛を掘り出してまた心変わりをさせようと画策していたことを歌い、兼公を幽霊だと思って腰を抜かしたさまなどを出まかせの滑稽な歌に乗せた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月15日(旧07月24日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月25日 愛善世界社版59頁 八幡書店版第6輯 494頁 修補版 校定版63頁 普及版21頁 初版 ページ備考
OBC rm3506
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本文の文字数2323
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本文  黒姫は元気よく歌をうたつて、双方の和解を祝す。その歌、
『三千世界の梅の花  一度に開く時は今
 天教山や地教山  黄金山にあれませる
 三五教の大神の  尊き教は四方の国
 隈なく光り輝きて  心を筑紫の熊襲国
 山の奥まで鳴り渡る  実にも尊き神の道
 虎公さまを初めとし  大蛇の三公と聞えたる
 竜虎の如き両人が  心の底より打ち解けて
 尊き神の御教に  服ひ給ひし畏さよ
 天ケ下なる人草は  高き低きの隔てなく
 老若男女の嫌ひなく  国治立大神や
 豊国主大御神  造り給ひし御子なれば
 互に睦び親しみて  神の造りし神の世に
 生き存らへて御恵の  露に潤ひ喜びの
 花を開かせ実を結び  千代万代の末までも
 同じ心に睦び合ひ  栄え行くこそ人の身の
 此世に生れし務なり  虎公さまは最愛の
 お愛の方や妹の  お梅を無残に三公の
 指図の許に虐まれ  無念の涙を抑へつつ
 神の心を省みて  凡ての仇を神直日
 心も広き大直日  見直し給ひし尊さよ
 神は吾等を守ります  人は神の子神の宮
 神と神とは善と善  善に刃向ふ仇はない
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 今日の生日の喜悦を  千代も八千代も変らずに
 続かせ給へ天津神  国津神等百の神
 国魂神の御前に  三五教の黒姫が
 謹み敬ひ喜んで  感謝の詞奉る
 いざこれからは皆の人  心の隔てを取り払ひ
 親と子の如親しみて  心の玉を磨きつつ
 神の大道に服へや  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 誠の力は世を救ふ  誠は此世の宝ぞや
 金剛不壊の如意宝珠  麻邇の宝珠は麗しく
 如何に尊くあるとても  誠の魂には如かざらめ
 魂を磨けよ諸人よ  魂の功績を永久に
 崇むる身こそ楽しけれ  あゝ惟神々々
 御魂幸はへましませよ』
 徳公はツと立ちてうたひ出した。
『あゝ惟神々々  神の恵みを蒙りて
 徳公が此処に言霊の  お歌をうたひ奉る
 大蛇の三公と云ふ人は  本当に腹の悪い人
 今の御歌で伺へば  夜前の中に木花の
 姫の命の御化身に  天地の道理を聞かされて
 心の雲を吹き払ひ  正しき身魂となりながら
 今の今まで知らず顔  徳公さまを急き立てて
 向日峠の山麓に  埋めて置いたお愛さま
 一日も早く助け出し  何処かの山へ連れ行きて
 うまくお前が抱込んで  竹の柱に萱の屋根
 手鍋さげても構はぬと  お愛の方が吐すまで
 うまくやつつけ呉れよやと  誠しやかに急きたてて
 お酒に酔うた徳さまを  無性矢鱈に急きたてる
 誠に腹の悪い人  外の事とは事変り
 冗談云ふにも程がある  呆れて物が言はれない
 本当に馬鹿にされました  斯んな事だと知つたなら
 心配するのぢや無かつたに  思へば思へば馬鹿らしい
 与三公の奴まで騙されて  本当になつて徳公よ
 早く行かなきや親方が  大きな目の玉むき出すと
 脅し文句を並べたて  章魚禿頭に湯気立てて
 勧めくさつたこと思や  夢か現か幻か
 分らぬ様になつて来た  今日も思はぬ酒の席
 天下は極めて太平だ  兼公の奴がヒヨロヒヨロと
 此処へ帰つて来た時は  亡者が俺等の首とりに
 やつて来たかと肝潰し  腰を抜かした苦しさよ
 さはさりながら一同の  顔をばよくよく眺むれば
 何れも愉快の顔の色  此奴ア大事アあるまいと
 高を括つて虎公に  腰をば揉んで下さいと
 抜けても居ないわが腰を  瀬踏みの為めに突き出せば
 怨みを忘れた虎公は  困つた奴ぢやと言ひながら
 私の後にツと廻り  擦つてくれた御親切
 この徳公もこれを見て  轟く胸を撫で下し
 ヤツと安心したわいな  あゝ惟神々々
 神の御神酒を沢山に  皆さま飲んで下さんせ
 私が飲ますぢやない程に  大蛇の親分三公が
 秘蔵して居た甘い酒  地獄の上を飛ぶ様な
 肝放り出して惜気なく  社会の為めに投げ出した
 由緒の深き酒ぢやぞえ  決して遠慮はいりませぬ
 ズブ六さまに酔ひ潰れ  舌も廻らず目も見えず
 足さへ立たぬ処まで  遠慮会釈はない程に
 ガブガブ飲んで下さんせ  親分さまの酒ぢやもの
 私の懐中痛まない  ほんに結構な結構な
 目出度い事が出来てきた  「ドツコイドツコイ ドツコイシヨ」
 酒は酒屋に よい茶は茶屋に  別嬪さまは此処に居る
 お愛の方やお梅さま  何卒今から打ち解けて
 私に一杯甘酒を  何卒酌して下さんせ
 黒姫さまはチと許り  お年は召して御座るけど
 矢張女に違ひない  男の手から貰ふより
 女の方が味がよい  さあさあ皆さま踊りませう
 飲んだり食つたり跳ね廻り  謡うて一夜を明かさうか
 八岐大蛇の霊まで  三公さまの体内を
 雲を霞と脱け出して  今は尊き神の宮
 御神酒あがらぬ神はない  三公親分御守護神
 嘸や嘸々御満足  お愛の方も虎公も
 御一同様も御満足  序に私も御満足
 千客万来いつまでも  昼夜分たず酒に酔ひ
 面白可笑しう暮したい  之が一生の徳さまだ
 あゝ惟神々々  燗でも冷でも構はない
 早く一杯ついで呉れ  序にも一つついでくれ
 本当に甘い酒だなア  こんな良い酒持ちながら
 大蛇の霊に憑依され  俺等に隠して三公さま
 飲んで居たのに違ひない  昨日出したる甘酒は
 腐つた様な酒だつた  もうこれからは親分よ
 お前も改心したからは  お前は悪い酒を飲み
 乾児の奴にや良い酒を  ドツサリ飲ましてやらさんせ
 悪虐無道の三公が  神の光に照されて
 改心したと云ふ証  思ひ違ひのない様に
 此徳公の言ふ事を  うまく呑み込んで下さんせ
 あゝ惟神々々  燗した酒は尚甘い』
と口から出任せに謡ひ乍ら舞ひ狂ふ。
(大正一一・九・一五 旧七・二四 北村隆光録)
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