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文献名1霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
文献名2第2篇 黄金清照よみ(新仮名遣い)おうごんせいしょう
文献名3第5章 人の心〔1070〕よみ(新仮名遣い)ひとのこころ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-12-18 19:33:21
あらすじレーブとタールは急な谷川になかなか降りられず、十町ばかり下手の浅瀬に下りて、そこからようやく五六丁ばかり上って三人(ハム、イール、ヨセフ)を探した。二人は女の身ながら恐ろしい巡礼だと警戒を新たにしながら、三人を捜索した。見れば、三人とも川岸の真砂の上に体をうずめて横たわっていた。そしてヨセフとイールを介抱し始めた。大将格のハムは普段からよほど部下に嫌われていると見えて、レーブとタールは悪口をたらたら言いながら、一向に助けようとしない。ハムは自分でウンウンウンと唸りだした。ハムは起き上がり、レーブとタールが自分の悪口を言って助けようとしないのを一部始終聞いていたのだと二人を叱りつけた。レーブとタールは驚いて、介抱していたイールとヨセフをその場に置いて逃げてしまった。ハムは残されたイールとヨセフを蘇生させようと介抱したが、両人は目を覚まさない。そこへ宣伝歌が聞こえてきた。ハムは三五教の宣伝使が歌う、バラモン教調伏の宣伝歌を聞いて肝をつぶし、イールとヨセフを置いてこれまた逃げてしまった。ハムが血を流しながら逃げる姿を谷道から眺めた照公は、照国別に谷川で何やら事件が起きたらしいことを告げた。照国別は谷底を眺めて様子を探るすべを考えている。
主な人物 舞台河鹿峠 口述日1922(大正11)年10月22日(旧09月3日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月5日 愛善世界社版67頁 八幡書店版第7輯 303頁 修補版 校定版69頁 普及版26頁 初版 ページ備考
OBC rm3905
本文のヒット件数全 1 件/宣伝歌=1
本文の文字数3746
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本文  レーブ、タールの両人は三人の同役が二人の女に脆くも谷底に、とつて放られたるに肝を潰し、十町ばかり逃げのび、そこより漸くにして谷川に下り三人を救ふべく岩を飛び越え浅瀬を渡り、漸くにして五六丁ばかり上りつめた。
レーブ『オイ、タール、ひどい奴が現はれたものぢやないか。ハムの大将、女子供と侮つて、思はぬ不覚をとりよつて……あの態……俺や女の天狗かと思つたよ』
タール『随分肝玉の太い巡礼ぢやないか。あの口のきき様と云ひ、武術の鍛錬してる事と云ひ、こりや一通りの女ぢやあるまいぞ。天狗ぢやあるまいけど聞けば三五教の信者と云つて居つたから、是から女に出会つても軽々しく相手にはなれないぞ。然し三人の奴はうまく助かつて居るだらうかな。俺はそれ計りが案じられて仕方がないわ』
レーブ『落ちた処で直様、谷川へ顛落して頭を打つと云ふ事もあるまい。これだけ谷を塞ぐ位木が茂つてるのだから、何れ途中で木にかかつて居る者もあらうし、三人が三人迄谷川に落ちて死んでゐるやうな事もあるまい。然しハムの大将、ありや屹度神罰が当つたに違ひないぞ。不断からの心掛が悪いからな。もしまだ虫の息でもあつたら助けちやならないぞ。イール、ヨセフの二人を前に助けて彼奴ア、後まはしにして放つといてやらうかい』
タール『さうだなあ、それでも宜いわ。然しあの女は随分素敵な者だつたな。あんなナイスを女房にもつたら男子としては中々の光栄だぜ』
レーブ『そんな陽気な事を云うてる場合ぢやあるまい。サア早く三人の所在を探して何とかせなくてはなるまい。愚図々々して、こんな谷底で日を暮したら、それこそ大変だ。獅子、狼や大蛇の餌食にしられて了ふぞ。サア行かう』
と先に立つて、いろいろと工夫し乍ら谷川を伝ひ上り行く。
 二人は漸くにして三人の投げ込まれた谷底へ辿りつき、四辺を見渡せば不思議にも岩と岩との間の真砂の上に半分ばかりグサと体を埋めて横たはつて居る。
レーブ『何と不思議な投げられやうぢやないか。これだけ沢山な岩石があるのに三人が三人とも都合よく真錦の様な真砂の中にグツと投げ込まれ、安閑と眠つて居やがる、投げられるものも中々気が利いて居るが投げたものも中々気が利いて居るなあ』
タール『オイ、そんな事ア、後でゆつくり話す事にして早く水でも与へて呼び生かさぬ事にやサツパリ駄目だぞ。然し約束の通りハムだけは助けぬ事にしようかな。一層の事、今の内に川に投げ込んで此儘水葬してやつたら面倒が残らなくて宜いぞ』
レーブ『まづ俺はヨセフを介抱するからお前はイールの方を介抱してやれ。魂返しで遠く肉体を離れた霊魂を元の肉体へヨセフと云ふ段取だ。タールお前は一旦出た魂を元の体へ易々とイール様にするのだぞ。ハムは谷川へ流して置けば、うまく、くたばり大きな魚が出て来て頭からハムだらう。アハヽヽヽヽ』
と云ひ乍ら、二人はヨセフ、イールを捉へて人工呼吸を施してゐる。一時ばかり経つて漸くフウフウと息を吹き出しウーンと云ひかけた。
レーブ『サア、しめた。もう二人は大丈夫だ。ハムの奴、態ア見やがれ。此奴ア後まはし処か、日頃の行ひが悪く憎まれてゐるものだから、斯う云ふ時には誰も助け手がない。神さまだつて素知らぬ顔して厶るからな。人間と云ふものは憎まれぬ様にせなくてはいかぬぞ。人は一人で立つ事は出来ぬものだ。持ちつ持たれつ、お互に助け合うて渡る世の中だ。渡る浮世に鬼はないと云ふが、此ハムは俺達同僚にでも憎まれて居やがるから、此奴ア本当の人鬼だ。鬼が冥土に行つて鬼に苛責まれるのも面白からう。ウフヽヽヽ』
 ハムはウンウンウンと呻り出した。
レーブ『ヤア、此奴は放ツといても勝手に生き返るぞ。憎まれ子は世に覇張る……と云つて悪運の強い奴ぢやな。今の中に放り込め放り込め。さうせにや俺達の頭の上る時節がないワ』
タール『そんな者にかかつて居つたら、此処迄折角人工呼吸したものが中途に駄目になつて了ふワイ』
レーブ『それもさうだ。俺達二人は今此手を止める訳にも行かず、さうだと云つて放つて置けばハムの奴、だんだん生き返るなり、も一人、連れが欲しうなつた。これだから人間は共同生活の動物と云ふのだ』
 ハムはウン ウン ウンと大きく呻り、
『レヽヽヽレーブ、タヽヽヽタール、其様な無礼な事を吐すと罰があタールぞよ。ウフヽヽヽヽ』
レーブ『ヤア、此奴ア大変だ。生き返りやがつたな。オイ、タール、早く埒をつけぬと取返しのつかぬ事が出来るぞ』
タール『ウン』
ハム『コラコラ、其手をゆるめたが最後二人の生命は助からないぞ。貴様の最前からの話は一伍一什残らず聞いて居たのだ。憎まれ子のハムが、も一つ覇張つてやらうか、レーブ、タールの小童子共、ハムさまが一つ水葬をしてやるから、さう思へ。イヒヽヽヽ』
 レーブ、タールは吃驚して、
『ヤア、此奴ア大変だ』
と一目散に二人を其場に捨てて谷川を伝ひ伝ひ逃げ出す。ハムはムツクと起き上り、
『アツハヽヽヽ人間の心と云ふものは分らぬものだ。レーブ、タールの二人の奴、俺が死んだと思ひやがつて、口を極めて嘲弄し、助けよまいとして相談してゐやがつたが、天罰と云ふものは恐ろしいものだ。何は兎もあれ、イール、ヨセフの両人を助けてやらねばなるまい』
と云ひ乍ら谷水を掬ひ口に含ませ、一生懸命に介抱して居る。けれども両人は容易に息を吹き返しさうにもない。
 斯かる処へ谷の木谺を響かして宣伝歌が聞えて来た。
『神が表に現はれて  善神邪神を立て別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 直日に見直し聞き直し  天ケ下には鬼もなく
 醜女探女もなき迄に  言向和し治め行く
 神素盞嗚大神の  守らせ給ふ三五の
 神の教の宣伝使  大黒主に憑りたる
 八岐大蛇を言向けて  誠の道に救ひ上げ
 世界に名高き印度の国  光り輝く天津日の
 高天原の楽園と  立て直すべく出でて行く
 われは照国別宣使  鬼雲彦や其外の
 猛き魔神も言霊の  伊吹に払ひ清めなば
 如何に強者多くとも  朝日に露の消ゆる如
 悪魔は忽ち退散し  心の空を塞ぎたる
 村雲ここに吹き散りて  名詮自称の月の国
 月照彦の御守りと  治まり行くは目のあたり
 あゝ惟神々々  神の御霊を輝かし
 三五教の神力を  天地四方に拡充し
 天津御国へ復り言  白さむ事の楽しさよ
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  大黒主は強くとも
 七千余国に蟠まる  魔神の数は多くとも
 誠一つの三五の  教に苦もなく言向けて
 救ひ助くる天の道  進めよ進めいざ進め
 照公梅公国公よ  神はわれ等と倶にあり
 仮令悪魔の現はれて  暴威を揮ひ八千尋の
 深き谷間に落すとも  神の守りのある限り
 如何でか魔神を恐れむや  死すべき時の来りなば
 畳の上に居るとても  必ず死るものぞかし
 皇大神の御心に  叶ひまつりし其上は
 一日も長く世の為めに  召し使はむと思召し
 水火の中を潜るとも  必ず救はせ給ふべし
 あゝ惟神々々  御霊幸ひましませよ。
    ○
 河鹿峠の此景色  蒔絵の如く美はしく
 錦織りなす佐保姫の  袖ふりはへて吾顔を
 撫でさせ給ふ風の袖  今吹く風は神の風
 悪魔を払ふ神の水火  勢ひ強き曲神を
 吹き払ひ行く嵐風  あゝ面白し面白し
 心の駒に鞭韃ちて  一日も早くフサの国
 月の国をば横断し  枉の砦を悉く
 言向和して月の国  一大都会と聞えたる
 ハルナの都に立ち向ひ  大黒主を初めとし
 鬼熊別の醜司  言向和さむ楽しさよ
 あゝ惟神々々  御霊幸ひましませよ』
 此声、耳に入ると共に谷底に二人の介抱して居たハムは、忽ち顔色を失ひ、
『ヤア、これや大変だ。最前の女の身内の奴が応援に来よつたのだ。愚図々々しては居られない。二人の生命も大変だが俺の生命が肝腎だ』
と云ひ乍ら、又もや谷川を岩を飛び越え浅瀬を渡り猿の如く渡つて行く。山腹の谷道から照公はフツと此姿を眺め、
『モシ、宣伝使様、此谷底に妙な奴が今走つて居ます。あれ御覧なさい』
と指す。照国別は、
『何、人が此谷底に』
と云ひ乍ら、よくよく見下せば顔から血を垂らし乍ら猿の如く一人の男が駆け出すのが、ありありと見える。
照公『モシ、此谷底に何か大惨劇が演ぜられて居るのぢやありますまいか。合点の行かぬあの男の様子、一つ谷底へ下りて調べて見ようぢやありませぬか』
照国別『ウン、調べて見ようかな』
国公『オイ、照公、此断岩絶壁を如何して下りる積りだ。三間や五間の処なら空中滑走してでも着陸を無事にする事が出来ようが、斯う深い谷底では如何ともする事が出来ぬぢやないか』
照公『ウン、さうだなあ。然し彼処まであの男も行つたのだから、何処かに道があるだらう。先づ宣伝使様にお任せして、調べよと仰有るなら調べるなり、もう止せと云はるれば止しにするのだ。俺達は宣伝使様の命令通りにして居れば落度はないからな』
梅公『モシ宣伝使様、あまり深い谷底でハツキリは分りませぬが、如何やら二人の人が殺されてる様です。大方今逃げた奴が殺して逃げたのでせう』
と息を喘まして谷底を指す。照国別は谷底を眺めて、
『如何にも怪しい。何とかして様子を探つて見ようかな』
(大正一一・一〇・二二 旧九・三 北村隆光録)
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