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文献名1霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻
文献名2第2篇 立春薫香よみ(新仮名遣い)りっしゅんくんこう
文献名3第8章 スマート〔1282〕よみ(新仮名遣い)すまーと
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-06-10 15:45:31
あらすじ六と八が怖気づいてぶるぶる震えながら夜を過ごしていると、一本橋の向こうから提灯を下げて杢助がやってくるのが見えた。六と八は、恐ろしい剛胆なことを言って野宿に熟睡している初稚姫は、本物の姫ではなく、化け物が化けているのではないかと杢助に訴えた。杢助と六と八のやり取りの中、初稚姫はやにわに旅支度を整えて起き上がり、斎苑館の総務として仕える父・杢助が、神務を忘れてわが子を気にかけて出てくるはずがないと言い残し、夜中にもかかわらずすたすたと進んで行ってしまった。初稚姫は河鹿峠の坂口の岩に腰かけて休みながら、昨夜の杢助、六、八三人のことを不審に考えていた。そこへ三人がやってきて、杢助は言い残したことがあるから追いかけてきたのだ、と話しかけた。初稚姫は、旅立ちにあたってわが子を気にかけて追いかけてくるような卑怯な父は持っていないときっぱり答えた。そして杢助に化けているのは、自分を邪道に導こうとする妖怪だろうと言い放った。六と八はこれを聞いて、杢助を疑い始めた。杢助は初稚姫、六、八に対して怒ったが、初稚姫が天の数歌を歌いあげるとたちまち、唐獅子の正体を現した。初稚姫は平然として天津祝詞を奏上し始めた。唐獅子が初稚姫にかみつこうとしたとき、後ろの方から山犬が現れ、疾風のように唐獅子に飛びついた。唐獅子は一目散に逃げて行き、山犬はその後を追跡して行った。初稚姫は神様の試にあって及第したようだと喜び、驚いて倒れていた六と八に、館に帰って自分の無事を杢助に報告せよと告げ、足早に河鹿峠を登って行った。初稚姫が峠を登って行くと、先ほどの猛犬が尾を振りながら駆けてきて後をついてきた。姫が坂の頂上で休息すると、猛犬も前にうずくまって尾を振っている。初稚姫は犬の働きに感じ、スマートと名を与えて家来となし、ハルナの都までついてくるようにと告げた。初稚姫は犬を抱いていたわり、スマートはワンワンと鳴きながら尾を振り、感謝の意を表している。初稚姫はスマートを得て心強くなり、宣伝歌を歌いながら河鹿峠の南坂を下って行った。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月18日(旧12月2日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年11月5日 愛善世界社版111頁 八幡書店版第9輯 72頁 修補版 校定版114頁 普及版51頁 初版 ページ備考
OBC rm4908
本文のヒット件数全 2 件/宣伝歌=2
本文の文字数4087
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本文  夜風は寒く吹雪さへ  まじりて淋しき草枕
 露の蓐をやすやすと  初稚姫は眠れ共
 臆病風に誘はれし  六公八公両人は
 歯の根も合はずガタガタと  慄ひ戦き抱き合ひ
 夜の明けゆくを一時も  早かれかしと祈りつつ
 宙に飛ばした魂の  据ゑ所なき憐れさよ
 暗はますます深くして  天津空には星さへも
 見えぬ許りの黒雲に  包まれ胸はドキドキと
 戦く折しも時置師  神の命の家の紋
 付けた提灯ブラブラと  一本橋の向方より
 此方に向つて足早に  進み来るを両人は
 眺めてハツと胸を撫で  これぞ全く時置師
 神の命のわれわれを  救はむ為に遥々と
 イソの館を立出でて  来らせ玉ふものならむ
 卑怯未練な有様を  見せまいものと両人は
 俄にムツクと立上り  近寄る提灯打ながめ
 貴方は杢助御主人か  六公八公で厶ります
 仰せに従ひ姫様の  度胸を甘くためさむと
 茲まで進み来て見れば  初稚姫に似たれ共
 まだ十七の初心娘  柄に合はないことを言ふ
 此奴ア、テツキリ妖怪奴  初稚姫の御身をば
 うまうま喰ひ吾々を  騙さむ為に姫となり
 ここにグウスウ八兵衛と  大胆至極に寝てゐます
 何卒々々御主人の  お出でありしを幸に
 姫の仇を吾々と  力を併せ討つてたべ
 残念至極で厶います  私もすでに妖怪の
 餌食たらむとせし所  ウブスナ山の神徳で
 貴方を茲に遣はして  一つは姫の仇を討ち
 一つは家来を助けむと  お越しなさつた有難さ
 早く御査べ下さんせ  それそれそこにあの通り
 バツチヨ笠をばひつかぶり  グウグウ鼾をかいてゐる
 大胆不敵の化物と  いふ声さへも慄ひつつ
 語れば杢助打笑ひ  卑怯未練な六八よ
 そも世の中に化物と  誠のあるべき筈がない
 貴様は余程卑怯者  其化物はどこにゐる
 早く案内致せよと  一声呶鳴れば両人は
 ハイハイ只今それ其処に  鼾をかいて居りまする
 貴方は先へ御出張  遊ばしませ腰の骨
 何とはなしに慄ひ出し  私の命令を聞きませぬ
 自由の身体となつたなら  どんなことでも聞きませう
 斯かる折しもムクムクと  笠を被つて立上る
 片方の長き芒原  初稚姫は優しげに
 三人の男に打向ひ  汝等三人の荒男
 何用あつて真夜中に  妾が跡を慕ひ来る
 六、八、二人は兎も角も  杢助などと佯つて
 ここに来れる可笑しさよ  そも杢助はイソ館
 総務の役に仕へたる  尊き司の身を以て
 吾子のことが気にかかり  神務を忘れてはるばると
 慕ふて出て来る向ふ見ず  左様の訳の分らない
 妾は親は持ちませぬ  正しく悪魔の変化して
 吾等の行手を妨害し  神務を遂行させまいと
 企みしものと覚えたり  早々此場を立去れよ
 妾は初稚姫神  汝に構つてゐる暇は
 なければ是より出でて行く  汝等三人トツクリと
 善からぬ相談するがよい  お先へ御免と云ひながら
 蓑を被つて杖をつき  スタスタ進み出でて行く
 杢助後より声をかけ  オーイオーイと云ひ乍ら
 六、八、二人を従へて  姫の後をば追ひ来る
 初稚姫はトントンと  天津祝詞を奏上し
 神歌を歌ひ進み行く  夜はホノボノと明けそめて
 あたりも明くなりぬれば  道の片方の岩石に
 腰うちかけて息休め  少時思案に暮れにける。
 初稚姫は河鹿峠の坂口の岩の上に腰うちかけ、
『昨夜現はれし怪物は合点のゆかぬ代物だナア。六、八両人と言ひ、父の杢助と云ひ、合点のゆかぬことだなア。妾が首途の時、あの様に素気なく云つた吾父が、妾を慕つて追つかける位ならば、モウ少し優しい言葉をかけさうな筈。大神様の、妾が心を試さむ為の御計らひだらうか、何につけても合点のゆかぬことだなア』
と差俯いて思案に暮れてゐる。そこへ突然現はれたのは杢助、六、八の三人であつた。
杢助『オイ其方は初稚姫だないか、なぜ父があれ程呼び止めるのに待つてくれないのだ。一言お前の旅立について言つておきたいことがあつた。それを忘れたに仍つて、後追つかけ、言ひきかしに来たのだ』
初稚『妾はお前さまの様な卑怯未練な親は持ちませぬ。能く考へて御覧なさい。貴方が果して杢助とやら言ふお方ならば、なぜイソの館に専心お仕へなされませぬか。何事も一身一家を捧げて神に仕へるとお誓ひなさつた杢助ぢやありませぬか。ヤツパリ貴方も年が老つたとみえて耄碌しましたねえ。妾はイソの館の大神様より直接使命を受けた、年は若うても、立派な宣伝使で厶います。最早悪魔の征途に上つた上は、立派に使命を果す迄、杢助さま何かに用は厶いませぬ。早く御帰りなさいませ。併しお前は本当の杢助さまぢやありますまい。其耳は何ですか、獣の様にペラペラと動いているぢやありませぬか。初稚姫がハルナの都に参ると聞き、手をまはして出発の間際に妾を邪道に引入れ、目的の妨げを致さうとするのだらう。いかなる魔術も初稚姫に対しては一切駄目ですよ。ホヽヽヽヽ、マアマア能くも巧に化けましたねえ』
杢助『其方は父に向つて何といふ無礼なことを言ふのだ。これ見よ、何程耳が動いても、これは風が吹いてゐるからだ。風が吹けば耳許りか、木の葉でさへも、大木でも動くだないか、流石は子供だなア。親の心は子知らずとはお前のことだ。此杢助は何程冷淡に見せて居つても、心の中には愛の熱涙が沸き立つてゐるのだ。左様なことをいはずに人間は老少不定だ。不惜身命的神業に参加するお前、これが別れにならうも知れぬと思ひ、態々ここ迄、夜の目も寝ずに、御用の隙を考へて追つかけて来たのだ。親の心もチツとは推量してくれ、初稚姫殿』
初稚『ホツホヽヽヽ、うまい事お化けなさいますなア。妾は二人の父は持ちませぬ、いい加減にお帰りなさい。何と云つても駄目ですよ』
六『もし姫様、此杢助様はさうすると本真物ぢや厶いませぬか』
初稚『本真物か贋物か、頭の上から足の爪先迄、能く見て御覧』
八『オイ六、姫様の仰有る通り、様子が変だぞ。御主人に本当に能く似てゐるが、何となしに腑におちぬ所があるぢやないか』
六『コヽコラ、モヽ杢助のバヽ化物、ドヽ何うぢや、姫様の眼力には往生致したか』
杢助『コラ六、主人に向つて不都合千万な、化物扱ひに致すことがあるか、八、貴様も六と同じやうな奴だ。今日限り暇を遣はすから、モウ、イソ館へ帰るには及ばぬツ』
六『貴様の様な化物の乾児になつてたまるかい。のう八公、さうではないか』
八『さう共さう共、本当の杢助様の御家来だ。こんな耳の動く奴の家来になつてたまるかい。コラ化州、何時だと考へてる、モウ夜明けだないか。可いかげんスツ込まぬかい』
杢助『アツハヽヽヽ六、八の両人、若も此方が本当の杢助であつたら何と致す』
六『ナアニ、本当の杢助であつた所が構ふものかい。暇を貰つたら姫様の後に従いて、何処迄でもお供するのだ。のう八公』
初稚『六、八の両人、一時も早く御帰りなさい、妾は飽迄一人旅でゆかねばならぬ。今に此化物の正体を現はし往生さして見せるから、お前さまは早く御帰りなさい』
と云ひ乍ら、天の数歌を唱へ上げた。杢助は忽ち、牛の如き怪物となり、
『ウー』
と唸りを立て、目を怒らし、牙を剥き出し、初稚姫を目がけて飛びかからむとし、前足の爪を逆立て、大地の土をかいて、爪を尖らしてゐる。初稚姫は平然として天津祝詞を奏上し始めた。六、八の両人は此姿をみて、顔色土の如くに変り、其場に打倒れ、チウの声も得上げず慄ふてゐる。怪獣の顔をよくよくみれば、巨大なる唐獅子である。唐獅子は初稚姫をグツと睨めつけ、猛然として咬みつかむとする一刹那、後の方より『ウー』と又唸り声、何者ならむと、後ふり返れば、逞しい大きい山犬である。山犬は大獅子に向つて、疾風の如く飛び付いた。獅子は一目散に細くなつて、逃げてゆく、山犬は獅子の跡を追跡する。初稚姫は後見送つて打笑ひ、
『ホツホヽヽ、始めての神様の試しに会うて、お蔭で及第した様だ。ヤア六、八、最早心配は要らぬ、一時も早く吾家へ立帰り、父の杢助に、初稚姫は大丈夫だから御安心遊ばせと伝へてくれ、左様ならば』
といふより早く、足早に河鹿峠を登り行く。六、八両人はヤツと胸を撫でおろし、神言を称へ乍ら、杢助館を指して、又日が暮れては一大事と急ぎ帰り行く。初稚姫は只一人宣伝歌を歌ひ乍ら、河鹿峠を登り行く。以前の猛犬慌ただしく駆来り、初稚姫の前になり、後になり尾を掉つて、嬉しさうにワンワンとなき乍ら、駆けめぐる。初稚姫は漸く坂の頂上に達し、四方の景色を眺め乍ら、少時腰を卸して休息した。以前の猛犬は初稚姫の前に蹲まり、耳を垂れ目を細くし、尾を掉つてゐる。
『其方はどこの山犬か知らぬが、随分敏活な働きをする者だ。これから妾の家来として上げよう。ハルナの都まで従いて来るのだよ。而してお前には「スマート」といふ名を上げませう』
と云ひ乍ら、猛犬を抱へ、首筋を撫でなどして労はつてゐる。スマートは頻りに尾を掉り、ワンワンと叫び乍ら、感謝の意を表してゐる。初稚姫は此犬を得て非常に心強くなり、宣伝歌を歌ひ乍ら、河鹿峠の南坂を下りつつ歌ふ。
『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 悪魔の征途に上り行く  初稚姫の魂を
 査べむ為か父となり  或は巨大な獅子となり
 妾が首途を遮りて  所存の程を調べしか
 但しは誠の曲神か  心に解せぬ事あれど
 只何事も一身を  神に任せし上からは
 仮令如何なる事あるも  初心を曲げずドシドシと
 人にたよらず皇神の  神言のままに真心を
 尽して往かむ吾心  仮令曲津は行先に
 さやりて仇をなすとても  吾には神の守りあり
 今又神はスマートを  吾行先の供となし
 与へ玉ひし尊さよ  神は吾等と共にあり
 吾等は神の子神の宮  いかでか恐れむ敷島の
 大和心をふり起し  ハルナの都に蟠まる
 八岐大蛇を言向けて  神素盞嗚の大神の
 誠をあらはし奉り  五六七の御代を詳細に
 普く地上に建設し  三五教の神力を
 現はし奉る神の道  進みゆくこそ嬉しけれ
 あゝ惟神々々  御霊幸ひましませよ』
と歌ひ乍ら進み行く。
(大正一二・一・一八 旧一一・一二・二 松村真澄録)
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