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文献名1霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
文献名2第4篇 修理固成よみ(新仮名遣い)しゅうりこせい
文献名3第15章 花に嵐〔857〕よみ(新仮名遣い)はなにあらし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-02-13 17:07:59
あらすじこの地方の住人は言依別命と国依別命の教えにより、飢饉の際にお留の御倉魚を食料とすることを許されて、餓死の危機を免れることができた。そのため、たちまち三五教の勢いはこの地を席巻した。言依別命が旅立ってからは、国依別が御倉の社を中心として祭祀を執り行い教えを説き、宣伝歌を作って国人たちを導いていた。国依別は、信者の中からすぐれて熱心なパークスという男を選んで足彦と名を与え、御倉の社の宣伝使と任命して後事を託し、自らは言依別命の命にしたがってヒルの国を目指して旅立った。国依別がチルの里にさしかかると、ウラル教の宣伝使・ブール、ユーズ、アナンらが立ちはだかり、三五教に信者を奪われた怨みをはらそうと、国依別を取り囲んだ。しかし球の玉の神力を身につけた国依別の霊光に照らされて、ウラル教徒たちは逃げ散ってしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月15日(旧06月23日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月15日 愛善世界社版180頁 八幡書店版第5輯 636頁 修補版 校定版192頁 普及版71頁 初版 ページ備考
OBC rm3015
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本文  言依別命、国依別の宣伝使の理解に依りて、此地方一帯の住民は殆ど全滅せむとしたるを、御倉魚を食することを許されてより、忽ち元気恢復し、且つ言依別命を始め国依別の宣伝使を神の如く尊敬し、直に救世済民の教は三五教に若くものなしと、数十万人の人々はウラル教を脱退して悉く三五教に入信して了つた。併し乍ら言依別命は早くも此地を去りたれば、跡に国依別只一人、御倉の社を中心として教勢忽ちに振ひ、猫も杓子も、三五教にあらざれば救はれ難し、又正しき人間には非ざるべしとまで崇拝するに到りける。
 国依別は三五教の教理を諄々として説きさとし、且つ天津祝詞や神言を教へ、御倉の社に国治立命、豊国姫命其他の諸神霊を合祀し、崇敬の的と定めた。国依別は、又一種の宣伝歌を作り、国人に平素高唱すべく教へ導きける。
国依別『高天原に現れませる  国の御祖の大御神
 国治立大神は  普く世人を救はむと
 天の御柱つき固め  国の御柱つきこらし
 瑞の御霊と現れませる  豊国姫大神と
 力を合せ玉ひつつ  神世を開かせ玉ひけり
 天足彦や胞場姫の  醜の霊に現れませる
 八岐大蛇や醜狐  曲鬼共がはびこりて
 世は常暗となり果てぬ  皇大神は是非もなく
 千座の置戸を負ひ玉ひ  天教山の火坑より
 根底の国に落ち玉ひ  豊国姫と諸共に
 深く其身を忍ばせつ  此世を守り玉ひけり。
 ウラルの彦やウラル姫  大国彦や大国の
 姫の命の枝神は  天地四方の国々を
 醜の煙に包まむと  曲の教を開きつつ
 世を曇らせし忌々しさよ  天津御空に現れませる
 神伊弉諾大神は  妹伊弉冊の大神と
 大空高く渡したる  天浮橋に立ち玉ひ
 泥に沈みし海原を  コオロ コオロに掻き鳴らし
 神生み国生み人を生み  天教山にましませる
 日の出神や木の花姫の  貴の命に神業を
 授け玉ひて葦原の  瑞穂の国を開きけり
 あゝ惟神々々  神の御稜威のいや高く
 教の道のいや広く  埴安彦や埴安姫の
 神の命と身を変へて  黄金山下に出現し
 三五の月の御教を  完美に委曲に説き玉ふ
 これぞ誠の三五の  錦の機の御教ぞ
 あゝ諸人よ諸人よ  尊き神の御光りに
 一日も早く目を覚ませ  朝日は照る共曇る共
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 三五教の御教を  夢にも忘るること勿れ
 神を忘れし其時は  身に苦しみの来る時
 心の悩みの来る時ぞ  如何なる事のありとても
 神を忘れな三五の  道の誠に離れなよ
 神は汝と倶にあり  神の御水火を受つぎし
 人は神の子神の宮  神に次での第一に
 尊き者ぞ人の身は  決して賤しき者ならず
 曇り汚れし人の身と  教へて諭す御教が
 ありと知るなら逸早く  互に心を注ぎ合ひ
 邪道に陥ること勿れ  国魂神を斎りたる
 御倉の山の竜世姫  大地の主と現れませる
 金勝要大神の  珍の御霊の分霊
 高砂島に永久に  鎮まりゐまして国人の
 幸を守らせ玉ふなり  如何なる教の来る共
 国魂神を余所にして  心を曇らす事勿れ
 竜世の姫を祀りたる  御倉の山の社こそ
 国治立大神に  次で尊き神なるぞ
 あゝ惟神々々  神の心に立返り
 すべての物を慈み  互に争ふこと勿れ
 神を尊び国の君  敬ひまつり世の人に
 神の恵を隈もなく  輝き渡すは神の子と
 生れ出でたる人草の  朝な夕なに守るべき
 誠一つの務めなり  三五教の神司
 国依別が此地をば  去るに臨んで国人に
 記念の歌を作りおく  アヽ国人よ国人よ
 暇ある毎に読み慣ひ  歌に踊りに音楽に
 合して心を慰めつ  此世を守り玉ひます
 皇大神の御心を  和めまつれよ此歌に
 歌は天地の神霊を  感動さする神秘ぞや
 世間話や無駄話  云ふ暇あらば一時も
 夢にも忘れず此歌を  神の御前は云ふも更
 山の上行くも又河へ  浸る時しも村肝の
 心長閑に歌へかし  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ  此世を造りし神直日
 心も広き大直日  只何事も人の世は
 直日に見直せ聞直せ  過ちあれば宣り直す
 三五教を呉々も  忘れざらまし何時迄も
 世人の為に残しおく』
 斯く歌を作りて、最も熱心なる信者の中にて気の利いたるパークスと云ふ男に、足彦と云ふ名を与へ、宣伝使の列に加へ御倉の社を守りつつ、国人に三五の教理を説き諭すべく命じおき、国依別は又もやここを立出でて、ヒルの国の都を指して進み行く。
 チルの里の荒しの森に差かかる時しもあれや、黄昏の暗に紛れて現はれ出でたる四五人の男、国依別の前に大手を拡げ、
甲『其方は三五教の宣伝使、よくも吾々に恥を見せよつたなア。かく申さば別に名乗らずとも、此方の名は分つて居る筈、サアどうぢや。如何に其方、弁舌巧なりとて、実行力には叶ふまい。尋常に手をまはすか、但はチルの渓谷に、吾々監視の下に身を投げて自滅いたすか、それも不服とあらば、吾々一同気の毒乍ら、剣の錆となし呉れむ。いかに汝勇猛なればとて、数百人の味方を以て、十重二十重に取巻あらば、いつかないつかな、身を逃るるの余地なかるべし。吾れは云はずと知れたウラル教の宣伝使、ブール、ユーズ、アナンの面々だ。御倉の谷間に於て神の禁じた神魚を食ひ、剰つさへ国人に残らず食はしめたる憎くき天則違反の張本人! ウラル教が数百年の努力を一朝にして水泡に帰せしめたる悪人輩、サア覚悟を致せ!』
と呼ばはる声に、自然に集まる数十人の人影、『ワーイワーイ』とどよめき来る騒々しさ。国依別大口あけて高笑ひ、
『アツハヽヽ、卑怯未練な汝等が振舞、御倉山の谷あひに於て、猫に追はれし鼠の如くチウの声さへ得あげず、コソコソと逃げ帰りたる卑怯者、かかる為体にて、いかで神の御子たる人草を教化せむ事、思ひもよらず。汝等卑怯にも衆を恃んで、只一人の宣伝使を苦めむとする腰抜共、見事、相手になるならなつて見よ。吾言霊の神力に依つて一人も残さず誠の道に言向け和し、汝が奉ずるウラル教を根底より改革しくれむ。あゝ面白し面白し』
と又もやカラカラと打笑ふ。ブール、ユーズ、アナンの大将連は寄り来れる数十人の味方に何事か合図をなすや、一斉にバラバラと国依別に向つて武者ぶり付かむとする其可笑しさ。国依別は『ウン』と一声息をこめ、右手の示指を以て、彼等一同に速射砲的に左から右へ振りまはせば、球の玉の神力を身に納めたる国依別の霊光は一しほ光強く、何れも眼眩み這う這うの体にて逃げ去るもあり、其場に打倒れて苦悶するもあり、恰も嵐に花の散る如く、ムラムラパツと逃げ散る可笑しさ。国依別は此浅ましき敵の姿を見て、又もや大声に、
『アツハヽヽ、面白い面白い』
(大正一一・八・一五 旧六・二三 松村真澄録)
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