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文献名1霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻
文献名2第1篇 照門山颪よみ(新仮名遣い)てるもんざんおろし
文献名3第4章 妖子〔1454〕よみ(新仮名遣い)ようし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ家令のオールスチンは群衆に踏み倒されて館にかつぎこまれ、日夜苦悶を続けていた。小国別は仮死状態に陥り、デビスとケリナの二人の娘は帰ってこず、三千彦の行方もわからなくなり、小国姫は悲痛の淵に沈んでいた。館の中にはオークス、ビルマの二人が切り盛りをしていた。小国姫は二人を招いて相談をした。オークスとビルマは、三千彦をけなし、しきりにワックスを跡取りとするよう小国姫に勧めた。そして自分たちを家令とするよう小国姫に承諾させてしまった。そこへ小国別の容態が変わったと知らせが来たため、小国姫、オークス、ビルマの三人は急ぎ病床へ向かった。小国別はむっくと起き上がり、三千彦とオールスチンに会いたいと告げた。オークスは、三千彦は町民の怒りの的となり、オールスチンは踏み倒されて、両人とも頼りにできないため、自分たちが家令に任命されたと小国別に報告した。小国別は、家令職はオールスチンの認可を得た上で、ハルナの都の大黒主の許可を得なければ任命することはできないと叱りつけた。オークスは、三五教の三千彦を館に引き入れた罪を大黒主に注進すると小国別夫婦を脅しつける。小国別は、このような悪人を決して使ってはならぬと怒気を含んで怒鳴りたてると、昏睡状態に陥った。小国姫は、小国別の命令だからこれきり館への出入りを禁じるとオークスとビルマに申し渡した。オークスは、小国別夫婦を国敵として訴えると脅し文句を居丈高に述べ立てると、ビルマと共に表に駆けだした。牛にぶつかって養生していたエルは、ようやく館に戻ってきた。玄関にてふと走り出てくるオークスとビルマに出会った。エルは二人の相好がただ事ならないのに不審を起こして声をかけた。オークスとビルマは、小国別夫婦に脅迫的に迫ってここまで来たが、うっかり町民に妙なことをしゃべって後の取りまとめに困ってはならないと思っていたので、これ幸いとエルの呼びかけに応じて受付に座り、ひそびそ話にふけった。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月24日(旧02月8日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年5月24日 愛善世界社版45頁 八幡書店版第10輯 274頁 修補版 校定版47頁 普及版19頁 初版 ページ備考
OBC rm5704
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本文  館の家令オールスチンは、老齢衰弱の身を大勢の荒男に所構はず踏み倒され、ワックスの介抱に依りて再び息は吹き返したものの、苦しみに堪えず、吾館に舁つぎ込まれ、発熱甚だしく、日夜苦悶を続けて居た。
 一方館に於ては小国別は仮死状態に陥り、囈言計り云うて居る。さうしてデビス、ケリナの両女は行衛は容易に分らず、又力と頼む三千彦の行衛も分らなくなり、小国姫は悲痛の淵に沈み、身をワナワナと慄はせ乍ら、世を果敢なみ、生たる心地はせなかつた。されど如何にもして一時なりとも夫の病を長引せ二人の娘に会はせたきものと、夫のみ力に日を送つて居た。館の中はオークス、ビルマの両人が万事切り廻して居る。受付のエルは牛に睾丸を潰されたきり、綿屋の奥の間で高枕をして苦しんで居る。小国姫はオークス、ビルマを居間に招き、種々と相談をかけた。二人は時節到来、ワックスの思惑を成就させ、甘い汁を吸はむものと胸を躍らせながら、素知らぬ顔して心配気に俯向いて居る。
小国姫『オークス、お前に折り入つて相談したい事がある。旦那様はあの通り何時お帰幽なさるか知れぬ御容態、又家令のオールスチンは重病で苦しんで居るなり、ワックスは旦那様や、オールスチンの病気平癒のために荒行に行くと云つて出たきり顔を見せないし、二人の娘は未だ帰つて来ず、若もの事があつたら、如何したら好からうか、お前も一つ考へて貰ひ度いものだがなア』
オークス『実にお気の毒な事が出来したもので厶いますワイ。お館計の難儀ではなく宮町一統の難儀で厶います。貴女はバラモン教の館を守護する役であり乍ら、素性の分らぬ三五教の魔法使を町民に内証で引き入れなさつたものですから、此様な惨い目に会はされたのです。これからは些と吾々の云ふ事も聞いて貰はなくてはなりませぬ。町中の噂によれば、あの三千彦と云ふ奴は、三五教きつての魔法使で、お館に最も大切な如意宝珠の玉を忍術をもつて奪ひ取り、お館に有るにあられぬ心配をかけて置き、進退維谷まる場合を考へ澄まし、バラモン教の宣伝使に化けて這入つて来よつたので厶います。夫故今迄家に厶つたデビス姫様迄お行方は分らぬ様になり、此町中は大切な御神具を残らず盗まれ、大変な大騒動で厶います。こんな事が町民に分らうものなら、夫こそ貴女の御身の大事、大きな顔して此お館には居られますまい。そつと早馬でハルナの都に報告でもしようものなら、旦那様は病気で亡くなられたとした所で、お前さまは逆磔刑にあはされるでせう。大変な事をして下さつた。私は貴女の境遇に御同情をすると共に、貴女の御処置を恨んで居ます。もし斯んな事が大黒主様のお耳に入らうものなら、吾々もどんな刑罰に会はされるかも知れませぬ。今後はちつとオークスの云ふ事も聞いて貰ひ度いものです』
小国姫『あの三千彦さまに限つてそんな悪党な方では有りませぬぞや、夫は何かの間違ひでせう。金剛不壊の如意宝珠を隠したのは決して三千彦さまぢやない、家令の悴のワックスに間違ひないのだ。あれが吾娘デビス姫を無理往生に娶らむとして種々とエキス、ヘルマンなどを使ひ企んだと云ふ事は明瞭り分つて居るのだよ。勿体ない、誠の宣伝使にそんな罪を被せるものぢやありませぬ』
オークス『奥様、夫が第一貴女のお考へ違ひです。ワックスさまは何を云うても家令の悴、このお館が立ち行かねば自分の家も立ち行かないのですから、よう考へて御覧なさい、そんな不利益の事をなさいますか。そこが三五教の魔法使の甘い所で……ワックスさまは人がよいから、塗りつけられたのですよ。奥の奥を考へて貰はねば実にワックスさまに気の毒で厶いますワ。よく考へて御覧なさいませ。三千彦と云ふ魔法使は、町民の鬨の声に驚かされて雲を霞と逃げ失せ、旦那様はどう贔屓目に見ても御養生は叶ひますまい。そして家令のオールスチンさまも御本復は難いこの場合、此お館のお力になる者は誰だと思召す。ワックスさまより外無いぢやありませぬか。貴女はワックスさまをお疑ひなさると、これ程人気の有るワックスさまの為に町民が承知致しませぬぞや。よく胸に手を当ててお考へにならないと、お館の一大事で厶います』
小国姫『ハテ合点のゆかぬ事だなア、ビルマ其方は何と思ふか』
ビルマ『ハイ私は町内の噂を調べて見ましたが、ワックスさまは本当に偉い人ですよ。三五教の魔法使が隠して置いた如意宝珠をも、甘く自分が罪を負ふと云うて吐き出させなさつたので厶います。真実の忠臣義士と云ふのは、あのワックスさまで厶います。あの宝が無かつたらお館は勿論、宮町一同が大黒主様から所刑に遇はねばならぬ所を助けて下さつたのだから、テルモン国の救世主だと云つて居ます。どうしてもデビス姫様の御養子になさつて此国を治めねば町民が承知しませぬ。私は別にワックスさまがお世継にならうとなるまいと利害関係はないのですから、ワックスさまの為に弁護は致しませぬ。中立地帯に身を置いて、自分の所信を包まず隠さず申上げます』
小国姫『町民迄がさう信じて居る以上は、どうも仕方がない。兎も角今日の場合、養子にするせぬは後の事として、一度ワックスさまに来て貰ひ度いものだなア』
オークス『それは結構で厶いますが、ワックスさまは神様の為め、お館の為、町民の為め、命がけの業をすると云うて出かけられましたから、お行衛が分らず、何時帰らるるとも見当が付きませぬ。就ては家事万端を処理する役員が無ければ不都合で厶いませう。家令はあの通り胸板を踏まれ、恢復の見込みは立ちませぬ、二人の姫様は行方が分らず、旦那様は御重病、誰か家令を新にお命じなさらなくては、一日も館の事務が執れますまい。私も門番位勤めて居つては大奥の御用は出来ませぬしなア』
小国姫『アアそんなら、順々に抜擢してお世話にならう。受付のエルを臨時家令となし、お前は受付になつて貰はう、さうすれば万事万端都合よく運ぶであらう』
オークス『成程それは順当で至極結構でせう。併し乍ら、エルさまの慌者、旦那様が、まだ命のある中から御帰幽になつたと云うて町中を触れ歩き、大勢を騒がし、お負に牛の尻に突き当り睾丸を踏み潰され、綿屋の離室に有らむ限りの苦しみをして居ります。さうして道端に繋いであるあれ程大きな牛が目に付かないやうな事では門番も出来ないと云うて、町中の笑はれ者になつて居りますよ。あんな慌者が家令にでもならうものなら、お館の威勢は申すに及ばず、神様の御威勢迄も落ちると云つて、町中の大反対で厶います。夫はおよしになつた方がお為で厶いませう』
小国姫『ハテ困つた事だなア。そんならワックスが帰つて来たら、暫し親父の代理を勤めさす事に致しませう。夫迄お前は臨時家令の役をやつて貰ひ度い』
オークス『私のやうな不都合な者は、到底臨時家令のやうな事は出来ませぬ。平にお断り申します、却てお館の不都合な事を仕出かすといけませぬから。総て臨時と云ふものは水臭い文字で、本気にお館の為に尽すと云ふ気が出て来ませぬワ』
ビルマ『一層の事、ドツと張り込んで、オークスさまを家令に任命なさつたらどうでせう、屹度それ丈の腕前は厶いますよ。貴女は奥にばかり厶るから外の事情は分りますまいが、私が証明致します。町民一同の希望はワックス様を御養子となし、オークスさまを家令と遊ばし、さうして○○を家扶にお命じになれば、お嬢様も帰られ、お妹御のケリナさまも無事帰られると云ふ噂で厶います。世間の噂と云ふものは余り馬鹿にはならぬもので厶いますよ。神様の為め、お館の為め、それが最善の方法と私は考へます』
小国姫『○○を家扶にせいとは誰の事だい、もつと明瞭りと云うて貰はなくては分らぬぢやないか』
ビルマ『ヘイ、到底申し上げた所で門番位が家扶には成れますまい。云はぬが花で厶いませう』
小国姫『ホホホホホ、ビルマ、自分を推薦して居るのだらう。お前も抜目の無い男だなア』
ビルマ『此頃の世の中は盲人計りで厶いますから、自分から自分の技能を発表しなくては、何時になつても金槌の流れ、栄達の道はつきませぬ。正真正銘のネットプライスの技量を放り出して、それをお認めになる御器量があればよし、無ければ時節到らぬと覚悟するより外は厶いませぬ。私を御採用なければオークスだつて決して家令の職に置きませぬ。此男も今度の事件については、チと弱点……いや弱点は無いのです。貴女がそつと魔法使を引き入れなさつたのが弱点ですから、吾々二人が揉み消し運動をやつたので、町内の騒ぎがやつと治まつたので厶いますからなア』
小国姫『そんなら仕方がありませぬ。お前を臨時家扶に命じませう』
ビルマ『モシ奥様、臨時家扶と云ふのは釜焚きとは違ひますよ。家令の次の職、重職で厶いますよ。念の為め一寸申上げて置きます』
小国姫『門番が家扶に出世したら結構ぢやないか。此館は大黒主様の命令で家令一人と定つて居るが、家扶を置く事は出来ないのだから、気の毒乍らお前は門番頭で辛抱して下さい』
 かかる所へ一人の看護婦が慌しく入り来り、
『奥様早く来て下さいませ、旦那様は御臨終と見えまして、大変御様子が変つて参りました』
と心配さうに云ふ。小国姫は胸を撫でながら慌しく主人の病室に駆けり行く。オークスはビルマと共に小国姫の後に従ひ病室に入る。小国別は俄にムクムクと起き上り、痩こけた顔の窪んだ目を光らせ乍ら、
小国別『女房お前は何処に行つて居た。最前から大変待ち兼ねて居たぞよ、さうして二人の娘はまだ帰つて来ぬかノウ』
小国姫『ハイもう軈て帰るで厶いませう。まだ何とも便りが厶いませぬ』
小国別『ハテ困つた事だなア、此世ではもう娘に遇ふ事が出来んのかなア。エエ残念ぢや』
小国姫『旦那様、何卒気を落さないやうにして下さい、屹度神様のお蔭で会はして下さるでせう』
小国別『三千彦の宣伝使様や家令は何処へ行つたかなア、早く会ひたいものだ』
小国姫『三千彦様は俄にお行衛が分らぬやうになりました。屹度娘二人を迎ひに行つて下さつたのでせう』
小国別『ウン夫れは御苦労だなア。屹度会はして下さるだらう。家令のオールスチンはまだ来ぬか、何をして居るのだらう』
小国姫『ハイ、一寸用が厶いますので、つひ遅れて居ます、やがて参るで厶いませう』
オークス『モシ旦那様、家令のオールスチンは町民に胸板を踏み折られ、九死一生の苦しみを受け自館に帰つて居られます。そして町中は三五教の魔法使をお館へお入れなさつたと云うて、鼎の沸くやうな騒ぎで厶います。そこを私等二人が鎮定致し、今奥様と御相談の上、私がたつた今家令となりましたから、何分宜敷くお願ひ申します。今後は粉骨砕身、十二分の成績を挙げてお目にかけますから御安心下さいませ』
小国別『お前は門番のオークスぢやないか。何程人望があると云つても、さう一足飛びに門番が家令になると云ふ訳にはゆくまい。奥、お前はそんな事を許したのか』
小国姫『ハイ、……イイエ』
とモジモジして居る。
小国別『家令を任命するには何うしてもオールスチンの承諾を得、彼が辞表を出した上でハルナの都に伺ひを立て、其上でなくてはならぬ。さう勝手に定める訳にはいけぬ。この館は特別だから何事も大黒主様に伺はねばならぬ。よもや真実ではあるまい。奥、お前は当座の冗談を云ふたのであらう』
 小国姫はモジモジしながら幽かな声で『ハイ』と一言、俯向いて居る。
オークス『苟くも館の主人の奥様とも在らう方が、冗談を仰有らう筈はありますまい。奥様のお言葉は金鉄よりも重いものと信じて居ります。何と仰有つてもオークスは当家の家令で厶います。万事万端館の事務を取調べ、ハルナの都に報告を致さねばなりませぬ。何処迄も此オークスを排斥なさるならば、三五教の魔法使をお館へお入れなさつた事を大黒主様に注進致しませうか、それでも苦しうは厶いませぬか』
と命旦夕に迫つて居るのにつけ込んで無理やりに頑張つて居る極悪無道の曲者である。
小国別『これ奥、私はお前の見る通り、今度はどうも本復せないやうだ。何うか一時も早く三千彦さまを尋ね出し、此館のお力となつて頂け。あの御神力をもつて守つて頂けば、如何に大黒主の神、数万の軍勢をもつて攻め寄せ来るとも恐るる事は要らぬ、かやうな悪人を決して吾死後用ひてはならぬ。今日から門番を免職して呉れ。エエ穢らはしい』
と衰弱の身心に怒気を含み、呶鳴り立てた。それつきり又もやグタリと弱り、忽ち昏睡状態に陥つた。
 小国姫は、身も世もあらぬ悲しみに浸されながら、故意とに涙を隠し容を改め、両人に向ひ、
『オークス、ビルマの両人、其方は御主人様の命令だから、気の毒乍ら只今限り此館を帰つて下さい。仮令どうならうとも其方のやうな傲慢無礼な僕に厄介にならうとは思はないから、……モシ旦那様何卒御安心下さいませ』
と耳に口を寄せて声を限りに涙交りに述べ立てた。小国別は幽かにこの声が耳に入つたと見え、力無げにニタリと笑ふ。オークスは横柄面を曝し乍ら威猛高になり、
『モシ奥様、旦那様は大病に悩み耄けて居らつしやいます。決して仰有る事は真ぢやありませぬ。熱に浮されたお言葉、左様な事を本当になさるやうでは此お館は大騒動が起りますよ。今日此お館を双肩に担うて立つものは、ワックスや吾々二人の外に誰がありませうか。克くお考へなされませ。門番は家令になれないと仰有いましたが、何と云ふ階級的の考へに捉はれて居らつしやるのですか。昔常世城の門番は、直に抜擢されて右守の司になつたぢやありませぬか。それも失敗の結果でせう。吾々はお館の危急を救つた殊勲者です。若しお気に入らねば仕方はありませぬ、吾々は吾々としての一つの考へが厶います、後で後悔なさいますなよ。町民一般が大切な宝を盗まれたのも、みんな三千彦の魔法使によつて大勢の者が難儀をして居るので厶います。云はば三千彦は町民の敵で厶います。其敵を何時迄もお構ひなさるのならば、矢張貴方方御夫婦は国敵と認めます。大黒主のお開きなされた此霊場を、みすみす三五教の奴に蹂躙せられるとは、町民一般の忍び難い所でせう。私を家令にお使ひなさらぬなら、たつては頼みませぬ。此始末を町民に報告致します。さうすれば町民は、貴方方をバラモン教の仇、神様の敵として押し寄せて参ります。お覚悟なさいませ』
と云ひ放ち、勢鋭く表へ駆け出す。睾丸を牛に踏み潰され、綿屋の離室に養生して居たエルは漸う二三人の子供に送られて玄関に帰つて来た。オークス、ビルマの二人は玄関にてふと出会うた。エルは二人の相好の唯事ならぬに不審を起し、
エル『オイ、両人、血相変へて何処へ行くのだ。是には何か様子があるであらう、まづ俺に聞かして呉れ。何とか仲裁してやるから』
 オークス、ビルマの両人は脅迫的に此処迄来たのだが、うつかり町民に妙な事を喋つて、後の取纒めに困つてはならぬと思つて居た矢先、エルに止められたので、これ幸と二人は受付にドツカと坐し、密々話に耽つて居る。
(大正一二・三・二四 旧二・八 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)
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