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文献名1霊界物語 第62巻 山河草木 丑の巻
文献名2第5篇 金竜世界よみ(新仮名遣い)きんりゅうせかい
文献名3第24章 神瑞〔1599〕よみ(新仮名遣い)しんずい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年05月14日(旧03月29日) 口述場所教主殿 筆録者明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年10月16日 愛善世界社版282頁 八幡書店版第11輯 226頁 修補版 校定版308頁 普及版61頁 初版 ページ備考
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本文の文字数2577
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本文
  第四八二

    一

 大空ゆ黄金の鳩は下りけり
  御文啣へて綾の聖地に。

    二

 御教と御名を広けく伝ふべく
  天翔り往く八咫烏は。

    三

 永久に身は奥津城の墓を蹴り
  白鳥となりて天翔りましぬ。

    四

 吹き棄つる伊吹の狭霧にあれませる
  剣の御霊瑞の大神。

  第四八三

    一

 生命の主はヨルダンの  河瀬の波を押しわけて
 聖き御園に来りまし  天津御国の音づれを
 委細に宣らす珍の声  風のまにまに聞えけり
 黄金の鳩は御空より  神の御園の嫩葉をば
 含みて清く下り来る  神の選みし大聖地
 都の空ぞ美しき。

    二

 栄えの園にいそいそと  進み往く身は五十鈴の
 河の流れに御禊して  罪の跡なき神御霊
 神の御足の跡を追ひ  夜なき国へ上り往く
 永久の備への為ぞかし

    三

 いと新しき奥津城の  深きに隠れたまひたる
 教御祖の霊は  天津使に伴はれ
 日の若宮に昇りまし  老いず死らず喜びと
 栄えに充てる楽園に  御跡とどめて葦原の
 下津御国の人草に  恵の露を垂れたまふ
 あゝ惟神々々  恩頼を給へかし。

  第四八四

    一

 水仙の花は散れども惜むまじ
  神の御園の種を残せば。

    二

 白雲にまがふばかりの花の山を
  仇に散らすか醜の曲風。

    三

 故郷に帰りて如何に詫びぬべき
  醜の嵐に散りし花の身は。

    四

 花とばかり輝く月にあこがれて
  知らず知らずに神国に入る。

    五

 御空照る月の光のなかりせば
  夜の旅路を如何に進まむ。

    六

 さやかなる月の御顔を拝まむと
  出でにし庭に松の露散る。

    七

 科戸辺の風の姿は見えねども
  真帆の孕みを眺めてぞ知る。

  第四八五

    一

 皆人の眠りにつける真夜中に
  醒めよと来なく山杜鵑。

    二

 千早振神の社の大前に
  剣かざして大和舞する。

    三

 忍び音に啼く杜鵑声涸れて
  今は血を吐くよしもなきかな。

    四

 風雅人の耳には入らぬ杜鵑
  嘆きの声は杣人のみ聞く。

    五

 杜鵑声は御空に啼き涸れて
  月の影のみ後に慄へる。

    六

 杜鵑啼く音を聞けばしかすがに
  心悲しくもなりにけるかな。

    七

 山々を啼き渡りつつ杜鵑
  賤が伏屋の空に来にけり。

    八

 清き友の寄りて仕ふる赤心を
  雲井につげよ山杜鵑。

  第四八六

    一

 足曳の山の彼方に月澄みぬ
  仰ぎ慕へよ瑞の光を。

    二

 月の神闇を晴らして円山の
  清き御空にのぼらせたまふ。

    三

 電燈の光も月の出でぬれば
  うとまれにけり道行く人に。

    四

 草の葉におく白露のいと清く
  月の光の添ひて守れる。

    五

 夕立の雲晴れゆきて大空に
  涼しき月の影さやかなり。

    六

 駒留めてしばし拝まむ円山の
  珍の御空に輝く月を。

    七

 小雲波も静に水の面に
  うつれる月の影は砕けつ。

    八

 水底に影をうつせし松ケ枝に
  月は澄みけり魚も住みけり。

  第四八七

    一

 天の河小雲のにうつせしか
  機織姫の衣を洗へる。

    二

 月沈む綾の大橋うちわたり
  高天原にのぼる神人。

    三

 野辺に咲く花の姿にあこがれて
  宿りたまふか月の大神。

    四

 奥山の紅葉の錦散らぬ間に
  求ぎて来れよ鹿の鳴く音を。

    五

 三五の月の光を求ぎて来よ
  草葉の露に袖ぬらすとも。

    六

 神の道踏み分けゆけば嬉し野の
  木々の梢に宿る月影。

    七

 雲の上の貴人達に聞かせたし
  谷間に歌ふ鶯の声。

  第四八八

    一

 雁の便りも聞かぬ山の奥に
  世を救はむと泣く人のあり。

    二

 澄み渡る秋の月影眺むれば
  瑞の御霊の偲ばるるかな。

    三

 荒風に吹き捲られて白露に
  おく月影も散りてけるかな。

    四

 草の葉の露に宿れる月影を
  醜の嵐の散らすうたてさ。

    五

 幾褥重ねてさへも寒き夜半
  御空の月は霜に宿かる。

    六

 老いぬれど澄みきる月を眺むれば
  又若がへりたる心地こそすれ。

    七

 花散りて見る影もなき梢にも
  月は静に輝きにけり。

    八

 夕暮に悲しげに鳴く秋の虫の
  声聞くごとに世をば果敢なむ。

  第四八九

    一

 虫の音は早くも絶えて草枯れの
  野辺にも清く月は照りぬる。

    二

 御教を聞きて袂を絞りつつ
  露野を分けて参る嬉しさ。

    三

 白露の光目出度輝くは
  月の御神の在せばなりけり。

    四

 賤ケ家の軒端の菊はしをれけり
  唯一度の霜のいたみに。

    五

 山々の木草も如何に育つべき
  清けき月の露なかりせば。

    六

 凩や時雨に脆く砕かれて
  朝露に匂ふ紅葉散りぬる。

    七

 照りはえし高雄の山の紅葉も
  いつ木枯の吹かぬものかは。

    八

 高砂の尾上の松も秋の夜の
  月しなければ淋しかるらむ。

  第四九〇

    一

 御空飛ぶ高雄の山の紅葉も
  色づき初めて冬近づきぬ。

    二

 変り往く色こそ見えね常磐山
  紅葉の色もうつりけるかな。

    三

 澄み渡る月の桂は清くして
  暗き高雄の峰を照らしつ。

    四

 晴れ曇り時雨往きかふ冬の空に
  月の光はひとりさやけし。

    五

 日に月にうつろひ初めし紅葉の
  果敢なく散らむ冬は来にけり。

    六

 日の光月の恵の露を受けて
  唐紅に照れる紅葉。

    七

 神無しの月の御空は凩の
  今吹かずとも紅葉散り行く。

    八

 千鳥鳴く声も激しき浪の音に
  妨げられて聞かぬ時かな。

  第四九一

    一

 室にさく千花の色は赤くとも
  神の恵の薫りなきかな。

    二

 大本に参来集へる信徒は
  一度汲めよ玉の井の水。

    三

 神垣の厳の光を白梅の
  薫に心移ろひにけり。

    四

 袖なしの衣の胸に散る花は
  常世の国の姿なりけり。

    五

 人恋ふる心に道はなきものを
  など醜鬼のさやるなるらむ。

    六

 飽きかけし夫婦の中も草枕
  旅にし行けば又思ふかな。

    七

 膝元に仕へまつりし時よりも
  恋しくなりぬ神の大前。

    八

 別れても亦逢阪の関の戸を
  開かむ道を備へおかまし。

    九

 小雲深き心はとめずとも
  又慕はしくなるものぞかし。
(大正一二・五・一四 旧三・二九 於教主殿 明子録)
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