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文献名1霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻
文献名2第5篇 神風駘蕩よみ(新仮名遣い)しんぷうたいとう
文献名3第21章 祭政一致〔1745〕よみ(新仮名遣い)さいせいいっち
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2018-07-15 10:24:08
あらすじスダルマン太子は、父カラピン王に面会し、今までのことを謝し、心を改めて後を継ぐことを誓った。そして父王の死後、カラピン王2世となり、仁政を敷いた。アリナ、バランス、シャカンナはそれぞれ国政に就き、スダルマン太子を助けた。大宮山の盤古神王の社は、梅公別の指揮で、社が三棟に造営された。中央には大国常立尊と豊雲野尊、左の宮には神素盞嗚尊と大八洲彦尊、右側の宮には盤古神王と国魂の神を鎮祭した。以下、神殿造営に関わる歌を抜き出します。新王(スダルマン太子)「三五の神の教を今よりは あが国民に教へひろめむ」妃(スバール姫)「天つ神国津御神を斎ひつつ 吾が神国の御民を治めむ」アリナ「大神と吾が大君の御ために 心も身をも捧げまつらむ」梅公別「皇神の貴の御光現はれて 世の基をば開く今日かな」梅公別は新王をはじめ重臣たちに神の教えを説き諭し、再び白馬にまたがり、師、照国別の隊に合流すべく、駈けて行った。
主な人物 舞台 口述日1925(大正14)年01月30日(旧01月7日) 口述場所月光閣 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1926(大正15)年9月30日 愛善世界社版278頁 八幡書店版第12輯 255頁 修補版 校定版283頁 普及版69頁 初版 ページ備考
OBC rm6821
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本文  スダルマン太子は宣伝使に送られ、一行と共に無事タラハン城内に立帰り、父の大王に面会し、今迄の不都合を謝し、且つ今後は心を改めて、父の後を継ぎ、国家万機の政事を総攬せむ事を誓つた。カラピン王は太子の姿を見るより、喜びの余り気が緩み、ガツカリとした其刹那、忽ち人事不省に陥り、四五日を経て八十一才を一期となし、此世に暇を告げた。太子は父王の位を継承しカラピン王第二世と称し、天下に仁政を布き、国民上下の区別を撤回し、旧習を打破し、国民の中より賢者を選んで、夫れ夫れの政務に就かしめ、下民悦服して皷腹撃壤の聖代を現出した。アリナ及びバランスは国法の命ずる所に従ひ、一時牢獄に投ぜられたが、太子が王位に即くと共に大赦を行ひ、両人は僅に一週間の形式許りの牢獄住居を遁れ、アリナは天晴右守司となつて国民上下の輿望を担ひ、輔弼の重任を尽し奉つた。そして民衆救護団長たりし大女のバランスを妻に迎へ、アリナの家は子孫代々繁栄した。又バランスはスダルマン太子の即位と共に民衆救護団の必要なきを感じ、部下一般に対して、解散の命を下した。左守司のガンヂーはカラピン王の後を逐うて、之亦眠るが如く帰幽した。浅倉山の山奥に隠れてゐた前左守司シャカンナは新王に召されて、城中に入り元の如く左守の職に就き、国政の改革に全力を傾注し、国民一般の大に信任を得た。太子の最も寵愛せしスバール姫は王妃の位に上り、殿内の制度を自ら改革し、従前の因習や情実的採用法を全廃し、賢女を集めて殿内の革正に努めた。又向日の森の辺に住む茶坊主のタルチンはスバール姫に終身仕ふる事となつた。毒婦シノブの為にインデス河に投込まれた王女のバンナ姫はバランスの部下に救はれ芽出度宮中に送り帰され、トルマン国の太子に懇望されて其妃となつた。大宮山の盤古神王の社は梅公別の宣伝使が指揮に従ひ、以前よりも数倍宏大にして且つ立派なる社殿を造営し、社を三棟となし、中央には大国常立尊、豊雲野尊を祭り、左側の宮には神素盞嗚尊、大八洲彦命を鎮祭し、右側の宮には盤古神王及国魂の神を鎮祭し、カラピン王家の産土神として永遠に王自ら斎主となり奉仕する事となつた。
 カラピン大王や左守ガンヂーの葬祭式には上下挙つて会葬し、開闢以来の盛儀と称せられた。次いで大宮山の遷宮式並に太子の即位式や結婚式等にて、タラハン城市に全国より祝意を表して集まり来る者引も切らず、期せずして大火災に会ひしタラハン市は一年ならずして復興し、以前に優る事数倍の繁栄を来たした。何れも新王が民意を容れ、平等博愛の政治を布き給ひし恩恵として子供の端に至る迄其徳を慕ひ、不平を洩らす者は只一人もなかつたといふ。即位式の状況に付いては茲に省略し、祝歌のみを紹介する。
新王『久方の天津御神の御心を
  麻柱まつり国を治めむ。

 国民の日々の暮しの安かれと
  朝な夕なに神に祈らむ。

 親々の開き給ひし神の国を
  謹み畏み守りまつらむ。

 新しき国の政を開きつつ
  野に在る聖広く求めむ。

 大宮の下つ岩根に千木高く
  鎮まりゐます神ぞ尊き。

 三五の神の教を今よりは
  あが国民に教へひろめむ』

妃『吾君の勅のままに服ひて
  御国の母と仕へまつらむ。

 天つ神国津御神を斎ひつつ
  吾神国の御民を治めむ。

 諸々の珍の司を率ゐつつ
  吾大君の道を助けむ。

 有難き神の恵の露に会ひて
  今日九重にわれは輝く。

 世の中の御民よ永遠に安かれと
  祈るはおのが願なりけり』

アリナ『大君は遠く御国に昇りまし
  天にゐまして御代をしらさむ。

 吾父は吾大君に従ひて
  神の御国に昇りますらむ。

 足曳の山の名画と謳はれし
  后の宮のうまし御姿。

 吾は今右守司と任られて
  あが大君の御前に侍る。

 天はさけ地ゆり海はかかる共
  君の恵は忘れざらまし。

 大神と吾大君の御為に
  心も身をも捧げまつらむ』

シャカンナ『神去りしあが大君に仕へてし
  われは再び世に出でにけり。

 新たなるあが大君の恵にて
  吾まな娘人となりぬる。

 山奥に匂ひ初めたる梅の花
  今日は高天に実を結ぶなり。

 親と子の称へはあれど大君の
  后とゐます君に従ふ。

 十年振珍の都に立帰り
  君に仕ふる事の嬉しさ。

 今よりは心の駒を立直し
  御民の心なごめまつらむ』

バランス『バランスは鄙に育ちし身ながらも
  今日九重の空にすむ哉。

 背の君と手を携へて政
  輔けまつらむ事の嬉しさ。

 タルチンの館に三年忍びつつ
  仇に返せし事の苦しさ。

 ブルジョアや資本階級悉く
  打払はむとすさびせしかな。

 都路に火を放ちたる曲業も
  御代を救はむ心なりけり』

タルチン『力なき小さき吾身も御恵の
  露にうるほひ甦りける。

 有難し后の宮の手を取りて
  茶道教ゆる身こそ嬉しき』

梅公別『皇神の貴の御光現はれて
  世の基をば開く今日哉。

 大宮山の聖場に  大宮柱太しりて
 斎ひまつりし大神の  御前を畏み願ぎまつる
 抑もこれの神国は  遠つ神代の昔より
 民の心を心とし  国の司は天地の
 神の心を心とし  上下の隔てを取去りて
 中取り臣と現はれて  国の国王となり給ひ
 四方の民草平けく  いと安らけく撫で給ふ
 畏き御代も中つ世に  押よせ来れる曲道に
 皆汚されて神国は  悪魔の荒ぶる世となりぬ
 上に仕ふる司等は  名利の欲に心をば
 晦ませ鬼と成変り  民の苦み気にかけず
 利己主義一途に相流れ  世は日に月に弱りはて
 怨嗟の声は野に山に  都大路の隅々に
 轟きわたる恐ろしさ  時しもあれや皇神の
 化身とあれますスダルマン  太子の君は逸早く
 能く民情に通じたる  アリナの君を抜擢し
 股肱の臣と愛給ひ  心を合せ力をば
 一つになして国民の  苦難を救ひ助けむと
 心を砕かせ給ひしが  曇り切つたる九重の
 御空の雲は深くして  晴らす由なき常暗の
 曲の健びは手を下す  術さへもなく一時は
 館を出でて山に野に  彷徨ひ給ひ千万の
 悩みをうけさせ給ひしが  一陽来復時来り
 今や王位に登りまし  諸政の改革断行し
 新に国を開きつつ  慈母の赤子に於ける如
 万の民を撫で給ふ  畏き御世とはなりにけり
 あゝ惟神々々  五六七の御代の魁か
 仰げば高し久方の  尊き神の御恵みか
 称へ尽せぬ御稜威  仰ぎまつれよ諸人よ
 上は国王を初とし  司々の端々も
 神を敬ひ大君を  慕ひまつりて邪の
 心を改め惟神  神の心に叶ひたる
 勤めをなせよ惟神  神に代りて梅公が
 名残に一言述べておく  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ  旭は照る共曇る共
 月は盈つ共虧くる共  仮令大地は沈む共
 誠一つは世を救ふ  神が表に現はれて
 善と悪とを立わける  此世を造りし神直日
 心も広き大直日  只何事も人の世は
 直日に見直し聞直し  世の過ちは宣り直し
 珍の祭を永久に  執らせ給へよ大君よ
 三五教の宣伝使  梅公別が謹みて
 神の御旨を宣べ伝ふ』
 梅公別の宣伝使は新王を始め並ゐる重臣共に神の教を諄々と説き諭し、再び白馬に跨り、タラハン城を後に眺めて、照国別の隊に合すべく、蹄の音も勇ましく、矢を射る如く帰り行く。あゝ惟神霊幸倍坐世。
(大正一四・一・七 新一・三〇 於月光閣 松村真澄録)
(昭和一〇・六・二三 王仁校正)
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