文献名1大本史料集成 2 >第2部 昭和期の運動
文献名2第2章 昭和神聖運動 >第4節 神聖誌(抄)よみ(新仮名遣い)
文献名3随筆よみ(新仮名遣い)
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データ最終更新日2021-04-20 13:43:35
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随筆
昭和神聖会統管 出口王仁三郎
今より十余年前の米国は世界に於ける最大富強国であつた。併し乍ら現今では世界に於ける最貧乏国である。彼の欧州大戦に於て、五百億円のボロ儲けをした時、日本は僅かに二十五億を儲けて奢侈の風に落込んだ。そして米国は欧州各国へ約二百億円を貸付た残り金の行り場に困り、遂に農工商の拡大を計り、三百億の資金を入れて了つた。そこへ世界の不景気風に吹きまくられ、今迄つぎ込んだ資金は用をなさなくなつた。つまり百億の資を投じた大会社の事業は三十億の資金の分より入らなくなつた。七割は全然腐つて了つたのだ。之が米国の世界一の貧乏国になつた原因である。英国又之に次ぐ貧乏国となつたのだ。故に軍縮会議が決裂して無条約となつた所で英米其他の国々が日本に備ふる為に軍備を拡大強化するやうな力は断然有してゐないのだ。皇国は斯る表強内弱なる英米を恐るるに足らない、ドシドシ所信を断行すベきである。
○
秋天高く気澄み渡る昭和九年十一月十五日、神風の伊勢の山田の外つ宮に詣でて、神域に今を盛りと燃ゆる紅葉に心胆を洗ひ乍ら国家の偉大と崇厳を思ふ時、前途洋々たるものあるを覚ゆ。
○
神聖運動の為各地へ出張する講師は最も人格の勝れたる者を選むべきだ。鋼鉄の如き精神力と実行力を要する。故に講師たるものは第一に飲酒を慎む事、第二に囲碁将棋等の遊技を慎む事、第三に組織を破壊する怖れある言動を慎むべき事、第四に講師は親睦を旨とし、相互補譲の誠を尽すべき事、第五に神聖運動の大精神を了得し居る等が最大の要件である。
○
開祖の神諭に今度の世の立替は九分九厘と一厘との戦ひである、只一厘(即ち百分の一)の誠の力で根本的に悪神の経綸を覆すのだと示現されてゐる。今日世界の人民を二十億とすれば、其百分の一に当る人員は二千万人である。神政成就の為めに立ち上つた神聖会は何としても一厘の経綸たる二千万人の誠の理解ある会員を集めなくてはならない道理である。本会々員諸氏の努力と奮闘を祈つて止まない次第である。
○
心に思ふ事は必ず言ふべし、言ひたる上は必ず実行すべき義務ありと知るべし。
○
神聖運動に就ては第一に精神、第二に事業、第三に目的実行に勇往邁進すべきを本領とす。
○
常住不断チヤンスを把握する事を忘るるな。時の力に勝る力は絶対他になしと知れ。
○
六十六議会のザマは何だ。災害地救済に関して開かれた今回の臨時議会ではないか。それに何ぞや、開会初頭余り関係の薄い人権問題なぞを論議して農民の問題は閑却された形である。是では代議政体も国民に飽かれるのは当然の帰結だ。吾人もいよいよ愛想が尽きて来た。
○
全国の鉄橋を全部集めると其長さ一百三十里になり、全国トンネルの長さを集めると一百三十五里になるとの統計だ。寒村僻地に於ける一、二人の神聖会員も一つに集める時は最も大なる力となるものである。会員諸氏は奮励努力一人たりとも会員の勧誘に力を竭すべきである。
○
外来思想の襲来は恰もその昔那須野ケ原に海外より金毛九尾白面の悪狐が渡り来り人跡稀なる荒原に隠れて妖邪の気を四方に放散し、人畜を害したる如きものである。現今我国は到る処に那須野ケ原が出現してゐる。教会に寺院に政党に殺生石が埋蔵されてある。ウツカリ近づかうものならそれこそ大変だ。注意が肝要だ。
○
厳寒の冬にも角力取は真裸体で平気だ。入浴の時は何人も易々と素裸になる。大便の時には何程寒くても尻を捲くるを厭はない人間だ。汽車や汽船の火夫は三伏の酷しき暑熱に釜焚きに従事して居る。昔の聖者が、心頭滅すれば火も亦涼しと喝破したのは真理である。凡て覚悟と信念とがあれば吾人は寒暑の外に超越し得らるるものなる事を知るベきである。
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頭山翁は頭の虱を抓んで清らかなその庭の青苔の上に捨て、内田良平翁は頭の虱を櫛にて梳き落し、野間清治氏は虱を一所に集めておいて、それを群集の頭にふり撒きその蕃殖を計り天下を警める。鈴木、安達氏等はこれを捻り殺し、余は虱の食ふが儘に任しておく。
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頭山翁は竹製の刀を持ち懐手し乍ら巨巌を容易に切り割り其刃もこぼさず平然たり。
内田良平翁は真剣を以て向ふ悪魔を寸断し、野間氏は竹製の刀を以て豆腐を切り掌を傷けず、鈴木喜三郎氏は正宗を以て大根を切り、久原房之助氏は竹光を以て芋を切り、安達謙蔵氏は村正を以て敵を切り、床次竹二郎氏は切味の悪い鈍刀を所持するのみである。そして下位春吉氏は舌刀を揮つて乱麻を切り、余は愛善刀を以て天下の凶を斬る。
○
農村漁村の徹底的救済は何と云つても皇道経済の実施によるの外は絶対にないのだ。余は数十年に亘つて一年三度の米の収穫を図り、成功を収めてゐる。次に荒蕪地に愛善陸稲の栽培を奨励し大いにその功績を挙げてゐるのだ。そして今日の農家に対し堆肥の実施をすすむるのだ。漁村も亦農村と同様に海に向つて肥料を施す必要がある。海の肥料とは海底に岩石を割つて至る所に投入するのだ。石を海に投入すれば深さ三十尋位までは昆布が発生する。そしてその昆布を餌にせむとして鮑が生く、又種々の魚族が集り来つて産卵する。小魚が石に生いた藻の中に忍んでゐる虫を食はんとして棲息する様になり、自然に豊漁になり漁村の収入が増加する様になるのだ。また三十尋以上の深い海にはヒジキの如き食料品が発生する。兎も角も海底に石の肥料を施せば数年の後を待たず漁村は蘇生すること請合である。