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文献名1霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
文献名2第2篇 縁三寵望よみ(新仮名遣い)えんさんちょうぼう
文献名3第9章 三婚〔1417〕よみ(新仮名遣い)みこん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ治国別、松彦、竜彦の祈願によって四人の負傷者は三日間の内に全快することができた。テームスは娘の本復祝いに祝宴を開いた。治国別は厳粛な感謝の祭典を執り行い、祝宴に臨んだ。テームス、ベリシナ、スミエル、スガールは治国別にお礼を述べた。万公もいつの間にかテームス家に交じって、治国別にお礼を述べている。テームスとベリシナは、いつの間に万公がスガールと婚約したのかいぶかっている。二人は治国別にこの顛末をいかにするべきか尋ねた。治国別は宣伝歌を歌い、その中で、一の番頭シーナは長女のスミエルと縁を結び、スガールは万公と、そしてお民はアーシスと縁を結ぶようにと告げた。スミエル、スガール、万公はそれぞれ承諾と述懐の歌を歌った。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月03日(旧01月16日) 口述場所竜宮館 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年3月30日 愛善世界社版111頁 八幡書店版第10輯 74頁 修補版 校定版113頁 普及版48頁 初版 ページ備考
OBC rm5509
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本文  治国別、松彦、竜彦の祈願に依つて四人の負傷者は三日の後全快する事を得た。テームス夫婦は治国別一行の神徳を感謝し娘の本服祝をなさむと、治国別を始め番頭下女の端に至るまで祝宴に列せしめた。治国別は正座に坐り、左側の上座には松彦、竜彦、万公が座を占め、右側にはバラモン組の六人がズラリと列んだ。
 道晴別、シーナ及びスミエル、スガールの病気全快組は、治国別と向ひ合つて下座に坐り、テームス夫婦及びアヅモス、アーシスと順序を作り、祝ひの宴を開く事となつた。
 是より前治国別外一同は神前に感謝の祝詞を奏上し、鄭重なる祭典を行つた事は辞つて置く。テームスは治国別に向ひ、さも嬉しげに両手をついて、
テームス『治国別の宣伝使様、何から御礼を申上げて宜しきやら、余り有難くて言葉も出ませぬ』
治国『神様のお蔭によりまして、道晴別も救けて頂き、貴方方のお嬢さま、番頭さままで今日此処で御無事な顔を見せて頂く事になりましたのは、全く三五の教を守らせ給ふ大国常立大神を始め奉り、数多の神々様のお蔭で厶ります。決して吾々の力では厶りませぬ。御礼を言はれましては、吾々は神様の神徳を自己のものとする事になつて困ります。何卒礼なんか云はない様に願ひます』
テームス『ハイ、神様有難う厶いました。よくまア治国別様一行の体を通して、吾々一家に御神徳をお与へ下さいまして有難う御礼申上げます』
ベリシナ『三五教の先生方御一同、今主人が申上げた通り、実に感謝に堪へませぬ。二人の娘もコレにてヤツと安心致しました。道晴別様も御全快遊ばしまして、コンな嬉しい事は厶りませぬ』
と嬉し涙をハラハラと流す。
スミエル『三五教の先生様、悪神のために捕らへられ、九死一生の処を御助け下さいまして、御礼の申上様は厶いませぬ。是も全く治国別様御一同の御親切のいたす所で厶います』
スガール『暗い岩窟内に押こめられ、再び此世の明りを見る事は出来ないものと、決死の覚悟をいたして居りました所を、神様の御蔭で助けて頂きました。何卒御緩り御逗留遊ばしまして、結構な御話を御伝へ下さいます様偏に御願ひ申します。夫に就ても鬼春別様外御一同の方々に御苦労をかけました事を有難く御礼申します。何卒御一同様御緩りと、何も厶いませぬが御酒を召し上り下さいませ』
万公『何か御馳走を差上げたいと存じ、種々と致しましたが、御存じの通り山間僻地の事で厶いますから、御口に合ふ様な物は厶いませぬ。何卒緩り御召上りを願ひます。舅姑を始め、姉のスミエル、並にスガールに代つて、万公別謹んで御礼申上げます。惟神霊幸倍坐世、惟神霊幸倍坐世』
治国『これはこれは若主人様で厶いましたか。イヤモウ大層な御馳走を頂きまして有難う厶います』
 テームスは不思議相な顔をして、ベリシナを見返り、小声になつて、
テームス『コレ、ベリシナ、私の知らぬ間にお前此宣伝使を婿に貰ふ約束をしたのかい。何故一口俺に云つて呉れぬのか。藁でつくねた様な男でも、矢張一軒の主人だから、何程結構な宣伝使でも主人の私に無断で決めるとは、些と越権ぢやないか』
ベリシナ『イエ私は何にも存じませぬ。大方貴方が御決めなさつただらうかと、今の今迄思つて居りました』
テームス『ハテナ、モシ治国別の先生様、コリヤ何うした訳で厶りませうかなア』
治国『イヤ私もテント存じませぬ。万公別の大宣伝使が何時の間に弟子の吾々にも無断で御養子になられましたかと怪しんで居つたのです』

万公『千早振る神の結びし縁なれば
  人の知るべき事柄で無し。

 霊幸はふ神の教に従ひて
  スガール姫の夫となりぬる』

テームス『いぶかしや神の言葉と云ひ乍ら
  親の吾等が知らぬ間に』

ベリシナ『何事もイドムの神の計らひに
  結び玉ひし縁なるらむ。

 さり乍ら治国別の神司
  此縁をば如何に思しめすか』

万公『何事も神の心に任すこそ
  人の人たる道とこそ知れ。

 吾とても心に染まぬ縁なれど
  神の言葉は背かれもせず』

松彦『面白き例しもきかぬ此えにし
  媒介も無き今日の驚き』

竜彦『今の世は男女の別ちなく
  自由自在にえにしを結ぶ。

 斯くの如乱れ果てたる世の様を
  イドムの神は如何に思すか』

万公『美はしき吾師の君は惟神
  神にしませば許し玉はむ』

テームス『治国別神の司よ此えにし
  如何になさむか教へたまはれ』

治国別『千早振る  遠き神代の昔より
 男女の嫁ぎの道を  開き玉ひし神柱
 神伊邪那岐の大神は  筑紫の日向の立花の
 小戸の青木ケ原にまし  身の穢れを清めつつ
 自転倒島に天降りまし  夫婦の道を開きてゆ
 海河山野百の神  数多生みまし葦原の
 千五百の秋の瑞穂国を  完全に委曲に開き治めて
 百人千人万人を  此の地の上に生み殖し
 珍の神事終へ給ふ  其喜びの目の当り
 憂ひに沈みし此館に  現はれ来る目出度さよ
 男女の嫁ぎの道は  天にます神八百万
 地にます神八百万の  神のよさしの其儘に
 定まるものと知るからは  必ず心を煩はし玉ふ勿れ
 シーナの君は家の子と  永く此家に仕へまし
 いとまめまめしくも朝夕に  心を配り身を砕き
 仕へ玉ひし信徒よ  抑も此家の栄えをば
 祈り玉はば第一に  姉の御子とあれませる
 スミエル姫を娶合して  水も洩らさぬ妹と背の
 縁を結ばせ玉ふべし  次に生れしスガール姫は
 万公別の宣伝使  生命の親にましませば
 これと妹背の契をば  結ばせ玉へば天地の
 神の心に叶ふらむ  又アーシスの家の子は
 容貌美はしきお民の方と  妹背の契り永久に
 結ばせ給ひて三五の  珍の教を朝夕に
 清く守りて大神の  御前に仕へ玉ひなば
 玉置の村のテームスが  家門高く富み栄へ
 生みの子の八十連き  五十橿八桑枝の如
 茂木栄に栄えまさむ  テームス、ベリシナ二柱
 万公別やシーナさま  アーシス司を始めとし
 スミエル姫や、スガール姫  お民の御方も千早振る
 神の教に従ひて  此処に目出度妹と背の
 縁を結ばせ玉ふべし  ああ惟神々々
 尊き神の御前に  斎苑の館に仕へたる
 治国別の神司  赤心籠めて勧め奉る
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  印度の海はあするとも
 これの縁の詳細に  結び了へたる上からは
 千代に八千代に変りなく  玉の緒の生命も永く
 何時迄も  堅磐常磐に栄えかし
 ああ惟神々々  神の御前に赤心を
 照らして誓ひ奉る』
 スミエルは嬉しさうな輝いた顔をしながら、
スミエル『三千世界の梅の花  一度に開く常磐木の
 松の神代が廻り来て  常世の春となりにけり
 玉置の村のテームスが  家に生れしスミエルは
 祖先の家を守るため  家の子とますシーナさま
 わが背の君と定めつつ  父の館を守りなば
 家はますます富み栄え  子孫はますます繁栄して
 テームス司の家の内は  忽ち天国浄土をば
 開かむものと思ひつめ  朝な夕なに神様に
 祈りし甲斐や現はれて  三五教の神司
 治国別の御媒介  実に有難き今宵かな
 頑固一途の父母も  妾二人が生命をば
 助け玉ひし恩人の  言葉に如何で背くべき
 治国別の御言葉は  金勝要の大御神
 イドムの神の勅  心を鎮め慎みて
 清き尊き御言葉に  従ひ玉へ足乳根の
 いとも恋しき父母よ  神の御前にスミエルが
 頸根突抜き赤心を  あかして願ひ奉る
 ああ惟神々々  御霊幸はひましませよ』

テームス『三五の神の司の言の葉を
  いかで背かむ吾等夫婦は』

ベリシナ『有難し生命も魂も救ひます
  教司の珍の御言葉』

 スガールは又歌ふ、
スガール『治国別の宣伝使  常磐の松の松彦や
 清き教を竜彦の  神の司の御媒介
 諾ひ玉ひし足乳根の  父と母との御光りは
 吾等を照らす真寸鏡  実に有難き限りなり
 万公別の神司  足らはぬ吾等を憐みて
 千代に八千代に永久に  妹背の道を結びまし
 父のまします此館  堅く守らせ給へかし
 妾は女の身なれども  心はかたき楠の幹
 朝な夕なに大神を  祈りて尊き父母に
 赤心以てよく仕へ  兄の君をば敬ひて
 日々の勤めをいそしみつ  僕の端に至るまで
 心を尽してよく勤め  神の許せし縁をば
 喜び仕へ守るべし  ああ惟神々々
 イドムの神の御前に  謹み感謝し奉る』

万公『スガールの姫の命の赤心を
  嬉しみ奉る万公別司。

 今よりは父と母とを敬ひつ
  汝が命を慈むべし。

 治国別神の命の師の君に
  報ふ術なき今日の嬉しさ』

(大正一二・三・三 旧一・一六 於竜宮館 外山豊二録)
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