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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第1篇 勝利光栄よみ(新仮名遣い)しょうりこうえい
文献名3第2章 波斯の海〔528〕よみ(新仮名遣い)ふさのうみ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-08-07 18:47:10
あらすじ黄泉島の沈没により、波斯の海面は水かさが増し、低地は冠水してしまった。波斯の港に向かう鶴山丸には、日の出別命をはじめ、ほかにウラル教の宣伝使らが数名乗り込んでいた。ウラル教の宣伝使たちは、竜宮島に渡って三年間宣教を行ったが、竜宮島の司である三五教の飯依彦の堅固さに打ち破れず、すごすごと帰ってきたのであった。一同は、この失敗をどうアーメニヤに復命したものかと、思い悩んでいる。突然、鶴山丸は暴風怒涛に襲われ、船は沈没するかと見えた。しかし三五教の日の出別命は、ウラル教の宣伝使たちに、正しい道に立ち返るように呼びかける宣伝歌を歌った。すると、暴風はたちまち鎮まった。ウラル教宣伝使のリーダー・岩彦は、仲間の梅彦、音彦、亀彦、駒彦、鷹彦に、なんとか三五教の宣伝使を打ち負かそうと案を募るが、亀彦や梅彦は、三五教の神力に降伏して向こうの弟子になろう、と言い出す。三五教の宣伝使とあくまで戦うのか、降伏するのか、一同が思案しているところへ、またしても暴風雨がやってきた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月16日(旧02月18日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版33頁 八幡書店版第3輯 43頁 修補版 校定版33頁 普及版12頁 初版 ページ備考
OBC rm1302
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本文  世は常暗となり果てて  山川どよみ草木枯れ
 叢雲四方に塞がりて  黒白も分かぬ暗の夜を
 隈なく照す朝日子の  日の出の別の神の御子
 天教山に現れませる  木花姫の御教を
 曲津の猛ぶ小亜細亜  噂に高きアーメニヤの
 醜の魔神の巣くひたる  都の空を照さむと
 神の御言を畏みて  天に坐す神地にます
 神の教に真名井河  目無堅間の船に乗り
 西へ西へと印度洋  浪を渡りて鶴の島
 鶴の港を後にして  波斯の海にぞ着きにける。
 鶴の湊よりは、数十人の乗客が加はつた。黄泉島の沈没に依りて、波斯の海面は、俄に水量まさり、海辺の低地は殆ど沈没の厄に会ひたりと云ふ。
 日の出丸より乗替へたる鶴山丸の船中には日の出別命を初め、ウラル教の宣伝使数名これに乗込んで居る。昼とも夜とも区別の付かぬ薄暗い海面を、船脚遅くなめくぢの如く進み行く。
甲『吾々は斯うやつて、ウラル教の宣伝使として竜宮の一つ島に渡り、殆ど三年になつた。併し乍ら一つ島の守護神なる飯依彦は、中々信神堅固な宣伝使であるから、吾々の折角の目的も、殆ど黄泉島のやうに水の泡と消えて了つた。アーメニヤへ帰つて、どう復命したら宜からうか、それ計りが心配になつて、乾を指して帰るのも、何とはなしに影の薄い様な気分がするではないか』
乙『吾々はウラル教の宣伝使としての力限りベストを尽したのだから、この上何と言つたつて仕方がないではないか』
甲『仕方がないと云つた所で、敵国に使して、君命を辱ると云ふ事は、人としてのあまり名誉でもあるまい。况んや特命を受けて、しかも吾々六人、東西南北より一つ島を包囲攻撃して、唯一人の飯依彦に、旗を捲いて、予定の退却をすると云ふ事は、あまり立派な成功でもあるまい。こりや、何とかして一つの土産を持つて帰らなくては、ウラル彦様に対して申訳がないぢやないか』
丙『オイ岩彦、お前はアーメニヤを出立する時には、どうだつたい。岩より堅い岩彦が、言霊を以て黄泉島を瞬く間に、言向和すと、傍若無人に言挙し、非常にメートルを上げて居つたぢやないか、その時に吾輩が、貴様の不成功は俺の天眼通で明かにメートルと云つたのを覚えてるだろう』
岩彦『ソンナ死んだ子の年を算る様な事を言つて、愚痴るない。過越苦労は、三五教ぢやないが、大々的禁物だ。よく考へて見よ、数百日の間、天の戸はビシヤツと閉つて、昼夜暗黒と云つてもよい位だ。日の出、日の入の区別も分らず、吾々がアーメニヤを出発した時は、朝は清鮮の気漂ひ、東天には五色の幔幕が飾られて、そこから金覆輪の太陽が現はれ、夕方になれば、瑪瑙の様な雲の連峯が西天に輝き、昼夜の区別も実に判然したものであつた。然るに一つ島に上陸した頃から、日々雲とも霧とも靄ともたとへ方なき陰鬱なものが、天地を閉塞して、時を構はず地は震ひ、悪魔は出没し、如何にウラル教の体主霊従の宣伝使でも、一歩否百歩を譲らねばならないと言ふ惨酷な世の中に、どうして完全な宣伝が出来るものか、如何に智仁勇兼備の勇将でも時節の力には到底叶はない、ナア梅彦………』
 斯く話す折しも、俄に吹き来る颶風の響、虎吟じ竜躍るが如く、激浪怒濤は白き鬘を揮つて、船体に噛みつき始めた、船は上下左右に怪しき物音を立て、動揺烈しく、浪と波との山岳の谷間を、浮つ沈みつ、漂ひながら西北指して進み行く。暗の帳は下されて、黒白も分かぬ真の暗、忽ち暗中より暴風怒濤の声を圧して、宣伝歌が聞え来たりぬ。
『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 ウラルの彦やウラル姫  コーカス山に現はれて
 この世を欺く神の宮  太敷立てて三柱の
 皇大神を斎きしは  昔の夢となりはてて
 今は僅に美山彦  国照姫の曲神を
 守護の神となぞらへ  常世の国に打渡り
 随従の神を海原の  浪に漂ふ一つ島
 宝の島に出立たせ  山の尾上や川の瀬を
 隈なくあさりてウラル教  神の教を悉く
 敷き弘めむと村肝の  心をつくしの甲斐もなく
 黄泉の島のその如く  泡と消えたる憐れさよ
 高天原に現れませる  神伊弉諾の大神の
 神言のままに花蓮草  教を開く天教山の
 神の聖地を後にして  日の出の御船に身を任せ
 津軽海峡後にして  天の真名井の波を分け
 やうやう茲に印度の海  深き恵をかかぶりつ
 名さへ芽出度き鶴の島  松の神代に因みたる
 鶴の港を船出して  いよいよここに波斯湾
 進み来れる折柄に  思ひもかけぬウラル彦
 神の教の宣伝使  岩彦梅彦あと四人
 如何なる神の経綸か  鶴山丸の客となり
 一蓮托生波の上  なみなみならぬ大神の
 心の空は掻き曇る  あゝ岩彦よ梅彦よ
 天教山に現れませる  木花姫の御教を
 四方に伝ふる宣伝使  日の出神の分霊
 豊栄昇る朝日子の  日の出の別の神司
 愈フサの国指して  進むもしらに退くも
 はや白波のこの首途  天津御空を眺むれば
 墨を流せる如くなり  大海原を眺むれば
 泥を流せる如くなる  この浪の上にめぐり合ふ
 厳の霊の宣伝使  岩彦梅彦初めとし
 此処に会うたは優曇華の  花咲く春の引合せ
 皇大神の神言もて  日の出の別が詳細に
 詔る言霊のその呼吸に  汝が霊を洗へかし
 天真名井に五十鈴の  言霊洗ひ都牟刈の
 太刀を清めて曲津見を  蹶え放らかし打きため
 神の心に復りなば  如何に浪風猛くとも
 醜の猛びの荒くとも  何か恐れむ神の国
 あゝ岩彦よ梅彦よ  心の雲霧吹払ひ
 天の岩の戸押開き  直日に見直せ聞直せ
 この世を紊す曲神の  醜の言霊詔り直せ
 この天地は国の祖  国治立のしろしめす
 珍の御国ぞ楽園ぞ  神の御国に住む人の
 いかで心を汚さむや  瀬織津姫の大神に
 汚穢も曲事も能く清め  塩の八百路の八潮路の
 秋津の姫に許々多久の  罪や穢を可々呑みて
 曇りを晴らせ天地の  神の心に叶へかし
 あゝ惟神々々  御霊幸倍坐世よ
 嗚呼惟神々々  御霊幸倍坐世よ』
と歌ひ終るや、さしもに猛き暴風激浪も、拭ふが如くに静まり、海面は畳の如く、魚鱗の波を浮ぶるに至りけり。
 船中の人々は、この声に驚いて一言も発し得ず、日の出別命の神徳に驚嘆の目を眸るのみ。岩彦は小声にて、
『オイ梅彦、音彦、亀彦、大変ぢやないか、エライ奴が乗つて居て、吾々に非常な鉄槌を喰はしよつたぢやないか、向ふは一人、此方は宣伝使の半打も居つて、衆人環視の前でコンナ神力を見せられては、ウラル教も薩張り顔色なしだよ。ナントか一つ、復讐を行らなくては、失敗の上の失敗ぢやないか。日の出別とか云ふ三五教の宣伝使が、フサの国へでも上つたが最後、あの勢でアーメニヤの神都へ進撃されようものなら大変だぞ』
亀彦『さうだなア、コラこの儘に放任して置く訳には行かない。お前は吾々一行の中での、チャーチャー(教師先生の意)だから、何とか良い御託宣でも宣示して呉れさうなものだ』
岩彦『訳も知らずに、燕の親方のやうにチャーチャ言ふものじやないワ。マアこの先生の妙案奇策を聴聞しろ』
亀彦『ヘン、えらさうに仰有りますワイ、目玉を白黒さしてその容子は何だ。蟹の様な泡を吹いて、大苦悶のていたらく、身魂の基礎がグラついて居るから、どうして妙案奇策が出るものかい。何分に戦ひは、将を選ぶと云つて、吾々万卒が骨を枯らしても、一将功成れば未だしもだが、貴様の大将は魂に白蟻が這入つてゐるから、統率その宜しきを得ず、万卒骨を枯らし、一将功ならず、一しようの恥を曝して帰らねばならぬのだ。コンナ大将に統率されて、どうして神業の完成が望まれよう、バベルの塔ぢやないが何時までかかりても、成功する気遣ひはない。ピサの塔のやうに斜になつて、何時ピサリと倒れるか分つたものぢやない。猫に逐はれた鼠のやうな面をして、アーメニヤに帰つた所でウラル彦さまに「貴様何をして居つた」と、いきなり横つ面をピサの塔とお見舞申され、これはこれは誠にハヤ恐れ入りバベルの塔と、たう惑顔するのは目に見るやうだ。引かれ者の小唄の様な、負惜みは止めて、どうだ一層のこと、日の出別の部下となつて三五教に急転直下、沈没したらどうだらう』
岩彦『チト言霊を慎まぬか、船の上は縁起を祝ふものだ、沈没なぞと、気分の悪い事を言うな。黄泉島ぢやあるまいし………』
梅彦『さうだ、亀彦の言ふ通り、あまりウラル教の神力がないのか、大将の画策宜しきを得ないのか知らんが、コンナ馬鹿な目に会つた事はない。二つ目には時世時節ぢやと、岩彦はいはんすけれど、ソンナ事はアーメニヤヘ帰つては通用しない。どうだ、梅彦の外交的手腕を揮つて、日の出別の宣伝使に、今此処で交渉して見ようかい。交渉委員長になつて、どうしよう交渉と談判をやるのだナア』
岩彦『喧しいワイ』
梅彦『やかましからう、イヤ耳が痛からう、良い加減に言霊の停電がして欲しからう。アハヽヽヽヽ』
岩彦『鮨に糞蝿が集つたやうに、本当に五月蝿い奴だ。さう云ふ事を喋くると、ウラル教の神様が立腹して、又もや暴風雨の御襲来だ。さういふ事は、神様の忌憚に触れる、貴様の言行に対しては、飽くまで吾々は忌避的行動を取るのだ。何ほど貴様が挑戦的態度を執つても、寛仁大度の権化とも言ふべき岩彦は、岩石として応ぜないから、さう思つて幾許でも喋舌つたが宜からうよ。……ナンだその面は、最前からの時化で、半泣きになつて居るぢやないか、見つともない』
梅彦『半泣きになつて居るとは誰の事だい。貴様こそ率先して泣いて居るぢやないか。涙こそ澪して居らぬが、俺の天眼通から見れば唯々泣き面をソツト保留してる丈のものだよ、貴様に共鳴する者は、烏か、千鳥位なものだらう』
岩彦『馬鹿ツ、いはしておけば傍若無人の雑言無礼、了見せぬぞ』
亀彦『オイ梅公、行つた 行つた。ヲツシ ヲツシ………』
岩彦『オイ、犬と間違つちや困るよ』
梅彦『犬ぢやないか、ウラル教の番犬だ』
岩彦『いぬも帰なぬもあつたものかい、吾々はアーメニヤへいぬより往く所はないのぢや』
亀彦『兎も角、ここで一つ思案せなくてはならぬ。三五教は唯一人、此方の宣伝使は半打も居るのだから、強行的態度に出でて、三五教の宣伝使を降服させるか、但は吾々が柔かに出て、ウラル教を開城するか、二つに一つの決定を与へねばなるまい』
岩彦『岩より堅い岩彦は、如何なる難局に処しても、初心を曲げない。善悪共に、初心を貫徹するが、男子の本分だ。貴様、ソンナ女々しい弱音を吹くならば、アーメニヤへ帰つて、逐一盤古神王に奏聞するから、さう覚悟をせい』
亀彦『敗軍の将は兵を語らずだ、何の顔容あつて盤古神王に大失敗の一伍一什を奏聞することが出来ようか、貴様は統率者を笠に着て、吾々五人の者を威喝するのだな、今になつて何れほど威張つたところで、アルコールの脱けた甘酒の腐つたやうなものだ、鑑定人もなければ、飲手もなし、ソンナ嚇しを喰ふ奴が、何処にあるかい、あまり馬鹿にするなよ。それそれ向ふに見えるはフサの国だ。船が着くのには、モウ間もあるまい、この船の中で、一つ交渉を始めなくては、日の出別が上陸したが最後、どうすることも出来やしない。問題を一括して、今此処で秘密会議を開いて、和戦何れにか決せねばなるまいぞ』
 又もや以前の如き暴風忽然として吹き来り、鶴山丸の運命は旦夕に迫り来たる。嗚呼この結果は如何。
(大正一一・三・一六 旧二・一八 松村真澄録)
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