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文献名1霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻
文献名2第3篇 竜の宮居よみ(新仮名遣い)たつのみやい
文献名3第10章 開悟の花〔756〕よみ(新仮名遣い)かいごのはな
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-09-05 19:12:12
あらすじスワの湖の男島と女島は、神に仕える諸神が金銀の蛇・ムカデとなって三寒三熱限りない苦痛を嘗めて世を救うという、諸善竜神の修行場であった。清公に入り込んだ蛇は、玉依姫の分霊・玉永姫の化身であった。アイルやテーナやチャンキーを女島に投げて苦しい修行をさせ、水晶の身魂に磨き上げた。モンキーはひとり善悪の判断に迷ったが、亀によって導かれ、心の闇を照らされた。モンキーは神船に乗って進み、遠浅の湖岸に向かって来た。金砂の磯端に着くと、モンキーは飛び降りた。美しい湖面の光景を眺めながら進んで行くと、突然後ろから、虎の両手がモンキーの肩を掴んだ。モンキーは引かれて林の中に導かれ、瑠璃のごとき岩石の元に穿たれた岩窟に導き入れられた。モンキーはいかなることが出来しても、理智を捨ててただ神に任すべく決心を固めていた。ただ自然に引かれるままに進んで行った。モンキーは光り輝く洞穴の中をきりきり舞いしながら進んで行く。何時の間にはモンキーは、美しい宝玉で飾られた宝座の上に端座していた。洞穴内の遥か向こうから、五つの玉の光が目も眩むばかりに照らしてきた。モンキーは思わず目を閉じたが、玉の光る方を眺めてみると、紫の玉には初稚姫、赤い玉には玉能姫、青い玉には玉治別、白い玉には久助、黄色い玉にはお民の顔が映っていた。モンキーはたちまち精神が宙に浮き上がる如く感じ、その場に倒れてしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年07月10日(旧閏05月16日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年5月25日 愛善世界社版155頁 八幡書店版第5輯 87頁 修補版 校定版160頁 普及版70頁 初版 ページ備考
OBC rm2510
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本文
 心の色も清公が  チヤンキー(長吉)モンキー(茂吉)始めとし
 アイル、テーナの五人連れ  黄金花咲く海中の
 竜宮島の中心地  玉野ケ原を打ち渡り
 酷暑の光受け乍ら  涼風香る諏訪の湖
 祠の前に端坐して  天津祝詞を奏上し
 浮世の衣を脱ぎ捨てつ  生れ赤子の真裸体
 後をも先をもみづ御霊  五つの御霊は諸共に
 身を躍らして飛び込めば  千尋の底より猶ほ深き
 罪の凝固の清公を  先頭に立てて各自は
 歩むに連れて摺鉢の  深き水底に身を沈め
 一度は息も絶れたるが  金銀珠玉を鏤めし
 目無堅間の神船に  棹さし来る神人に
 救ひ上げられ常磐木の  天を封じて立ち並ぶ
 雄島の岸に救はれぬ  抑此島は竜宮の
 神に仕ふる百神の  金と銀との蛇と変じ
 或は蜈蚣と化り変り  澆季末法の世の中を
 救ひ助けて神の代を  建てむが為に朝夕に
 三寒三熱限りなき  苦痛を嘗めて世を救ふ
 諸善竜神の修業場  三五教の宣伝使
 生れ赤子になり変り  心の色も清公が
 喉を目蒐けて這ひ込みし  黄金の蛇は何者ぞ
 玉依姫の分け御霊  玉永姫の化身にて
 竜宮洲を清めむと  名も清公の体を借り
 アイルテーナやチヤンキーを  蜈蚣の島に投げやりて
 現界幽界の境なる  苦しき修業を事依さし
 水晶身魂に磨き上げ  罪も穢も軽衣
 錦の船に運ばれて  竜の宮居に進み行く
 雄島の岸に残されし  一人の男モンキーは
 四人の姿を見送りて  善悪邪正の判断に
 迷ふ折しも金銀の  浪掻き分けて浮び来る
 青緑毛の大亀は  忽ちモンキーが足許に
 のたりのたりと這ひ上り  山上目蒐けて這ひ出せば
 茲にモンキーは遅れじと  亀の後をば追ひ乍ら
 大樹の枝に駆け登り  亀と諸共高所より
 忽ち地上に顛落し  大切の頭を打ちながら
 神の御息を両の手の  掌に吹きかけ疵所をば
 つるりつるりと撫でつれば  疵は忽ち癒えにける
 緑毛の亀は足早に  雲を霞と駆け出す
 我遅れじとモンキーは  汀に進む折柄に
 緑毛の亀は忽ちに  身を躍らして水中に
 ザンブと許り飛び込みぬ  モンキー後より後れじと
 又もや水中に飛び込めば  手足も疲れ身も弱り
 息も絶えむとする所  緑毛の亀は何故か
 湖面に姿を浮べつつ  手足を休めて振り返り
 モンキーの来るを待ち居たる  漸く亀に縋りつき
 両手に甲を抱へつつ  命辛々従いて行く
 亀は直様水中を  潜りて深き海底に
 一旦息を休めつつ  再び湖面に浮き上り
 忽ち変じて船となる  命限りのモンキーは
 初めて蘇生したるごと  心も勇み気も勇み
 救ひの船に身を任せ  善悪邪正の判断に
 心の闇を照らしつつ  船のまにまに浪の上
 朱欄碧瓦の竜宮の  高楼目蒐けて惟神
 神のまにまに進み往く。
 遠浅の湖岸に船は進んで来た。湖底は水晶の如く明かに、金砂銀砂の光太陽に映じて何物にも譬方なき麗しさ。小さき青、赤、紫の魚は金魚のやうな尾を掉つて縦横に溌溂として游いで居る。天の星の輝くやうに水の深さ五寸乃至一尺許りの所になりて、金剛石のやうな光、五六尺或は一二尺を隔てて目も眩む許り強き光を放つて居る。船は一寸許りの水の上さへも軽々しく辷りつつ、遂に金砂の磯端に着いた。
 モンキーは船を飛び下り、砂原を歩みかけた。一歩々々運ぶ毎に足の下から鶯のやうな声が出て来る。振り返つて砂に印した足跡を見れば、大なる小判を敷いたやうに金色に光つて居る。モンキーはふと佇み、乗り来し船や湖面を見れば、青、紅、紫、白、黄、橄欖色、其他得も言はれぬ宝玉、湖上三尺許りの所を蝶の花に戯る如くに前後左右に浮動して居る麗しさ、玉と玉とは時々衝突して煙火の如き光を湖面に投げて居る。恰も宝玉の粉末を撒き散らした様な眺めである。モンキーは夢では無いかと我と我身を疑ひつつ尚も湖面を熟視して居ると、後の方より思はず両方の肩をグツと抱へた者がある。何者ならむと吾胸の辺に目を転ずれば、金色、黒色のダンダラ条のある虎の両手であつた。モンキーは其手を我両手に固く握り乍ら、何者にか引かるる如き心地し、自分の姿は何時の間にやら、紫の麗しき木の葉の数多茂れる林の中に導かれ、瑠璃光の如き岩石の根下に穿たれたる岩窟の中へ、不知不識に進み入りける。
 モンキーは、如何なること有りとも、理智を捨てて唯惟神に任すべく、決心の臍を固めて居た際であるから、一切の考慮を捨て、唯吾身の自然に引かるるままに任して居るのみ。
 モンキーの体は、金銀色の光輝く洞穴の中に自然にキリキリ舞ひ乍ら、何処ともなく聞ゆる音楽の声に従れて時々舞ひ上り、或は横になり、或は逆様に手を以て歩むなど、全く一身心魂を神に任せて、何時の間にか其身体は美はしき宝玉をもつて飾られたる宝座の上に端坐して居た。坑内の遥向ふより青、赤、紫、白、黄の五つの玉の光、サーチライトの数千倍の光力をもつて、目も眩む許り此方に向つて光を放射し出した。モンキーは思はず目を塞ぎ、玉の光る方を眺むれば豈図らむや、紫の玉の中には初稚姫、赤き玉には玉能姫、青き玉には玉治別、白き玉には久助、黄色の玉にはお民の顔がありありと映つて居た。モンキーは是を見るより忽ち精神宙に浮き上る如く前後も知らず其場に倒れて仕舞つた。
(大正一一・七・一〇 旧閏五・一六 加藤明子録)
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