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文献名1霊界物語 第64巻上 山河草木 卯の巻上
文献名2第4篇 遠近不二よみ(新仮名遣い)えんきんふじ
文献名3第22章 妖行〔1651〕よみ(新仮名遣い)ようこう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2017-12-06 17:03:19
あらすじ
主な人物虎嶋寅子、菖蒲のお花、曲彦、守宮別、竹彦 舞台小北山のユラリ教 口述日1923(大正12)年07月13日(旧05月30日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年10月16日 愛善世界社版242頁 八幡書店版第11輯 467頁 修補版 校定版243頁 普及版62頁 初版 ページ備考
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本文の文字数2670
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本文  守宮別は、竹彦の顔を見て嬉しさうに、
『ヤア竹彦さま、よう来て下さいました。相変らず日の出神崇拝をやつて居られますかな』
『ハイ、日の出神の崇拝は層一層熱烈にやつて居ます。併し日の出神にもいろいろありましてねえ、私は此頃真の日の出神を発見しましたので大道会と云ふのを開きパンフレツト宣伝をやつて居ます』
『成程そいつは今日の時代に適した適当のやり方でせう。些と売れますかな』
『ハイ、地黙社で毎号一千部ばかり印刷して居ますが、羽根が生えて飛んで行きますよ。お寅さまのお筆先とは余程効力があるやうですわ。アハヽヽヽ』
『どうか私も一つ使つて頂き度いものですなア。実の所はこんな古めかしい宣伝法はお寅さまの前だが嫌になつたのですよ。目先の見えぬ盲滅法のやり方では労して効なく時勢におくれるばかりで約りませぬもの』
 お寅は面膨らし、かつかになつて声せわしく、
『これ竹さま、横田はりもの奴、守宮別さまを喰へて往のうと思つても、いつかないつかな此お寅が離しませぬぞや。お前さまは精出して勝手にパンなと売りなさい。これ守宮別さま、取違してはいけませぬよ。悪神が、お蔭を落させやうと思つて、いろいろと化けて変性女子の系統が来て居るのですよ。グヅグヅして居ると、尻の毛迄ぬかれて了ひますよ。お前さまはそんなに移り気だから困るのだ』
『これお寅さま、何と云ふ開けない事を云ふのだい。お前さまも日の出神の生宮ぢやないか。世の中は日流れ月行き星移ると云ふぢやないか、天地惟神に移つて往くのが天地の教ぢやないか。守宮別の自由意志迄束縛して貰つちや困りますよ』
『お寅さまも守宮別さまがをられなくなつたので、些とは我が折れただらうと思つて居つたのに、矢張り、ちつとも動いて居りませぬなア。水でも余り一所に停滞して居るとぼうふらがわきますよ』
『こりや横田はり者の竹公、何をつべこべと日の出神に向つて小言を吐くのだ。人民の知つた事かい。パン屋がこんな所へ来る所ぢやない。雑誌も無い事を云ふと御神業の邪魔になるからトツトと去んで下さい』
『私は守宮別さまに用があつて来たのだ。上海から手紙を貰つたので今か今かと待つて居たのだ。構うて下さるな。私は守宮別さまに会ひさへすればよいのだ』
『これ守宮別さま、お前さまは横田はり者の竹公の所へ行く気か。これお花さま、お前も何とかして加勢をせぬかいな。竹公の奴、喰へて行かうとしよるだないか』
『横田、おつとどつこい竹彦さま、ちつと日の出神さまの仰有る事も聞いて置きなさるがよからうぞえ、後で後悔してもお花は知りませぬからなア』
『ヘン、構うて下さいますな。どうせ横役の先走りを勤めて居る横田はり者だから、お寅さまの気に入りさうな事はありませぬわい。又お寅さまの乾児になつた所で末の見込が無いから約りませぬでなア。それよりも守宮別さま、貴方は永らく世界漫遊をして居られたのだから、何か珍しい話を聞かして下さい。パンフレツトの材料にしたいのですからなア』
『ハイ、是非聞いて貰はなければならない事が御座いますよ』
と云はうとするのを、お寅は守宮別の口に手を当て、
『これはしたり、さうズケズケとこんな奴に喋るぢやありませぬぞ。秘密はどこ迄も秘密です。これ竹公さま、守宮別さまをパンの材料にせうとは余り虫がよ過ぎるぢやありませぬか。お前さまが此処に居ると空気迄が汚れる。此処を何と思ふて御座る。誠生粋の水晶身魂の居る小北山の霊地で御座るぞ。四足身魂の来る所では御座いませぬぞや』
『アハヽヽヽ、此奴は面白い、ま一杯酒を飲んで、此活劇を見たら甘からうなア。時に竹彦さま、上海で新聞を見た所、小アジアのエルサレムにはキリストの再臨が近づいた。日出島から救世主が現はれるとか云つて、大変騒いで居るさうですよ。斯ういふ事をパンフレツトにお出しになれば、ずいぶん売れるでせう』
『ヤ、そいつはよい事を聞かして貰ひました。どうか詳しく原稿を書いて下さいな、酒手位は出しますから』
『承知致しました。二三日中に書いて郵送致しませう』
 お寅は聞耳たてて、
『何、救世主が聖地へ下るとな。そして日の出神が現はれるとな。そしてそれはどこの国から現はれると云つて居ましたか』
『何でも上海で見た、ロンドンタイムスの記事によると、日出島の桶伏山が東のお宮、パレスチナのエルサレムが西の宮だと云ふ事です。そして其西の宮に救世主が御降臨になると云つて大変騒いで居ます。ミロクの世も余程接近したと見えますわい』
『そして其救世主の名は分つて居るのかい』
『分つて居ります。その先走りとして聖地からブラバーサが疾うの昔に往つて居るさうです。やがてウヅンバラチヤンダーさまが救世主として現はれるのでせう』
『ヤアそれは大変だ。アンナ者が救世主にならうものなら世界は闇だ。肝腎要の救世主は底津岩根の大ミロク様日の出神より無いのだ。エヽ気が利かぬ人だなア。上海迄行つて居るのなら、モウ一歩だ。一歩先に行つて救世主は、小北山に現はれて居るとなぜ演説をして来なかつたのかい。酒ばかり喰つて女に呆けて居るからこんな事になるのだ。アヽ大事の事は矢張り人任せではいけない。サア是から、日の出神の生宮が救世主として現はれませう。お花さま、曲彦さま、守宮別さま、サア私に従いて来なさい。馬関から船に乗り朝鮮、支那を通りシベリヤを横断して早く参りませう。グヅグヅして居ると又横役にアフンとする様な目に遭はされますよ。エヽ気の揉める事だわい』
『どうか私も連れて往つて下さい』
『御同道を願へば結構ですな』
『これ守宮別さま、コンナ奴を連れていつてどうなりますか。絶対にお伴はなりませぬ』
『ハヽヽヽ、済まんけれど吾々の兄弟分がチヤンと先に行つて居るのだから、別につれて往つて貰はなくてもよろしい。瑞の御霊のお供して堂々と乗り込みませうかい。お寅さま、エルサレム迄行つて赤恥を掻いて来なさい。我もそこ迄張ると徹底して面白い。滑稽味があつて面白い。ウフヽヽヽ』
 お寅は夜叉の如くになり、
『エヽ横田はり者の曲竹奴、汚らはしいわい』
と云ひ乍ら棕櫚箒で掃き出しプツプツと唾を吐きかける真似をする。竹彦は余りの事に開いた口もすぼまらず、クツクツ笑ひ乍ら深編笠を被つて聖地に参るべく小北山の停車場へと歩を急いだ。後にお寅は不用の衣類や道具や、世界の大門と誌した鋳物の大火鉢迄売飛ばし、兵站部を勤めて居る高山某から若干の旅費を受取り、漸く旅費を調へてお寅、お花、守宮別、曲彦の四人は小北山の停車場へと急ぎける。
(大正一二・七・一三 旧五・三〇 加藤明子録)
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