文献名1王仁文庫
文献名2第9篇 道の大本よみ(新仮名遣い)
文献名3第18章よみ(新仮名遣い)
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データ最終更新日2018-11-05 02:13:02
ページ60
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本文
一、王仁かつて高熊の山にさし籠り、神の御諭しを蒙むりし神示を掲ぐ。
二、汝よく心を用ひて、今の世の中の有様を省みよ。
三、真理は深く土の中に埋れて、一点の光を上ぐる所なく、徳義は破れ、人の心は腐り、自由競争の悪しき慣ひは、最早頂上に達して、強き者は覇張り、弱き者は仆されんとするに立到りしを見よ。
四、この世界をこのまま打捨て置かば、遂に枉津神のみ力を逞しうする根の国底の国とたちまち変らんこと、鏡にかけて見る如し。
五、今や世界の文明は、日に月に進み行くといへども、皆形の上の進歩なり。精神的文明は未だ進歩発達の境地に入らず。精神的文明の伴はざる形体的文明は、世の為道の為に大に危き事なり。
六、今や鉄や、石炭や、電気を用ふるところの文明は、神の倉庫の鍵をもつて、神の倉庫の秘密を開きしかと疑はるるまえに進歩せり。空を翔ける船機あり。水の底を潜る船あり、千里万里の遠隔地と語る電信電話あり。その他物質的文明は最早頂点に達したる如く見ゆるなり。これに引換へ、精神界の暗黒なるは、一寸先をも弁へ知る者無き有様にあり。今の世は片輪の世なり。不平等の世なり。
七、争ひは様々の方面に現はれ、偏屈頑固なる神学者、哲学者、倫理上の学説は、社会の各方面より、奇抜なる声を放ち来りて多くの人を迷はせ、偽予言者、偽救世主は所々に現はれて、数多の人の眼を眩ませ、人々は狼狽へ迷ひてそのよるところを知らず。これ天より瑞の霊降りて、道の証明する所以なり。
八、文明の利器交通機関は、益々完全に具備り行きて、世界の上は益々狭くなり、着る物、喰ふ物、住む家は益々贅沢を極めて、世界の経済を破りつつあり。
九、為政者は学術のみを尊び、科学的智育の普ねく及ぶことを図りて、精神的の教育を軽んじ、名義のみの博士や学士を初め、空しき理論を唱へて生活するものは、雲霞の如く群がり起ること、今日より甚しきはなきなり。
一〇、心に眼無く、耳無き人々は、皆この形の上の文明に酔ひて、太平を謳ひつつありといへども、これ行先において、酷しき世界の亡びを招くべき大原因なり。
一一、形の上の文明と人々の徳義信仰とは、相併び立つべきものにあらず。人々は不完全極まる病的智能のみ発達すればする程、徳義と信仰とは益々薄くなるべし。
一二、徳義と信仰なきものが、追々悪賢くなる程、国家の為、社会の為に、恐るべき事は無きものなり。
一三、今の時に当つて、惟神の大道を開き、本教のラツパを吹き鳴らして、全世界を覚醒するもの無くんば、国家も社会も全きあたはずして、遂には世界の滅亡を招くに至ること鏡にかけて見る如し。かくの如く曇り汚れたる世の明となり、塩となり、薬とならしめんが為に、汝を教の柱として言任けたまひしは、天津神において深き御心のましますことなり。真勇と、真智と、真愛と、真親によつて、この大任を全くせよと教へたまへり。
一四、この大任を成し遂ぐるには、中々に容易きことにあらざることを覚悟せよ、汝今より十年の間は研究の時期なるべし。その間には様々の辛きと、苛き目に逢ふことあるべし。よく耐へ忍びて魂を磨くべし。またしばしば神の試練に逢ふことあるべし。邪神界に至ることもあらん。悪魔の群より襲はるることもあらん。されど少しも恐るること無く惟神の正道に拠りて、僥まず、屈せず、猛り進んで道の大本を明かにせよ。皇御国の大道を普く世界に輝かせよ。
一五、汝吾が教ふる事を心に刻みて、束の間も忘るるなかれ。行手に如何なる谷ありとも、荒き洪水に逢うとも、恐れ僥むな。退却くな。いかなる悩み苦しみに遭ふも、神の御心と思へ。
一六、一時の失敗や艱難の為に、神に遠ざかるな。初心を枉ぐるな。救世の目的をあくまで実行せよ。天津神は汝を照らし、また汝に添ひて守らむ。