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文献名1霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
文献名2第2篇 夢幻楼閣よみ(新仮名遣い)むげんろうかく
文献名3第8章 曲輪城〔1323〕よみ(新仮名遣い)まがわじょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-08-09 18:56:52
あらすじ高姫は妖幻坊を促し、浮木の里の入り口にある水音高い玉滝に立ち寄った。そこで曲輪の玉を漱ぎ洗ってみれば、玉はこうこうと輝きだした。高姫は眼を射られて目まいを起こし、その場にどっと倒れてしまった。妖幻坊は高姫が失神した隙を伺い、妖術を使ってここに蜃気楼を現した。エルサレムの壮観に比べてもいく十倍とも知れないような驚くばかりの建築を、数多の魔神を使役して現出した。いかに魔法を仕えても、神の形に造られた人間を使わなければ自分の計画は遂行できないとほくそ笑み、滝の清水をすくって高姫の口に含ませ、正気を取り戻させた。妖幻坊は、杢助神司たる自分がの御魂の宝を手に入れたからには、神の力を現してたちまち城郭を現すこともできると高姫に語りかけた。高姫は感激し、これからは杢助と力を合わせて活動し、の御霊や東野別らを驚かせ、アフンとさせてやろうとにわかに元気を盛り返し、楼閣の表門をくぐって奥殿指して進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月26日(旧12月10日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年12月29日 愛善世界社版123頁 八幡書店版第9輯 311頁 修補版 校定版125頁 普及版59頁 初版 ページ備考
OBC rm5108
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本文
 常世の国に生れたる  常世の姫の再来と
 自ら名乗る高姫は  地獄中有娑婆世界
 ならぬ第二の地獄道  兇党界に蟠まる
 金毛九尾の悪霊や  其外百の曲神に
 魅られ茲に両親の  隙を窺ひアーメニヤ
 ソツとぬけ出でエルサレム  都を指して進み行く
 高宮姫の若盛り  東野別とゆくりなく
 怪しき仲となり果てて  子まで成したる恋仲を
 北光神に遮られ  ここに生木のさき別れ
 高宮姫は止むを得ず  彼方此方と漂浪の
 其成果はバラモンの  神の教やウラル教
 三五教を聞きかじり  小才の利きし所より
 肉体界の精霊に  其全身を左右され
 流れ流れてフサの国  北山村にウラナイの
 教の射場を建設し  股肱と頼む黒姫や
 魔我彦其他の弟子達を  呼び集へつつ日に月に
 変性男子の系統ぞ  日の出神の生宮と
 名乗りて世人を欺きつ  遂に進んで自転倒の
 島に渡りていろいろと  艱難辛苦の其結果
 神素盞嗚の大神の  仁慈無限の御心に
 感喜の涙絞りつつ  茲に心を翻し
 三五教に救はれて  神の司と成りけるが
 又もや兇霊に欺かれ  金剛不壊の如意宝珠
 黄金の玉を握らむと  心猿意馬の止め度なく
 狂ひ出したる果敢なさよ  高砂島や竜宮島
 島の八十島八十の国  廻り廻りて末遂に
 我情我慢を後悔し  又もや猫の如くなり
 綾の聖地に奉職し  暫く道を布きけるが
 淡路の酋長東助が  幼馴染の恋人と
 分りし後は高姫の  心は暗に彷徨ひて
 吾子も玉も念頭を  悉皆離れ恋人の
 後を慕ひてはるばると  山海河野打渡り
 夜を日についでウブスナの  大高原の斎苑館
 神素盞嗚の隠れます  高天原に参上り
 東野別に懇々と  天地の道理を諭されて
 一度は悔悟せしものの  又もや意馬は狂ひ出し
 此失恋を如何にして  回復せむかといらちつつ
 恋の涙にくれながら  五十を越えた身を以て
 執念深き婆々勇み  風吹きすさび獅子熊や
 虎狼の吠えたける  河鹿峠をドンドンと
 登りつ下りつ漸くに  祠の森に来て見れば
 こはそも如何に此は如何に  下つ磐根に宮柱
 太しき建てて千木高く  鎮まりゐます皇神の
 の御舎拝観し  ひそかに、うなづくほくそ笑
 此処は名に負ふ河鹿山  斎苑の館の喉首よ
 われは此所にて一旗を  吹く神風に靡かせて
 数多の役員信徒等を  将棋倒しに説き伏せつ
 高姫王国建設し  三五教の向ふ張り
 名を挙げくれむと思ひ立ち  日の出神の義理天上
 変性男子の系統と  現はれ出でし高姫よ
 天地開けし始めより  幾万劫の末までも
 元を掴んだ因縁の  身魂はわれよと頑張つて
 祠の森の珍彦や  其外百の司等を
 言葉巧に説き伏せて  暴威を揮ふ憎らしさ
 斯かる所へ兇党界  八岐大蛇の片腕と
 現はれ出でし妖幻坊  高姫司の悪心を
 目敏く探り身を変じ  斎苑の館の杢助と
 現はれ来りウマウマと  高姫司を誑惑し
 茲に夫婦の約結び  祠の森に居すわりて
 五六七神政の妨害を  力限りに遂行し
 大黒主の大望を  助けむものと全力を
 尽してゐたる折もあれ  思ひに任せぬ珍彦を
 妻諸共に毒殺し  誰憚らぬ身となりて
 初心を貫徹せむものと  企む折しも三五の
 教の道の宣伝使  初稚姫が現はれて
 曲の企みを洞察し  身を謙り両兇の
 非望を妨げ善心に  復して救ひ助けむと
 真心尽し給へども  いかがはしけむ曲津見の
 垢に汚れし醜魂は  其正体の暴露をば
 恐れて犬に逐はれつつ  河鹿峠をトントンと
 力限りに逃げ出す  又もや曲津妖幻坊
 高姫司を誑かし  小北の山の聖場に
 登りてここに一仕組  なさむと思ひいろいろと
 よからぬ事を企らみつ  月大神の霊光に
 照らされ忽ち仰天し  崎嶇たる岩上に顛落し
 負傷をなしてスゴスゴと  此処を逃出す其途端
 曲輪の宝を紛失し  小北の山を後にして
 春草萌ゆる野路を越え  怪志の森の此方迄
 来る折しも道の辺の  石に躓きバツタリと
 倒れて懐査ぶれば  妖幻坊が変身の
 魔法に使ふ品玉は  いつしか藻脱の殻となり
 姿も知れぬ悲しさに  大地にドツカと胡床かき
 腕くみ思案にくれゐたる  かかる所へ後逐うて
 追つつき来る高姫や  初公、徳公両人と
 しばし息をば休めつつ  肝腎要の宝をば
 小北の山に落せしと  妖幻坊のかこち言
 聞くより高姫いらだちて  初、徳二人に命令し
 曲輪の宝を取返し  来れと厳しく下知すれば
 主命拒むに由もなく  再び小北の聖場に
 忍び帰りて受付の  様子いかにと眺むれば
 盲爺さまの文助が  絵をかきながら物語る
 ブンブン玉の因縁を  聞くより二人はいろいろと
 言葉巧に言ひなして  取返さむと思へども
 流石の文助頑張りて  容易に渡さぬもどかしさ
 二人は茲に意を決し  忽ち爺さまを突倒し
 其間に玉をふんだくり  雲を霞と痛い足
 無理に引ずりドスドスと  怪志の森に到着し
 妖幻坊や高姫に  お褒めの言葉を頂いて
 笑壺に入りし時もあれ  俄に疵は痛み出し
 モウ一歩も進まねば  ここに一夜を明かさむと
 四人は評議一決し  初、徳二人は忽ちに
 白河夜船の夢うつつ  四辺に聞ゆる高いびき
 聞きすましたる高姫は  妖幻坊を促して
 暗を幸ひドシドシと  浮木の里を指して行く
 浮木の里の入口に  水音高き玉滝の
 落つるを目当に立寄つて  曲輪の玉を洗滌し
 見れば曲輪は皎々と  輝き初めて高姫は
 眼を射られ眩暈し  其場にドツと倒れける
 妖幻坊は逸早く  失心したる高姫の
 隙を伺ひ妖術を  使つて此処に楼閣を
 忽ち現はす蜃気楼  珍の都のエルサレム
 其壮観に比ぶれば  幾十倍とも知れぬよな
 驚く許りの建築を  数多の魔神を使役して
 現出せしぞ不思議なれ  妖幻坊は打笑ひ
 これにて吾の計画は  いよいよ其緒につきにけり
 いかに魔法を使ふとも  神の形に造られし
 心の強き人間を  使はにや出来ぬ醜の業
 ここにウマウマ高姫を  擒にしたる曲神の
 得意や思ひ知らるべし  妖幻坊は高姫に
 滝の清水を掬ひ上げ  口にふくませオイオイと
 声を限りに呼ばはれば  息吹返し正気づき
 四辺キヨロキヨロ打眺め  昼より明かき怪光に
 目を見はりつつ舌をまき  あああ不思議、ああ不思議
 最早俄に天津日の  日の出神のお出ましか
 合点いかぬと俯いて  思案にくれる可笑しさよ
 妖幻坊は打笑ひ  アハハハハツハ高姫よ
 われは杢助神司  の御霊の御宝
 手に入る上は此通り  暗を変じて昼となし
 神の力を現はして  春風渡る此野辺を
 忽ち変じて城廓を  ゑがき出したる勇ましさ
 喜び祝へ高姫と  背なでさすり呼ばはれば
 高姫頓に感激し  仮令杢助神司
 善であらうが悪だろが  モウ此上は構はない
 細工は流々仕上をば  みて下されよ天地の
 皇大神を始めとし  其他百の神様よ
 日の出神の義理天上  いよいよ之から杢助と
 力を併せ神の為  世人の為に活動し
 五六七の御代を目のあたり  築きまつりて天の下
 四方の民草喜ばせ  三五教の神司
 の御霊を初とし  東野別や其他の
 百の司を驚かせ  アフンとさしてやらむずと
 俄に元気を盛返し  妖幻坊と手をひいて
 今現はれし楼閣の  表門をばくぐりつつ
 奥殿指して進み入る  曲津身魂ぞ忌々しけれ。
(大正一二・一・二六 旧一一・一二・一〇 松村真澄録)
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