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文献名1霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
文献名2第2篇 鶴亀躍動よみ(新仮名遣い)かくきやくどう
文献名3第5章 神寿言〔920〕よみ(新仮名遣い)かむよごと
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-07-28 18:50:29
あらすじ末子姫と国依別の結婚も、ようやく高姫のしぶしぶの同意を得て、執り行われた。言依別命が祭主となり、めでたく神前結婚の祭典は済んだ。直会の宴に移り、十二分の歓喜を尽くし、各々歌を歌い、舞い、踊りなどして慶事を祝した。言依別命は恭しく神殿に拝礼し、礼服を付けたまま、声しとやかに歌い始めた。その歌は、自転倒島から国依別とともに出立した経緯を歌い、時世時節によって高くまた低く生まれることは神界の幽玄微妙の御経綸であるが、魂の宿る肉体に尊卑はあれども、その源は同じ御神の分霊であると歌って祝いの言葉を継いだ。次に松若彦が立って祝歌を歌い、続いて捨子姫が祝歌を歌った。捨子姫の祝歌には、自らの末子姫との出会いからこれまでの経緯を歌い、末子姫夫婦への祝いの言葉で締めた。
主な人物 舞台ウヅの館 口述日1922(大正11)年08月26日(旧07月4日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年11月10日 愛善世界社版51頁 八幡書店版第6輯 275頁 修補版 校定版53頁 普及版23頁 初版 ページ備考
OBC rm3305
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本文の文字数3225
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本文  末子姫、国依別の結婚問題も、高姫の不同意的了解を得て、漸く執行はるる事となつた。珍の館の大広前に於て祭壇を設け、言依別命は斎主となり、松若彦、竜国別は其他の神務に奉仕し、茲に芽出度く、神前結婚の祭典は済んだ。愈直会の宴に移り、十二分の歓喜を尽し、各歌を唄ひ、舞ひ、踊りなどして、今日の慶事を祝することとなつた。
 言依別命は恭しく神殿に拝礼し、礼服を着けたる儘、声淑やかに歌ひ始めたり。
『仰げば高し久方の  天の八重雲かき分けて
 筑紫の日向の立花の  青木ケ原に天降りまし
 撞の御柱巡り合ひ  妹背の契を結びたる
 神伊弉諾大御神  神伊弉冊大神の
 其古事に神ならひ  瑞の御霊と現れませる
 神素盞嗚大神の  御子とあれます末子姫
 心の色も紅の  誠一つの神司
 珍の御国に天降りまし  神の教を楯となし
 四方の民草安らかに  治め玉ひし功績は
 皇大神の御心に  叶ひまつれるものぞかし
 三五教の神司  言依別は自凝の
 秀妻の国を後にして  心も清き宣伝使
 国依別と諸共に  神の教を開かむと
 波かき分けてテルの国  高砂島に名も高き
 テル山峠を乗越えて  ウヅの都に来て見れば
 五風十雨の序よく  五穀は稔り果物は
 豊に熟する神の国  あゝ惟神々々
 神の恵の幸はひて  末子の姫の御神力
 月日と共に輝きぬ  かかる折しも素盞嗚の
 神尊ははるばると  ウブスナ峠の斎苑館
 立出でここに来りまし  末子の姫に巡り会ひ
 喜び勇み玉ふ折  言依別の伴ひし
 国依別を見そなはし  末子の姫の夫となし
 此神国を守れよと  宣らせ玉ひし尊さよ
 言依別は畏みて  松若彦や捨子姫
 其外数多の人々に  皇大神の言の葉を
 宣べ伝ふれば悉く  喜び勇み此度の
 慶事をあななひ玉ひけり。  あゝ惟神々々
 結びの神の引合せ  魂と魂との睦び合ひ
 魂の納まる肉宮に  尊卑高下はありとても
 その源を尋ぬれば  同じ御神の分霊
 時世時節につれられて  高くも生れ又低く
 生るる事は神界の  幽玄微妙の御経綸
 霊魂と霊魂の系統を分け  清く結びし此縁
 千代も八千代も限りなく  高砂島のいつ迄も
 栄え尽きせぬ松の世の  色も褪せざれ永久に
 波も静かに二柱  鴛鴦の衾の暖かに
 浮びて進む和田の原  深きは民の心かな
 深きは神の御恵みぞ  月日は清く明かに
 空澄み渡る今日の宵  心も勇み身も勇み
 此慶びは此処よりは  外へはやらじと真心を
 神の御前に誓ひつつ  嬉しみ尊み祝ぎまつる
 嬉しみ尊み祝ぎまつる』
と歌ひ終り、元の座に着きぬ。松若彦は立上り、銀扇を開いて祝歌を歌ひ且つ自ら舞ひ踊りける。
『豊葦原の瑞穂国  島の八十島八十の国
 隈なく巡り救ひます  神素盞嗚大神の
 末の御子と生れませる  末子の姫のくはし女に
 浮瀬に沈みて悩み居る  世人を普く救ひ行く
 三五教の宣伝使  国依別の神司
 汐の八百路を打渡り  奇しき功績を遠近に
 現はし玉ひて今ここに  ウヅの都に出で玉ひ
 神素盞嗚大神の  御言畏みましまして
 末子の姫と妹と背の  契を結ぶ今日の宵
 天津御空に照りわたる  日影は明かく月清く
 星の影さへキラキラと  いつもに変る空の色
 天祥地瑞の吉祥日  言依別の神司
 斎主となりて神前に  結婚式を挙行し
 いよいよ茲に妹と背の  道を結びて永久に
 此神国を守ります  今日は初めとなりにけり
 いよいよこれよりウヅ館  月日並びて皓々と
 輝き玉ふ高砂の  常磐の御世となりぬべし
 あゝ惟神々々  松若彦が真心を
 述べて芽出度き今日の日を  寿ぎまつり瑞御霊
 神素盞嗚大神の  千代の齢を祈りつつ
 夫婦が幸を皇神の  御前に祈り奉る
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つ共虧くる共
 国依別や末子姫  さかし女くはし夫相並び
 現はれゐます上からは  高砂島は何時までも
 珍の御国と称へられ  常世の春の永久に
 花咲き乱れ鳥歌ひ  山川清く風清く
 野は青々と茂り合ひ  青人草は大空の
 星の如くに生み殖えて  栄え久しき松の世の
 嬉しき姿を瑞御霊  神の御前に言霊の
 清き限りを捧げつつ  畏み畏み願ぎまつる
 畏み畏み願ぎまつる』
と歌ひ了つて座に着いた。捨子の姫は立上り、銀扇を開いて自ら歌ひ自ら舞ひ、今日の慶事を祝ぎ奉りける。其歌、
『久方の高天原を出でまして  四方の国々巡りまし
 八岐大蛇や醜神の  伊猛り狂ひ民草を
 苦しめ悩ます曲津見を  仁慈無限の大神は
 生言霊の神力に  言向け和し玉ひつつ
 百の悩みを嘗め玉ひ  心も辛き潮沫の
 凝りて成るてふ島々を  巡らせ玉ひ御恵の
 露をば与へ玉ひつつ  草木も靡く御威勢に
 高天原の空清く  大海原の底あかく
 波に泛べる国土は  清くさやけく茂り合ひ
 三千世界の万有は  君の威徳を畏みて
 仕へまつれる尊さよ  かかる目出度き大神の
 珍の御子と生れませる  八人乙女の末子姫
 年端も行かぬ中よりも  神の御為世の為に
 神の誠の御恵を  草の片葉に至るまで
 うるほはせむと思召し  顕恩郷に現れまして
 バラモン教の鬼雲彦が  館に入らせ玉ひつつ
 醜の魔人の惟神  誠の道に服従ふを
 待たせ玉へる折柄に  太玉神の現れまして
 鬼雲彦は逸早く  雲を起して逃げ去りぬ
 末子の姫は是非もなく  姉の命と諸共に
 流れも清きエデン川  渡りて四方に神の道
 開かせ玉ふ折もあれ  鬼雲彦が部下共に
 嗅ぎつけられて妾まで  半朽ちたる釣舟に
 乗せてすげなく和田の原  つき放されし苦しさよ
 神素盞嗚大神の  雄々しき清き霊をば
 受けさせ玉ふ末子姫  少しも驚き玉はずて
 妾の心を励ませつ  荒波猛る海原を
 かいくぐりつつ漸くに  神の御稜威もテルの国
 ハラの港に上陸し  テル山峠を乗越えて
 御霊の力を現はしつ  バラモン教の神司
 石熊カールの両人を  言向和せ急坂を
 登りつ下りつ人々の  命を狙ふ曲神を
 稜威の言霊宣り玉ひ  言向和してウヅの国
 神の館に出でましぬ  妾も姫に従ひて
 ここに現はれ来る身の  嬉しさ楽しさ如何許り
 国の司となり玉ひ  世人を導き玉ふ折
 三五教の神司  言依別の神人が
 雲霧分けて降りまし  此処に止まり玉ひつつ
 教を開き玉ひしが  神素盞嗚大神の
 瑞の御霊は捨子姫  此現身にかからせて
 アマゾン河に向ひたる  鷹依姫や高姫の
 危難を救ひ言霊の  御稜威に百の曲神を
 言向和せと宣り玉ふ  言依別の神人は
 其神言を畏みて  時を移さず供人を
 従へ都を立出でて  帽子ケ岳に向ひまし
 アマゾン河を見下して  微笑み玉ふ折柄に
 国依別の宣伝使  仕組の糸に引かされて
 四人の供を従へつ  ここに登りて来ましける。
 琉と球との宝玉の  御稜威に充てる両人は
 アマゾン河の南北に  展開したる森林の
 醜の曲津を射てらせば  神の御稜威は目のあたり
 鷹依姫や高姫も  光を慕ひて屏風山
 帽子ケ岳に集まりぬ  かくも尊き神徳を
 負はせ玉へる宣伝使  国依別の真人が
 ウヅの都に現れまして  末子の姫の夫となり
 幾久しくも末永く  契を結ばせ玉ふこそ
 実にも尊き限りなれ。  加之瑞御霊
 神素盞嗚大神は  遠く波路を打わたり
 これの慶事に臨みまし  親子夫婦の契をば
 依さし玉へる有難さ  あゝ惟神々々
 神の恵は目のあたり  永く仕へし捨子姫
 やうやう心もおちつきて  雪積む山の冬の木の
 花咲く春に会ふ心地  あゝ惟神々々
 結ぶの神のいつ迄も  二人の仲は睦じく
 変ることなくましまして  神の御稜威も高砂の
 尾の上の松の色深く  千年の鶴の末永く
 亀の齢の万世も  いと平けく安らけく
 鎮まりゐませ二柱  捨子の姫は今よりは
 尚も心を励まして  力の続く其限り
 誠一つを楯となし  神と君とに仕へなむ
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましませよ』
と歌ひ了り、悠々として吾座に着きける。
(大正一一・八・二六 旧七・四 松村真澄録)
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