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文献名1霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
文献名2第1篇 正邪奮戦よみ(新仮名遣い)せいじゃふんせん
文献名3第4章 神の栄光〔571〕よみ(新仮名遣い)かみのえいこう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-01-09 03:41:17
あらすじ太玉命は毒酒に倒れた婆羅門教の将卒たちを憐れみ、解毒回復の祈願によって救った。婆羅門の将卒たちは感謝の涙を流し、歌を歌い踊りを踊って宣伝使たちを歓迎した。愛子姫、太玉命は宣伝歌を歌って大神への祈願と感謝を表した。顕恩郷はここに三五教の教えを取り戻し、メソポタミヤは再び回復した。メソポタミヤを追われた婆羅門教の邪神たちは、ペルシャから印度に渡って教線を拡大し始めた。六人の宣伝使と、神素盞嗚尊の娘たち、侍女たちはそれぞれ四方に散って宣伝を行うこととなった。
主な人物 舞台 口述日 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年12月5日 愛善世界社版45頁 八幡書店版第3輯 297頁 修補版 校定版44頁 普及版21頁 初版 ページ備考
OBC rm1504
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本文の文字数3788
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本文  鬼雲彦夫妻は、美酒に強か酔ひ潰れ、苦悶の体にて堀に飛び込み、八頭八尾の大蛇の正体を現はし、風雲を捲き起し雲に乗つてフサの国の天空を指して姿を隠した。後に残りし勇将猛卒は、知らず識らず毒酒に酔ひ瀕死の状態に陥り、呻吟苦悶の声目も当てられぬ惨状なりければ、太玉命は之を憐み、直に天に向つて解毒恢復の祈願を籠め、懐中より太玉串を取出して、左右左に打ち振れば、不思議や神徳忽ち現はれ、残らず元気恢復して命を始め七人の前に集まり来り、感謝の涙に咽びながら、助命の大恩に、心の底より悔改め、合掌恭敬到らざるなく、欣喜雀躍手を拍ち足をあげ、面白き歌を謡ひ、躍り狂うて、宣伝使の一行を犒ひける。
 愛子姫は立ち上り、感謝の歌を謡ふ。
『恵も深き顕恩の  里に現れます珍の御子
 三五教の宣伝使  心も広き太玉の
 神の命の現はれて  元の神代に造らむと
 岩より固き誠心の  御稜威は開く梅の花
 音に名高き麻柱の  教の花は万代の
 亀の齢と諸共に  栄え栄えて春駒の
 勇むが如き神の国  教の花も鷹彦の
 神の恵の愛子姫  千代に栄えよ幾代姫
 心いそいそ五十子姫  香り床しき梅子姫
 闇夜を照す英子姫  救ひの道を菊子姫
 民を治むる君子姫  ミロクの御代の末子姫
 神の恵も浅からぬ  心涼しき浅子姫
 岩より固き岩子姫  救ひの神は今子姫
 教へ尊き宇豆姫の  栄え嬉しき悦子姫
 彼方に渡す岸子姫  心の色も清子姫
 百の罪咎捨子姫  十まり六の瑞霊
 神素盞嗚の大神の  勅畏み顕恩の
 園に巣くへる曲津見を  言向け和はし神国を
 常磐堅磐に立てむとて  心を尽し身を尽し
 晨夕と送るうち  神の恵の隈もなく
 輝き渡り今此処に  救ひの道の宣伝使
 太玉命の現れまして  メソポタミヤの秀妻国
 いと平けく安らけく  知ろし召す世は来りけり
 あな有難や尊やな  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  大地は沈む事あるも
 顕恩郷は永久に  南天王の古に
 返りて御代は末永く  花も開けよ実も結べ
 稲麦豆粟黍稗も  豊に穣れ神の国
 羊も山羊も牛馬も  浜の真砂の数多く
 殖えよ栄えよ永久に  常磐の松のいつまでも
 色は褪せざれ変らざれ  神が表に現はれて
 善と悪とを立て分ける  此世を造りし神直日
 心も広き大直日  直霊の御魂現はれて
 顕恩郷に塞がれる  怪しき雲を吹き払ひ
 月日は空に澄み渡り  夜毎閃く星の影
 常磐堅磐に健くあれ  あゝ惟神惟神
 御霊幸倍在しませよ  神の御霊の幸倍て
 ためしも夏の木草まで  色麗しく賑しく
 栄ゆる御代に愛子姫  幾代変らぬ五十鈴の
 川の流れは永久に  濁らであれよ五十子姫
 三千世界の梅の花  開き匂へる梅子姫
 栄え久しき英子姫  十六弁の花匂ふ
 菊子の姫や君子姫  末子の姫に至るまで
 神の生みます宇豆姫の  御稜威喜ぶ悦子姫
 尊き御代も岸子姫  エデンの河に身の罪を
 洗ひ清めて清子姫  安彦国彦道彦の
 果敢なく命を捨子姫  助くるすべも荒波の
 底に潜りて今此処に  現はれ来る今子姫
 深き流れも忽ちに  神の恵に浅子姫
 心も固き誠心の  千代も動かぬ岩子姫
 巌の上に松さへも  生ふるためしもある御代は
 エデンの河に沈みたる  三五教の宣伝使
 嬉しき顔を三柱の  時こそあらめ片時も
 いと速むやけく皇神の  恵の光に照されて
 百舌彦田加彦諸共に  救はせ給へ天津神
 国津神達八百万  万の願をかけまくも
 畏き神の引き合せ  遇うて嬉しき五柱
 いづの霊や瑞霊  三五の月の照るまでに
 救はせたまへ顕恩郷  遍く渡る峰の上
 谷底までも尋ねつつ  神の教に麻柱の
 誠の御子を救へかし  誠の御子を救へかし
 畏き神の御前に  遥に拝み奉る
 遥に祈り奉る』
と、祈願を籠めて声も涼しく歌ひ舞ひ納めけり。太玉神はツト立つて感謝の歌を歌ひ初めたり。
『コーカス山に現れませる  瑞霊の大神の
 勅畏み琵琶の海  渡りて四方を宣伝し
 稜威の言霊遠近に  響き渡らせ進み来る
 吾言霊の勢に  四方の草木も靡き伏し
 エデンの園に蟠まる  八岐大蛇や醜神の
 醜の砦を言向けて  松代の姫が生みませる
 光愛たき照妙姫の  貴の命を花園の
 主宰の神と任けつつも  吾は進んでエデン河
 河の傍をつたひ来る  安彦国彦道彦の
 三の御魂の宣伝使  引き連れ急ぐ渡場に
 漸々此処に月の空  濁流漲るエデン河
 如何はせむと思ふうち  川の関所を守り居る
 田加彦鳶彦百舌彦が  砦を兼ねし川館
 先づ道彦を遣はして  事の実否を窺へば
 鋭利な槍を扱きつつ  道彦目蒐けて突きかかる
 神の恵を身に浴びし  珍の御子なる道彦は
 攻め来る槍の切尖を  右や左に引きはづし
 挑み戦ふ上段下段  火花を散らして戦へば
 耐り兼ねてか一人は  忽ち川へ鳶彦の
 猫に追はれた小鼠の  跡を掻き消す水の中
 漸々岸に泳ぎつき  数多の手下を引き連れて
 岸辺をさして迫り来る  吾等一行は勇み立ち
 用意の船に身を任せ  棹を横たへ中流に
 進む折しも流れ来る  征矢に当りて百舌彦は
 忽ち河中に転倒し  後白浪と消えて行く
 泡立つ浪の田加彦も  またもやザンブと河中に
 身を躍らして消え失せぬ  棹を取られし渡し船
 操るよしも浪の上  嗚呼如何にせむ船体は
 忽ち岩に衝突し  木葉微塵に成り果てて
 御伴に仕へし宣伝使  姿も三つの魂は
 河の藻屑となり果てぬ  吾はやうやう川縁に
 神に守られ這ひ上り  群がる敵の諸声を
 目当に独りとぼとぼと  進む折しも前方に
 怪しの男の此処彼処  現はれ来り槍の穂を
 揃へて一度に攻め来る  何の容赦も荒男
 太玉串の神力に  恐れやしけむ雲霞
 煙となつて消え失せぬ  忽ち月は大空の
 雲の帳を押し分けて  四辺を照す嬉しさに
 勇気を鼓して進み行く  山河幾つ打ち渡り
 進む折しも忽ちに  電光石火雷の
 轟き渡る折からに  現はれ出でし神人は
 厳霊の大神の  第四の御子と現れませる
 活津彦根の大御神  吾は魔神と怪しみて
 争ふ折しも大神は  吾等が不明を笑ひつつ
 天空目蒐けて帰ります  又もや怪しき物蔭に
 眼をみはりつつ窺へば  松代の姫や照妙姫の
 貴の命は可憐らしく  高手や小手に縛られて
 口には堅き猿轡  合点行かずと玉串を
 取るより早く打ち振れば  魔神は神威に恐れけむ
 又もや泡と消え失せぬ  路傍の厳に腰を掛け
 息を安らふ折柄に  駒の蹄の戞々と
 音勇ましく進み来る  又もや曲津の奸計と
 心を配る折からに  思ひがけなき梅彦や
 音彦駒彦六人の  三五教の宣伝使
 心も勇み栄えつつ  轡を並べて山奥に
 進む折しも八千尋の  つと行き当る谷の川
 川幅広く橋もなく  行き悩みたる折柄に
 運命天に任せつつ  一鞭あてて飛び越ゆる
 此処に佇む荒男  此勢に辟易し
 山奥指して逃げ帰る  後振り返り眺むれば
 谷と見えしは薄原  又もや魔神の計略に
 かかりて心痛めしか  嗚呼恥かしも恥かしも
 眼暗みし宣伝使  確と腹帯締め直し
 心の駒に鞭打ちて  息せき切つて二里三里
 要心堅固の大門に  ピタリと当つた七人は
 暫し思案に暮れけるが  茲に鷹彦宣伝使
 早速の早業霊鷹と  変じて中空翔廻り
 敵状残らず視察して  再び此処に舞ひ下り
 さしもに固き大門を  苦もなく左右に押し開く
 吾等一行七人は  勇気を起して前進し
 城砦目蒐けて近よれば  魔神の軍勢は進み行く
 道の左右に堵列して  袖手傍観その様は
 心得難きシーンなり  又もや来る十六の
 天女に擬ふ姫神は  吾等の一行を慇懃に
 奥殿指して誘ひ行く  怪しみながら来て見れば
 山野河海の珍肴は  処狭きまで並べられ
 木実の酒も沢々に  供へ足らはす此場面
 鬼雲彦の大統領  忽ち此場に現はれて
 表裏の合ぬ神の宣り  いと賢しげに述べ立つる
 如何はしけむ城内の  勇将猛卒忽ちに
 顔色変じ黒血吐き  悶え苦しむ訝かしさ
 吾も毒酒に酔ひしれて  苦しきさまを装ひつ
 七転八倒するうちに  鬼雲彦の統領は
 仕済ましたりと出で来る  神の賜ひし玉串を
 そつと取り出し左右左と  魔神に向つて打振れば
 鬼雲彦や妻神は  黒雲起し風に乗り
 雨に紛れて逃げて行く  四四十六の花の春
 未ださきやらぬ乙女子の  蕾の唇開きつつ
 一伍一什の物語  聞いて胸をば撫で下し
 神の恵を嬉しみて  善言美辞の神嘉言
 唱ふる折しも大空に  微妙の音楽鳴り渡り
 芳香四辺を包むよと  思ふ間もなく現はれし
 妙音菩薩の御姿  天地に響く言霊の
 その勲功ぞ尊けれ  その勲功ぞ畏けれ』
と歌ひ終つて元の座につきぬ。
 茲に太玉命は愛子姫、浅子姫を留めて侍女となし、顕恩郷の無事平穏に復するまで蹕を留むるる事となつた。城内の勇将猛卒も太玉命の神力に服し、忠実に三五教を奉じ茲にメソポタミヤの楽土は、エデンの花園と相俟つて、再び元の天国を形成る事となりにける。
 バラモン教を守護する邪神を始め、其の宣伝使は遠くペルシヤに渡り、印度に向つて教線を拡充する事となり、岩彦、梅彦、音彦、駒彦、鷹彦の宣伝使を始め、幾代姫、五十子姫、梅子姫、英子姫、菊子姫その他一同の女性は、顕恩郷を去つて四方に、三五教の宣伝使となつて出発する事となりにける。
(大正一一・四・一 旧三・五 加藤明子録)
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