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文献名1霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
文献名2第2篇 恵の松露よみ(新仮名遣い)めぐみのしょうろ
文献名3第6章 唖忿〔1196〕よみ(新仮名遣い)あふん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-02-23 19:51:37
あらすじ魔我彦が松姫に呼ばれて行ったあと、お寅も文助に呼ばれて広前に行ってしまった。後に残った文助は松彦たちと話をするうち、蠑螈別が探している本当の義理天上の身魂・高姫が、今は三五教の斎苑館に仕えていることを知った。そこへお寅が戻ってきて、松彦に上義姫の身魂・松姫にどうしても会うようにと促した。そこへ折よくお千代がやってきて、松彦を松姫館に連れて行った。お寅は蠑螈別が高姫の話を立ち聞きしていたことを知って、また蠑螈別に手荒いことをする。一同はお寅に追い払われてしまう。後には蠑螈別とお寅は何事かぶつぶつ話をしているのみであった。そこへ松姫に振られてしょんぼりとした魔我彦が帰ってきて一同にからかわれる。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月11日(旧10月23日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月12日 愛善世界社版95頁 八幡書店版第8輯 286頁 修補版 校定版99頁 普及版39頁 初版 ページ備考
OBC rm4506
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本文の文字数4570
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本文
 魔我彦の義理天上日の出の神の生宮がお千代に導かれ上義姫の館へ往つた後には、松彦一行と、お寅婆アさま、お菊の八人が茶を汲み果物なぞを頬張つて道の話に耽つて居る。其所へ受付の文助爺さまが、ノソリノソリとやつて来て、
文助『もしお寅さま、お広前の方から貴女に来て頂き度いと、大変矢釜しう云つて来ました。お客さまの央で済まないが一寸往つて来て下さいな。私がそれ迄お相手して居ますから』
お寅『又狂人の信者が、暴れ出したのだらう、あゝ仕方がない、一つ鎮めて来てやりませう。末代様一寸失礼します。落滝つ彦がその代り話のお相手になりますから』
松彦『御苦労です、どうぞゆつくり往つて来て下さい、ここで私はゆつくりと休まして頂いて居りますから』
万公『おい五三公、蠑螈別さまは、俺の察する所、酒に喰ひ酔つて奥の間で寝て居るのだよ。それに違ひないわ。そして彼のお寅婆アさまと痴話喧嘩をやつたのだ。キツトそれに極まつて居るよ』
五三『何でも高姫々々と云つて居られたぢやないか。三五教の高姫さまと何か関係があるのだらうかなア』
万公『何とも知れないなア、併し高姫さまは昔の馴染だと云つて東野別命に一生懸命になり、眼迄釣つて自転倒島から遥々斎苑の館迄お越しになつて居るぢやないか。此処の蠑螈別さまの云ふ高姫は同名異人だらうよ』
五三『さうだらうかな。同じ名も世界には沢山あるから、さうかもしれないなア。併し高と云ふ名のつく女には随分惚手が多いと見えるねえ』
文助『皆さま、今高姫さまが斎苑の館に居らつしやると云はれましたなア、それは本当ですかい』
万公『ハイ本当ですよ、何でもウラナイ教とかを開いて居た方だと仄に聞きました。随分口喧しい宣伝使ですよ』
文助『ハテナ、そんなら大方蠑螈別の教祖様が探ねて厶る高姫さまかも知れない』
五三『高姫さまと云ふのは黒姫と云ふ弟子があつたやうですよ。そして黒姫には高山彦といふ頭の長いハズバンドがあつたと云ふ事です』
文助『それ聞く上は蠑螈別様の探ねて厶る高姫さまに違ひない、今斎苑の館に居られますかなア』
五三『ハイ居られます。高姫さまも此処の教主と何か深い霊の因縁があつたのですかなア』
文助『あつたともあつたとも霊の御夫婦だから、どしても高姫様が厶らねば蠑螈別様の行状が直らないのだ。蠑螈別さまを改心さすのは高姫さまのお役だ、義理天上様の生宮だ』
五三『ヘー、魔我彦さまが義理天上日の出神と違ひますかな。さう二人もあつてはどちらが真か偽か分らぬぢやありませぬか』
文助『実の処は高姫様の所在が分り、此処へお迎へする迄、一日も無くてはならぬ義理天上さまだから魔我彦さまがそれ迄代理を勤めて厶るのだ。魔我彦さまの本当のお霊は道成行成さまぢやぞえ』
万公『何と自由のきく神様ぢやなア』
 蠑螈別は次の間に酒に酔ひ潰れ、お寅に擲られた頭の痛さをこらへ乍ら、高姫の話を耳に入れるや否や、俄に酔もさめ、襖に耳をあて、一言も漏らさじと聞いて居た。そこへお寅婆アさまがスタスタと帰つて来て、
お寅『皆さま、えらう待たせましたなア』
文助『これお寅さま、お前さま怒つてはいけませぬよ。此方々の仰有るには、あの蠑螈別さまの酒の上で仰有る高姫さまが、斎苑の館に来て居られるさうです』
と小声で囁いた。お寅は怪訝な顔をして、
お寅『アヽ左様か』
と云ひながら、
お寅『末代様誠にお待たせ致しました、どうぞ、上義姫様に一度会つて下さい。さうすると貴方の霊の因縁性来がすつかり分りますから』
松彦『上義姫とか、松姫とかチヨイチヨイ聞きますが、どんな方ですか』
お寅『エヽ素々しい、さう照すものぢやありませぬ。これお菊や、末代様を上義姫のお館迄御案内申しなさい』
お菊『ハイ、さア末代様、私が御案内致しませう』
松彦『何はともあれ、それではお目にかかりませう』
と座を立ち往かうとする所へお千代は走り来り、
千代『もし末代様とやら上義姫様が大変お待ち兼ねです。何卒お一人さま入らして下さいませ、折入つてお話し申たいとの事で厶います』
松彦『然らば伺つて見ませう。お寅さま、其外の御一同、一寸失礼致します』
お寅『何卒シツポリと水も漏らさぬ情約締結を遊ばしませ』
と嫌らしく笑ふ。松彦は合点往かぬと思ひながらお千代に導かれ、此場を去つた。
 お寅は蠑螈別の身を気遣ひ、そつと襖を引き明けた。見れば蠑螈別は襖の際に鉢巻しながら立つて居る。
蠑螈『ヤアお寅か、吃驚した』
お寅『それや吃驚なさつたでせう。高姫様の所在を立ち聞きして厶つた処へ、お気に召さぬお寅婆が突然襖をあけたものですから、御尤もです』
と云ひながら、二の腕を力一ぱい抓つた。蠑螈別は、
蠑螈『エヽ馬鹿にすない、いつとても打擲ばかりしよつて、貴様のお蔭で生創の絶えた間なしだ』
お寅『これ蠑螈別さま、憎くつて一つも抓られませうか』
と云うて又抓める。
蠑螈『エヽ痛い、お客さまがあるぢやないか、見つともない』
と呟く。お寅は狂気のやうになつて、
お寅『エヽ見つともないとは能くも云へたものだ。あまり馬鹿にしなさるな。この寅だつて馬鹿ぢやありませぬよ。些は性根もありますからな』
蠑螈『俺れやもう今日限りに此処を出て往く、後は何分頼む』
お寅『エヽ何と仰有る、いやな私を振り捨てて夜鷹のやうな高姫の処へ往くのでせう、そんなら往きなさい。お別れに此の通り』
と云ひ乍ら、力一ぱい剛力に任せて鼻をねぢあげた。蠑螈別はフラフラと目が眩み、ドスンと其場に打ち倒れた。
 此物音に驚いて、万公、五三公、アク、テク、タクの五人はバラバラと一室に駆込み、
五三『これこれお婆さま、神様の道で居ながら何と云ふ手荒い事をするのだ』
お寅『ほんの些細の内証事、さう皆さまに来て貰ふやうな事ではありませぬ。どうぞ彼方で、ゆつくりとお茶を上つて下さいませ』
お菊『お母さま、蠑螈別さまは目を眩して居られるぢやありませぬか』
アク『何と手荒い婆さまぢやなア』
タク『本当に』
テク『ひどいなア、こんな事思ふと女はもう恐ろしくなつたわ』
五三『オイ万公、随分お前の義理の親は侠客だけあつて強いものぢやなア』
お寅『ホヽヽヽヽ、猪喰つた犬は、どこかに違ふ所がありませうがな。サア彼方へ往きなさい。蠑螈別さまはチヨコチヨコかう云ふ病気があるのだ。これから私が活を入れて呼び活て上げますから、あまり大勢ドヤドヤとして居ると霊が中有に迷うて元の鞘に納まらぬと迷惑だから』
万公『此の場はお寅さまに任して、俺達は次の間でお茶でも頂かうかい』
一同『ウンそんならさうしようかなア』
と次の間に立つて往く。
お寅『オイお菊、お前も小供だてらこんな所にジツとしてゐるものぢやない、蠑螈別さまは私が介抱してあげるから』
お菊『あまり手荒い事はしないやうにして下さいな』
お寅『何うしようと、斯うしようと此方の勝手だ。小供だてら差出口をするものぢやない。サア彼方に往きなさい』
お菊『それでも心配でならないわ』
お寅『エヽ執こい』
と突き出す、お菊は涙ぐみながら表を指して出て往く。蠑螈別は漸く息を吹き返し、何かハツキリは聞えないが、お寅と二人でブツブツと話しをやつて居る。
タク『アク、何とまア、ウラナイ教は手荒い事をする女が居るものぢやなア。バラモン教だつてあんな酷い事は、まだしたのを見た事はないがなア。最前もウラナイ教は天下泰平上下一致和合の教だ。三五教、ウラル教、バラモン教のやうに喧嘩計りして居る教を信ぜず、ウラナイ教に入れと偉さうに云ひよつたが、薩張、口と行ひとは裏表だ』
テク『それだから世の中に誠の者は目薬程も無いと神様が仰有るのだよ』
タク『本当だねえ』

万公『上べから見れば尊き神司
  其内幕には大蛇住むなり』

五三『本当に愛想が尽きたウラナイの
  神の道にもやはり裏あり』

アク『あきれたよお寅婆さまの勢ひに
  蠑螈別を捻伏せた所』

タク『それやさうぢや女白浪ばくちうち
  夜叉のやうなるお寅婆さまだ』

テク『テクテクと強い山道登り来て
  思ひもよらぬ喧嘩見るかな。

 あの婆は唯者ならじと思うたら
  白浪女のなれの果てなる。

 あの人がウラナイ教の教祖かと
  思へばたまげて物が言はれぬ。

 小北山醜の嵐が吹き荒び
  丑寅婆さまが荒び狂へる。

 ユラリ彦ユラリの姫を祭つたる
  小北の山は恋の埃捨て。

 埃溜に千歳の鶴の下りたよな
  松彦さまのお出ましあはれ。

 お寅婆何ぢやかんぢやと口先で
  喧嘩見せよと連れて来たのか』

五三『やきもちをやいて俺等に振れ舞ふと
  一生懸命にやつて居るのだ。

 犬さへも喰はない様な喧嘩して
  見せつけるとはこいつアたまらぬ。

 悋気して死ぬの走るの暇くれと
  吐す嬶よりひどい婆うき』

アク『アク迄も恋の意地をば立て通し
  小北の山がこはれる迄往く。

 あのやうなアク性女に魅られて
  蠑螈別も嘸困るだらう』

テク『それやさうぢや丑寅婆さまと云ふぢやないか
  悋気の角をふるは当然。

 こいつア又怪体な所へ来たものぢや
  往ぬに往なれず居るに居られず。

 松彦の司は何して厶るだろ
  心許なし小北山風』

 斯かる所へ蒼青な顔してブラリブラリと入つて来たのは魔我彦であつた。
万公『よう魔我彦さま、些つと顔色が悪いぢやありませぬか、何か又ナイスに油を取られたのでせう』
魔我『チヨツ、イヤ何でもありませぬ、恐ろしいものでありますわい。本当にチヨツ、ふげたの悪い、もう嫌になつて仕舞つた。エヽもどかしい、焦つたい、胸糞の悪い、チヨツしんごくど奴、エヽあかんあかん、チヨツ因縁づくだ。ウンザリして仕舞つた。チヨツ、エヽ儘よ、おれもチヨツもう自暴自棄だ。カヽヽヽヽ構うものかい、チヨツ、キヽ気に喰はぬ、チヨツ、クヽヽヽヽ糞の餓鬼奴、チヨツ、ケヽヽヽヽ怪つ体の悪いわ、コヽヽヽヽころりとやられて来た。チヨツ、さらしやがつたな、しんごくど奴、チヨツ、好かんたらしい、セヽヽ雪隠虫め。チヨツ、あゝ、そろそろと寝間へでも入つて休まうかな、タヽヽ忽ちだ、覚えてけつかれチツとは性があるぞ、チヨツ、つき出しやがつてテヽてれ臭い、トツととんぼり返りをさせやがつたな、チヨツ、ナヽ情ない、チヨツ、ニヽにくらしい、ヌヽヽヌツと出て来やがつて、ネヽヽ根つから葉つからのぞみが達しさうにもなしヒドい目に遇はしやがつた。チヨツ、フヽ太い事をへい気でやつてけつかるのだらう、ホヽほんまに、欲の熊鷹だ。マヽヽヽまたが裂けるぞ、ミヽヽ見てけつかれ、ムヽ無茶でも、メヽ目をかけた以上は、モヽもう許さぬぞ』
五三『コレコレ魔我彦さま、何独り言を云つて居るのだ、テンと訳が分らないぢやないか。ヤヽややこしいイキサツが、ウルサイ程、ユヽ湧出して居るのだろ、エヽ遠慮なく五三公さまにヨヽよく知らして呉れラヽらちもない事で無ければ、リヽ立派に理由を、ルヽ縷述して方をつけたらよいぢやないか。大方レヽ恋愛の失策だらう。ロヽローマンスがあるのぢやないか、ワヽ吾身の力に合ふ事なら、イヽいかなる事でもウヽ受け合うてエヽ縁を結び、オヽ納めてやろか、ホヽヽヽヽ』
魔我『五三公さま、実の処はパリぢや、パリはパリだが、サツパリだ』
五三『ヘーン』
一同『ウフヽヽヽ、ワハヽヽヽ、何が何だか訳が分らぬやうになつて来たワイ、分らいでも矢張をかしいワイ、ウハヽヽヽヽ、イヒヽヽヽ』
(大正一一・一二・一一 旧一〇・二三 加藤明子録)
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