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文献名1霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
文献名2第3篇 裏名異審判よみ(新仮名遣い)うらないしんぱん
文献名3第13章 五三の月〔1203〕よみ(新仮名遣い)いそのつき
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-02-28 20:40:41
あらすじお寅はお菊に続いてあたりの空気が濁るような音調で歌いだした。お寅は千両の金を熊公にゆすり取られたことに文句を言い、ここに祀った神の力がないことに怒りとあきれを表す歌を歌った。歌の最後にお寅は奥歯で舌を噛み、やっぱり神の諭しがあったのかとにわかにまた心を変えた。五三公は高姫や黒姫が悪神に憑依されて作り、自ら愛想をつかして出て行ったウラナイ教の神々を祀ることの危険を注意し、一同に改心を促す歌を歌った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月12日(旧10月24日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月12日 愛善世界社版213頁 八幡書店版第8輯 325頁 修補版 校定版224頁 普及版83頁 初版 ページ備考
OBC rm4513
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本文  お寅はお菊の後について皺枯声を張り上げながら四辺の空気が濁るやうな音調で歌ひ出した。其声は楯に罅が入つたやうにビイビイと一同の耳に不快に伝はり鼓膜を刺戟する事最も甚だし。
『朝な夕なに神様の  みまへを謹み敬ひて
 山と川との種々の  珍らし物を奉り
 蓄めて置いたる一万両  金迄スツパリ放り出して
 此よに沢山宮を立て  末代日の王天の神
 月の大神大将軍  朝日の豊栄昇り姫
 義理天上やきつく姫  耕し大神地上姫
 天若彦や定子姫  黄竜姫や金竜姫
 金山姫は云ふも更  種物神社大御神
 へぐれのへぐれのへぐれ武者  へぐれ神社迄立て並べ
 これ程信神して居るに  何と思うてか神様は
 あの悪者がやつて来て  千両の金をぼつたくり
 肩を怒らしスタスタと  帰つて往くのを眺めつつ
 そしらぬ顔で厶るとは  聞えませぬぞ神様よ
 私は心で思ふには  千両やるのは惜けれど
 尊き神の神罰で  この坂道の中程で
 罰が当つて金縛り  二進も三進もならぬよに
 なつて熊公が心から  前非をくいて改心し
 千両どころか一文も  入らないこれは神様に
 お返し申す其かはり  私をたすけて下されと
 吠面かはいて来るだらうと  思うた事も当はずれ
 みすみす千両の金取つた  男を無事にいなすとは
 ミロク成就の神さまも  常世の姫も此頃は
 盲聾になつたのか  呆れて物が言へませぬ
 思へば思へば力の無い  ガラクタ神だと思うたら
 俄に腹が立つて来た  こんな事なら平常から
 色々ざつたと気をつけて  お給仕するのぢや無かつたに
 愛想が尽きたユラリ彦  末代日の王天の神
 上義の姫の松姫も  サツパリ宛にはなりませぬ
 尊き神と思うたら  思ひも寄らぬ狼だ
 狼住まう此山に  熊公の野郎がやつて来て
 四つ足同様な行ひを  致してお寅を苦しめた
 虎狼や熊のやつ  三つ巴になり果てて
 何ぢやかンぢやと争ひつ  早暮れかかる冬の空
 腹が立つのか寒いのか  体がブルブル慄て来た
 叶はぬから叶はぬから  本当に誠に耐らない
 力も徳もない神だ  これこれ蠑螈別さまよ
 ものも言はない神さまを  何程お給仕した所で
 カラキシ駄目ぢやありませぬか  即座に云ふ事聞いて呉れる
 金の神さま奪ひ取られ  どうして後にぬつけりと
 平気な顔で居られよか  お寅の腕には骨がある
 これから熊公の後追うて  獅子奮迅の勢で
 彼奴の胸倉グツと取り  一たんとつた金の神
 引き戻さいで置くものか  まさかの時に助かろと
 思ふが故に朝晩に  神のお給仕して居るのだ
 盲聾の神さまに  何程頼んで見たとこで
 聞いて呉れそな事はない  何程偉い神ぢやとて
 ビタ一文も持つて居ぬ  貧乏な神様計りだ
 朝から晩迄俺達の  汗や膏で拵へた
 お神酒を喰ひ飯を食ひ  海河山野くさぐさの
 百味の飲食居ながらに  頂きながら一言も
 何とも彼とも云はぬ奴  拝んだところで何になる
 吾はこれからスツパリと  ガラクタ神を思ひ切り
 誠の誠の根本の  神の教を探ね出し
 人に勝れた神徳を  貰うて見せにやおきませぬ
 思へば思へば馬鹿らしい  怪体の悪い事だつた
 思へば思ふ程腹が立つ  皆さま御苦労で厶いました
 此神さまを拝もうと  捨てよとほかそと御勝手だ
 信仰自由と聞くからは  決して邪魔はせぬけれど
 肝腎要の此わしが  愛想尽かしたよな神を
 祭つた所で仕様がない  屁のつつぱりにもなりはせぬ
 屁なら音なとするけれど  ブツともスツとも云はぬ奴
 今迄迷うて来たものと  吾身がボツボツいやになり
 馬鹿であつたと気がついて  大地に穴を掘穿ち
 かくれて見たいよな気がしだす  あゝ惟神々々
 神も仏もあるものか  神は吾等と倶にあり
 人は神の子神の宮  こんな明白な道理をば
 悟つて居ながら何として  高姫さまの私造した
 ガラクタ神に現をば  抜かして居たのか口惜い
 サアサアこれから自暴自棄糞だ  堤防を切らして酒をのみ
 白浪女の意地を出し  ドンチヤン騒いでやりませう
 のめよ騒げよ一寸先や暗夜よ  暗の後には月が出る
 月の光は明かに  吾身の上を照らします
 ここに祭つた神さまは  照らす所か暗の夜は
 灯明をつけたり蝋燭を  つけてやらねば目が見えぬ
 困つた盲の神ばかり  アイタヽヽタツタ アイタヽツタ
 余り口が辷り過ぎ  奥歯で舌を噛み切つた
 やつぱり性根のある神か  そンならこれから拝みませう
 あゝ惟神々々  御霊幸倍ましませよ』
 五三公はそろそろ歌ひ出したり。
『神が表に現はれて  善と悪とを立て分ける
 神の中にも善があり  また悪神のあるものぞ
 善を表に標榜し  此世を救ふ生神と
 信仰計り強くして  理解し得ざる信徒の
 体を宿とし巣をくんだ  狐狸や曲鬼が
 尊き神の名をかたり  世人を欺く事もある
 小北の山に祭りたる  此神様の素性をば
 包まづ隠さず云うたなら  生命も魂も捧げたる
 信者の方は驚かう  私はそれをば知つて居る
 そんな悪魔に欺されて  現を抜かし根の国や
 底の国やら畜生道  落ち行く人の身の上を
 見るにつけても可憐らしく  忙しき身をも顧みず
 貴重なタイムを空費して  此処に滞在して居るも
 汝等一同の身魂をば  正しき神の大道に
 救ひ助けむ其ためぞ  思へよ思へよ顧みよ
 此神名は高姫が  脱線だらけの神憑り
 みたまが地獄に落ちた時  天の八衢に彷徨へる
 醜の魔神に取りつかれ  肉の宮をば宿にされ
 変性男子の系統だ  日の出の神の生宮と
 吾と吾手に盲信し  教を立てて居りたのだ
 肝腎要の高姫や  黒姫司が自分から
 愛想尽かして打ち捨た  ウラナイ教の神様に
 どうして誠があるものか  茲の道理を考へて
 社を残らず潔斎し  払ひ清めて天地の
 真の神を祭るべく  さうでなければ蠑螈別
 司の体は曲の巣と  なつて忽ち身を砕き
 魂は曇りて地獄道  根底の国へ落ち行かむ
 魔我彦さまやお寅さま  貴方も確りするがよい
 名もなき神に名をつけて  拝んだ所で何にする
 狐狸の弄びに  なるより外に道はない
 天地の神の御息より  生れ出でたる生宮と
 名乗りながらも曲神に  霊を汚され朝夕に
 濁つた言霊奏上し  世を乱すとは何の事
 これ五三公が天地の  神に誓ひて赤心を
 汝が命の御前に  怯ず臆せず並べ立て
 忠告致す次第なり  果してこれの神様に
 誠の霊があるならば  今眼前五三公が
 無礼の事を囀つた  舌の根とめて命をば
 とつて呉れても恨みない  これが出来ねばこの神は
 霊も力も無い曲津  茲で眼を醒まさねば
 真の神の御怒りに  ふれてその身は云ふも更
 霊魂までもメチヤメチヤに  こはされ無限の苦しみを
 万古末代受けますぞ  顧みたまへ蠑螈別
 百の司の御前に  神に誓ひて述べておく
 あゝ惟神々々  御霊幸倍ましませよ』
(大正一一・一二・一二 旧一〇・二四 加藤明子録)
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