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文献名1霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
文献名2第1篇 仕組の縺糸よみ(新仮名遣い)しぐみのれんし
文献名3第4章 沸騰〔1214〕よみ(新仮名遣い)ふっとう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-03-09 19:55:20
あらすじそれぞれウラナイ教の神の生き宮だと名乗る幹部信者たちが捕えたテクを尋問している。タクは、道場破りの演説をやったのはアクだと応えつつも、幹部連の迷信的な尋問を嘲弄している。お寅、お菊、お千代の三人がこの大騒ぎの中へやってきた。お寅はこのありさまに驚いたが、仲裁しようと言霊を打ち出した。しかし蠑螈別を引き戻したい一心で、祈っても効験が現れないウラナイ教の神でなく三五教の神に教祖が帰ってくれるように祈ってくれないか、と信者たちに依頼する始末であった。テクは懲りずにウラナイ教の幹部たちに憎まれ口をたたいている。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月25日 愛善世界社版54頁 八幡書店版第8輯 380頁 修補版 校定版55頁 普及版23頁 初版 ページ備考
OBC rm4604
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本文の文字数4025
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本文  リントウビテン大神の肉の宮と自称する、細作りのオホン徳利の様な顔した男、糊付物の様に固くなり、タクの首筋をグツと握りて強力に押へ付けながら、
喜久『コヽヽコラ、キヽ貴様は何処の奴だい。この結構な地の高天原を何と心得て居るか。此処は人民の肉体の初まつた元だぞ、エーン。もつたいなくも大将軍様が、常世姫の命と共に、人間の種は申すに及ばず、五穀、わさ物、すゑ物、鳥獣、虫族に至るまでお生み遊ばした、根本の根本の神聖な、結構な結構な御地場だ、エーン。貴様等のやうなフワフワの風来者に、昔の神様の因縁が分つて耐らうかい。サア、リントウビテン大神の肉の生宮が、見せしめのために、其方をふん縛り、あの首懸け松に引つかけてやらう。オイ木曽義姫の生宮、早く綱をもつて来い』
 木曽義姫の生宮と云はれた女は、喜久公の女房お覚であつた。お覚はおろおろ声を出して、悲しさと腹立たしさにびりびり慄へて居る。又一方から、一人の男が立ち現はれ、
『コリヤ、貴様はバラモン教から三五教へ鞍替へ致した不信仰者の癖に、何を偉さうにぬかすのだ、エーン。俺を誰だと心得て居る、勿体なくも五六七成就の大神様の生宮だぞ。貴様のやうな悪魔が天下を横行するよつて、この世の中が日に増し乱れて来るのだ。さうだから、天の五六七の大神様が小北山の聖場に現はれて、神政成就のお仕組をして厶るのだ。サア速に大神様にお詫を致すか、どうだ、エーン。この竹さまを何と心得て居る。聞くに耐へざる雑言無礼の言葉を並べ、この聖場を汚さむとする。返答次第で容赦はならぬ』
と喚き立てる。
タク『リントウビテンか五六七成就か知らぬが、俺はタクと云ふものだ。やかましく云つたのはアクが云つたのだ。なぜアクをつかまへて詮議をせぬのか、俺の迷惑ぢやないか。勿体なくも神の宿りたまふお頭を打擲きやがつて、エーン、それでも神の信仰と云へるか。耄碌不成就の神の生宮め』
竹『耄碌不成就の神とは何だ、狸野郎め、もう了簡はならぬぞ』
 竹公の女房お福は目を釣り上げ、口をもがもがさせながら首を頻りに振り、
『旭の豊栄昇り姫の大神が気をつけるぞや。五六七成就の大神の生宮殿、リントウビテン大神の生宮殿、木曽義姫の肉の宮殿、暫らく待つて下されよ。今に豊栄昇り姫の生宮が善と悪とを立別けて御目にかけるぞや。アク、タク、テクの如き人間を相手に致すぢやないぞ。今の人間は神でも叶はぬやうな理屈を囀るによつて神でも口には叶はぬぞよ。今に実地を見せて改心を致させてやるから、お控へなされよ。旭の豊栄昇り姫が気をつけるぞよ。この男はアクを働いて行き詰り、此小北山の神殿へ強請に来よつた、アク公であるぞよ。こんな四つ足人間に相手になりて居りたら、又熊公のやうに駄々をこねられて、一万両呉れと申すぞよ。ぢやと申して一万両は愚か、一銭たりともやることはならぬぞよ。又此のタクは、アクの委託を受けて来て居るのだから、沢山のお金を絞るつもりで居るなれど金神が許さぬぞや。そこに慄うて居る男は手癖が悪いからテクと名がついたのであるぞよ。早く改心致さぬと眩暈が来るぞよ。神政成就の御時節が来て居るのに、何をグヅグヅして居るのだ。人間で神の事は分らぬぞや。ウンウンウン』
テク『アハヽヽヽ、何を吐しやがるのだい。アタ阿呆らしい。欠伸の友呼び、猿の木登り姫の生宮奴、能くもそんな馬鹿な事が云へたものだ。サアこれから俺が審神をしてやらう、こりや耄碌不成就の神の生宮、早くタクの体を離しよらぬか、今にグヅグヅ致して居ると、上義姫の肉の宮がお出で遊ばしたら、貴様は忽ち免職だぞ。こりやカリン糖、鼬貂の大神奴が、鼬貂の肉宮、貴様も同類だ。今に末代日の王天の大神の生宮に告発するからさう思へ』
竹『何と言つても貴様が道場破りに来たのだから、上義姫さまだつて末代さまだつて、お叱り遊ばす道理があらうか、サア首懸け松へ引つかけてやらう』
 後の方から又一人の女が首をふり囀り出した。
『此方は岩照姫の神の生宮だ。此場の争ひは神が預かるぞや、お鎮まりなさい』
喜久『ヤア、これはこれは岩照姫の生宮様、貴女は生羽神社大神様の奥様、御仲裁とは恐れ入ります。然らば貴女のお脇立たるリントウビテンの大神、オイ五六七成就の大神の生宮、お前も鎮まつたらどうだ。岩照姫の肉の生宮様のお言葉には背かれまいぞ』
竹『五六七成就の大神も、それなら、これで鎮まらう』
テク『アハヽヽヽ、いや有難う。岩挺姫様、やつぱり貴女は神力がありますなア。なるほど岩挺姫様ほどあつて、岩でも挺でも動かぬ御神力だ。南無岩挺大明神さま、叶はぬから霊幸倍坐世』
 かくガヤガヤと乱痴気騒ぎの最中に慌しくやつて来たのは、お寅にお菊、お千代の三人であつた。
 お寅はこの有様を見て、一寸ばかり吃驚したが遉の強者、ジツクリと様子を考へ、仲裁の労を取らむと言霊を打ち出した。
『これこれ竹さま喜久さまえ  旭の豊栄昇りさま
 木曽義姫の肉の宮  大事のお客をつかまへて
 何を愚図々々言ひなさる  五六七成就の大神も
 リントウビテンの大神も  お前さまの行ひ悪ければ
 忽ち帰つて仕舞ひますぞ  一を聞いたら十を知る
 気の利いた身魂でない事にや  どうしても神業はつとまらぬ
 仮令アクさまがどう云はうと  タク、テクさまが笑ふとも
 そんな枝葉の問題を  捉へてゴテゴテやかましう
 目に角立てて泡を吹き  怒り散らせる時ぢやない
 皆さま考へなさいませ  これのお山に祀つたる
 二十三柱の神さまは  高姫さまが言ひ出した
 素性の分らぬものばかり  それに勿体をつけなされ
 へぐれのへぐれのへぐれ武者  身魂の変化れたへぐれ神社
 何ぢや彼んぢやと旨い事  構へて神名をつけて置き
 朝な夕なに一心に  祀つて居たが何一つ
 神徳現はれない故に  肝腎要の教祖さまが
 眼をさまして三五の  道にお入りなさつたは
 皆さま知つて居る通り  蠑螈別の教祖さまが
 糟を拾うて小北山  開いて祀つた神様ぢや
 それ故曲津が憑依して  玉則姫と云うて居た
 お民と昨夕手を引いて  私の頭を打ち叩き
 お金を取り出し懐に  入れてサツサと逃げ出し
 お民の奴の手を引いて  スタスタ逃げて往きよつた
 それでも蠑螈別さまは  正直一途の人だから
 お寅は決して厭やせぬ  神さまだとて其通り
 お憎みなさらう筈がない  そんなくだらぬ喧嘩をば
 ゴテゴテして居る間があれば  お前等の教の親とます
 正宗さまが一時も  早く帰つて来るよに
 御祈願なさるがよからうよ  グヅグヅして居る時ぢやない
 魔我彦だとて其通り  玉則姫のお民をば
 正宗さまにさらはれて  どうして男が立ちますか
 私も聊か気が揉める  皆さま早う神様に
 お祈りなさるがよからうぞ  とは云ふものの小北山
 神に祈ろと思へども  何とはなしに信用が
 一寸置けなくなつて来た  ならう事なら皆さまよ
 三五教の神様を  祈つて下さる気はないか
 叶はぬ時の神頼み  正宗さまが帰つたら
 又其後で更めて  これのお山に祀つたる
 二十三柱の神様を  拝めばそれでよいぢやないか
 今の間は三五の  神をたらして手を合せ
 拝み倒して正宗の  肉のお宮を逸早く
 ここへ帰して貰はねば  お寅の胸がをさまらぬ
 これこれ魔我彦、義理天上  何をグヅグヅして居るか
 一つ鉢巻締め直し  一生懸命三五の
 神を祈つてお民奴と  目ひき手を引き袖を引き
 一旦この場を逐電し  お民の奴を手の中に
 丸めて私の禍を  早く除いて呉れるよに
 何故拝まぬか焦つたい  これこれ皆の信者さま
 何をクツクツ笑ふのだ  神に対して済みませぬ
 早くお詫をした上で  神の御為め人の為め
 殊更お寅の身のために  一心不乱に祈つとくれ
 義理天上の御教を  朝な夕なに聞いた人
 ちつとは義理も分るだらう  早く拝んで下されよ
 これこれタクさま、テクさまも  一緒に拝んで下しやんせ
 私は腹が立つわいな  腹立つばかりか気が揉める
 あゝ惟神々々  お寅が神の御前に
 赤心こめて頼みます』
と一生懸命に、恥も外聞も忘れて、仲裁どころか、信者に向ひ、自分の恋男の引き戻しを早く祈つて呉れなくては、信者としての義理が済むまいと、妙な所へ理屈をつけて、嫉妬の余炎をもらして居る。
タク『アハヽヽヽ、ここへ来てから痛い目や、苦しい目や、をかしい目や、面白い目に遇はされ、今又お寅さまの婆勇を拝見して、実に爽快の念に打たれました。年はとつても矢張り若い男を亭主に持つだけあつて元気旺盛なものぢやな、いやもうお寅さまの精力家には舌を巻きましたよ。唖然が中有に迷ひましたよ。実に小北山と言ふ処は、種物神社が祀つてあるだけあつて、沢山の話の種を頂戴致しました。これが小北山へ吾々の参拝した余徳と云ふものだ。南無種物神社大神殿、守りたまへ幸へたまへ』
テク『お寅さま、随分ウラナイ教には英傑が沢山に居りますね。第一五六七成就の大神の生宮、リントウビテン大神の生宮、旭の豊栄昇り姫、木曽義姫なんかの活動振りと云つたら、随分見物でしたよ。それに、も一つ感心なのは岩照姫さまの生宮だつた。いやあまりの御神徳の絶無なのに感心致しました。オツホヽヽヽ』
竹『おい、テク、テクの棒、お前はここへ嬲りに来たのか、冷かしに来たのか、エーン、怪しからぬ事を云ふぢやないか。五六七成就の生宮を耄碌不成就の生宮だなんて言つたぢやないか。どこが耄碌だい』
テク『今は世が逆様になつて居るから、逆様を云つたのだよ。五六七の世が成就致したならば、万歳を祝するために緑毛の亀がお祝に出て来て踊るだらうと思つたから、緑毛を逆様に読んで毛緑と云つたのだよ。何事も見直し聞き直すのだよ。それが神ながらの道だ。あゝ皆にカチこまれて、叶はぬからたまちはへませ、叶はぬからたまちはへませ』
一同『アハヽヽヽ、ウフヽヽヽ、オホヽヽヽ』
(大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 加藤明子録)
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