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文献名1霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
文献名2第1篇 仕組の縺糸よみ(新仮名遣い)しぐみのれんし
文献名3第5章 菊の薫〔1215〕よみ(新仮名遣い)きくのかおり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-03-10 18:13:52
あらすじお菊は壇上に登り、卓の脚を叩きながら歌い始めた。蠑螈別はお寅を隠し妻として教団をこの地に開き、朝から晩まで酒を飲んでわけのわからない説教をしていたことを暴露した。そして、神の戸籍がどうであろうと神徳をいただいてこの世が楽に暮らせたらよいだろうと信者たちを説得した。またテクはウラナイ教の神が曲津神であり、教祖自身が信者の女と逃げて行き、幹部のお寅がそれを牛のように追いかける様を見れば、それが何よりの証拠だと歌った。テクが歌い終わると大広前は喧々囂々と醜態を演出し始めた。テクは壇上から声を張り上げて心を鎮め、誠の神を拝むようにと歌を歌った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月25日 愛善世界社版66頁 八幡書店版第8輯 384頁 修補版 校定版67頁 普及版28頁 初版 ページ備考
OBC rm4605
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本文  お菊は満座の騒擾を見て、慌しく壇上に登り、白扇をもつて卓の脚を叩きながら歌ひ始めた。
『ウラナイ教の大教主  蠑螈別は大広木
 正宗さまと名告りつつ  高姫さまの後襲ひ
 魔我彦さまの義理天上  怪しき日の出の神さまと
 北山村を立出でて  こんな所へ出張し
 唯一無二なる聖場と  讃へてお寅の鈴野姫
 人には云はぬ隠し妻  夫婦の水火を合せつつ
 大神業を起さむと  朝から晩まで酒を飲み
 世に落ち給ひし神さまに  神酒を献上するといひ
 朝から晩までづぶ六に  酔つて厶つた其姿
 張子の虎のやうだつた  露国の土地に生れたる
 大海原の姫神が  大ふねさまと生れ変り
 その又霊が変化して  八坂の盛竹大臣と
 御成りなさつたといふ事だ  大舟さまの兄弟に
 大岩大藤二柱  あるとか教へて下さつた
 元下則武日吉姫  夫婦の仲に出来た子が
 時文といつて其家来  八坂盛竹を随へて
 神の御国に渡り来る  其又日吉の姫さまは
 大海原姫又の御名  平野の姫の変化だと
 訳のわからぬ御説教  何時も御聞かせ遊ばした
 露国の土地の頭領は  山竹さまで又の名は
 黄竜姫と言うたげな  黄竜姫は又へぐれ
 大鶴姫とならしやつた  常世の姫が又へぐれ
 猿田子の姫や平野姫  大海原姫や日吉姫
 てるむす孟子路易出づる  何だかわけの分らない
 前後矛盾の御神名  てるむす姫の又の名は
 たらた姫だと云ふ事だ  口から馬が生れたり
 獅子が飛出る孔雀生む  蜈蚣に蛇に蟇蛙
 その又蛙と狐さまが  つるんで人を生んだとか
 わけのわからぬ事ばかり  酒の上にてベラベラと
 仰有るのだから怺らない  之を思へばアクさまが
 名の無き神ぢやというたのも  あながち無理ではあらうまい
 神の戸籍は何うあろと  決して心配は要りませぬ
 ただ神徳を頂いて  此世が楽に暮せたら
 それで皆さまは宜しかろ  天地尋常の神さまや
 青森白木上の神  日の出神の義理天上
 常世の姫や黄竜姫  大足姫や言上姫
 金山姫や未姫  地上大臣地上丸
 たがやし大臣杵築姫  朝日子姫やみのる姫
 はやざと姫や地上姫  以上十六神柱
 これが根本の根本の  昔の昔のさる昔
 まだも昔のその昔  霊のもとなる十六の
 お菊の御魂と云ふ事だ  お菊は今や十六の
 冬を迎へた花盛り  神の御名をばとらまへて
 ゴテゴテいふより此の菊を  拝んだ方が御利益が
 よつぽど沢山あるだろ  義理天上が預つて
 御育て申した七人の  神は天照彦さまに
 天若彦や八王さま  大野大臣大広木
 正宗さまや同情の  ふかい道上義則や
 柔道行成此神を  合せて二十三神と
 崇めまつると聞きました  此神さまは親が子に
 なるかと思へば子が親に  なつたり又も主従に
 なつたりなされてこれといふ  定つた判定がつきませぬ
 不思議と思うて正宗に  神名の由来を聞いた時
 正宗さまは仰有つた  へぐれのへぐれのへぐれ武者
 へぐれ神社と云ふぢやないか  如何に矛盾があるとても
 へぐれといへば一言で  どんな事でも解決が
 つくではないかお菊さま  馬鹿正直に神さまを
 崇める奴が何処にある  お前は文明の空気をば
 吸うた女に似もやらず  馬鹿正直のものだなと
 笑うてゐられた事がある  之を思へば此山に
 祀つた神は皆怪し  末代日の王天の神も
 上義の姫も皆嘘だ  五六七成就の肉宮も
 リントウビテンの肉宮も  生羽神社も岩照姫も
 旭の豊栄昇り姫も  木曽義姫の肉宮も
 日の丸姫も天上さまも  玉則姫も大将軍も
 常世の姫も皆うそだ  四個の野狐が憑依り
 こんな他愛もない事を  喋つて人を暗黒へ
 導くものと覚えたり  お菊はこれから皆様へ
 立腹させていろいろと  責め立てられるか知らねども
 他人を助ける神の道  嘘と知りつつこれが又
 何うして黙つて居られませう  何卒妾の言ふ事を
 直日に見直し聞直し  よくよく悟つて下さんせ
 生命をかけて皆さまに  一伍一什の内幕を
 ここに打明け奉る  あゝ惟神々々
 みたま幸はひましませよ  旭は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  たとへ大地は沈むとも
 誠一つでない事にや  此世に栄えて行かれない
 妾は未来が恐ろしい  短い此世に生命をば
 保たむために嘘ばかり  ならべて人を迷はせつ
 永き地獄の苦しみの  種子を蒔くのは嫌だ故
 物質上の得失を  かへりみせずに天地の
 真理をここに現はして  迷ひ切つたる人々の
 御眼をさましおきまする  悪く思うて下さるな
 偏に願ひ奉る  あゝ惟神々々
 みたま幸はひましませよ』
 テクは歌ひ出した。
『松彦さまに随ひて  小北の山の坂道を
 テクテク上り来て見れば  木造石造いろいろの
 沢山な宮が立つてゐる  お寅婆さまに随ひて
 大門神社の受付を  たづねて見れば白衣をば
 つけたる爺さまがただ一人  蕪大根をセツセツと
 一生懸命に描いてゐる  不思議な神もあるものと
 疑ひながら山中を  廻つていよいよ曲神の
 醜の住処と悟りました  大方此処は幽冥の
 世界に通づる八衢か  六道の辻かさもなくば
 八万地獄の入口と  思うた事は違はない
 いよいよ真相を暴露して  教祖と名告つた蠑螈別さまは
 夫婦喧嘩をおつ始め  お民とひそかに喋し合ひ
 闇にまぎれてすたすたと  尻尾をまいて逃げ出した
 後姿をながむれば  狐狸か山犬か
 合点の行かぬ其姿  後から唸を立てながら
 夜叉の如くに追つかける  お寅婆さまを眺むれば
 牛にもあらず虎ならず  よくよく見れば古狐
 恋路の暗に閉されて  後前見ずにトントンと
 恋しき男の後追うて  生命からがら追つて行く
 小北の山の神殿が  果して誠の神様の
 集まりいます所なれば  肝腎要の教祖さま
 醜の悪魔に憑依され  霊をぬかれて此場をば
 逃出しなさる筈はない  此有様を見たならば
 如何なる堅き迷信も  忽ち夢が醒めるだろ
 わたしは神の道を行く  誠一つのテク司
 決して他処の教をば  誹る心はなけれども
 見るに見かねて身を忘れ  憎まれ口をたたくのだ
 此場に集まる人々よ  直日に見直し宣り直し
 よきに省み給へかし  あゝ惟神々々
 みたま幸はひましませよ』
 斯くテクが歌ひ終るや、又もや大広前は喧々囂々として騒ぎ立て、怒るもの、泣くもの、笑ふもの、叫ぶもの、千態万状、言語に絶する醜態を演出し始めた。テクは壇上より声を張りあげて、

『道のため世人のために身をすてて
  生言霊を宣り初めにけり。

 人々よ心安らに平かに
  しづまりませよ神の大前。

 やがて今元の誠の神様を
  斎きまつりて世を開きゆかむ。

 凩にうたれて散りゆく木々の葉は
  枝にとどまる力なきもの。

 凩に吹かれたたかれ何処までも
  梢にのこるは生きたみたまぞ。

 何事の出で来るとも世の元の
  神にしたがへ百の人々。

 蠑螈別、魔我彦、お寅婆アさまの
  迷ふ心を照らす今日かな。

 魔我彦も今日を嘸かし悦ばむ
  迷ひ切つたるやみをはなれて』

(大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 外山豊二録)
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