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文献名1霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
文献名2第3篇 千波万波よみ(新仮名遣い)せんぱばんぱ
文献名3第16章 聖歌〔1491〕よみ(新仮名遣い)せいか
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ玉国別はこれまでの述懐を宣伝歌に歌った。一同は祝詞を奏上し、数歌を歌い終わった。玉国別はまた、印度の国ハルナの都への言向け和しの征討の旅の背景と決意を宣伝歌に歌った。船頭のイールは、船が大蛇が棲むというフクの島に流されていくことを舟歌に歌いながら櫓を操っている。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月29日(旧02月13日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年6月15日 愛善世界社版193頁 八幡書店版第10輯 440頁 修補版 校定版205頁 普及版77頁 初版 ページ備考
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本文  初稚丸に帆をあげて  潮のまにまに辷り行く
 玉国別の一行は  前途に当る島陰を
 眺めて何か心中に  朧げ乍ら望みをば
 抱きていそいそ湖風に  吹かれて進む波の上
 月は漸く中天に  昇らせ玉ひ清涼の
 空気はおひおひ身に迫る  何とも云へぬ心持
 思はず知らず苫の屋根  立出で来り舷頭に
 遠くに霞む島陰を  打仰ぎつつ独言
玉国別『際限もなき湖原の  彼方に見ゆる浮島は
 如何なる人の住みけるか  但しは人無き孤島か
 猩々島の片割れか  波に呑まれて船を割り
 バーチルさまの二の舞を  演じて漸う漂着し
 猩々の姫を妻に持ち  浮世離れし別世界
 其日を暮す人あらば  又もや悲しき生き別れ
 救ふも辛し救はねば  神に対して相済まず
 何は兎もあれ波の間に  進みて実地を探り見む
 ああ惟神々々  御霊幸ひましまして
 神の賜ひし此御船  波路も安く渡らせよ
 国治立の大御神  豊国主の大御神
 斎苑の館に在れませる  瑞の御霊の御前に
 三五教の宣伝使  玉国別を初めとし
 神の稜威も三千彦や  その外百の神司
 遠き海路を恙なく  進ませ玉へと願ぎ奉る
 初稚姫の神司  此荒波を乗り切りて
 猛犬スマートに跨りて  波のまにまに出で玉ふ
 その扮装の勇ましさ  もしも彼方の島陰に
 休らひ玉ふ事あれば  実に嬉しき限りなり
 初稚姫の逸早く  船を見棄てて犬に乗り
 出で行き玉ひし心根は  何かは知らねど重大の
 使命の在すと覚えたり  吾等一同の行先に
 又もや曲の現はれて  如何なる仇をなさむやも
 図られ知らぬキヨの湖  只何事も惟神
 大御心に任せつつ  天津祝詞を奏上し
 天の数歌歌ひ上げ  一同声を相揃へ
 神の御名を称ふべし  ああ惟神々々
 御霊幸ひましませよ』
と歌ひ了り、一同と共に型の如く恭しく祝詞を奏上し、数歌を歌ひ終つて宣伝歌を節面白く称へ初めた。
玉国別『地水火風空の大本を  造り玉ひし神御祖
 大国常立大御神  宇宙の外に在しまして
 天地日月星辰を  完全に委曲に造り終へ
 青人草や鳥獣  虫族初め草や木の
 片葉の露に至るまで  厳の恵みを垂れ玉ひ
 此美はしき世の中を  守らせ玉ふ有難さ
 先づ第一に日の御神  高皇産霊の大御神
 月の御神と現れませる  神皇産霊の大御神
 水火の業を受持ちて  天地万有按配し
 各その所を得せしめて  無限の歓喜を与へつつ
 弥勒の聖代を細に  築かせ玉ふ尊さよ
 先づ第一に人を生み  天足の彦や胞場姫を
 青人草の祖先とし  エデンの園に下しまし
 神の形に造られし  人の子数多生み終はせ
 此世の中を開かむと  かからせ玉ふ時もあれ
 天足の彦や胞場姫が  皇大神の御心に
 反き奉りし邪心より  天地に妖邪の空気充ち
 八岐大蛇や醜狐  曲鬼などの生れ来て
 益々此世を乱し行く  高皇産霊の大神の
 厳の御霊と在れませる  国治立の大神は
 天津御神の御言もて  遥々天より降りまし
 此地の上の万有を  いと安らけく平けく
 治めむものと千万の  掟を定め神々を
 生みなし玉ひて三界を  救はむ為めに種々に
 心を悩ませ玉ひけり  神皇産霊の大神の
 瑞の御霊と在れませる  豊国姫の大神は
 厳の御霊の神業を  助け玉ひて遠近の
 山野海河悉く  心を配り守りまし
 八岐大蛇の憑りたる  常世の彦や常世姫
 金毛九尾曲鬼の  醜の魅魂に霊魂を
 攪乱されて大神の  大神業を妨害し
 遂には枉の集まりて  天津御国に在しませる
 元津御祖の大神に  厳と瑞との二柱
 神の掟を悪しざまに  申上げたる枉業に
 皇大神は止むを得ず  熱き涙を湛へまし
 弥勒の聖代の来る迄  国治立の大神を
 地上の世界の艮に  長く浮べる自転倒の
 根別けの島に押込めて  時節を待たせ玉ひつつ
 豊国姫の大神は  メソポタミヤの瑞穂国
 境を限りて今暫し  弥勒の聖代の来るまで
 時節を待てと厳かに  宣らせ玉ひし悲しさに
 厳と瑞との大神は  涙を呑んで潔く
 各自々々の隠遁所に  その身を忍ばせ玉ひしが
 一度に開く蓮葉の  開いて薫御代となり
 神素盞嗚の大神は  千座の置戸を負ひ乍ら
 斎苑の館やコーカスの  山に姿を隠しまし
 島の八十島八十の国  隈なく教を垂れ玉ひ
 世人を教へ曲神を  言向和し天地を
 清めて元の神国に  立直さむと宣伝使
 数多養ひ育てつつ  彼方此方に派遣して
 曇りきつたる世の中を  照らさせ玉ふぞ有難き
 神の使の数多く  在します中にいと勝れ
 神徳強き神柱  初稚姫は只一人
 魔神の猛ぶ荒野原  山川海を乗り越えて
 猛犬スマートと諸共に  神変不思議の神力を
 現はし玉ふ畏さよ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 誠の力は世を救ふ  誠の道の御教を
 教へられたる吾々は  皇大神の御為に
 あらゆる艱難を凌ぎつつ  道の御為世の為に
 尽さにやならぬ宣伝使  ああ有難し有難し
 斎苑の館を出でしより  種々雑多と大神の
 恵みの試しに遭ひ乍ら  その度毎に神力を
 いと爽かに与へられ  所々に功勲を
 現はしまつり今此処に  清めの湖に浮びつつ
 仁慈無限の大神の  教の御船に棹さして
 進み行くこそ楽しけれ  真純の彦よ三千彦よ
 デビスの姫よ伊太彦よ  いざ之よりは腹帯を
 下津岩根に締め直し  上津岩根に締め固め
 バラモン教やウラル教  神の館に蟠まる
 醜の曲津に打向ひ  善言美詞の言霊や
 堪へ忍びの剣もて  吾身を厭はず進むべし
 神は吾等と倶にあり  人は神の子神の宮
 如何なる敵の攻め来とも  恐るる事のあるべきぞ
 ハルナの都に蟠まる  八岐大蛇や醜神を
 神の賜ひし言霊に  言向和し斎苑館
 皇大神の御前に  勝鬨あげて帰る迄
 心を弛さぬ此旅路  守らせ玉へ惟神
 皇大神の御前に  玉国別が一行を
 ここに代表仕り  畏み畏み願ぎ奉る
 ああ惟神々々  御霊幸ひましませよ』
 船頭のイールは、櫓を操り乍ら又もや歌ひ出した。
イール『(喇叭節)風はそよそよ吹き渡る
  清めの湖には百鳥が
 彼方此方と翻る
  天国浄土も目のあたり。
 向ふに見えるは猩々の島か
  猩々島ならもう行かぬ
 波に浮べるあの島陰は
  吾をまつ風フクの島。
 (琉球節)フクの島には真水が厶る
  真水許りか洞がある。
 洞の中には大蛇が棲むと
  云ふて恐れる一つ島。
 いやが応でも此潮流は
  フクの島へと船流す。
 もしも大蛇が出て来たなれば
  厳の言霊頼みます。
 厳の言霊打ち出すなれば
  鬼も大蛇も丸跣足。
 私はイヅミのスマ里生れ
  若い時から船の上』
と唄ひ乍ら一生懸命に櫓を操つて居る。
(大正一二・三・二九 旧二・一三 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)
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