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文献名１霧の海
文献名２よみ（新仮名遣い）
文献名３緑の野辺よみ（新仮名遣い）
著者出口王仁三郎
概要28歳の頃
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-05-08 00:00:00
ページ191 目次メモ
OBC B119800c052
本文のヒット件数全 2 件/神山=2
本文の文字数2103
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本文 二十八歳の頃
天も地も青きが中にただ一人こころ清しく笛の音を聞く
笛の音は虚空にひびき笙の音は地上を流れてわが魂をどる
さつと吹く風に裏葉のひるがへる緑の野辺のかんばしきかな
さみどりの栄ゆる野辺にただ一人立てども淋しと思はざりけり
天地をただ一人のものとして生れしごとき霊界のたび
さえわたる虫のなく音を聞きながら霊界にさへ恋あるを知る
目路の限り青野が原はたちまちに薫りすがしき花園となりぬ
春秋のけじめも知らに咲く花の一つびとつに銀の露うく
木も草も花一面にもちて居りほころびそめし花のつぼみを
吾ゆくてふさぎて咲ける百花を足に踏むさへをしく思へり
ふみて来しあとふり返り眺むれば露にほころぶ花ばかりなる
霊界は不思議なるかな百花のわれに向ひて何かささやく
囁ける花の言葉はわからねど何か親しく恋はしく思ひぬ
艶麗なる花の姿にあこがれて足のあゆみもおのづと止まりぬ
天地万有みな言霊を発すとは聞けどもわれには不思議なりけり
いかにして花の言霊さとらむとこころくだきて神に祈りぬ
かむながら御霊幸はへましませとくり返しつつ神に祈りぬ
いづくともなく神言の声ありてさつと吹き来る時津山風
山風に吹きなびきつつ花の野は片寄りかたよりわが道ひらけり
右左花のかをれる大道をそよろそよろにわれたどりたり
　　　白梅の花
行きゆけば道の辺に咲く白梅の花のかをりの身にしみわたる
白梅の花のすがしさたたずめばおのづと花はわが口に入る
白梅の花は梢をはなれつつわが身辺をとりかこみたり
全身を白梅の花につつまれて天にのぼらむここちせしかな
全身をつつみし花はいつの間にかわが体内にしみ入りにけり
手も足もうごくにつけてぷんぷんと芳香感ずるわが身の不思議さ
いづくともなくかんばしき御声にて白梅の君よとひびく言霊
白梅の君は何処にいますかととみこうみつつ不思議にうたるる
白梅の君は汝よと云ひながらそのたまゆらに現れます女神
よく見れば桜の花をかざしたる木の花咲耶姫にましけり
葦原の中津御国はさやぎをり汝つとめよや吾もつとめむ
　　　吉祥山
木の花姫にみちびかれつつ吉祥山の花の尾の上にのぼりてぞ行く
葦原の中津御国のありさまを吉祥山よりつぶさにながむる
国人の喜怒哀楽にとらはれてさやげる状のはかなかりけり
この山にたたずみをれば地の上の国ぐに島じま手にとるごと見ゆ
西に北に雲たちおこり東に大いなる月かがやける見ゆ
西北の雲はつぎつぎひろごりて東の空におそひ行く見ゆ
地の上は見るみる雲にとぢられて島かげ一つ見えなくなりぬ
　　　三つの玉
久方の天津そらより三つの玉しづしづくだりてわが手に入れり
三つの玉かしこみいだき感謝するそのたまゆらに体内に入る
汝こそはいよいよ瑞の霊よと木の花姫はほほゑみ宣らせり
けがれたる吾身ながらもかくの如めぐまれしかと神に感謝す
三つの玉汝に捧げしこの上は下界に降ると宣らす姫神
島のごと雲の上に浮く高山を目ざして木の花姫はくだれり
われも亦木の花姫の後おひて山の尾の上に降りつきたり
　　　山上の祠
山上の小さきほこらに姫神はひかりとなりて鎮まりたまふ
大前にただぬかづきて神言を声もさやけく宣り上げにけり
地の上をつつみし雲はつぎつぎに晴れわたりつつかがよふ海原
よく見ればこの神山は名にしおふ神の守らす弥仙の高山
鬱蒼と空を封じて繁らへる尾の上の樹樹の太くもあるかな
北の方ふりさけ見ればしろじろと大海原に陽はかがやけり
　　　冠島
波遠くかなたの沖にあをあをと浮べる島根は冠島かも
三千年の長きを国祖のしのびまして神代の経綸をなしませし島
冠島にわが魂は知らず識らず引き寄せられてみ空翔り行く
いつの間にか吾をのせたる鳥船は冠島の沖にしづかに降りたり
磯端にたたずみあれば花のごとき数多の女神笑み迎へませり
姫神に前後左右をかこまれてこころ清しく神山にのぼる
音楽の声天地よりひびかひて身もたましひも地にはつかず
　　　国祖の神霊
白髪の老人にこにこ先にたち吾行く道をひらきたまへる
老人はあと振りかへりふりかへり吾を手まねきて山の上にのぼる
草も木も黄金色なすこの島は何島なるかとわれ問ひてみし
老人は面に笑をたたへつつ竜宮島よといらへたまへり
百千の鳥のなく音は天人の音楽のごとさえわたりけり
つつしみて老人の御名を尋ぬれば笑みつつ黙して答へ給はず
国治立の神にいますかと吾問へば黙もく笑みて諾きたまへる
かしこさと嬉しさ胸にせまり来てあつき涙の腮辺をつたふ
大神の清きみわざに仕へんとちかへば神はうなづき給ふ
　　　八握の剣
ややありて国治立の大神は八握のつるぎさづけたまひぬ
葦原の醜草ことごと薙ぎ払ひ神代につくせとおごそかに宣らす
ありがたし勿体なしとかしこみておもて上ぐれば御影もなし
　　　高熊の夕風
さつと吹く峰の松風身にしみてまなこ開けば高熊の山
天津日ははや西天にかたむきて峰吹く風のひややかなるも
何となく心清しさおぼえけり吾全身にうるほひあふれて
よく見ればわが手も足も蚊と蚋子にさされて隈なく腫れ上りをり
神言を奏上すれば不思議にもかゆさ痛さはとみに止まれり
水筒の水をのみつつたづさへしパン一片に夕飯すませり
夕飯ををはりて暫し山の上をあちこちめぐり国見せしかな
高熊の尾の上を渡る夕風の涼しさ霊国にあるここちせり
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