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文献名1出口王仁三郎全集 第1巻 皇道編
文献名2第1篇 皇道大意よみ(新仮名遣い)
文献名3第3章 三種の神器よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
ページ27 目次メモ
OBC B121801c06
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本文  皇道の大意を奉述せむとせば、神州の大精神大枢軸たる三種の御神器、璽、鏡、剱の奉釈また逸すべからざるものであります。以下順次略解を致します。
 鏡=徒然草諸抄大成、御鈴の章の頭書には「八咫鏡は神書なり、神代の事懇にして鏡に向つて物を見る如くに明かなれば鏡と云ふなり、又八咫といふは八方の事明かに知るが故に八咫と云ふ」とあるを見て、天武天皇の詔り玉ひし「斯乃邦家之経緯、王化の鴻基焉」なる神典古事記なる事を窺ひ奉る事が出来るのであります。
 畏くも明治天皇の御製を拝し奉れば、
 御製
  うち向ふたびに心を磨けとや
    かゞみは神のつくりそめけむ
 鏡の質たるや銅なり鉄である。その性は堅く滑かにして、その象は円満なり。その徳は光なり明なり。その用は照なり映なり。故に毀つべからず、疪くべからず、翳らすべからず、蔽ふべからず。万象之に映りてその真を現はし、衆悪之に照されてその影を蔵む。霊昭にして而して不味である。畏くも明治天皇が戊申の詔書に宣らせ玉へる『国運発展の本近くここにあり』の御聖旨は、八咫鏡なる皇典によって、国運の発展を期せよとの御言葉であると拝察し奉るのであります。大本神諭にも『綾部の大本は世界へ鏡を出す地の高天原である』と示されてあります。故に皇道大本は、皇祖皇宗の教へ玉へる神聖不可犯の神律を発揚し玉ふ神典の大精神を宣布する聖なる団結であります。
 璽=古事記に曰ふ、速須佐之男命、天照大御神の左の御美豆良に纏かせる八尺勾玉五百津之美須麻琉珠を乞渡して、奴那登母母由良に天の真奈井に振り滌ぎて、佐賀美に加美て吹き棄つる、気吹の狭霧に成ります神の名は、正哉吾勝勝速日天之忍穂耳命様でありまして、畏くも天佑を保全し玉へる、万世一系の御皇室の御基であります。故に璽は天津日嗣天皇の御玉体に当らせ玉ふのである。畏くも天之御中主神を初め、別天神、国常立大神を初め、岐美二神が国土経営の御功業成就して、天下を治むる大権を、皇祖天照大御神に授け玉ひ、天照大御神また皇孫邇々岐命に『豊葦原瑞穂国は吾子孫の世々知食すべき国なり』と言依さし玉ひて天降し玉ふ。畏くも今上陛下に至る迄、その御天職を司り給ひ、万世益々栄え玉ふ御事、誠に尊く惶こき極みであります。
 璽の質たるや石にして、天の堅石である。その性は堅にして温、その象は曲にして長、その徳は光なり美なり、その用は和なり保なり。故に砕く可からず涜す可からず。その光は玲瓏として克く万徳を統ぶ。八尺之勾玉は弥真明の玉である。美須麻琉球は美統円の珠の意である。即ち真にして明に、真善美の三徳を統ぶる玉である。その真明の美は或は神の御頸御胸等に飾られ、或は神の御称号としてまた陛下の御玉体として、世界統御の表徴として、尊敬さるるのである。また神魂は御珠、美珠と同一である。珠の霊は和魂幸魂にして秀霊にまします。故に神と皇上との尊体は、これを玉体と尊称し奉り、御言葉なり御行動に対しても玉の字を当てて尊び奉る所以であります。
 後醍醐天皇の御製に
  かずかずに集むる玉の曇らねば
    これも我が世の光とぞなる
 剱=素盞嗚尊が出雲日の川上に於て、八岐の大蛇を寸断し得たまひし叢雲の神剱にして、日本武尊の御東征以後草薙の神剱と称し奉る。現代の日本国は、八岐大蛇なる悪思想に併呑されては居らぬであらうか。皇国の位置及び形状は草薙の神剱である。皇国の天賦的気候風土、磯輪垣なせる潮流、水陸産の動植物、天地文物悉皆神剱の御本能を発揮すべき、神界経綸の機関である。皇国全体の国名地名は天賦の名称的本能を保有し、各国名地名に相当する経綸機関の、各自天職を有する国魂があり、その国魂の幸ひに依って発生せる人民、また天賦的の職掌を保有して居るのであります。古今東西の学者賢哲、みな神剱の本能的活用、及び皇国惟神の天職を知るものなきときは、実に天下国家のために悲しまざるを得ないのであります。畏くも天津日嗣天皇が、神聖なる皇祖の御遺訓に拠りて、世界統御の御経綸を実現し玉ふ時は、神剱即ち皇国の神威八紘に輝き、至治太平の聖代を招来し玉ふのであります。
 畏くも崇神天皇が二千年来、和光同塵の御神策を以て、皇道の光を隠伏し、世界救済のため、海外の文物を招収して、幸運発展の神機を待たせ玉ひしが、今や神剱発動の時機到来して、皇道大本の出現を神界より見るに至ったのは、実に有難き次第であります。一切万事冠履転倒の結果は尺位虚礼と化し、古今の弊政は、虚栄と貧慾、無道、嫉妬、盗心、猜疑、暗黒の世態を生じたのである。これらの弊風を根本より革正するは、草薙の神剱の発動に待たねばならぬのであります。
 剱の質たるや、鉄なり銅なり、その性は剛にして弾、その象は長にして尖、その徳は威にして光を伴ふ、その用は鋭にして利なり、故に犯す可からず対抗すべからず。剱の徳たるや金剛不壊にして、光芒陸離これに抗するものは、堅きは断つべく、厚きは刺すべし。これを一振すればたちまち電光閃き発り、これを以て突く時は、その鋭きこと石火の如くである。素盞嗚尊、神倭磐余彦、日本武尊は、霊剱を以て神威皇徳を顕示し玉ひ、壺切の宝剣は、歴朝の皇太子に伝へらるるの例である。神代以後歴代の聖皇は、常に宝剣を尊崇して、武威を天下に輝かし給へるは、神明の稜威を示させ給へる所以であります。
 アア懿なる哉神剣の御霊徳。
 御製
  あだしのにいざ輝かせますらをが
    とぎすましたるたちの光を
  ますらをがつねにきたへし剱もて
    向ふしこぐさなぎつくすらむ
  きたへたる剱の光いちじるく
    世に輝かせわがいくさびと
  白玉を光なしとも思ふかな
    磨きたらざることを忘れて
  新玉の年の光によろづ民
    いよいよみがけ天地の道
  曇りなき心のそこの知らるるは
    ことばの玉の光なりけり
  人心かくぞあるべき白玉の
    真玉は火にもやかれざりけり
  磨かずば玉も光はいでざらむ
    人の心もかくぞあるべき
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