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文献名1出口王仁三郎全集 第5巻 言霊解・其他
文献名2【随筆・其他】よみ(新仮名遣い)
文献名3随筆(一〇)よみ(新仮名遣い)
著者
概要
備考
タグフエドロフ(フエロドフ) データ凡例未だ全てはテキスト化していない。 データ最終更新日2021-04-20 03:46:43
ページ356 目次メモ
OBC B121805c210
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本文
     ○
 本年は畏くも神武天皇御即位の前年に当る四十四回の庚申の年である。また基督降誕の前年に当り、井伊掃部守が桜田門外に於て志士の為に首を斬り取られた年である。また耶蘇基督の霊が至聖所に入御されたと称する西暦一千八百四十四年の秋から七十六年目に当る年である。
 今の一月一日は西洋人の私作にかかる太陽暦に従つて生ずる所の元旦である。太陽暦は我皇国の天地に対して春も春ならず、秋も亦秋ならず、二月に二十八日の不具数を生ずるなど、不満不便の点が最も多い。凡そ暦と云ふものは、要するに天地の自然に基づかねばならぬものである。古の釈迦にしろ、将又日蓮にしろ、何れも皆北斗暦に拠つたものである。太陽、太陰の両暦に対照して見れば、北斗暦の万世不易なる点に於て大に勝つて居ると思ふ。北斗暦に依れば大正九年の二月一日は太陰暦の十二月十二日に当る。吾人神国民は惟神の大道に従ひ、以て東洋文明の権威を示し、併せて天地の真理に浴すべく一日も早く北斗暦(恒天暦)を正暦として正真の正月元旦の用ゐられ、日蓮の唱へたる艮(日の若宮)の義の顕れむ事を祈る次第である。
      (大正九・一・一稿 同九・一・一五号神霊界誌)
     ○
 ミロクの大神様と云へば至仁至愛の神、世界万民を平安無事に安楽に暮さして下さる神様の総称であつて、第一に宇宙の主宰に坐します天之御中主大神の別称であり、此神の全霊徳の完全に発揮されたる天照皇大御神も即ちミロクの大神である。天下万民の為に千座の置戸を負うて世界に一旦流浪された神素盞嗚尊もミロクの御霊性であつて、所謂月読尊である。之は地のミロクであつて、天照皇大神は天のミロクで、撞賢木厳之御魂天疎向津媛尊といふ別称の大神である。此御神名を開祖の神諭には総合的に頭の字一字を取つて撞の大神と仰せられたのであつて、決して月界守護の月の大神の事ではありませぬ。又五六七と書いて大本ではミロクと読んで居る理由は、之も別に深遠な意義が在るのではない。只仏典に五十六億七千万年の後に弥勒が出現されるといふ文句の数字を殊更に略して応用したに過ぎぬのであります。要するにミロクと云ふ言霊は仁愛と云ふ事になるのであつて、天地万物の根元は皆天の御祖神の仁愛と、地の祖先の仁愛との大精神より創成されて居るのである。皇道大本を仁愛の結晶にしたのは変性女子の御魂であつて、其根元を開かれたのが変性男子の御魂である。即ち大国常立尊と稚姫君命と、惟神真道弥広大出口国直霊主命の三神一体の厳の御魂の大活動であります。此の神々の活動によりて地の高天原の基礎が開かれ、其処へ変性女子の御魂が現はれて皇道大本が光輝を放つ事に成つたのである。皇道大本は艮の金神国常立尊が神政成就の神策地であつて、二代の教主が大地の金神禁闕要能神の御魂で厳の御魂の御用と神定されたのである。就ては天のミロクは神代の神誓神約を実行すべく地上に降臨し、初代二代三代の輔佐を為すべく、瑞の御魂の宿つた変性女子の肉体を御使ひ遊ばして神界経綸の完成を期し給ひつつあるのである。地系の神が主となり、天系の神が国祖の神業を輔佐し給ふのも『天の神、地に降りて今度の二度目の天の岩戸開きの御手伝ひを遊ばすぞよ。地の神上へ上りて一旦は守護致すぞよ』との神諭の一部の実現であります。
     ○
 敦賀駐剳の露国副領事フエドロフ氏はマツソン結社の陰謀を語り、露国の滅亡したのは米国から来た赤三角の所業である。日本にも此の倶楽部が国家を呪ふ秘密結社であるとの意味を吐露した。曰く、
『露西亜の大革命を起したるはマツソン秘密結社の所業だ。革命の起るズツト前から其の紐育の本部から派遣されて入露したるもの私の計算でもザツト二千名以上である。是等の連中が過激派騒ぎをこね上げたのだ。何分五千年の歴史を有し、世界の四分の三の富を有して居ると称せられた秘密結社の事であるから、曩には七十万の生霊を仏国の革命の為に捧げ、今は我露国から幾多の血肉を奪ひつつある。其の徽章は赤の三角の上にコンパスの形を書いたもの、Y・M・C・A即ち基督教青年会の赤三角はこのマツソン徽章より胚胎して居る。あの赤三角はリシフエルを表して居る。リシフエルは悪魔と云ふ言葉で、リシは火を、フエルは造るを意味して居る。真赤な赤三角は火の燃えて居る徽章で精神、身体等を赤三角の一辺にひきつけたのは実に甚だしき附会だ。何ぞ知らん彼等はマツソン結社の別働隊だ。何時も国家の不祥事は彼等の団体から起るのを見てもわかる。日本の官憲では日本に過激思想伝播を警戒して居るが神戸、横浜とばかりで見当が付かぬらしいが、マツソニア・クラブが立派に組織されて居る。日本はこれまでは、彼等から全く除外されて居たが、ボツボツ朝鮮等に其黒い手が伸びたらしい。警戒しないと大事になる云々』
 フエドロフ氏は、日本はこれまでは彼等の秘密結社から全く除外されて居たと云うて居るが、それは氏の誤解である。マツソンの最後の目的は矢張り日本に在つたのである。只時期が到来せなかつたが為に今迄手が伸びなかつたのである。併し彼等の自由平等、四海同胞等の標語は既に已に数十年以前から、我国へ、大河の溢るるが如き勢で侵入して来て居つて、彼等の目的の大部分は我国に於ても実現して居るのである。世界中を攪乱して遂に各国の主権者の主権を破壊し終り、最後に○○国へ眼を着け、最早彼等悪神の経綸は九分九厘まで成就したのである。モウ一厘と云ふ所に成つて居るのである。大本開祖の神諭を初めから心を鎮めて拝読すれば、彼等悪神の陰謀は鏡にかけて見る如く極めて明白に成つて来るのである。日本人も知らず識らずに彼等の悪神の奸計に甘々と乗せられ、九分九厘の身魂がマツソン化して尊厳無比なる我国体の精華を疎んじ、外来の悪思想に心酔して了ふて、此上も無き真理のやうに思つて騒ぎ回り、ヤレ普通選挙だの、ヤレ労働問題だの、華族廃止問題だの、民本主義だの、自由平等だのと、得意に成つて騒ぎ回つて居るのである。日本国には天地開闢の太初より惟神の大道が開かれてゐるのだ。今日迄は神界の摂理で和光同塵の神策を採つて来た日本国も弥天運循環して五六七神政の成就に近づいたのであるから、一日も早く真の日本人に立帰り、日本神国臣民の使命を自覚して天地に代る大功を永遠に樹てねばならぬのである。
     ○

      (大正九・一・一〇稿 同九・一・一五号神霊界誌)
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