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文献名1出口王仁三郎全集 第5巻 言霊解・其他
文献名2【随筆・其他】よみ(新仮名遣い)
文献名3国防と国民の覚悟よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例旧仮名遣いを新仮名遣いに改めた。 データ最終更新日2016-12-02 02:17:56
ページ547 目次メモ
OBC B121805c242
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本文  人類一般の希望は世界の平和と幸福を企図するよりほかに何もない。そしてその平和と幸福を永遠に持続し、天人共に和楽の世界をつくらんとすれば、どうしても社会主義、道学者、既成宗教家らの唱うる如く、武備を撤廃して真の平和と幸福を得ることは未だ出来ない情勢である。
 造物主の意志は必ずしも武力を備えて平和を維持せよという考えではないが、ともかく人間というものは神よりあまり完全に造られ、あまりに自由を与えられているがために、それに増長して天地の御恩を忘れ、利己主義に走り、自己の発展のみを考えて他を顧みない獣性をもっている。故に我が皇祖は三種の神器を天下統治の大権として皇孫にお授けになったのも主とするものは劔であった。玉は平和を象徴し、鏡は開発を象徴し、武器は大きくいえば国防、小さくいえば護身を意味している。世界の各国が人文の発達につれて生存競争が烈しくなり、その個人の生存競争は拡大して一郷の競争となり、一国の競争となって来たのである。
 神国が完全に樹立されるまでは国を守る上において、最も武器が必要である。武器を完全に備えることは国防の第一義であり、細矛千足の国の名に叶う所以である。日本人の大和魂というのも、仁もあり、義もあり、礼もあり、智もあり、信もあるが、その中で勇なるものが主となっている。勇は武勇の勇であり、文字に書いても「マ男」(真男)と書き、男子は勇をもって立つべきである。
 特に我が日本は神代においては渤海湾からゴビの沙漠より新彊まで海が続き、日本海がほとんど瀬戸内海の如きもので、小舟で交通が出来たのである。それがために日本が全アジアを支配していたのであり、また蒙古の大中心にまで大きな海が入りこんでおったので気候が暖和であり、今日の如く寒冷荒涼の地ではなかった。その時分には非常にこのアジア方面を扼してしまっていたから、他の国からアジア(アジアとは葦原の国のことで、日本を意味す)をどうすることも出来なかったが、現在では日本海の島々が沈没して、わずかに壱岐、対馬、佐渡の核心だけが残り、津軽海峡を距てて四方環海の国なってしまったのである。それがために交通が出来なくなり、年処を経るに従ってアジアの統一が出来なくなり、言語風俗等も変わってしまって、蒙古や支那のことは分からなくなってしまったのである。
 今日の日本としてはどうしても陸海軍の拡張、新式の武器、飛行機、潜水艦等の必要を感じて来た。これらの武器の完備した国が世界に独立して憚らず、圧倒されず、平和と幸福を確保することが出来るのである。
 軍縮会議というようなものが出来て、互いに他を犯さないような相談が出来ているが、その裏面には各国が孜々営々として武備の拡張を競っているのであるから、日本のみが馬鹿正直に空文の約束を守る必要はないだろうと思う。ともかく、日本は国民皆兵の国であり、皇室を御本家として、吾々は畏くも家族と見なされている国であるから、軍人でなくとも老若男女に拘らず、この国防の完成に努力するのが当然である。国防ということは、大にしては国家の平和と幸福、小にしては個人の平和と幸福、これを拡大すれば世界の平和幸福をもたらすことになるのである。この日本にも国防が欠けていたら瞬く間にどんな運命になるか分からない。日本の国に武備があり、陛下の御稜威によって大和魂を発揮する時は、アジアの幸福ばかりでなく、世界全体の平和と幸福を来すことになるのである。この場合どれほど苦しくても貧乏しても、我が国民は一切を国防に傾けて、祖先の墳墓の国たる我が皇国のために最後まで力をそそがねばならぬ時機が到来しているのである。その後で初めて神示の天の岩戸開きが出来、みろくの世即ち金輪聖王の聖代が招来されるのである。
 また国防の充実せざる国家は豺狼の如き国家から侮蔑され、或いは占領され、ついには国民の生存権まで奪われるようなことになる。そうなれば勇壮活発なりし吾々の祖先に対し、子孫たるものの申し訳ないことになり、忠孝の道が欠けてしまうのである。我が国は忠と孝とをもって国の教えとし、安寧秩序を保ち、温厚敦樸なる風俗を続けて来たのであって、この忠孝を全からしめるためには、国家を守るべき国防運動に全力をそそぐのが、国民たるものの一大義務と感ずるものがある。
(昭和八年三月号 昭和誌)
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