文献名1惟神の道
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3神国に報ずるの覚悟よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考「神霊界」大正八年五月一日号所収「皇道我観(四)第五章 世界無比の神国」の抜萃
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本文
日本国は古来神国と称し、細矛千足国、豊葦原瑞穂の中国、磯輪垣の秀妻国、また豊秋津根別国、大八洲根別国、浦安国、言霊の天照国、大倭国、日本国、国の本国など称し、世界無比の神国であるから異邦に勝れて尊きは言ふまでもない。
寒暑共にその中を得て、地は南北に亘り、東西に跨って、四方に清海を環らし、風土清けく、土地膏沃、五穀その他の作物は豊穣であり、山野に草木繁茂し、果実よく熟してその味殊に美はし。金銀銅鉄鉛錫石炭の類に至るまでも生産し、一切欠くる事なき天産自給の宝国である。また人民の衆多なるは面積比較上外国に数倍し、天賦の霊能日本魂あるを以て勇気、智量、慈愛、親睦の良質を惟神に包蔵し、平素清潔を好み、神祇を崇敬し、皇室を敬ひ尊び、大義を重んずる事はこの神域に生を享けた神国神民の自然より出づる美徳である。
かく日本国民は淳朴質実で神勇神胆あるが故に、日本の太古には天道、地道、人道などの名称もなく、忠義孝貞などの名目もなく、ただただ神随言挙げせぬ国として、不言の教、無為の化が自ら行はれ、その行為の道に違反するものは少なかったのである。大伴氏の遠祖天忍日命の誓言にも「海行かば水潜屍、山行かば草生す屍となりて、取り収むる者なくとも毫も厭はずして、大君の辺にこそ死なめ閑には死なじ顧みはせじ」と言ひ、筑紫の防人とて東より賦役に赴く土兵が、額に箭は立つるとも、背に箭は負はず、進むことありても退く事は為さじと言った如く、君臣の大義、父子の神愛も自ら備はつてゐたのである。
然るに世降り、生民漸次数を増すに従って惟神の美風良俗次第に破れむとし、一の教法なくては治まり難くなったが為に、崇神天皇の御宇に至って和光同塵的政策の必要に迫られ、これより次第に儒仏耶等の外国に興った教を採り入れ、なほ近代に至っては西欧文明をも吸収して現在に及んでゐる。
しかし、元来皇道は日本神国には具はった宇宙の大道であって、天津日嗣天皇が天の下、四方の国を安国と平けく治食すべき規範たるべきものであり、世界の人類を治め助け、善美なる言行の範を示し、国民はこの道に準拠して、上御一人の御尾前に仕へ奉つて、世界を経綸するの天職を遂行すべきものであって、決して外来の宗教説の如く、未来の楽土を欲求し、救助を求め、万事哀願的に出づるのとは全然その選を異にする。
この皇道の宗家たる皇国は、畏れ多くも皇祖の大御親神に坐す天之御中主大神の御実体の顕現であって、世界一切を具有し給ふ神国なるが故に、皇祖の神勅に依って世界一切の生民を同胞となし、天下統治の天職を帯ばせ給ふ神聖不可犯の天津日嗣天皇が天壌無窮に鎮座あらせられ、下神民は皇祖大神の授け給うた敏心の日本心を以て万世一系の皇運を扶翼し奉るべき、天賦の使命を具有するのである。
今ややうやく天運循環して皇国は和光同塵の策を斥け、その本来の天職使命を以て世界に処すべきの秋にたち到った。現今世道暗澹として人心日に荒むといへども、今にもあれ皇道の大本を講明して以て神国神民の霊性に訴ふるときは、必然日本魂の発現し来たって天授の神魂に復帰すべきは論を俟たない。かくなるときは我一を以て実に異邦の百千万人に当るに足るのである。皇国の神民たるもの、よろしく皇道の大本に徹し、深き自覚と限りなき矜持を以て、神国を愛し神国に報ずるの覚悟がなければならぬ。世界の宗主国たるわが日本神国を愛し護ることは即ち世界人群物類を愛し護る所以となるのである。