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文献名1惟神の道
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3人生の本分よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考霊界物語第三八巻第一章の抜萃
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ページ149 目次メモ
OBC B123900c048
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本文 「天主一物を創造す、ことごとく力徳による、故に善悪相混じ美醜互に相交はる」
 これ『道の大原』の初発に示されたる聖句である。
 つらつら考ふるに、蒼空を仰望しても海原を見ても、山川虫魚を見ても、ことごとく善悪美醜、大小強弱の区別がある。
「天帝果して全智全能にして万物を造りかつ真善美を好むものならば、その全智全能の神徳によつて美なるもの善なるもののみを拵へて、醜悪なるものを拵へぬはずである。神の意志果して真善美を愛するならば、元より善ばかりを拵へておけば、悪を造つておいて悪を改めしめむとて宣伝に努力するの必要は無いではないか。要するに天帝は自分から醜悪なるものを造り、その醜悪を嫌ふと云ふのは自家撞着もはなはだしい矛盾である。吾らはここに至つて全智全能の神を疑はざるを得ず」
と自分に詰問した人が沢山にあつた。今日までの諸々の宗教、倫理、道徳説が貧弱なる頭悩に浸み込んで居る人の考へから見れば、実にもっとも至極の疑問である。
 自分も少年の頃からこの問題には、大変に心を砕いて来たものである。時の古今を問はず、洋の東西を論ぜず、すべての哲学者、宗教家もこの問題についてはしきりに研究をしてゐたやうである。世界皆善論を唱へるものもあれば、世界皆悪論を唱へるものも現はれてゐる。また「この世は夢の浮世ぢや」と云つて厭離穢土と称し「未来の天国浄土を楽しむのが人生の大目的だ」などと区々の説を立て、諸説紛々として落着く所を知らず、宙に迷うて居る姿である。
 古今の学者が一人として今日に至るまで、大宇宙の本体を捉へ、人生の真目的を諒解したる者は無いやうである。仏教にしても儒教にしても、現代我が国の十三派の神道宗教にしても、その他種々雑多の宗教にしても、決して宇宙の真相を解決し得たものは無い。しかしながら尊い事には我が国には皇祖皇宗の御遺訓なる古事記、日本書紀その他の古書が伝はり、言霊の明鏡が歴然として輝き、宇宙の真理を解決すべき宝典に乏しくはなけれども、闇黒なる今日の思想界においては、この真理を諒解するだけの偉人も賢哲も学者も現はれて居ないと云ふ事は、国家社会のために実に慨嘆の至りである。
 自分は幼時より我が国体の淵源を極めむとし、かつ明治三十一年以後今日に至るまで、艱難辛苦を積み神界の真相の一端を究めた結果、宇宙真理の一部を『霊界物語』として発表する事となつたのである。
 『道の大原』の聖句にも、天地間の万物に善悪美醜の混交せるは、全く力徳の塩梅によるもの、と断定を下してあるのは、実に万古不易の真理である。
 さてこの力徳と云ふ事は、一朝一夕に説き明す訳には行かぬ。約言すれば、動、静、解、凝、引、弛、合、分の八力の活動の如何によつて善悪美醜、大小強弱が分れるのである。「人は天地の花、万物の霊長」と称へられてゐるが、自分は一歩進んで「神は万物普遍の霊にして人は天地経綸の主体なり」と断定を下してゐるのである。
 かくの如く尊き天地経綸の主体たる人間にも、また善悪美醜大小強弱の区別があつて、中には天地経綸の司宰者どころかかへつて天地経綸の妨害をなす人間が沢山に出来てゐる。かくの如き人間が現はれて来るのは、要するに一つは教育の如何にもよるのは無論だが、真の原因は決してさうでは無い。肝賢の大原因は天賦の力徳の過不及によるところの結果である。
 人の心の善悪智愚は元より教育によつてその一部分は左右せらるるものである。しかし人は神様に次での尊きもので、世界を善に進め美に開くべき天職を天賦的に持つてゐるものである。人間は小なる神としてまた神の生宮としてこの世に生れ出でたる以上は、終生神の御旨を奉戴し天地の御用を助け奉らねば、人と生れ出でたる本分が尽せないのである。人間は裸体で生れて来たのであるから、また裸体で死ねばよろしいと云ふやうな棄鉢根性では人生天賦の職責が遂げられぬのみならず、折角神界より選まれて神の生宮として世に生れさして頂いた、大神の御聖旨に背く罪人となるのである。
 人生の本分としては、第一に天地神明の大業に奉仕し、政治をすすめ産業を拓き、かつ真の宗教を宣伝し、道義心の発達を助けて世界の醜悪を駆逐し、真善美の天地に進めて行かねばならぬのである。他人はどうでも構はぬ、自分のみ清く正しければよろしいのだと云つて、聖人気どりで済ましてゐるやうな事では、人間としての天職を全くしたものと云ふ事は出来ないのである。自分は常に「政、教、慣、造」の進歩発達を祈願し、かつ完成せしむるを以て人たるものの天職だと考へてゐる。
 皇祖天照大神様が建国の御趣旨は、政、教、慣、造の四大主義の実行である。
一、政は万世一系也
一、教は天授の真理也
一、慣は天人道の常也
一、造は適宜の事務也
 即ちこの四大主義を実践躬行するのが人生の本分であつて、特に我が神国に生れたものは、一層責任の重かつ大なるものである事を忘れてはならぬ。吾人は何れもこの主義に向つて最も忠実に勤め奉らねばならぬのである。吾人は人生の重大なる責任を感じ、いかにしても肉体の安楽のみを貪る事は出来ない。人生の本分を幾分なりとも遂行し得ざるうちは、いかなる栄華も歓楽も自分の心を、満たす事は出来ない。美衣美食、財宝なども、到底天授の心魂を喜ばすに足らぬ。ただ天下公共のために自分としての天職を尽し得る事が肝賢である。
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