文献名1惟神の道
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3ダニエルの予言と神国日本よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考「神霊界」大正七年四月一五日号所収「国教樹立に就て(承前)」の中に似たような文章がある
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ページ293
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本文
二六〇〇年の昔バビロンの王ネブカドネザルがある夜巨人の像を夢みた。その像は首は金で、胸と両腕は銀、その腹と腿とは銅で、その脛は鉄、しかして脚と趾とは一部は鉄で一部は泥で出来てゐた。しかして一個の石が人手を藉らずして山より鑿れ落ち、その巨像の足を撃ったと思ふと、たちまち巨像は夏の禾場の糠の如く粉砕して風に吹払はれ、これを撃った石は大なる山となって全地に充ち拡がったといふのである。
この時、神を信ずる青年ダニエルはその夢の密意を解いて、その巨象こそ治乱興亡の世界歴史を示すものであって、最後に人手を藉らずしてある国が現はれて、諸々の国を打砕き世界を統一するものなることを予言したのである。
果たせるかな、金の国バビロン、銀の国ペルシヤ、銅の国ギリシヤに相次いで倒れ、鉄の国ローマもまた北方より侵入したる泥の国ゲルマンに滅ぼされ、今や欧羅巴は趾の如く、鉄と泥との小国に分離して互ひに相争ひ、混沌として帰一する所を知らざる状態に陥ってゐるのである。
かくしてその予言は今日までことごとく的中して来たのであるが、然らばダニエルの言った「この王らの日に、天の神一つの国を建て給はむ、是はいつまでも亡ぶる事なからむ、この国は他の民に帰せず、かへってこの諸々の国を打破りてこれを滅ぼさむ、是は立ちて永遠に至らむ」とある世界統治の大使命を課せられたる国家、即ち人手を藉らずして成りし一個の石は、果してどこの国を指示するものであらうか。
視よ! 今日の欧羅巴はまさに奈落の底に転落せむとするものの最後の踠きである。しかしてかく欧羅巴が滅び行く苦悩に呻吟してゐるその時、桜咲く東方日出の国では、新興満洲国皇帝陛下を御迎へして、国を挙げて感激に浸り、両国の親和契盟はいよいよ鞏固を加へた。これこそ没落欧羅巴と黎明亜細亜の姿を如実に描き出してゐるものでなくして何であらうか。
この際吾々日本人は何物にも囚はれない活眼を開いて世界の形勢を洞察し、吾々の為さねばならぬ使命を天の声に聴くべきである。亡び行く欧羅巴を模倣するものに破綻が来たり、伸び行く日本精神に生きるものに光明の世界が展開する。それは誰にでも解る至極平凡なる真理である。
人手を藉らずして建てられたる国とは、天祖天照大神の開き給ひし神国日本である。しかして人手を藉らずして造られた道とは、人の智をもって築かれた欧米の理論哲学でもなく、人によって説かれた道徳や宗教でもなく、実に天地剖判の時より吾らの魂の中に伝へられたる「神ながらの大道」なのである。しかし世界がかくの如く旧き殻を打破って新たなる生に活きむと悩んでゐる如く、日本もまた欧米模倣の旧殻を脱して新日本文明の建設に苦闘してゐるのである。しかしてもし日本が一日でも早くこの大道に覚醒して国内の立直しを完成したならば、それはただに我が国の為に慶賀すべき所以たるにとどまらず、全人類のこの苦悩を一日でも早く癒す所以であって世界の為に祝福さるべきことである。
だがもしも神から課せられたるこの大使命を日本が怠るやうなことがあったならば、功罪共にその責の重大なるをもとより覚悟しておかねばならぬ。
皇道の大精神に叛くものは、あだかも夏の禾場の糠の如く風に吹き払はれる。それは国の外と内とを問はない。政治も経済も宗教も道徳もことごとく八咫の鏡に照らされて審かれる日が来たのである。そしてダニエルの予言が、いよいよ神国日本の飛躍によって完成される時が来たのである。