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文献名1大本七十年史 上巻
文献名2第4編 >第3章 >1 蒙古へよみ(新仮名遣い)
文献名3入蒙の目的よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
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ページ719 目次メモ
OBC B195401c4312
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本文  入蒙の目的は精神的・宗教的世界統一を第一とし、第二に、当時の世界の思想的昏迷や国際的な不目入蒙の的安動揺にたいして、世界平和のために真献しようとする先駆者としての意気ごみがもりこまれていた。そして、その第一歩が「日支親善」として把握される。王仁三郎によれば、日中両国は地理上・国防上・商工業上などからいっても「密着不離」の間柄にあり、したがって、「心の底より真の親善的交情を保有し、決して疎隔すべきものでは無いのだ」ということになる。にもかかわらず、中国では大々的な反日運動がおとっている。「我々は此の際国家のため、東洋のため……根底の深い悪感情を払拭し、誠心誠意両国親善の実を挙げんと思はば、第一支那の耳目を蠢動するに足る、公平無私なる精神的表示を以て、最も強き感動を与へ、両国民間の感情を融和し、以て漸次に良好なる結果を招くことに努力せなくては成らぬ。要するに日支両国共通の大理想を樹てて、それを現実化せしむるより外はない」(「日支親善の第一」大正13・2・2─『出口王仁三郎全集』1巻)という決意となる。それには日中両国の思想家や宗教家が握手し、提携するのがもっとも良策であるとされる。「大理想家が日本に現はれて精神的親善の実を挙げ、東洋の禍根を切断する大業を遂行するものがあらねばならぬ」とのべられ、宗教を弾圧する日本政府を批判して、「そのやうな圧迫があるから日本に真の宗教も成立しないのだ」と記されている。
 こうした王仁三郎の考えにもとづいて紅卍字会との提携もおこなわれたのであるが、王仁三郎の意図では、入蒙もその目的実現のためということになる。そのことは、『王仁蒙古入記』に「宗教的、平和的に蒙古を統一し、東亜連盟実現の基礎を立ててみたい」とあるのにもあきらかである。その第二の目的については、王仁三郎によってつぎのようにのべられている。

世界到るところ排日問題は勃起し、外交は殆ど孤立している。今の中に我同胞の為に新植民地でも造っておかねば、我同胞は遂に亡ぶより外はない。

 日本をとりかこむ世界の情勢を「国難」とみ、そのためにも満蒙に進出せねばならぬと主張する王仁三郎は、その出発にあたって松雲閣でつぎのような演説をおこなった。すなわち「大本は既成宗教とちがって未来の天国や極楽だけをねがうものではない。日本に生を享けたものは、東亜諸国ならびに世界の平和と幸福を来すべき神業に参加しなければならない」と力説し、「日本の建国は征伐に非ず、善言美詞の言霊を以て、万国の民を神の大道に言向和するにあることと固く信じます。凡そ世界の人民を治むるは武力や智力では到底駄目です。結局は精神的結合の要素たるすべての旧慣に囚はれざる新宗教の力に依るより外はないと信じます」とのべる。ついで「日本の危機」に関し、具体的につぎのように説明される。
 第一は日本の過剰人口の問題がある。そのために食糧が不足する。また鋼鉄や綿などが一朝有事のさいに、外からの供給がとだえたならどうなるのか。そのためには対支政策の基礎を満蒙において、日支関係を良好ならしめ、ロシアとの交渉の中継点とし、朝鮮人多数の生活を安定させるためにも、また人口・食糧資源の供給や国防上の要地とするためにも、「日支親善」が必要である。とくに大蒙古平原は、「天が我国に与へた唯一の賜物」だととらえられている。また側近の人々にはかねがね、「日本人ば狭少な島国にあくせくして発展の気宇がとぼしい。すべてがちつそく状態にある日本人の目を醒まし、眠っている資源を開拓する道をつけ、先駆者となるのは自分以外にはない」といわれ、「さいわいに中国道院との提携によって、道院の宣伝使としての資格をももつにいたった関係から、宗教の布教には障害がない。そこでまず宗教的に進出するのだ」ともいわれていた。
 以上が、王仁三郎入蒙の目的とみなされるものであるが、その背後に、入蒙の挙にきっかけをあたえたあのてひどい弾圧の影響があったことも軽視できない。

大本事件は高等政策上より起りたるものにして全く当局の失敗なり。不敬罪てふ名の許に国家に忠誠なる吾人を苦しめつつあり。今や当局は王仁の死を望み居ることは某警官の明言する所なり。故に王仁は当局者の体面を保たしめ救はんために少時神業に隠る可し。王仁は、日本国のため、世界平和のため、人類愛実現のため、大勇猛心を発揮して神州を去る。吾去りゆきし後の日本は、上下の紛乱斗り知るべからず。

 その文面には、事件にたいするうけとり方と、そのことから入蒙がくわだてられた側面が、つよくうちだされている。つまりある点では、王仁三郎に代表される大本の思想は、一面的では「国家に忠誠」なるものであった。敬神・尊皇・愛国というスローガンが、立替え立直しの強調で現状の打破や否定とむすびつかなかったならば、それは支配層にとっても、都合のよい秩序維持を強化する思想でもあった。ところが現状の打破・私有財産制否認・資本主義の否定などが、他方においてあり、それが国体の擁護とふかくむすびついたので、そのために弾圧をうけることになった。しかしそれにしても、この日本こそが世界平和をもたらし、天皇が「道義的世界統一」をするとするたてまえからすれば、為政者への批判や抗議の道をとらずに「神業に隠」れることになったとのべられるのである。満洲浪人であった岡崎鉄首との会見のさいに、王仁三郎によってつぎのように語られたと『王仁蒙古入記』に記されている。

実は私も日本の官憲や有識階級及び日本人の大多数から、大本事件の突発によって大なる誤解を受け、且つ圧迫を加へられて居るのです。夫れ故是非共私は此際一つ国家の為めになる大事業を完成して日頃主張せる愛神、勤王、報国の至誠を天下に発表し、今迄の疑惑を解くべき必要に迫られて居ります。現代の内憂外患交々に到り国難来の声喧びすしき我帝国の為め、東亜の平和的連盟を実現する為め、神様の御経綸を遂行せなくてはならないのです。

 ここでも、第一次大本事件が冤罪であり、自分の考えこそが愛神・勤王・報国につながる道なのであって、だからこそ誤解をなくするために入蒙=「国家の為めになる大事業」をやるのだと語られているのである。
 なお事件はこのころ第二審(大阪控訴院)において審理中であって、事件のながびくことが予想され、いつ解決するかもわからないという状況にあった。その間の王仁三郎は責付出獄中の身柄であり、京都府以外に旅行するときは、かならず当局の許可をえなければならなかった。その不自由から脱して、日本官憲の手のおよばぬ大陸で活動をしたいと決意したのである。また事件の見通しについても、かならずしも楽観されていなかったであろうことが、いっそう入蒙への道を促進したと考えられている。
 教団にあっては、王仁三郎の蒙古入りを神業の上から解釈して、『霊界物語』に示される神示の実現とみなしている。それは蒙古が神代における大陸経綸の地場であり、聖師王仁三郎の精霊も、かつて大興安嶺にくだって活動したということ、さらにそれらとともに、蒙古が今後の世界経綸において重要な位置をもっていることが、自覚されていたからであると解されている。

〔写真〕
○錦の土産 王仁三郎の手で一枚ごとに番号をつけ拇印をおし白紙で厳封のうえ袋とじがしてある p719
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