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文献名1大本七十年史 上巻
文献名2第4編 >第4章 >4 あらたな建設譜よみ(新仮名遣い)
文献名3機構の改革と人事よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-17 02:27:36
ページ797 目次メモ
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本文  一九二五(大正一四)年の初頭から、一五年の節分にかけて、三次にわたる機構ならびに人事の改革が、やつぎばやにとりおこなわれた。
 第一次は大正一四年一月二〇日になされ、大本および大本瑞祥会の規約があらためて制定された。この時期は、あらたな大本の黎明期であったといえよう。王仁三郎はみずから大本総裁に就任し、統一・進展主義の陣頭にたって、亀岡におかれていた瑞祥会本部は、綾部にうつされた。制定された条文をみると、役員と職員の区別を明瞭にし、「神教伝達使」(後の信教宣伝使)を任命し、神教伝達使をさらに大宣伝使・宣伝使・準宣伝使・宣伝使試補にわけた。一月二〇日の第一次改革にともなう人事はつぎのとおりである。

大本役員─総裁出口王仁三郎・教主補佐出口宇知丸・副総裁井上留五郎・総務四方平蔵・高木鉄男・東尾吉雄
瑞祥会職員─会長桜井重雄・副会長高橋常祥・河津雄・祭務課長湯川貫一・次長湯川遙・教務課長森速雄・次長湯浅仁斎・内事課長中野岩太・次長谷川常清・霊祭課長橋本亮輔・次長後藤康仁・出版課長御田村竜吉・次長河津雄・海外宣伝課長西村光月・次長北村隆光・庶務課長山口利隆・次長前田満稲・会計課長東尾吉雄・次長板倉寛太郎・史実課長岩田久太郎・次長横尾敬義・作業課長宇城省向・次長千葉清五郎・医療長柴田健次郎・次長有国九皐・時習課長吉原亨・次長栗田茂
大道場長森良仁・大道場教務部長高橋常祥・大道場庶務部長森良仁・沓島冠島祠官出口慶太郎・神島祠官谷前貞義・天明山祠官豊本景介、このほかに係員三六〇名を任命した。

 五月二九日には、天声社の一部と海外宣伝課とを、亀岡の大道場内にうつし、六月三〇日には、大本および大本瑞祥会の第二次規約改正をおこなった。それによって、これまで教主輔ならびに大本総裁であった出口王仁三郎は、たんなる一教団大本の王仁三郎でなく、神命により「瑞霊真如聖師」として自由に世界的に活動することとなり、これ以後王仁三郎を「聖師」とよぶことになった。大本総裁には井上留五郎が就任して、つぎのように役員の更迭がおこなわれた。

役員─大本総裁井上留五郎・総裁補東尾吉雄・総務四方平蔵・高木鉄男・岩田久太郎・梅田信之・湯川貫一

 「神教伝達使」の名称を「信教宣伝使」とあらためて、つぎのとおりに任命された。

信教宣伝使─井上留五郎・中野岩太・出口宇知丸・桜井重雄・西村光月・松村真澄・北村隆光・加藤明子・高木鉄男・四方平蔵・岩田久太郎・湯川貫一・有国九皐・森速雄・土井靖都・湯浅仁斎・小竹玖仁彦・上窪純堆・佐藤六合雄・中村純也・吉原亨・内藤七郎・平松福三郎・東尾吉雄・森良仁・高橋常祥・大国以都雄・河津雄・横尾敬義・山口利隆・橋本亮輔・筧守蔵・前田満稲・字城省向・樋川治国・小高神孫

 信教宣伝使の内容は『霊界物語』に根拠をもったものであって、天界には霊国と天国とがあり、霊国は天使のいるところである。天使は媒介天人であって神教をつたえ、天国における団体相互の連絡をはかるのが使命である。また中有界・地獄界へも降りて救済につとめる。大本の宣伝使は現界における天使としての聖職であって、その任命は、神の意志によってなされるとする。なお大本の分所と支部は、霊界における「神の家」に相当するとして、すべて『霊界物語』の説示にもとづいて、これを具現化しようとされた。
 三月二一日には、すでに宣伝使服ならびに宣伝使帽が制定されていたが、服は広袖型・生地は繻子羽二重・青黄紫の染模様・袖口襟裾に天火結水地の五色をふちどり、脇袖へ紫の紐をたらし、前面中央部は五色の紐をむすんでさげるものであって、帽子は焦茶色のトルコ帽型で黒の房をつけた独自のものである。
 第三次改革は八月三一日(旧七月一二日)におこなわれた。ここにおいて大本と「大本瑞祥会」の使命が、組織のうえで明確となり、綾部は天国的活動で祭祀を中心とし、亀岡は宣教を中心とする霊国的活動にあたる聖地となった。王仁三郎はそのことを〝地の上に開祖は天国ひらきましわれ霊国をひらきて道とく〟〝鶴山と亀山二つの聖場に朝夕ひらく月日のをしへを〟とよんで、役員・信者はその意義をあらためて確認させられた。
 また大本瑞祥会の役員選出は、選挙によることとなり、賛襄(地方代表)会議で、東尾吉雄が大本瑞祥会の会長に選出され、会長補に橋本亮輔が新任された。なお八月二一日には、亀岡天恩郷に天声社がおかれ、印刷設備がもうけられた。
 翌一九二六(大正一五)年の二月三日には、大本規約の修正および天声社の事業団体としての独立があり、さらに大本宣伝使会の設立などというように、部分的な修正や増設がかさねられて、教団の機構は充実してゆく。
 これらの機構改革の主眼点はどこにあったのであろうか。それはつまるところ『霊界物語』に示されている「高天原の全体を統一してみる時は、一個人に類する。故に、もろもろの天人はその一切をあげて一個の人に類することを知り、彼等は高天原を称して大神人という」その「大神人主義」の実現を期したものであるということになる。
 こうした大本の特徴について、聖師はつぎのように語っている。「大本では宗教営業は許してもらえない。綾部と亀岡には、特別のご用があるから、それに専念してもらえる人を選んでおいてあるが、地方の分所・支部には一ヵ所といえども、営業にしている人はない。みな一定の職業をもって宣伝使となってゐる。したがって宣伝使に教導職としての鑑札をとるようなことはしない。ただ神に奉仕するので、国家のため、人類のため、神の道を、世界の同胞に伝えたい真心から分所なり、支部ができている。これが年月を経て堕落するようなことになれば、大本の生命はなくなるであろう」と。大本本部の組織的充実にともなって、地方においても、全国各地で組織的な地方集会がもたれるようになってゆく。
 なお三代教主補であった出口大二は、一九二四(大正一三)年一月福知山連隊に入営し、翌年の一二月には除隊したが、出口・吉田両家の協議によって、惜しまれつつも離縁と決定になり、吉田家に復籍した。

〔写真〕
○あらたに制定された宣伝使帽と宣伝使服 p800
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