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文献名1大本七十年史 下巻
文献名2第6編 >第4章 >2 第二審の公判(大阪控訴院)よみ(新仮名遣い)
文献名3土地返還請求の提訴よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
ページ592 目次メモ
OBC B195402c6421
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本文  当局によって強制破却された綾部の大本神苑のあとは、何鹿郡設のグランドとなり、その他の荒地は綾部町壮年団が、当時次第にくるしくなってきた食糧事情をいくらかでも緩和するために、一九四〇(昭和一五)年六月から開墾した。亀岡の神苑あとの天恩郷は、亀岡町役場および商工会でその利用方法が協議されて、工場の誘致や立命館大学の勤労農場の建設計画などがくわだてられたりしたが、いずれも実現しなかった。そこで昭和一五年の五月一二日に亀岡町会で、京都大学に土地を寄付することを決議し、京大ではこの地に植物園・農事試験所・研究室などを設置することが内定した。だが、王仁三郎およびすみによって、綾部・亀岡の土地返還請求の訴訟がおこなわれたために、実現をみるにはいたらなかった。
 土地返還請求の提訴は、すでに一九三八(昭和一三)年の五月ころから、弁護人のあいだで準備がすすめられていた。第一審の公判がはじまったが、審理が進行するにしたがって、不法な弾圧や警察における取調べが、非公開公判のため一般に知らされておらず、これを世論にうったえるためには、民事訴訟において提訴すべきであると考えられた。その提訴の時機については慎重を期していたが、第一審で全員有罪の判決があったので、その不当性を側面から立証するため、本格的な準備がはじまり、一九四〇(昭和一五)年の六月一五日には、京都地方裁判所民事部あての訴状を提出した。原告は出口王仁三郎とすみの両人で、被告は綾部町および亀岡町であった。原告の代理人には弁護士の前田・赤塚・竹川・鍋島・竹山・高橋・足立・川崎・今井・高山・三木・小山・清瀬・富沢・林の一五人がなった。
 その訴状によれば、「被告ハ所有権移転登記抹消手続ヲ為スヘシ」というものであって、その後「且ツ該土地ヲ引渡スヘシ」との請求拡張を申立てた。そしてそれらの請求原因として、つぎの点がのべられている。
 「本件売買ハ原告自ラ之ヲ為シタルモノニアラス 又中村ハ右委任ニ基キ本件売渡ヲ為シタルニモアラス 仮ニ委任ニ基キ為シタリトスルモ 右委任ハ全ク高橋警部ノ暴行恐迫ニ因ル真意ニアラサルモノナルヲ以テ 当初ヨリ無効ニアラサレハ取消シ得ヘキモノニ属シ 原告ハ本訴ニ於テ取消ノ意思ヲ表示ス 尚原告ハ前記中村ニ対スル委任ノ取消サレタルコト 並ニ然ラストスルモ 前記ノ如キ自己ノ財産ノ凡テヲ挙ケテ処分ヲ委任スルカ如キハ 公序良俗ニ反スル無効ノモノナルコトヲ主張ス 仍リテ本訴ニ及ヒタル次第ナリ」
 なお出口すみの訴状には「……夫ノ許可ヲ得サルモノナルヲ以テ……」とも付記されていた。

※ 旧民法(第九十条)公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス (第九十六条)詐欺又ハ強迫ニ因ル意思表示ハ之ヲ取消スコトヲ得 (第百二十一条)取消シタル行為ハ初ヨリ無効ナリシモノト看做ス

 諸新聞はこの訴訟を大きく報道したが、そのなかでも「大阪毎日新聞」(昭和15・6・16)は「突如、土地返還の訴訟─綾部、亀岡両町を相手に取つて王仁が京都地裁へ」との見出しで訴訟のいきさつをつたえ、「大本教対地元町の法廷戦が新たに世の視聴をそそることとなった」とのべ、「本訴訟の重大要点は前記高橋警部をはじめ当時検挙に活躍した警察官が、関係者の取調べに当つて苛酷な行為をしたか否かにかかり、これが糾明は延いて控訴審における事件の裁判にも影響して来るわけで、朝野法曹界に大きい話題を投じた」と報じた。
 被告の綾部町では六月二一日に、町会で応訴することを決定し、法定代理人を町長遠坂憲治とし、亀岡町でも六月二五日に、町会で応訴を決定して、法定代理人を町長矢田啓之助とした。大本側では、民事事件の事務はこれまで三木弁護士が担当していたが、刑事・民事ともに多忙をきわめたため、九月三日からは、小山昇弁護士が民事事件を分担することになった。
 民事事件の準備手続きは同年九月一四日から始まり、一二月一〇日には第一準備書面を提出した。それには、「本件と大本教弾圧事件との関係」と「訴状請求原因」がのべられていた(二章三節「土地の不法処分」)。その後一九四一(昭和一六)年八月二九日、公判第九回をもって準備手続きがおわったが、準備書面や証拠説明書は数回におよんでつぎつぎに提出され、法廷での言霊戦がはなばなしくおしすすめられていった。
 裁判の進行にしたがって、土地売渡しの委任や不当な価格での売渡しは、すべて警察官の強迫によるものであり、土地の登記手続きは、警察官と町役場吏員との文書偽造や印鑑の盗用によってなされた事実が、しだいにあかるみに出されていった。

※ 当時における民事訴訟の判決手続はつぎの順序でおこなわれる(旧民事訴訟法)。(1)原告の訴(訴状の提出)によってはじまり、裁判所がこれを受理して被告へ送達する。(2)まず準備手続がおこなわれ、準備書面の提出、陳述・証拠の申出など、口頭弁論で必要な訴訟資料が整理充実され争点が明らかにされる。したがって準備書面(当事者が口頭弁論にて陳述せんとする事項を記載した書面)の提出は義務づけられ、準備手続で陳述しなかった事項は原則として口頭弁論で主張できない。(3)ついで、口頭弁論(いわゆる公判)がひらかれる。まず原告か訴の申立をなし、当事者か準備手続の結果を陳述する。弁論は期日をかさねてつづけられ、この間必要により証拠調(証人訊問・鑑定・書証・検証・当事者訊問)がおこなわれる。(4)最後に裁判所の判決または原告の訴の取下、原告の請求の抛棄・被告の請求の認諾、両当事者の訴訟上の和解によって判決手続は終る。

〔写真〕
○機が熟し 権力の手から綾部亀岡穴太の土地をとりかえすべきときがきた 綾部の神苑につくられた何鹿郡設グランド 中央右へかろうじてのこされた榎木と柳 p592
○孤影寂然…人の里のうたかたをよそに神苑はかわらぬ自然のいとなみをつづけていた 石垣をくずされた城址にそびえる大榎木は大銀杏 その右は月宮殿跡 亀岡天恩郷 p593
○土地返還訴訟は社会に波紋を投じ当局の不法事実がつぎつぎにあかるみにだされた p594
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