文献名1大本七十年史 下巻
文献名2第7編 >第4章 >3 教勢の飛躍よみ(新仮名遣い)
文献名3青年会・婦人会組織の確立よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
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〈青年会〉 宣教の第一線にたって活動をつづけてきた基本青年会は、一九四八(昭和二三)年の九月には全国で九一ヵ所結成され、全国組織化への機運が急速にもりあがってきた。そこで九月一五日に「愛善青年組織要綱」を改正のうえ発表し、一一月二日には亀岡天恩郷で第一回愛善青年全国会議を開催した。この会議によって愛善青年会の全国組織が確立された。運営はすべて会議制にもとづいておこない、中枢機関として全国会議をおき、議員は基本青年会員より選出することとした。全国会議の企画・実践機関として、本部に全国会議事務局をもうけ、総務・研修・実践の三部と、出版活動を担当する「青年の友社」をおいた。全国会議の議長には原田芳衛(島根)、副議長に良知照通(北海道)・桑原憲爾(広島)が選出された。地方には府県単位に地方会議をおきそのもとに市町村単位の基本青年会を設置した。そして一一月四日、開祖三十年祭の第二日には、綾部梅松苑で、第一回全国愛善青年弁論大会、ひきつづいて第一回愛善青年総会を開催した。
一九四九(昭和二四)年には、信仰確立のための研修、組織の整備充実、対外宣伝、本部修行者送り出しなどに運動の重点をおいた。研修会は本部・地方においてひんぱんに開催されたが、三月からは運動の活発でない府県や僻地を対象に、三日間を一単位とした全国各県リレー式愛善青年研修会をひらくこととし、二ヵ月間に三二ヵ所で研修会をもった。その参加者は一七八三人である。ついで高等講座・大学講座などが随時もよおされ、本部では八月と九月にそれぞれ四日間、はじめての全国愛善青年大学講座を彰徳殿で開催した。講座内容は厳瑞二霊(出口伊佐男)・立替立直しと愛善精神(桜井重雄)・霊界物語の真髄(大国以都雄)・大本事件の真相と反省(小山昇)・愛善精神と世界精神(黒川実)・現代思潮と愛善思想(小山内匠)・宣教活動上の諸問題(伊藤栄蔵)などで、大本精神を基調にして、敗戦下の思潮にたいする信仰思想の確立に講座の重点がおかれた。また四月には、「愛善少年運動方針」を発表して、少年の育成・組織化にも力をそそぎ、はじめての全国愛善少年研修会が七月に亀岡天恩郷で、八月には綾部梅松苑で、大本の話、社会科の学習、祭式、献労、苑主との会食をおりこみ、それぞれ四日間にわたって開催された。
対外宣伝を目的とした街頭宣伝なども活発となった。京都市では住宅街の辻々で宣伝演説や、『新日本の建設と愛善苑』『愛善世界』などの図書・リーフレットの頒布をおこなった。和歌山では一市二町の一五ヵ所で実施し、オートバイに、のぼりちょうちんを取りつけマイクで宣伝するなど、地域によって特色ある活動がおこなわれた。聴衆のなかには「敬虔で物静かな宗教青年の活動は好感がもてる」との感想をよせる人もおおかった。
六~七月の農繁期には都市宣教を実施し、徳島地方会議では新聞班を編成し、大阪・神戸などでも、「人類愛善新聞」の一部売りをおこなった。一〇月には図書普及月間をもうけ、『愛善世界』の一部売りを全国各地で実施し、石川地方会議では『愛善苑のしおり』石川版を発行し、五〇〇〇部の売り上げをしめした。さらに一一月には宣教訪問月間、一二月に愛善座談会開催月間を企画実施し、青年の友社からは、『愛善青年運動のしおり』『愛善講座覚書』や、愛善苑の教義を理解しやすく編集した愛善青年叢書『青年のためのわかりやすい愛善苑問答』『一時間で話せる愛善講話』『宗教と文化』『神は実在する』『現代宗教のはなし』(A6判)をつぎつぎと発行した。また各地の青年会では、相互連絡と団結強化のためそれぞれ機関誌を発行し、大祭時などには機関誌コンクールを開催した。
一一月二〇日には、第二回愛善青年全国会議を天恩郷で開催した。この会議で議長改選をおこない、出口栄二を議長に、桑原憲爾・林滋を副議長に選出し、さらに一九五〇(昭和二五)年度の運動方針として、修行者送り出し月間、特別宣伝班による宣教、全国各県巡回愛善講座の展開などを決定した。この運動方針にしたがい、一~二月の農閑期には、修行者の送り出しにつとめ、また社会愛善化運動の教団方針にそって特別宣伝班を結成し、未開地にたいする宣教活動をおこなった。全国各県巡回愛善講座は、地方道場未設置の個所に重点をおいて巡講し、九県一二ヵ所でひらかれて、八二〇人が受講した。
文書宣教もさらにすすんで、三月には機関紙「愛善青少年ニュース」を発刊し、愛善青年叢書の『愛善青少年運動の手引』『一つの世界』『神をめぐる宗教と科学』が刊行された。愛善歌についてははやくから合唱団をつくり、講習会をひらいてその普及につとめてきたが、この年の一月からは愛善聖歌隊を全国的に組織して、愛善精神の高揚がはかられた。
さらに運動の効果をあげるための視聴覚宣教にも重点をおき、幻灯フィルム「出口聖師の生涯」「恩愛の涙」(『霊界物語』)「狸の改心」「月兎物語」などを作成して、巡回幻灯班による少年の育成指導がこころみられた。少年育成の運動をより具体化するために、四月には「愛善少年組織基本方針」がつくられて、各地における愛善少年会の結成が促進された。そのためこの年の八月には本部・地方で少年夏期研修会がひらかれ、また少年向の『いのちのしぐみ』が出版された。
一一月一〇日には、第三回愛善青年全国会議が天恩郷で開催され、教団と青年会の統一化を可決し、大本愛善青年会規約を制定した。会の名称を「大本愛善青年会」とあらためるとともに、これまで独立の組織体として自主的な活動をつづけてきた全国会議は発展的に解消し、青年会中央事務局が宣教部のもとにおかれた。中央事務局に協議機関として中央委員会をもうけ、中央委員は連合会から選出されることになった。そして青年会を代表する局長には出口栄二、次長に森清秀が任命され、中央事務局には少年部を新設した。地方組織は別院・分院・支部のもとに基本青年会をもうけ、主会のもとに連合会をおき、連合会は基本青年会で構成されるしぐみとなった。
一九五一(昭和二六)年二月五日の中央委員会で、出口栄二にかわって森清秀が中央事務局長に就任したが、この年には教団方針である信徒梅花運動の最先端にたった。島根連合会では二月に特別宣伝班一、新聞行脚班三を編成し、県内の未開地宣教をおこなって成果をあげ、さらに北海道・山形・静岡・石川・和歌山・広島・岡山・徳島などの各連合会でも、それぞれ組織的な宣教活動を展開した。本部からも青年特派が派遣されて、宣教はいよいよ活発化していった。
そのころ全国では、すでに約二〇〇の基本青年会が結成されていた。そこで八月には、第五回愛善少年研修会についで、第二回大本愛善青年全国大会を開催し、各地代表による「われらの叫び」で大会をもりあげ、神業奉仕へのちかいをあらたにした。全国愛善青年雄弁大会も毎年一回開催され、青年運動の発展に貢献した。
〈婦人会〉 一九四八(昭和二三)年五月には、東尾如衣・藤津英子・桜井三千香らの尽力で亀岡に愛善婦人会が結成され、研修・奉仕活動、保育事業、引揚列車の送迎・湯茶接待などをおこなっていたが、そのころには、地方にも婦人会結成の動きがみえはじめた。一九四九(昭和二四)年四月二三日、綾部・亀岡・京阪神各地の婦人有志が本部に会合して、愛善婦人会の全国組織化の凖備にかかり、同年五月八日、愛善婦人連合会が結成された。委員長に出口八重野、副委員長に大国清香が就任し、代表委員制による運営がおこなわれることとなった。このときまでに結成されていた婦人会は、綾部・亀岡・京都・大阪・神戸・牛窓・金沢・松江・和歌山・東京・姫路・浦和・法勝寺の一三地区であったが、この後は未結成地区における婦人会組織の結成か強力に推進され、急速に組織の拡大がおこなわれていった。八月六日には、第一回愛善婦人会総会をひらき、愛善婦人連合会規約を決定した。そして地方組織として各地に愛善婦人会をもうけ、代表委員は各地の愛善婦人会より選出することとした。
翌一九五〇(昭和二五)年二月三日の第二回全国愛善婦人総会では、保育園本館建設の援助や婦人研修会の開催などを協議し、八月二六日には第一回婦人研修講座を開催した。対外的には九月三〇日大阪で開催された近畿宗教婦人連盟結成大会に愛善婦人会から一二人が参加し、各宗派の婦人団体と相互に親密な連絡提携をはかった。
教団の宣教活動の活発化にともなって、教団内の各機関の統一化が必要となり、一一月一〇日には、大本愛善婦人会規約を制定し、会の名称を「大本愛善婦人会」とあらため、婦人会も従来の連合会制を解消して、中央事務局を宣教部のもとにおいた。中央事務局には協議機関として中央委員会をもうけ、中央委員は地方の各連合会から選出された。会を代表する中央事務局長には出口八重野、次長に小高美沙子を決め、庶務・研修・渉外の三部をおいた。地方では主会のもとに連合会、別院・分院・支部のもとに基本婦人会をおき、連合会は基本婦人会によって構成される。
婦人会も教団方針である梅花運動に全面的に協力し、運動を通じてその組織化をすすめていった。こうして、一九五一(昭和二六)年一二月には連合会数一八、基本婦人会数二〇九、会員は三八四四人こたっした。
一方、婦人会の主要な事業に保育事業があったが、これについては社会福耻事業と表裏一体の関係にあるので、つぎの「社会福祉事業」の項でのべることにしたい。
〔写真〕
○愛善青年の全国組織が実現した 第一回全国会議 亀岡 天恩郷 p871
○研修につぐ研修…… 第二回大学講座 綾部梅松苑 金龍海 p872
○愛善少年の育成と組織化 中央は二代苑主 第一回三丹愛善少年研修会 松香館 p873
○愛善青年会の機関紙 p874
○研修会は実を結び次代のにない手が育っていった 二代苑主との会食 p875