文献名1大本七十年史 下巻
文献名2第8編 >第5章 >1 楽天社と芸術よみ(新仮名遣い)
文献名3演劇と書道よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
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一九五二(昭和二七)年八月の瑞生大祭には、『天祥地瑞』を脚色した神聖歌劇が復活され、昭和二八・二九・三一年とつづいて大祭時に上演された。また一九五一(昭和二六)年一一月に東京で結成された劇団白梅座は、東京の共立講堂や読売ホールで公演して注目をあび、また大祭には神劇を奉納するなど、意欲的な演劇活動をつづけていたが、その後中絶した。なお、一九三七(昭和一二)年、第二次大本事件中に東京九段の軍人会館で、著名なバレリーナのエリアナ・パヴロバによって、大本宣伝歌を明光社の岡村武月が脚色したバレー「梅」が、八雲琴とハープの伴奏で上演されたことをつけくわえておこう。
書道については、一九五三(昭和二八)年に書道部がもうけられてから、信徒にたいする奨励と指導に力がそそがれた。京都での出口聖師耀盌展が契機となって、日本書院の理事であり、毎日書道展の審査員をつとめる綾村坦園が、書道部の指導にあたることとなり、同年一〇月に筆下しがおこなわれた。週一回の実地指導のほか、通信指導もおこない、一九五七(昭和三二)年には第一回の全国書道展がもよおされている。また大本青年会では少年育成の一環として、全国から書・画を募集して毎年児童作品展をおこなっている。
大本の歴代教主・教主補のすぐれた書画については、それぞれ世の識者のみとめるところであるが、これら数おおくの揮毫・染筆がことあるごとに信徒にあたえられていることも、信徒の書画にたいする関心をふかめ、その眼識と情操がおのずからにつちかわれてゆく要因ともなっている。
一九五〇(昭和二五)年以来、楽天社を中心に大本の芸術活動は、きわめて多彩な内容をおりなして発展してきた。そこには短歌もあれば茶道もある。能楽もあれば陶芸もある。武道もあれば演劇もあって、芸術の万般がひろく用意されていた。その多方面にわたる努力は一つ一つつみあげられて、植物園に咲きにおう「木の花」のように、世の人のこころの美をひらかせ、すさびがちな社会にひとすじの光明をあたえてきた。大本楽天社発足の趣旨は、くりかえすまでもなく、人心の至情にふかく根ざしている美の心をほりおこして、霊性の向上をはかり、芸術の美と人生の真の楽しみを生活のなかに定着させ、この基盤にたって、大芸術者である神とともに生きかつ楽しむ万民和楽の理想郷を、この地のうえに実現してゆくことにあった。そのこころみは、三代教主の実践と、おおくの信徒の素直な努力とによって、かなりの成果をあげてきたということができる。しかしその結実には、今後なおいっそうのきびしい精進がもとめられることはいうまでもない。
このことにふれて、教主はつぎのように信徒の心がまえをいましめられているが、これはとりもなおさず、今後の大本の芸術活動のあり方をしめすものでもある。
私たちは、高い芸術に親しみ、また修得すべく精進する場合において、単に芸そのものを進歩向上させるだけでなく、その過程において、すこしでも神人一致の境地を見出だし、追求さしていただかねばならぬと思います。そうすることが、「芸術は宗教の母なり」と仰せられた神さまのおさとしの実体であると信じております。最近、本部内や地方におきましても、いろいろとこういった芸術面の修養を通じて、より高い信仰の向上を期されている方々の姿が見受けられて参るようになって来ました。これは、一面大そう結構なことでありますが、ここに心がけさせていただかねばならない点といたしまして、せっかく、そういった天人の遊び、天人の境地に住まわせていただきますことは、人格的にも、より一そう向上せねばならないのでございますから、茫漠とした夢のような高上がりをして、地に足のつかない姿を是とするのではなく、日々の生活態度を通じた真剣な生活態度、そしてまず行ずるという態度から出発してゆかなければ、いくら荘厳無比な言句をろうしたところで、砂上一閣の夢におわってしまうのでございます。あくまでも真剣にまじめに、地味に研鑚をつづけていただきたいことを、重ねてここに強調させていただくわけでございます(「おほもと」昭和35・7)。
大本の芸術活動には、めぐまれた日本の気候風土にいきていくたの外来文化を摂取し、ながい歴史をとおしてつちかわれ、すぐれた先達によって大成されてきた伝統的な日本民族文化の粋がうけつがれ、その発展と生活化を媒介として、民衆とともに生き民衆とともに生成してゆく、真に民族的なるものがあらたにめばえようとしている。
内なるたましいが信仰にうらうちされ、生活のなかによみがえろうとする大本芸術運動のあゆみには、伝統をいかし、しかも独自の創造活動をともないながら、国の内外におおきく飛躍すべき可能性がやどされている。
〔写真〕
○大本楽天社に書道部が開設された 昭和28年10月 亀岡 愛善みずほ会館 p1265
○清澄な筆致…… 出口日出麿教主補 亀岡天恩郷 朝陽館 p1266
○たゆみなき修練…… 出口直日教主 亀岡中矢田 梅松館 p1267