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文献名1神霊界
文献名2大正7年8月15日号(第68号)【大八洲号】よみ(新仮名遣い)
文献名3皇典釈義 1/5よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2024-09-05 05:57:22
掲載号 ページ3 目次メモ
OBC M192919180815c011
本文のヒット件数全 2 件/霊神=2
本文の文字数7051
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本文 皇典釈義

本書所載の記事は言霊学者中村孝道氏の所説と、故大石凝翁著天地はえ貫の巻を参酌し、且つ王仁が永年研究したる言霊学の意義をも加え、以て本巻を成したるもの也。
 大正七年八月八日 皇道大本
      出口王仁三郎

   皇典釈義例言

一、本書は、神典の極めて大綱概要を釈義する者なるが故に、詳細なる意義は尽さざる所頗る多きを免れず、読者若し疑義の点あらば必ず之を質すべし。著者は決して之が回答の労を執るに嗇かならざるべし。
二、本書には、仏教専用の熟語、若くは聖書類似の語句を使用したる所寡からず。これ全く止むを得ざるに出たり。我国には高速なる思想を発表するに適したる術語は、仏教専用の者を置て他に之を求むべからず。無理な新熟語を使用せむよりはとて採用したる次第也。読者幸に諒之──言霊学より謂ヘば純粋の日本語にて、奈何なる高遠なる思想をも謂ひ現はし得べき語あるも、創て聞く人には恰も外国語を聞くの感あるべし。之れ遽に使用すべからざる所以也。されど間々この言霊を使用せし所あり。吾人は我国の学者が言霊学上の術語を多く使用するに到らむ事を切望する也。
三、神典の仮名遣ひは厳なるが上に厳也。本書も亦厳格なる仮名遣ひに従はむ事を欲したるも、現今の活字、ルビ等には発音を適当に写したる仮名字なし。故に若し厳格に仮名遣を正さむならば多数の活字を新調せざるべからず。印刷部もこれに耐へざるを以て、一時在来の活字の儘を採用し、或は伊邪那岐、伊邪那美の伊にゐの仮名を充て魂にタマシ⮆㊧と⮆㊧の仮名を充てたる等、多少の用意を微に見せたれど、本書は専ら仮名遣を放棄したる者たる事を深く読者に訴へ置く者也。
四、現代に於ける我国著名の学者も、神話と宗教と歴史との三者の関係上に種々の故障を認めて、祖先崇拝に説を止むる者多きも、大日本国の神典は神話即ち歴史にして、歴史即ち宗教なり。この天地一貫の大真理大事実を究むるにあらざる限りは、大日本神典は遽に説くべきに非らず。日本の神話は希臘の神話に同じからず。日本神典は権威乏き自覚上の宗教とは同日に論すべからず。
五、或は言語学上の立場よりして言霊学を疑ひ、原子説より天津神算木を無視せむとする論者も出でなむか。言霊説は現今のヱネルギズムに一大光彩を添えしめ、天津金木は却て原子動説の根元を顕示する也。若夫れ人類起源説の如き進化論学者の深く三省すべき所なりとす。徒に西人の憶説にのみ執して、我が国固有の記事を忘却すべからず。天文地文上の所説の如き、今回は之に謂ひ及ばずと雖ども、是亦学者の夙に研鑽に従事すべき重要事件たりとす。


皇典釈義

斯乃邦家之経緯
王化之鴻基焉

   第一節 全大宇宙

⦿この全大宇宙は、全一大御神の御精霊体也。祈年祭、大祓等の祝詞に曰、「高天原爾神留坐、皇睦、神漏伎命、神漏美命、云々」高天原とは全大宇宙也。『第三節参照』 神留坐とは神詰坐の意にて、全大宇宙には神が充塞遍満して、霊々極乎たる義なる也。即ち全大宇宙其儘が全一大御神の御精霊体なる也。全一大御神の御精霊体の外に宇宙無き也。全一大御神の御精霊体は、御霊と御体との二つに分れたり。神漏伎命とは御霊系の神々也。神漏美命とは御体系の神々也。『第二節参照』 共に我が皇が御祖神にましす也。全大宇宙は即ち霊、体、一体の全一大御祖神にまします也。『第二節参照』
神留坐を神鎮り坐の意に解し、高天原といふ地名の霊所に神が鎮坐りますの義とするは大なる誤り也。


   第二節 天御中主神 ⦿の声 言霊学

⦿古事記に曰「天地初発之時、高天原成神名天御中主神、次、高御産巣日神、次、神産巣日神、此三柱神者、並、独爾成坐而隠身也」 天地初発之時とは、神代が成り立つ時の事也。高天原とは、全大宇宙也。『第三節参照』 独神とは三神一体の義也。国語に訓みて⦿といふは『⦿字を用ゐたるは別に説あり』終始を超絶したる天爾の実在を示したり。隠身とは霊々妙々至極にして、聖眼不能視之、賢口不能語之義也。国語に訓みてスミキルといふは、住み極るの意にて、隠身の意義を完全に発表したる語也。『後の註参照』 高御産巣日神は御霊系の御祖神『神漏伎系の御祖神也』神産巣日神は御体系の御祖神なり。『神漏美系の御祖神也』 天御中主神は即ち霊、体一体の、全一大御祖神にまします也。
⦿といふ声は支那始め外国には決して無し、従て漢字にてスの音に充つる字無し。独神と充てたるは元より当字也。⦿が皇の極元也。⦿の一音は解するに辞なし。無始無終といふも全意を尽さず。絶対といふも当らず。至誠無息『中庸の語』上天之載者無声無臭至矣『同上』といふも符牒となる。⦿なるが故に三世常往のスミキリ也。⦿なるが故に、無辺周遍のスミキリ也。不生不滅、不増不滅、至大至小、至大無外、至小無内の極徳也。活機極烈なるが為めに、静寂不動なる⦿の一音に一切の神の御精霊は含蓄されたり。⦿を発足点として宇宙間に充実する道を、『音声、語訓、語法等が宇宙を経綸造営するもの、これ即ち神の道也』研覈するが言霊学也。声即ち心なるが故に、言霊学を研鑽すれば霊界の道理を詳細に拝承する事を得べし。『第四節参照』言霊学は古事記に因らざれば決して之を究むる事能はざる也。古事記全巻、言霊学の宝典也。『本書には言霊学を説かず志ある士は専門に之を修めらるべき也』

   第三節 高天原

⦿全大宇宙を高天原と称す。蓋し高天原の意義はタカアマハラの六声之を完全に発表する也。タとは即ち対照力の義也。東は西に対し、南は北に対し、陰は陽に対し、動は静に対し、明は暗に対し、顕は幽に対し、生は死に対す。『タの一音あるが故に高御産巣日、神産巣日の二系成立せし也』六合、八角、八荒に皆悉くこの対照力起りて、至大浩々恒々たる至大気海を全く張り詰むる時は、茲に創て球の形顕はるる也。蓋し球といふ二声の霊は、対照力が全く張り詰めて成り奠まりたるなりといふ義なり。かく全く張り詰めたる億兆劫々、数の限りの対照力は、皆悉く両々相対照して其中間を極微点の連珠糸にて掛け貫き保ち居るなり。此義を声に顕して(対照力)(掛貫力)(神霊顕彰而為宇宙)(全く張り詰め玉と成る)といふ也。又この極微点の連珠糸なす神霊元子が、活機臨々乎として活動し居る義を称して、一言に(神霊活機臨々)といふなり。又その膨脹焉して至大凞々たる真相を、一言に(至大凞々)といふ也。又その造化機が運行循環しつつ居る義を称して、一言に(循環運行)といふ也。かくして全く至大天球成就畢る矣。蓋しタカアマハラ六声の義は、(対照力)(掛貫力)(神霊顕彰而為宇宙)(至大球成就)(至大凞々)(循環運行)の義也。これ造化開闢の極元なり。『高天原をタカマノハラ又はタカマガハラと訓むは誤り也』
神代神楽翁三番叟の謠に、タータータラーリ、タラリーラー、タラリ、アガリ、ララーリトー、チリーヤ、タラリ、ララリトウー云々と謂ふは、この神秘を誤り伝へたる者也。

   第四節 至大天球中の修理固成 魂線 識心

⦿御霊系の御祖神、高御産巣日神、御体系の御祖神、神産巣日神がこの高天原の内実を、修理固成せむの目的にて、御容を誘導霊神誘導霊神に変じまして、秩序昭々として、万有を産み顕はし玉ふ、古記事曰「於是天神諸命詔伊邪那岐命伊邪那美命二柱神修理固成是多陀用幣流之国賜天沼矛而言依賜也」伊邪那岐命は、即ち霊系(高御産巣日神の御系にましまして、伊邪那美命は即ち体系(神産巣日神の御系)にまします也。伊邪那岐命、伊邪那美命者、至大天球之中を、普く修理固成して、宇内の系統を大成し玉ひ、万有の根となるべき者を、悉く産み顕はし玉ふ也。霊系(天系)と体系(地系)との、御ムスビの複雑なる御振舞に因りて、この宇内の一切は、成就しけるなり。宇内経営とは、即ち天御中主御祖神の、御精霊と御霊体とを、顕はし示し玉ふ意義也。
言霊学よりこの二神の御振舞を解し奉れば、伊邪那美命は鳴り鳴りて鳴り合はざるの声─即ちアーの声、伊邪那岐命は、鳴り鳴りて鳴り余まれるの声─即ちウーの声『人試にアー、ウー、を発声し見よ、必ずア声は、いかに鳴るとも、鳴り合はぬなるべく、ウ声は必ず口内一杯に余つて、出づべきに』この「ア」「ウ」の二声を各分持ち玉ひ、一切の声を産み出し玉ふ事を説く也『蓋し男女の通有倫理は夫唱婦和が大道たる事、伊邪那岐命伊邪那美命の国産みの条にて明かなる也(女人先言不良)これ千古の格言なる也』一切の音は「ア」「ウ」の二声に基く事は言語学を修めたる人ならば、皆知る所なり。其の産み出し方並に、秩序の厳乎たる事は、言霊学を専攻して後、之を精しく知らるべし。大事忍男神より次下は、語典語則を説きて、雑複に趣く也。龍田の風神の吹き廻しの如き(龍田の神の宝物に黄金のタタリといふあり、タタリは、糸を繰る器械也)糸を繰る如く、活用を自在に説く也。心の数のある限りは、言語あり。言語の変化のあるだけは、心識ある也。この心の糸を玉の緒といひ、或は魂線といふ。宇宙は即ち、魂線が複雑に実相経綸され居る所たる也。魂線を声の活用と見るが、言霊学にて、魂線を、糸筋と見て詮鑿し奉るが、天津神算木の運用也。之れ古事記研究の二大分科也『本書には、天津神算木の運用を説かず志ある士は、特に之を専修せられよ』
「伊勢大神宮の御宝物として、虚空色の絹を織りかけにして、椶を二ツつなぎて神宮に納め、重き御宝物と為し玉ふ所以は、衣食を重むじ給ふ者也といふは、第二なり。その真意義は、細長線なす霊魂が、世に組織して劫大約の年月に渉りて、新霊温霊を織り成し玉ふを、寓意し玉ふ者なりと知るべし」
古事記は、魂線の数を、七万六千幾十条算ヘ(尚ほ、四十二億幾千万の計精あれど、人力にては容易に出来ず、大嘗会に真木の灰三十六石を使用する、神秘重々あり)一々に条理を正して之を整ふる仕方を説く也。理、法、礼、道の事は、後に説くべし。宇宙間の組織紋理─即ち魂線の条理活動(音声の実相変化)─直言すれば、大御神の、造化御経綸の御有様を、拝承し奉るが、神典の根本義たる也。故に研究に従ふ者は、誠心誠意敬虔の態度を以て慎みて学ぶべき也。
人の心は、魂線の作用なるが故に、心理作用を現はす国語には多く緒、魂等の語多し。二三の例証を挙ぐれば、球之緒が覚約無く茫漠たるを愚といふ也。此球之緒が対照する力なく、流れ居るを恐といふ也。球之緒が轟くを驚くといふ也。此球之緒が物に渋り着きて、放ち与ふるを嫌ふを、吝嗇み惜むといふ也。此球之緒が物事を種々索量するを思ひといふ也。此球之緒に水の垂る如き刃を見せて心に栄ゆる火を消ゆるべく冷やすを脅といふ也。此球の緒が栄えゆくを突き戻るべく怪事を威といふ也。此球の緒が無力者にては有力者に会ふ時は恐縮する也。この恐れ縮むを怖るといふ也。此球之緒が円成したる身を己といふ也。球之緒が夢に邪気に障らるるを魘るといふ也。又添はるるを心襲といふ也。球之緒を他に見せずして己勝ち得むと謀る者を専醜といふ也。此球之緒が欠損に成りたるを憶といふ也。球之緒が恐れて身に添はず、消え離れなむとするを魂消といふ也。是よりして恥を忍びて厚顔に物するを緒萎緒萎といふ也。此球の緒の力強きを緒力強しといふ也。耐忍力強しともいふ也。胆太く忍耐力立といふ也。球之緒が栄を失ひ締を失ひて鈍弛なる事するを緒弛といふ也『衰の字を用う』此球の緒の強き人は豪胆也。故に緒太しといふ也。格式を解放してたはむるるを戯といふ也。小女の類が気兼して誠にさしひかへ慎み居るを緒細子といふ也。俗にをほこといふ。(此類の「を」は皆「を」と書くべきを「お」と書き居るは誤也。正すべき也)又その球の緒が、既に興りて心と成り、声と鳴り出で、色に顕れば、象造りて眼に入り、耳に入る由縁の、道筋に染み付き居る物を、性といひ恋れ込み居る物を覚といひ飛び走り出むとする所を意といふ也。又飛走せ出ずして内に集ひ居る所を思といふ也。又此球の緒照り徹る所を識といふ也。蓋し智量は其全体也、純精也、識は世の形象が、人の五官に機当りあふ活用也。此活用が、六識、七識、八識、九識、と成りて、事、明細に心の形象を顕し示す也。而して其数は七万六千七百二十九の品を顕はすなり。
宇宙創成に関して、茲に古事記の天文地文説を陳ぶべき順序なれど、古事記の天文説は現今の天文説とは頗る趣を異にし之を詳細に説く事は、一巻の書物を要する程なり。さりながら、之を簡単に説かば、読者必ず迷惑して、却て誤解を招かむのみ。タカアマハラの六声の「ラ」の一声が宇内に三倍輪の螺旋順行を生じて地底より天底ヘ向ふ気と、天底より地底に向ふ気の摩擦作用によりて、神霊元子に波動を生じ、この波動の、極烈なると遅鈍なるとの関係より、日月星辰の生じ成る理由は、現今の星霧説等の遠く及ぶべき所にあらず。此波動の極速と遅鈍の別あるより、次の四魂の分類は成立する也。


   第五節 四魂 五母韻

⦿御魂線を其活機に因て、四分類し。奇魂、荒魂、和魂、幸魂と申す。魂の奇しき部を奇魂と申し、魂の荒き部を荒魂と申し、魂の和かなる部を和魂と申し、魂の寝ぬるが如き部を幸魂と申す。この四魂の外御精霊体に残部ある事なき也。四魂がこの世を成就しける也。幸魂の御始祖は国常立神也。和魂の御始祖は豊雲野神也。荒魂の御始祖は角杙神活杙神也。奇魂の御始祖は意富斗能地神、大斗乃弁神也。宇比地邇神、須比智邇神は、統治の位にましまして、一霊を代表し玉ふ也。又魂称を奉って活魂と申す也。この四魂は、霊系高産巣日神、体系神産巣日神が、相互の御交通に縁りて出でませし也。即ち「霊の霊」「幽の幽」「霊の体」「幽の顕」「体の霊」「顕の幽」「体の体」「顕の顕」の意義也。活魂は即ち霊、体、一体の神位たる也。
この四魂を言霊によりて説けば
口を一杯に、開きて、咽の奥底より呼気を吹き出すべし、この時、必ず「あー」と鳴り出づべし、「あ」声は如何に鳴らすとも常立にして変化なし、故に「あ」声を称して国常立神、国底立神と申す也『伊邪那美神はこの声を受持ち玉ひて宇内の修理固成に出でます也』「あ」声を出しながら、漸次口を窄めて、唇の当に相会はむとする時に、自然に鳴り出づるは「おー」なり、気息口内に淀みて口当に組うと為す時に、出づる声なるが故に豊雲野神と申す也『又名は国狭土神と申す』「お」声を出しながら口を全く塞ぎ切る時、自然に鳴り出づるは「ウー」なり、故にウ声を宇上比地邇神と申し『此ウ声には充つべき文字なきが故に今烏字のウを取りて之に充てたり』又「ウ」声を強く呼んで其極に達せしむれば、自然と「すー」と鳴るべし、故に「す」声を「ウ」声の妹神須去比智邇神と申す也『宇比地邇神の宇の下に上点を施し須比智邇神の須の下に去点を施したるは、音の上り行くと、音の下り行く標点也。アクセントを現はす也』又「ウ」声を呼びながら、舌以て、下顎を、突きて、杙の如く喰ひ入らしむれば『塞ぎ切りたる目を一転して裏に開く形也』自然に「ゑー」と鳴るべし「ゑ」声を強く呼んで其極に至れば、舌自から転じて上顎に、杙の如く喰ひ入り「れー」と鳴るべし。故に「ゑ」声を称して妹活杙神と申し「れ」声を称して妹活杙神と申す也、又「ゑ」声を呼びつつ、全く口中の気息を転回し、圧し尽す時は、自然に「いー」と鳴るべし、い声を強く呼んで其極に至らしむれば、自然に「ぎー」と鳴るべし。これ声の大なる止りの父、大なる止りの母なるが故に「い」声を称へて、大戸邇神と申し、「ぎ」声を称へて大戸辺神と申す也。かくして「あ」「お」「ウ」「ゑ」「い」の五声『大母音也』成就する也(命ミコトは御言也)
あおウゑいと順列すべきを、普通にあいうゑおと順し居るは大なる鄙事にして、世界乱雑の基也。律呂に合せず声調を破る、速に訂〓改むべき也。
「あ」「お」「ウ」「ゑ」「い」を口より鳴り出さしむる形式と、高御産巣日、神御産巣日二神の右に螺旋してまひ昇り玉ひ、左に螺旋してまひ降り玉ふ御行為よりして、水精、火台等の生づる摩擦運行の摸様と、全く同一形式たる也。実に此宇宙には先づ最初に「あ」「お」「ウ」「ゑ」「い」の五大音声充実して鳴り渡りける也。此音声今も虚空に満ち〓ちたれども、余に大なるが故に人の耳には感ぜざるのみ。此の五大音声が根元を為して無量無辺の音声を生じ、森羅万象一切は成立する也。此五大音声成立の全面を称して面足神と称し奉り、一切の語源に立ち渡らせ玉ふが故に、阿夜可志古泥神を妹とは為し玉ふ也。(⦿と母韻との関係は大切なれど略す)
故れ大皇国の言霊を磨き極め照り徹す時は、ありとあらゆる物事の産霊を説き尽くし、其大造化の実相を知り得るのみにあらず。極典古事記を天地火水の天造之神算木に掛け行ひて千坐の置坐に置き足らはし尽しつつ、満涸の球をつかひ奉る事、高良玉垂の神の如くに至るべし。是に於て天造之法言の天真地真物真の法言を宣り尽す時は、大祓の辞の真相は現はれて、天津神国津神はその道々より神つどひに集ひ来り玉ひて、天造之信の事柄を明に顕はし示し玉ふ也。かくてこそ誠に尊く奇霊き人の位を天樋形奇樋形に事ヘ奉る。今も神代の真実は明に行ひ立て顕はし得べき也。是誠に神人一致、祭政一致、顕幽一致、億兆一致、古今一致、幾々却大約の御代を唯一年の如く、唯一日の如く、唯一代の如くに立ち渡らせ玉ふ、天津日嗣の大皇儀の真が、極乎恒々而常立ち玉ふ基也。
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