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文献名1霊界物語 第1巻 霊主体従 子
文献名2第1篇 幽界探険よみ(新仮名遣い)ゆうかいたんけん
文献名3第6章 八衢光景〔6〕よみ(新仮名遣い)やちまたこうけい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじここは黄泉八衢というところで、米形をした辻である。そ真ん中に霊界政庁があって、恐ろしい番卒がたくさん控えている。芙蓉仙人案内で中に入って行くと、小頭と思しき恐ろしい顔つきをした男が慇懃に出迎えた。仙人は自分を、大神命によって幽界視察をせしめるべく、大切な修行者を案内して来た、こ者こそ丹州高倉山に古来秘めおかれた三つ葉躑躅霊魂である、と紹介し、大王に伝えるようにと言った。小頭が仙人来意を奥へ伝えに行った後、もすごい物音が政庁奥から聞こえてきた。仙人は、肉体あるもがやって来たときには、政庁装いを変えるで、そ音であろうと言った。やがて、先小頭先導で奥へと進み入ると、上段間に白髪異様老神が端座していた。老神はうるわしく威厳があり、優しみある面持ちであった。招かれて進みいり、座に着くと、自分は平身低頭して敬意を表した。老神もまた頓首して敬意を表した。そして老神は次ように語った。自分は根国・底監督を天神から命ぜられ、三千有余年、こ政庁大王任に就いている。今や天運循環し、わが任務は一年余りで終わる。そ後は、自分は汝(聖師)と共に霊界、現界において提携し、宇宙大神業に参加するもである。汝は初めて幽界に足を踏み入れたもであり、実地に研究するため、根国底国を探検した上で、顕界に帰るように。そして、自分産土神を招くと、産土神は自分に一巻書を授け、頭上から神息を吹き込んだ。自分臍下丹田はにわかに温かみを感じ、身魂全部に無限無量力を与えられたように感じた。
主な人物 舞台 口述日 口述場所 筆録者 校正日 校正場所 初版発行日1921(大正10)年12月30日 愛善世界社版27頁 八幡書店版第1輯 54頁 修補版 校定版26頁 普及版14頁 初版 ページ備考
OBC rm0106
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本文  ここは黄泉八衢といふ所で米字形辻である。そ真中に一つ霊界政庁があつて、牛頭馬頭恐い番卒が、猛獣皮衣を身につけたもあり、丸裸に猛獣褌を締めこみ、突棒や、手槍や、鋸や、斧、鉄棒に、長い火箸などを携へた奴が沢山に出てくる。自分は芙蓉仙人案内で、ズツト奥へ通ると、そ小頭ともいふやうな鬼面男が、長剣を杖に突きながら出迎へた。そして芙蓉仙人に向つて、
『御遠方所はるばる御苦労でした。今日は何御用にて御来幽になりましたか』
と恐い顔に似合はぬ慇懃な挨拶をしてゐる。自分は意外感にうたれて、両者応答を聞くみであつた。芙蓉仙人は一礼を報いながら、
『大神命により大切なる修業者を案内申して参りました。すなはちこ精霊でありますが、今回は現、神、幽三界的使命を帯び、第一に幽界視察を兼ねて修業にきたです。こ精霊は丹州高倉山に古来秘めおかれました、三つ葉躑躅霊魂です。何とぞ大王にこ旨御伝達をねがひます』
と、言葉に力をこめて依頼であつた。小頭は仙人に軽く一礼して急ぎ奥に行つた。待つことやや少時、奥には何事起りしかと思はるるばかり物音が聞ゆる。芙蓉仙人に、
『あ物音は何でせうか』
と尋ねてみた。仙人はただちに、
『修業者来幽につき準備せむがためである』
と答へられた。自分は怪しみて、
『修業者とは誰ですか』
と問ふ。仙人は答へていふ、
『汝ことだ。肉体ある精霊、幽界に来るときは、いつも庁内模様を一時変更さるる定めである。今日は別けて、神界より前もつて沙汰なかりし故に、幽庁では、狼狽体と見える』
と仰せられた。しばらくありて静かに隔て戸を開いて、前小頭は先導に立ち、数名守卒らしきもと共に出できたり、軽く二人に目礼し前後に付添うて、奥へ奥へと導きゆく。上段間には白髪異様老神が、机を前におき端座したまふ。何となく威厳があり且つ優しみがある。そしてきはめて美しい面貌であつた。
 芙蓉仙人は少しく腰を屈めながら、そ右前側に坐して何事か奏上する様子である。判神は綺羅星ごとくに中段間に列んでゐた。老神は自分を見て美はしき慈光をたたへ笑顔を作りながら、
『修業者殿、遠方大儀である。はやく是に』
と老神左前側に自分を着座しめられた。老神と芙蓉仙人と自分とは、三角形陣をとつた。自分は座につき老神に向つて低頭平身敬意を表した。老神もまた同じく敬意を表して頓首したまひ、
『吾は根国底監督を天神より命ぜられ、三千有余年当庁に主たり、大王たり。今や天運循環、いよいよわが任務は一年余にして終る。余は汝とともに霊界、現界において相提携して、以て宇宙大神業に参加せむ。しかしながら吾はすでに永年幽界を主宰したれば今さら幽界を探究する要なし。汝は今はじめて来幽なれば、現幽両界ため、実地について研究さるる要あり。しからざれば今後において、三界を救ふべき大慈神人たることを得ざるべし。是非々々根国、底国を探究上帰顕あれよ。汝産土神を招き奉らむ』
とて、天石笛音もさはやかに吹きたてたまへば、忽然として白衣神姿、雲に乗りて降りたまひ、三者前に現はれ、叮重なる態度をもつて、何事か小声に大王に詔らせたまひ、つぎに幽庁列座神にむかひ厚く礼を述べ、つぎに芙蓉仙人に対して、氏子を御世話であつたと感謝され、最後に自分にむかつて一巻書を授けたまひ、頭上より神息を吹きこみたまふや、自分腹部ことに臍下丹田は、にはかに暖か味を感じ、身魂全部に無限無量力を与へられたやうに覚えた。
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