緑の玉を死守していた亀若は、竹熊の宴席で拷問にあい、それが元で健康を害して帰幽してしまった。妻の亀姫は悲しんで百日の間、喪に服した。
このとき、ガリラヤの海から異様な動物が現れ、美しい神人に化けると、亀若の喪を弔いにやってきた。これは高津彦という邪神である。神人に化けた高津彦の容貌は、亀若そっくりであった。驚く亀姫に高津彦は、自分は亀若の再生である、と騙して夫婦となってしまった。
あるとき、高津彦はにわかに病となり、床に伏してしまった。亀姫は悲しんで看病していたが、そこに竜宮城の神と名乗って、高倉彦という神人が見舞いに訪れた。高倉彦の容貌も亀若に酷似していた。
そして高倉彦は、自分は亀若の双子の兄弟だが、父母が世間をはばかって、今まで隠していたところ、亀若が病床にあると聞いて見舞いに訪れたのだ、と語った。そして、家宝の緑の玉こそ、亀若の病を癒す神宝である、と騙った。
亀姫が緑の玉を取り出して高台に安置するや否や、黒竜が玉を掴んで西方の天に去ってしまった。これまで夫亀若の再生と思っていた高津彦は大竜に変じ、また高倉彦はガリラヤのすっぽんに還元して、姿をくらましてしまった。
騙されたことを知った亀姫は悔しがり、その精魂は緑毛の亀となって竜宮海に飛び込んだ。