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文献名1霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
文献名2第5篇 御玉の争奪よみ(新仮名遣い)みたまのそうだつ
文献名3第44章 緑毛の亀〔44〕よみ(新仮名遣い)りょくもうのかめ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-06-26 18:02:21
あらすじ緑の玉を死守していた亀若は、竹熊の宴席で拷問にあい、それが元で健康を害して帰幽してしまった。妻の亀姫は悲しんで百日の間、喪に服した。このとき、ガリラヤのから異様な動物が現れ、美しい神人に化けると、亀若の喪を弔いにやってきた。これは高津彦という邪神である。神人に化けた高津彦の容貌は、亀若そっくりであった。驚く亀姫に高津彦は、自分は亀若の再生である、と騙して夫婦となってしまった。あるとき、高津彦はにわかに病となり、床に伏してしまった。亀姫は悲しんで看病していたが、そこに竜宮城の神と名乗って、高倉彦という神人が見舞いに訪れた。高倉彦の容貌も亀若に酷似していた。そして高倉彦は、自分は亀若の双子の兄弟だが、父母が世間をはばかって、今まで隠していたところ、亀若が病床にあると聞いて見舞いに訪れたのだ、と語った。そして、家宝の緑の玉こそ、亀若の病を癒す神宝である、と騙った。亀姫が緑の玉を取り出して高台に安置するや否や、黒竜が玉を掴んで西方の天に去ってしまった。これまで夫亀若の再生と思っていた高津彦は大竜に変じ、また高倉彦はガリラヤのすっぽんに還元して、姿をくらましてしまった。騙されたことを知った亀姫は悔しがり、その精魂は緑毛の亀となって竜宮に飛び込んだ。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年10月25日(旧09月25日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1921(大正10)年12月30日 愛善世界社版236頁 八幡書店版第1輯 130頁 修補版 校定版235頁 普及版121頁 初版 ページ備考
OBC rm0144
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本文  亀若は緑の玉を生命にかけて死守してゐた。いかなる名誉欲も、物質欲も眼中におかず、ただこの玉のみを保護することに心魂を凝らしてゐた。しかるに亀若は八尋殿の酒宴のみぎり竹熊の奸計にかかり、毒虫を多く腹中に捻込まれたのが原因をなして、身体の健康を害し、病床に臥し全身黄緑色に変じ、つひに帰幽した。亀若の妻亀姫は、天地に慟哭し、足辺に腹這ひ頭辺に這ひまはり、涕泣日を久しうした。その悲しみ泣き叫ぶ声は風のまにまに四方にひびき、つひには悲風惨雨の絶間なきにいたつた。この間およそ百日百夜に及んだ。
 この時ガリラヤのより雲気立ち登り、妖雲を巻きおこして一種異様の動物現はれ、竜宮城近く進んできた。異様の動物は、たちまち美はしき神人と化した。そして亀姫の家に亀若の喪を弔うた。この者は其の名を高津彦といふ。亀姫は高津彦を見て大いに喜び、その手を取つて一間に導き、いろいろの酒肴を出して饗応し、かつ、
『貴下はわが最も愛する亀若ならずや』
と訝かり問ふた。高津彦は、
『われは亀若なり、決して死したるに非ず、毒の廻りし体を捨て、新に健全なる体を持ち、汝の前にきたりて偕老同穴の契を全くせむとすればなり』
と言葉たくみに物語つた。亀姫は高津彦の顔色といひ、容貌といひ、言葉の色といひ、その動作にいたるまで亀若に寸毫の差なきを見て、心底より深くこれを信ずるにいたつた。ここにふたりは水も洩さぬ仲のよき夫婦となつた。
 亀姫は再生の思ひをなし、一旦長き別れと断念した不運の身に、夫のふたたび蘇生しきたつて鴛鴦の契を結ぶは如何なる宿世の果報ぞと、手の舞ひ足の踏むところを知らなかつた。
 夫婦の仲は蜜のごとく漆のごとく親しかつたが、ふとしたことより風邪のために高津彦は重い病の床についた。今まで歓喜に満ちた亀姫の胸は、ふたたび曇らざるを得なかつた。手を替へ品を換へ看病に尽した。幾日たつても何の効も見えず、病はだんだん重るばかりである。このとき高津彦の友の高倉彦きたりて病床を見舞ひ、かつ医療の法をすすめた。百草を集め種々の医薬をすすめた。されど病は依然として重るばかりである。亀姫の胸は、実に熱鉄を当るごとくであつた。不思議にも高倉彦の容貌、身長、言語は、亀若に酷似してゐた。ここに亀姫は、その真偽に迷はざるを得なかつた。そこで亀姫は、かつ驚き、かつ怪しみ、
『貴下はいづれより来ませしや』
といぶかり問ふた。高倉彦は、
『われは竜宮城の神司にして、亀若のふるくよりの親しかりし美はしき友なり』
と答へた。そこで亀姫は、
『高倉彦の亀若に酷似したまふは如何なる理由ぞ』
と反問した。高倉彦は答へて、
『実際吾は亀若とは双生児である、されどわが父母は世間を憚り、出産とともに他に預けたのである。そして亀若と吾とは此の消息を少しも知らず、心の親友として幼少のころより交はつてゐた。然るにある事情より吾はこの事を感知せしが、今ここに病みたまふ亀若は、この真相を御存じないのである。われは骨肉の情に惹かれて、同胞の苦しみを見るに忍びず、いかにもしてこの病を恢復せしめ兄弟睦じく神業に奉仕せむと焦慮し、神務の余暇を得て、ここに病床を訪ねたのである』
とはつきり物語つたので、亀姫の疑ひは全く氷解した。
 高倉彦は、亀姫の信頼ますます加はつてきた。一方亀若の病気はだんだん重るばかりである。そこで亀姫はふたたび、
『夫の病を救ふ妙術はなきや』
と面色憂ひを含んで高倉彦に相談をした。そのとき高倉彦は、実に当惑の面持にて、
『ああ気の毒』
と長歎息をなし、腕を組んで頭を垂れしばしは何の返答もなかつた。ややあつて思ひ出したやうに高倉彦は喜色を満面にたたへて、
『その方法たしかにあり』
と飛び立つやうな態度をしながら答へた。亀姫は顔色にはかに輝き、驚喜して、
『いかなる神法なりや聞かま欲し』
と高倉彦の返辞をもどかしがつて待つた。
 高倉彦はわざと落着いて手を洗ひ口嗽ぎ、天に向つて永らくのあひだ合掌し、何事か神勅を請ふもののやうであつた。病床にある亀若はしきりに苦悶の声を発し、既に断末魔の容態である。亀姫の胸は矢も楯もたまらぬやうになつた。たとへ自分の生命は失ふとも最愛の夫、亀若の生命を救はねばおかぬといふ決心である。一方高倉彦の様子いかにと見れば悠々として天に祈り、いささかも急ぐ様子がない。高倉彦はおもむろに祈りを捧げた後、室内に這入つてきた。このとき亀姫は渇きたる者の水を求むるごとくに、高倉彦の教示や如何にと待ち詫びた。高倉彦はこの様子を見て心中に謀計のあたれるを打ち喜び、外知らぬ顔にて左も勿体らしく言葉をかまへていふ、
『当家には貴重なる緑色の玉が秘蔵されてある。この玉を取りだして月の夜に高台を設けてこれを奉安し、月の水をこの玉に凝集せしめ、その玉より滴る一滴の水を亀若に呑ましめなば、病癒えなむとの月読神の神勅なり』
と誠しやかに教示した。亀姫は天の佑けと喜び勇んで直ちに高台を造り、その玉を中央に安置した。その刹那一天たちまち掻き曇り、黒雲濛々として天地をつつみ、咫尺を弁ぜざるにいたつた。時しも雲中に黒竜現はれ、その玉を掴みて西方の天に姿をかくした。数日を経てこの玉は、竹熊の手に入つたのである。今まで夫と思ふてゐた偽の亀若は、にはかに大竜と変じた。また高倉彦はガリラヤの大なる竈に還元し、亀姫を後に残して雲をおこし姿をかくした。亀姫は地団駄踏んで侮しがり、精魂凝つて遂に緑毛の亀と変じ竜宮に飛び入つたのである。亀は万年の齢を保つといふ。亀若は八尋殿の宴会において毒虫を食はせられ、それがために短命にして世を去つた。それから亀姫の霊より出でし亀は、衛生に注意して毒虫を食はず、長寿を保つことになつた。
(大正一〇・一〇・二五 旧九・二五 加藤明子録)
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