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文献名1霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
文献名2第5篇 御玉の争奪よみ(新仮名遣い)みたまのそうだつ
文献名3第47章 エデン城塞陥落〔47〕よみ(新仮名遣い)えでんじょうさいかんらく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-10-25 23:18:45
あらすじ高杉別、森鷹彦が重用されるようになったことを、武熊別は面白からず思っていた。そして高杉別、森鷹彦を滅ぼそうと、ひそかにウラル山の鬼熊と通じた。鬼熊は妻の鬼姫に策を授けて竜宮城に潜入させた。鬼姫は稚姫君命、大八洲彦命の信任を得るようになり、その結果、鬼熊は竜宮上への出入りを許されるようになった。ところで、鬼熊夫婦には月彦という心の麗しい息子がいた。邪神夫婦にも、このような清らかな子が生まれることがあるのである。月彦は稚姫君命のお気に入りとなった。稚姫君命は国常立尊の神命によって月彦、真倉彦を伴って沓島に渡り、魔軍鎮定の神業を行った。このとき秋津島根に邪竜・邪神軍が攻め寄せたが、神軍によって邪竜は殲滅された。しかし地上にはびこる邪神軍は勢いが激しく、鎮定の目処が立たないままであった。地上の邪神軍は、実は鬼熊の部下のウラル山の悪霊たちであった。竜宮城には、稚姫君命の留守として、大八洲彦命をはじめ、竹熊、高杉別、森鷹彦らも守りを固めていた。武熊別はこの好機に竹熊、高杉別、森鷹彦を滅ぼそうと、鬼熊夫婦に、大八洲彦命と竹熊が、ウラル山に侵攻して鬼熊を滅ぼす計画を練っている、と嘘の情報を流して、けしかけた。鬼熊は怒って、まず邪神軍を竹熊のエデン城に向けて駆り、襲撃した。竹熊は竜宮城の守備についていたため、エデン城は簡単に鬼熊の手に落ちた。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年10月26日(旧09月26日) 口述場所 筆録者谷口正治 校正日 校正場所 初版発行日1921(大正10)年12月30日 愛善世界社版251頁 八幡書店版第1輯 135頁 修補版 校定版251頁 普及版130頁 初版 ページ備考
OBC rm0147
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本文  竹熊は大小十二の各色の玉を得て意気天を衝き、虚勢を張つて横暴の極を尽した。さうして高杉別、森鷹彦を深く信任し、高杉別をして武熊別の地位にかはらしめた。武熊別は竹熊の態度に憤怨やるかたなく、ここに一計をめぐらし、ウラル山に割拠する鬼熊に款を通じ、竹熊、高杉別、森鷹彦を滅ぼさむとした。鬼熊はその妻鬼姫に計を授けて竜宮城の奥深く忍ばしめ、遂には稚姫君命、大八洲彦命のやや信任を得るにいたつた。鬼熊は鬼姫の苦心により、つひに竜宮城に出入を許さるるとこまで漕ぎつけた。さうして鬼熊の子に月彦といふ心の麗しき者があつた。この者は稚姫君命の大変なお気にいりであつた。悪霊夫婦の子に、かくのごとき善人の生れ出でたるは、あたかも泥中より咲く蓮華のやうなものである。ここに稚姫君命は、ふたたび世界の各所に群がりおこる悪霊の騒動を鎮定すべく、国常立尊の神命を奉じ、月彦、真倉彦を伴ひ、目無堅間の御船にのり、真澄の珠を秘めおかれたる沓島にわたり、諸善神を集めて、魔軍鎮定の神業を奉仕されたのである。この時秋津島根に攻めよせきたる数万の黒竜は、竜宮の守り神および沓島の守り神、国の御柱命の率ゐる神軍のために、真奈井の海においてもろくも全滅した。しかるに陸上の曲津らは、勢力猖獗にして容易に鎮定の模様も見えなかつた。これは、ウラル山に割拠する鬼熊の部下の悪霊らの、権力争奪の悪魔戦であつた。鬼熊は部下の者共の統一力なきを憂へ、ここに一計をめぐらし、竜宮城に出入して根本的権力を得、部下の悪霊を鎮定し、すすんで地の高天原を占領せむとする企画をたててゐた。
 稚姫君命一行の沓島に出馬されし後の竜宮城は、大八洲彦命、真澄姫をはじめ、竹熊、高杉別、森鷹彦、竜世姫、小島別等のあまたの神司が堅く守つてゐた。武熊別は如何にもして、竹熊、高杉別を亡ぼさむとし、鬼熊、鬼姫に対し、
『大八洲彦命、竹熊等は神軍を整へ、大挙してウラル山を攻落し、貴下を討滅せむと種々画策の最中なり。われは探女を放ちてその詳細を探知せり』
と種々の虚偽を並べ、鬼熊、鬼姫の心を動かさむとした。ここに鬼熊、鬼姫の憤怒は心頭に達し、
『大八洲彦命、竹熊一派らを亡ぼすは今を措いて好機はなし。今吾、彼らを滅ぼさずんば、吾は彼に早晩亡ぼされむ。機先を制するはこの時なり』
と鬼熊、鬼姫は武熊別を部将として、ウラル山の鬼神毒蛇を引率し、まづ竹熊の屯せるエデンの城を襲ひ、ついで竜宮城を襲撃せむとした。鬼熊の魔軍は驀地にすすんで、八方よりエデンの城塞に迫つた。時しも竹熊は、竜宮城の留守役として不在中なりしかば、エデン城は戦はずしてもろくも鬼熊の手に落ちた。
(大正一〇・一〇・二六 旧九・二六 谷口正治録)
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