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文献名1霊界物語 第2巻 霊主体従 丑
文献名2第1篇 神界混乱よみ(新仮名遣い)しんかいこんらん
文献名3第3章 美山彦命出現〔53〕よみ(新仮名遣い)みやまひこみことしゅつげん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグみろく岩、不動岩 データ凡例 データ最終更新日2023-10-17 15:12:00
あらすじ美山彦とは、大八洲彦命部下中でも、とくに信頼されていた智勇兼備神将である。棒振彦はそれを知って美山彦名を偽り、高虎姫は美山彦妻神・国照姫名を騙ったである。本物美山彦は、ロッキー山に出陣していたが、そときに竜宮城に、美山彦から、苦戦につきただちに救援軍を送られたし、という密書が届いた。稚桜姫命は大八洲彦命にはかったところ、美山彦はすでに神命によって安泰山に陣営を築くために出陣していたことから、これは敵偽計であると見破った。美山彦は移動するにあたって、ロッキー山に兵士形を岩で作って城塞に立てておいたであった。一方、美山彦危急を聞きつけた竜宮城諸神将中には、すでに救援に向かってしまった者もあった。救援軍がロッキー山に着くと、偽美山彦・偽国照姫が出迎え、魔軍に編成されてしまった。偽美山彦・偽国照姫は、今度は竜宮城が高虎姫手に落ちたと知らせが入ったで、至急竜宮城を奪い返すべし、と偽ってそまま竜宮城を襲撃しようとした。そとき大八洲彦命は、真正美山彦とともにロッキー山麓に現れて、『真美山彦はここにあり』と大音声に呼ばわった。これで邪神姦計は破れ、魔軍は西方海に逃げていった。棒振彦に騙されていた諸神将は目が覚め、大八洲彦命、美山彦にそ不覚を謝罪し、ともに安泰山に出陣した。そ後、魔軍はロッキー山を占領しようとしたが、美山彦が残した兵士石像から常に火が発せられ、魔軍はめちゃめちゃに悩まされた。棒振彦はついにロッキー山を捨てて高虎姫陣営に退却せざるをえなくなった。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年10月27日(旧09月27日) 口述場所 筆録者桜井重雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年1月27日 愛善世界社版20頁 八幡書店版第1輯 165頁 修補版 校定版22頁 普及版10頁 初版 ページ備考
OBC rm0203
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本文  ここに天使大八洲彦命、真澄姫もつとも信頼せる神人に、美山彦命という智勇兼備神将があつた。こ神人は常に帷幄に参じて、すべて画策を大八洲彦命にすすめてゐた。竜宮城神司は、大八洲彦命参謀にして、かつ信任ある美山彦命あることは仄かに聞いてゐたが、そ風貌に接した神司は一柱もなかつた。しかしいつとはなしに美山彦命智勇兼備声望は、大八洲彦命驍名とともに広く世界に喧伝されてゐた。
 奸悪なる棒振彦はそ消息を知つて、ここに美山彦命と名を偽り、また木常姫再来なる高虎姫は美山彦命妻神国照姫と偽り名乗つた。しかるに真正美山彦命は、大八洲彦命、真澄姫内命によりロツキー山に立てこもり、魔軍内情を偵察してゐた。ことき、美山彦命使として、岡野姫は天鳥船に乗りて竜宮城にきたり、
『ロツキー山は棒振彦、高虎姫魔軍ために八方より包囲せられ、美山彦命は危機一髪あひだに立てり、一時もはやく真澄姫は援軍を率ゐて来りたまへ』
と密告した。真澄姫は大いに訝かり、
『われはかよわき女なり、しかるに大八洲彦命を差し措き、われに救援ため出陣を乞ひきたるとは、実にそ意をえず』
として直ちにこ由を稚桜姫命に奏上したまうた。こ美山彦命は全く偽名であつて、実際は棒振彦計略であつた。
 稚桜姫命は、こ密書を怪しみ、大八洲彦命に報告された。大八洲彦命はただちに敵奸策なることを看破された。こゆゑは、真美山彦命は神示によつて、東方に位する安泰山に第二陣営をつくり、既に出陣してをつたからである。そして後には岩をもつてわが姿をつくり、また諸々従臣形をも岩にて作り、これをロツキー山城塞に立ておいたである。
 一方、ロツキー山に駐屯せる美山彦命危急は迫れりと伝へ聞きたる神司は、とるも取りあへず、ロツキー山さしてめいめい神軍を引率し救援にむかうた。そとき棒振彦、高虎姫は、山腹に待ち伏せ、みづから美山彦命、国照姫と称し、あまた正しき神司を誑かしてわが勢力を集めむとした。味方神将香川彦、広足彦、滝彦、豊彦、神山彦はそれを真美山彦命と信じ、率先して棒振彦魔軍に加はつた。美山彦(棒振彦偽名)は諸神司に向つて、
『竜宮城はすでに棒振彦、高虎姫手に陥れり。これより進んで竜宮城を回復し、稚桜姫命以下諸神司を救ひ奉らむ』
と、いかにも言葉たくみに諸神司を詐り、反対にふたたび竜宮城に迫らむとした。
 こ時、大八洲彦命は安泰山美山彦命とともにロツキー山麓に現はれ、
『真美山彦命はここにあり』
と大音声に呼はりたまえば、棒振彦、高虎姫は謀計破れたるに驚き、散乱せむとする魔軍をかきあつめ、西方海に向つて姿を隠した。かくして悪神計画は見事失敗に帰した。
 一旦棒振彦を真美山彦命と信じて参加した諸神将は、ここに全く夢さめたるごとく、大八洲彦命にそ不覚不識を謝し、美山彦命にしたがひて安泰山に出軍した。ことき早くも、ロツキー山は棒振彦占領するところとなつてゐた。しかるに美山彦命以下石像より常に火を発して、棒振彦魔軍を滅茶々々になやませしかば、棒振彦はつひにロツキー山を捨てて、鬼城山高虎姫陣営に退却する止むをえざるに立ちいたつた。

  こがらしや犬ほえつく壁

(大正一〇・一〇・二七 旧九・二七 桜井重雄録)
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