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文献名1霊界物語 第2巻 霊主体従 丑
文献名2第4篇 常世よみ(新仮名遣い)とこよくに
文献名3第21章 常世国へ〔71〕よみ(新仮名遣い)とこよくにへ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ稚桜姫命はやはり、親子情に流されて、常世姫言うことを信じる気があった。また、安川彦陰謀は破れたとは言え、常世姫が背後で操っていたことは明らかにはならなかった。あるとき常世姫は、言霊別命を常世国に遣わして、悪心を改めさせてはどうか、と稚桜姫命に提案した。稚桜姫命は喜んで承諾したが、常世姫は言霊別命を害しようと企んでいたであった。言霊別命は元照彦調査によって、常世姫計画を察知していたが、稚桜姫命命によってやむを得ず、常世国に遣わされることになった。そこで、言霊姫、元照彦とはかって危難を避けるべく、種々秘策を立てた。出発にぞんで言霊別命母神は、さまざまな領巾を授けてくれた。常世使節には、言霊別命他に、小島別や竜世姫が加わっていた。竜世姫は稚桜姫命娘神である。ロッキー山脈ふもと常世都に至る分かれ道で、突然竜世姫は急病を発して苦しみ始めたが、これは竜世姫策で、偽病であった。他神々が竜世姫看病に気を取られるすきに、言霊別命は左分かれ道に進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月01日(旧10月02日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年1月27日 愛善世界社版105頁 八幡書店版第1輯 196頁 修補版 校定版107頁 普及版51頁 初版 ページ備考
OBC rm0221
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本文  稚桜姫命は、一度は常世姫を常世国に追ひ帰したまうた。されど親子情として、幾分か常世姫を愛護さるる気味があつた。
 常世姫はロッキー山麓に都を開き漸次勢力を増し、そ威望は諸方に拡充されたである。常世姫は一方に威力を示しつつ、一方には稚桜姫命信任を回復せむとし、善言美辞を連ねて命を慰め奉り、かつ一方には言霊別命夫妻心理行動につき、種々虚偽的材料を集めて密使をたて、しばしば報告した。命はふたたび常世姫言に耳を傾け、つひにはそ報告を信ぜらるるにいたつた。
 時しも竜宮城内における数子姫艶書件につき、一時言霊別命を疑ひたまひしが、神国別命智略によりて、安川彦ら陰謀露見し、少しく疑団を晴らしたまうた。されど内心疑ふかく、半信半疑眼をもつて、言霊別命行動を注意されつつあつた。
 また安川彦陰謀は常世姫使嗾に出で、小島別ら謀議に加はりしを少しも覚られなかつた。
 やや年をへて常世姫公然使者は、竜宮城に参向し、恭しく信書を奉つた。そ文意は、
『常世姫神政おほいに開け、ここに神殿を造り、天地神霊を奉斎せむとす。実に恐れ多き願なれども、稚桜姫命諸神司とともに出場されたし。万一御承認なくば已むをえず、言霊別命を代理として出場せしめたまへ。言霊別命悪心を改めしめ、真心より命に奉仕せしむべく種々神策をもつてし、まことに命輔佐神たる実を挙げさせしめむ。すなはち言霊別命出場は、一挙両得所為たるべし』
と理をつくして認められてあつた。
 稚桜姫命はこれを見て大いに喜び、常世姫は最早改心実を挙げたれば憂ふるに足らず、ただ心にかかるは言霊別命心理行動なり。如かず、これを遣はして、常世姫により改心せしめむと、ここに言霊別命を招き、そ旨を伝へたまうた。
 言霊別命は常世姫奸計ならずやと思案にくれてゐた。折しも元照彦、常世実情を探知し、帰りきたりて常世姫謀計に出でたるなれば、ゆめゆめ油断あるべからず、とひそかに忠告した。
 茲に言霊別命は病と称して出場を謝絶せむとした。稚桜姫命は顔色を変じ言葉を荒らげ
『千載一遇神界慶事にたいし、病に託し出場を拒むは、吾が命に背くもにして必ず深き企みあらむ』
と憤懣された。
 ここに言霊姫は止むをえず竜世姫、元照彦とはかり種々秘策を案じ、命危難を救はむとし、そ神策を命にすすめられた。
 元照彦はひそかに竜宮城を立出で、天八衢に隠れ種々計画を立ててゐた。言霊別命は厳命否みがたく、ここに意を決して常世国に出発さるることとなつた。一行は小島別、松代姫、竜世姫、竹島彦ら諸神司であつた。命出発に臨み母神国世姫は、種々物領巾を取り出して、言霊別命に与へ、
『こ領巾は吾家宝なり。今これを汝に授く、こ領巾をわれと思ひ、深く懐中に秘して行け』
言葉を残し、涙とともに別れたまうたである。一行は目無堅間船に乗りて常世国へ安着した。ここにロッキー山麓常世都にいたるべき左右に岐れたる二筋大道が開かれてある。そ岐路少しく手前に差しかかるや、竜世姫は忽ち急病を発し、路上に転倒し苦しみ悶える。
 竜世姫は稚桜姫命最愛娘神なれば、小島別以下神司はおほいに驚き、周章狼狽きて看護に余念なく手をつくした。これは竜世姫巧妙なる神策にして、そ実は偽病であつた。言霊別命はこ光景に眼もくれず、ただ一柱足を速めてそ岐路に進み、左方道をとつて驀地に走り進んだ。
(大正一〇・一一・一 旧一〇・二 外山豊二録)
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