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文献名1霊界物語 第2巻 霊主体従 丑
文献名2第4篇 常世よみ(新仮名遣い)とこよくに
文献名3第27章 湖上木乃伊〔77〕よみ(新仮名遣い)こじょうみいら
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-11-09 16:17:33
あらすじ常世城から敗走した元照彦は、身をもって美濃彦館に逃れた。門番は着身着ままで逃れた元照彦を疑ったが、元照彦は戯れ歌に託して自分正体を訴え、美濃彦に迎えられた。元照彦は身なりを変えて、スペリオル湖ほとりに船頭となって潜み、味方を集め、敵情勢を探ることとなった。常世姫部下・猿世彦は言霊別命と元照彦行方を追って、スペリオル湖ほとりに達し、船頭に舟を出すように命じた。しかし船頭は湖中まで来ると、自分は言霊別命に味方する港彦である、と名乗った。そして猿世彦に自決を迫った。命乞いをする猿世彦に、港彦は、湖中に飛び込むようにと命じた。猿世彦が湖に飛び込もうと衣服を脱ぐと、激烈な寒気ためにたちまち猿世彦は木乃伊になってしまった。港彦はこ木乃伊を乗せて、船着場に引き返した。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月02日(旧10月03日) 口述場所 筆録者桜井重雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年1月27日 愛善世界社版132頁 八幡書店版第1輯 206頁 修補版 校定版134頁 普及版63頁 初版 ページ備考
OBC rm0227
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本文  元照彦は裸体まま辛うじて常世城を逃れいで、草を編んで簑笠を作り、紅館に落ちび美濃彦門を叩いた。美濃彦門戸には立熊別といふ守将が、少数神卒と共に厳守してゐた。そこへ元照彦は顔に桑汁をぬり、容貌を変へ、簑笠みすぼらしい姿にて現はれたである。立熊別はこ姿を見て悪神落ちぶれ者と信じ、大いに叱咤して門戸出入を拒んだ。
 元照彦は、
『吾は美濃彦同志である。すみやかにこ旨を美濃彦に伝へられよ』
といつた。立熊別はこれを信ぜず、
『すみやかにここを立ち去れ』
と厳命し、元照彦が何ほど弁明しても聞き入れぬ。そこで元照彦は一策を案じ、
『実は吾は浮浪神である』
と言つて、そろそろ竜世姫故智をまねて歌を唱ひだした。
『常世城を逃げだして  身は身で通る裸ン坊
 簑着て笠着て身終り  どうして会はしてくれなゐ
 館門番は  身ほど知らぬ簑虫か
 わが身姿落ちぶれて  乞食やうに見えたとて
 結構な神ぢやぞ見がすな  わが身仇となることを
 知らずに門に立つ熊が  わけも知らずにハネける
 今は曇りしこ身体  元は照彦身は光る
 光が出たら紅  館はたちまち夜が明ける
 開けて口惜しい玉手箱  美濃彦今に泣き面を
 かわくを見るが気毒ぢや  会はにや会はぬでそれもよい
 後でビツクリして泡吹くな  後でビツクリして泡吹くな』
と繰返しくりかへし踊つたである。
 立熊別は不思議な奴が来たもと、面白半分にからかつてゐた。美濃彦はあまり門口騒がしさに立ち出で、じつと様子を考へてみた。合点ゆかぬはこ浮浪神である。顔色こそ変つてゐるが、どことなく見覚えある顔である。またそ声は何となく聞き覚えある声である。不思議に思つて、ともかくもこれを門内に通した。門内に入るや否や、美濃彦にむかひ、
『吾は元照彦である。常世城に敗をとり、全軍四方に解散し、吾はわずかに身をもつて免れ、やうやくここまで落ちびたである』
と一伍一什を物語つた。
 美濃彦は驚いて大地に平伏し、立熊別無礼を陳謝し、ただちに奥殿へともなひ種々饗応をなし、かつ新しき衣服を出し来りてそれを着用させた。さうして元照彦を正座に直し、自分は左側に端座し、侍者をして立熊別を招き来らしめた。立熊別は美濃彦前へ出頭した。正座に立派な神あるを見て驚き、不審さうに顔を打見まもつてゐる。美濃彦は立熊別に向つて、先程浮浪神は此方であると、上座方を指し示した。立熊別はつくづくこれを眺め、はじめて元照彦なりしことを知り、尻を花立にして以前無礼を陳謝した。
 ここに美濃彦と密議結果、元照彦は服装を変じ、館従臣港彦をともなひ、スペリオル湖ほとりに船頭となつて往来神司を調べ、味方をあつめ、かつ敵情勢を探らむとした。
 常世姫軍は、八方に手分けして言霊別命、元照彦所在を厳密に探らむとし、猿世彦は言霊別命後を追ふて、いま此処に現はれた。猿世彦は船を命じこ湖水を渡らむとした。港彦はただちに船を出した。船は湖中ほどまで進んだ。にはかに暴風吹きおこり、浪高く船はすでに浪に呑まれむとする。猿世彦は顔色蒼ざめ慄ひ戦ひてゐた。これにひきかへ、港彦は平気平左で歌をうたつてゐる。さうして常世城は言霊別命、元照彦といふ神将ために再び陥落し、常世姫は竜宮城に行つたといふ噂が専らであると、他事に話しかけた。猿世彦は心も心ならず、速やかにこ船を元へ返せと命じた。風はますます烈しく、浪はおひおひ高くなつてきた。猿世彦は気が気でなく、しきりにかへせかへせと厳命した。港彦は少しも騒がず、ますます北方へ漕ぐであつた。そして港彦は容を正し、猿世彦にむかひ、
『吾は卑しき船頭となつて汝ら来るを待つてゐたである。実は言霊別命、元照彦謀将である。今ここで南へ引きかへさむか、言霊別命は数多神軍を整へて汝を滅ぼさむと待ちかまへてゐる。北へ進まむか、北岸には元照彦が神軍を整へ汝到着を待つてこれを滅ぼさむとしてゐる。こ湖は両神軍部将が東西南北に手配りして、蟻はひでる隙間もない状況である。吾は汝に教ふべきことがある、袖振り合ふも他生縁といふではないか。汝と吾とはいはば一蓮托生、いつそこ湖に両人投身しては如何。なまじひに命を長らへむとして恥をかくは男子たるも本意ではあるまい。また卑怯未練な心をおこし身を逃れむとして捕虜となり、恥をさらさば、汝一人みではない。常世姫一大恥辱である。覚悟はいかに』
と問詰めた。猿世彦は進退きはまり卑怯にも声を放つて、男泣きに泣きだし、手を合はせて救ひを乞ふた。港彦は愉快でたまらず、
『しからば汝願ひを聞き届けてやらう。そ代りに、吾一つ願ひを聞いてくれるか』
といつた。猿世彦は、
『命あつて物種、たとへ貴下が山を逆様に上れと言はれても、吾が命さへ助けたまへば決して違背は申さじ』
と答へた。港彦は、
『しからば汝衣類を脱ぎすて、こ中へ投入し、裸になれ』
と命じた。
 寒気激烈なるこ湖上に、かてて加へて身を切るやうな寒風が吹き荒んでゐる。されど命が大事と猿世彦は、命まにまに衣を脱ぎ捨てた。たちまち菎蒻幽霊か地震やうに、ブルブル慄ひだし、つひには手足も凍り息さへ絶えて、完全なる木乃伊になつてしまつた。港彦は言霊別命土産として、こ木乃伊を乗せて乗場に引きかへしたである。
(大正一〇・一一・二 旧一〇・三 桜井重雄録)
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