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文献名1霊界物語 第2巻 霊主体従 丑
文献名2第5篇 神慈愛よみ(新仮名遣い)かみじあい
文献名3第33章 焼野雉子〔83〕よみ(新仮名遣い)やけきぎす
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじさて、常世姫部下・駒山彦は、荒熊彦・荒熊姫息子を討ったは元照彦である、という噂を利用し、高白山に忍び入って、荒熊彦・荒熊姫に再び謀反を促していた。荒熊彦・荒熊姫は、わが子へ情に負けて、元照彦を討って常世姫側に寝返ることに決めてしまった。荒熊姫は面会を装って元照彦を害そうとしたが、元照彦は荒熊姫面上に毒気を感じ、荒熊姫を逆に詰問した。すると荒熊彦、猿世彦、駒山彦がどっと元照彦に斬ってかかった。元照彦は三人を相手に闘ったが、敵せず、山を下って身をもって逃れ、ローマに落ち延びた。高白山は再び常世姫手に落ちた。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月03日(旧10月04日) 口述場所 筆録者谷口正治 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年1月27日 愛善世界社版164頁 八幡書店版第1輯 217頁 修補版 校定版168頁 普及版78頁 初版 ページ備考
OBC rm0233
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本文  高白山陣営は、元照彦代つてアラスカ全土を治めてゐた。
 ここに常世姫部将猿世彦は、スペリオル湖において一たん救けられたが、たちまち変心して常世姫命をふくみ、駒山彦高白山下隠れ家にいたり、ふたたび高白山占領計画を執拗にも企ててゐた。
 まづ第一に荒熊姫を説きおとす必要を感じ、種々手段をもつて荒熊姫に密会した。荒熊姫は元照彦にそ子清照彦亡ぼされしことを、常に恨んでゐた。彼にとつて、仇敵を主将と仰ぎつかふるは、実に無限苦痛であつた。ある時はそ寝室にしび入り、一刺にこれを刺殺し、吾児仇を報いむと考へたこともしばしばであつた。
 かかる考へを抱いてゐる荒熊姫にひそかに面会をもとめた。猿世彦、駒山彦は荒熊姫にとつては実に強大なる味方を得たごとく感ぜられた。
 猿世彦、駒山彦は荒熊姫にむかひ、
『貴下は子愛を知れりや』
と問ふた。荒熊姫は涙を腮辺に垂らしつつ、
『焼野雉子夜鶴、子を憐まざるはなし。ましてや天にも地にも杖柱とたむ最愛子を討たれ、老味気なき世を送る吾ら境遇、推量されよ』
とそ場によよと泣きふれた。
 ふたりは策あたれるを喜び、さも同情念に堪へざるごとく、ひそかに両眼に唾をぬり、泣顔をつくり、さも悲しさうにオイオイと泣きくづれた。荒熊姫は居たたまらず、共に声を放つて泣きさけんだ。
 荒熊彦はそ泣声を聞いて馳せきたり、見れば三柱状態である。荒熊彦は声を励まして、
『かかる太平御代にあたつて何を悲しむか』
と尋ねた。三柱はそ声に驚いて一度に顔をあげた。見れば敵軍駒山彦、猿世彦がそ場にあつた。
 荒熊彦は大いに憤り、荒熊姫にむかつて、
『汝は何故にわれ承認をも得ず、男性をわが居間に引入るるみならず、こふたりは敵方謀将である。実に汝挙動こそ訝かしきかぎりなれ』
と怒りとともにそ不都合を詰つた。ここに荒熊姫は泣きたふれつつ、
『愛児清照彦を亡ぼせしは元照彦部下である。しかるに今や何因果ぞ、吾子仇を主将として仰ぎ、これにまめまめしく仕ふるは実に残念である。時世時節とは云ひながら、かかる悲惨なことが何処にあらうか』
と、いと悲しげにいふであつた。猿世彦、駒山彦はすかさず荒熊彦にむかひ、今日まで無礼を謝した。さうして、
『吾らふたりは最愛独児を彼元照彦部下に殺され、無念やるかたなく、いかにしてもこ仇を報ぜむと日夜肺肝をくだいてゐた。貴下は勇壮活溌にしてわが児愛には溺れたまはず、時世時節とあきらめて、仇敵にまめまめしく奉仕さるるは、実にお心美しき次第である。されど金銀珠玉、そ他あまた宝ありといへども、吾児にまさる宝は、天地間にあらじと思ふ。貴下はこれでも愛児仇を討ちたまふ御心はなきや』
といつて、荒熊彦顔色いかにと見詰めてゐた。
 荒熊彦は黙然として何返事もなく、さしうつむいて思案にくれてゐたが、たちまち両眼よりは豆ごとき涙がはふり落つる。
 元来、荒熊彦は言霊別命を亡ぼし、自分がとつて代らむとし、駒山彦に一時款を通じたる関係上、今は敵味方と区別はあれど、子を思ふ一念は少しも変りはない。同病相憐む念より、叛心をおこし、駒山彦らとともに元照彦を亡ぼし、みづから主将となりアラスカ王たらむとした。
 ここに荒熊姫は偽つて元照彦を殺さむとし、事をかまへて拝謁を乞ふた。元照彦は何気もなく面会を許した。見れば荒熊姫は表面笑を含み、何心なき体を装ふてゐたるが、そ面上には陰険なる毒気を含んでゐた。
 元照彦はこれを怪しみ、ただちに荒熊姫両手を後へ捻まはし、堅く柱に縛りつけ酷しく訊問をはじめた。荒熊姫は知らぬ知らぬ一点張りである。勝敗いかにと気遣ひたる荒熊彦、猿世彦、駒山彦はことき折戸を押しわけ乱入し、矢庭に元照彦を目がけて斬つてかかつた。
 元照彦は三柱を相手に、しばしは火花を散らして闘ふたが、つひに山を下り、身をもつて逃れ、ローマをさして遠く落ちびた。かくして高白山は全く荒熊彦手に落ちた。
(大正一〇・一一・三 旧一〇・四 谷口正治録)
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