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文献名1霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻
文献名2第5篇 神の慈愛よみ(新仮名遣い)かみのじあい
文献名3第35章 南高山の神宝〔85〕よみ(新仮名遣い)なんこうざんのしんぽう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-11-12 16:51:30
あらすじ
常世の国のカシハ城に割拠して声望をとどろかしていた若豊彦という神があったが、大自在天のために城を追われたため、竜宮城の神政成就に参画しようと訪ねてきた。

言霊別命は神国別命に命じて、若豊彦を審神したところ、数多の邪霊が憑依していることがわかったが、邪霊は審神によって逃げ散り、若豊彦は正しい神人に戻った。

若豊彦は言霊別命の参加に加わり、天上に使いして天神・高照姫命を竜宮城に迎えた。高照姫命は稚桜姫命に謁見し、天上の混乱を伝え、地上の修祓を宣旨した。

しかし魔神・大魔我彦が高照姫命の後をつけており、この秘密の会合のことが邪神に知られることになってしまった。

そこで言霊別命が召し出され、わずかな従神を従え、高照姫命と共に南高山に密かに出立した。途中大魔我彦一派の妨害を避けると、高照姫命は南高山に秘め置かれた神宝を点検し、言霊別命に授けた。

この南高山は天上から降った神宝が秘められた霊山であり、これらの神宝はみろく神政成就のために使われるものである。そして神宝は言霊別命だけが点検することを許された。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月04日(旧10月05日) 口述場所 筆録者桜井重雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年1月27日 愛善世界社版174頁 八幡書店版第1輯 221頁 修補版 校定版178頁 普及版82頁 初版 ページ備考
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本文  竜宮城の表大門口は花森彦、道貴彦二神司が控へてゐた。この時、天下の形勢を憂へ、四方八方より神業に参加せむとして集まる神司は日増しに殖えてきた。折しも東の空より怪しき光を放つて入り来る神司があつた。この神司を若豊彦といふ。若豊彦は常世の国にありて、数多の神司と共に神界を救ふべく種々の画策をなし、一時は一方の主将となり声望を遠近に轟かした神司である。然るに時節非にして大自在天の忌諱にふれ、たちまち猛烈なる攻撃にあひ、カシハ城をすて味方は四方に散乱し、自分はわづかに身をもつて免れた。この神司はいかにしても初志を達せむとし、散り失せたる味方の神将を集めむとしたが、カシハ城の陥落のために、目的を達することができなかつた。ここにおいて、地の高天原に稚桜姫命あらはれ神政成就の経綸を起したまふと聞き、自分もその幕下に参加せむとし、はるばる尋ねてきたのである。道貴彦、花森彦は一見してその真偽を疑ひ、これを言霊別命に進言した。言霊別命はただちに神国別命に命じて、その正邪を審判せしめた。八咫の大広間に連れゆき、ここに厳粛なる審神がはじまつた。若豊彦の肉体には数多の邪神がひそかに憑依してゐた。大神の神殿に端座し、神国別命の審神を受くるや、たちまち憑霊現はれて前後左右に飛びまはり、野天狗、野狐、悪蛇、狸の類さかんに飛びだし、その数は幾十百とも数ふるに遑なきほどであつた。これらの数多の邪霊は美山彦の部下の魔神であつて、若豊彦の体に憑依し竜宮城に深く忍び入らむとした。ここに厳粛なる審神によつて邪霊は全部その正体を露はし、四方八方に逃げ散つた。
 邪霊の退きさつた若豊彦は、はじめて本心にたちかへり、正しき神司となつて竜宮城に奉仕することとなつた。そこで言霊別命は花森彦を神務につかしめ、若豊彦には、その後を襲はしめた。それより表大門は道貴彦、若豊彦の二神が厳守することとなつた。若豊彦は漸次すすんで、言霊別命の帷幄に参ずるやうになつた。
 若豊彦は命の内命をうけ天の高天原にいたり、天上において最も有力なる女神の高照姫命を百方力をつくして説きつけ、竜宮城に下つてきた。ここに高照姫命は城内の諸神司に迎へられ、鄭重なる饗応を受け、ついで稚桜姫命に謁し、天上における混乱の状態を詳細に宣り伝へ、かつ天上を修理固成し、真の天国たらしめむとせば、まづ地上の修祓を第一着とするの必要なることを詳細に宣示された。
 稚桜姫命はその真意を諒し、ここに天地相応じて、神業に参加せむことを互ひに相約された。この時、天の八衢より高照姫命の様子をうかがひ、ひそかに跟けきたりし大魔我彦はその場に現はれて、
『吾は両神の秘密の計画を残らず聞きたり。さればこれよりこの一伍一什を八王大神に報告し、もつて根底より破壊せしめむ。後悔するな』
と言ひをはるとともに、姿を消し黒雲となつて逸早く東方の天に向つて去つた。両神司は魔神に神策の暴露せむことを恐れ、奥殿に入つて深く戸を閉ぢ、真澄姫を加へて種々の協議ををへ、その結果、言霊別命を招き神界の秘策を授けられた。
 言霊別命は高照姫命を先頭に、神国別命、花照姫、火水姫、梅若彦、広照彦、秋足彦、村幸彦、若豊彦以下五神将をともなひ、長駆して南高山に微行することとなつた。このとき天の八衢に待ち伏せたる大魔我彦一派は、一行の乗れる天の磐船を覆へさむとし、数多の部下を引き連れ、醜の磐船をあまた狩り集め、中空にありて盛んに攻撃をはじめた。
 高照姫命の一行は、ただちに方向を変じて北方に引きかへし、東方の天にめぐり、つひに東北さして大空高く、やうやくにして南高山に到着した。
 南高山は天上より下りたる種々の神宝の秘蔵されし霊山である。五六七神政成就のために使用すべき種々の神物が充満してゐる。高照姫命は一々その神宝を点検し、一切を言霊別命に授け、若豊彦を従へて一旦天上に帰られた。言霊別命一行は一切の秘密を固く守り、目出たく竜宮城へ帰還した。この南高山の神物は、他の神司には少しも点検を許さず、言霊別命ただ一柱がこれを旧のごとく秘めおかれた。
(大正一〇・一一・四 旧一〇・五 桜井重雄録)
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