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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第5篇 万寿山よみ(新仮名遣い)まんじゅざん
文献名3第17章 岩窟の修業〔117〕よみ(新仮名遣い)がんくつのしゅぎょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-03-14 18:47:48
あらすじ第二の高天原である万寿山の八王神となるには、それ相応の資格が要る。磐楠彦は霊鷲山の大岩窟で修行をし、三ツ葉彦命の神霊に感合して、万寿山の王としての資格を得たのである。この大岩窟は宇宙の縮図であり、地上の神国が形成されている。磐楠彦は三ツ葉彦命の神力を得て大岩窟の岩戸を開いた。そして、女神の導きによって肉眼のまま、坤の大神・豊国姫命の御精霊体である照国の御魂を拝謁した。女神は、一度国治立命は御隠退させられるが、照国の御魂を拝謁した者は三千世界の一切の過去と未来を知ることができ、それによって二度目の天の岩戸開きに参画して功を立てることになるだろう、と告げた。磐楠彦は天地を拝して感謝の祝詞を奏上した。すると今まで光の玉と見えた照国の御魂は崇高な女神となって、命の手を取り宝座に導いた。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月17日(旧10月18日) 口述場所 筆録者土井靖都 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版100頁 八幡書店版第1輯 296頁 修補版 校定版102頁 普及版44頁 初版 ページ備考
OBC rm0317
本文のヒット件数全 3 件/照国の御魂=3
本文の文字数1423
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本文  万寿山は前述のごとく、神界の経綸上もつとも重要なる地点なれば、これを主管する八王神は他の天使八王神に比してもつとも神徳勝れ、かつ神界、幽界の大勢を弁知し、大神の神慮を洞察せざるべからずとし、八王神なる磐樟彦は、単独にて万寿山城をひそかに出城し、霊鷲山の大岩窟にいたりて百日百夜、すべての飲食を断ち、世染をまぬがれ一意専心に霊的修業をはげみ、つひに三ツ葉彦命の神霊に感合し、三界の真相をきはめ、天晴れ万寿山城の王たるの資格を具有するにいたりける。
 磐樟彦は、霊鷲山の大岩窟を深く探究したるに、数百千とも限りなき小岩窟ありて、大岩窟の中の左右に散在して、それぞれ受持の神守護されつつありき。この岩窟はいはゆる宇宙の縮図にして、山河あり、海洋あり、種々雑多の草木繁茂し、禽獣虫魚の類にいたるまで森羅万象ことごとくその所を得て、地上の神国形成されありぬ。
 三ツ葉彦命の霊媒の神力により、数十里に渉れる大岩窟の磐戸を開き、現はれいでたる気品高き美しき女神は、数多の侍女とともに出できたり、磐樟彦に向ひ軽く目礼しながら、
『汝は神界のために昼夜間断なく神業に従事して余念なく、加ふるに百日百夜の苦行をなめ、身体やつれ、痩おとろへ、歩行も自由ならざるに、どの神司も恐れて近付きしことなき、この岩窟の神仙境にきたりしこと、感ずるにあまりあり。妾はいま、汝の熱心なる信仰と誠実なる赤心を賞て、奥の神境に誘ひ、坤の大神豊国姫命の御精霊体なる照国の御魂を親しく拝せしめむとす。すみやかに妾が後にしたがひきたれ』
といひつつ、岩窟の奥深く進みける。磐樟彦は女神の跡をたどりて、心も勇みつつ前進したりしが、はるか前方にあたりて、眼も眩きばかりの鮮麗なる五色の円光を認め、両手をもつて我面をおほひながら恐るおそる近付きける。女神はハタと立留まり、あと振かへり命にむかひ、
『汝の修業はいよいよ完成したり。ただちに両手をのぞき肉眼のまま、御神体なる照国の御魂を拝されよ。この御魂をつつしみ拝せば三千世界の一切の過去と、現世と、未来の区別なく手に取るごとく明瞭にして、二度目の天の岩戸開きの神業に参加し、天地に代る大偉功を万世に建て、五六七の神政の太柱とならせたまはむ。神界の状勢は、この御魂によりて伺ふときは、必然一度は天地の律法破壊され、国治立命は根の国に御隠退のやむなきに立いたりたまひ、坤の金神豊国姫命もともに一度に御退隠あるべし。しかしてその後に盤古大神現はれ、一旦は花々しき神世となり、たちまち不義の行動天下に充ち、わづかに数十年を経て盤古の神政は転覆し、ここに始めて完全無欠の五六七の神政は樹立さるるにいたるべし。汝は妾が言を疑はず、万古末代心に深く秘めて天の時のいたるを待たれよ。神の道にも盛衰あり、また顕晦あり。今後の神界はますます波瀾曲折に富む。焦慮らず、急がず、恐れず、神徳を修めて一陽来復の春のきたるを待たれよ』
と懇に説き諭したまひて、たちまちその気高き美しき女神の神姿は消えたまひける。
 磐樟彦は天を拝し、地を拝し、感謝の祝詞をうやうやしく奏上したまふや、今まで光の玉と見えたる照国の御魂は崇高なる女神と化し、命の手をとり、紫雲の扉をおし明け、宝座の許に導きたまひける。
 夢か、現か、幻か。疑雲に包まれゐたるをりしも、寒風さつと吹ききたつて、肌を刺す一刹那、王仁の身は高熊山の岩窟の奥に、端座しゐたりける。
(大正一〇・一一・一七 旧一〇・一八 土井靖都録)
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